ネットショップ運営に伴うルーティンワークの自動化で、クリエイティブな力を生む環境を

煩雑なネットショップ運営を簡単・便利に変えてくれるEC自動化システム「ネクストエンジン」。もとはモバイルアクセアサリーのネット通販を手がけるHamee株式会社が、自らの必要に迫られ開発したのが原型です。取締役の鈴木淳也は「ネット通販がより楽しくなる」未来を描きながら、システムの開発を進めています。
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その“1クリック”の裏側にある、アナログな仕事を自動化する

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▲取締役 鈴木 淳也

たとえば、地方のおいしい名産物をお取り寄せしようと、購入ボタンを1クリック。注文を受けたお店は、その商品を届けるまでに一体どのような作業を行なっているのでしょうか?

2005年、システムエンジニアとして中途入社した鈴木淳也は、「Hamee」で仕事をはじめるまで、ネットショップの運営がどういったものなのかを知りませんでした。

鈴木 「その頃のHameeはまだStrapya.comという社名で、ガラケー用ストラップの販売がどんどん伸びていた時期。出荷が追いつかなくて、みんなで作業を手伝っていたんですよね。日中は運営業務をして、終わってから自分の仕事に手をつけていました」

商品のオーダーを受けたら注文内容を手書きで登録。お客さまからの入金を確認したのち、山積みの在庫のなかから該当の商品探し出して梱包。配送伝票を貼った荷物を配送業者が引き取るのを見届けて、発送完了のメール送信……。

1クリックで気軽に買い物ができる便利な時代になったものの、その向こう側では今でも多くの業務が発生し、商品を届けるまでにたくさんの人手がかけられています。

鈴木「うちは複数のネットショップを運営していたのでさらに大変でした。管理画面がそれぞれ違うから覚えるのが面倒。全体の管理はExcelを使って手作業で入力。当然出荷量が増えればミスも増え、他の人の時間も取られ……。そんな社内の状況を打開するべく私が初めてのエンジニアとして採用されたんです」

ネットショップには、もっと魅力のある商品をつくったり、商品を紹介するウェブページを作成したりと、お客さまをもてなすための大切な仕事がたくさんあります。

かといって、商品をお届けするのも決しておろそかにはできない重要な業務。効率化できる作業はないかと思案しても、どれもこれも省くことができない内容ばかり。

鈴木「そこで、効率化ではなく自動化の仕組みを考えることにしました。省くのは作業じゃなくて人手。日々のショップ運営に欠かせない業務はどんどんシステムに加えてデジタル化し、最小限の手間で最大限の効果を得られる仕組みをつくることにしたんです」

現場経験×エンジニアリングの掛け算で誕生した“業務自動化”システム

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▲鈴木が入社した当時の社内の様子

Hameeの代表取締役社長である樋口敦士は1997年の創業以来、業務が拡大するたびに煩雑さが増すネットショップ運営に頭を抱えてきました。

これまでにも何度となくシステム開発を試していた樋口。しかし「これだ」と手ごたえのあるものに出会えない状況が続いていました。外部業者に依頼し開発したシステムを導入したものの、フィットせずたった2日で利用を断念したこともあります。

鈴木 「樋口は “ルーティンワークを減らすことで、人が本来持つクリエイティブな能力を活かせる仕事環境をつくりたい”と考えていました。彼はいつも、<人間の本当の仕事は、まだ見ぬ新しいなにかを考え、そしてつくること>だと言っていて。その実現を可能にするシステムを導入したかったんですよね」

エンジニアの募集を始めた2005年は、樋口がちょうどシステムを自社開発することを決断したタイミング。一方、大手ICT企業などに常駐して開発を行ってきた鈴木は、大規模な開発に携われる反面、自分がつくったものが世の中でどんな役に立っているかをリアルに感じることができないことに物足りなさを感じていました。「次はエンドユーザーの声をじかに聞きながらシステムを開発したい」と、キャリアアップを目指しStrapya.comへの転職を決断。

ふたりの“決断”が重なって、社内システムの開発がはじまることになりました。

社内エンジニア第一号として入社した鈴木が最初に行なったのは、ネットショップ運営の全体像を理解することでした。当時、副社長だったネットショップの責任者に、ネットショップの運営に関わる業務を1から教えてもらいました。そして、忙しく働いている業務担当者の仕事を、横で見たり一緒に業務をさせてもらいながら、実務を体当たりで覚えていきました。

鈴木 「実際みんながどんな業務をやっていて、何にてこずっているのかを自分で確かめるいいチャンスでした。担当者が休みの日には自分が実務を代行していましたね。現場で起こるミスを直に体験できたことが開発に活きています」

そのおかげで、社員から改善要望をヒアリングしていただけでは掴めなかった、リアルな現場課題がしだいに浮き彫りになっていきます。

鈴木 「一番の収穫は、“ここにこんな機能があったら、もっといい仕事ができるな”というイメージがはっきり持てたことなんです。それに対してエンジニアとしてどんな手段を使えるかを具体的に検討できたので、システム設計の自由度が格段に高まったんですよ」

開発が順調に進むなか、社内では「他のネットショップでも同じことに悩んでいるのではないだろうか?」「これをサービス化して販売してはどうか?」といった声が上がります。

しかし、当時開発を進めていたのはあくまでも社内向け。サービス化するには、より汎用性を意識し再設計する必要がありました。そこで鈴木は、自社システムと並行して外部向けのサービス開発に着手。

当時の副社長だったネットショップの責任者はStrapya.comに入社する前にもネットショップの運営をしていました。他社のネットショップの運営方法や一般的なネットショップにおける課題などの知見を多くもっていたため、開発の段階で、「本当にネットショップに必要とされるサービスは何か?」という点で、多くのディスカッションをすることができました。

これが、"ネットショップ運営をしている会社が提供している"という最強の強みをもつ

ネクストエンジンが誕生するきっかけです。

驚かせたい!を原動力に進化を続ける「ネクストエンジン」の“底力”

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▲展示会にて営業を行う鈴木。メンバーが少ない頃は、開発・営業・サポートを全て行っていました。

こうして2008年5月、外部向けサービスとしてリリースされたネクストエンジン。

システムは、インターネットの知識がなくても簡単に導入できるシンプルな操作性を持ち、あらゆる作業条件に対応する柔軟な設計に仕上げました。

基本機能としては、商品の受注から発送までに生じるさまざまな作業の自動化と、約50のショッピングモールやショッピングカートなどの一括管理機能を提供します。また、リリース後には、店舗別・月別の売り上げ分析など、販売力UP をサポートする新たな機能も加わりました。

ネクストエンジンの開発にあたっては、業務の自動化をサービス全体の軸としながら「いつか、こんな機能がほしいと個別の要望をもらうかも」と先を読んで設計を行なってきた鈴木。今の時点で必要ではなくても、後で機能を追加しやすいように画面構成をあらかじめ整えておく、そんな機転も利かせてきました。

鈴木 「そうすると、要望が出たときすぐに対応ができるんです。結果、お客さまが“信じられないスピードで機能を提供してくれた!!”と驚いてくれる。その驚き方を見て、今度は私が驚きます(笑)。“驚きたい。”はHameeのDNAですが、私はまず人を驚かせたいですね」

2013年12月、そんな “ユーザーを驚かせたい”との思いが高まり、ネクストエンジンはさらにクリエイティブな進化を遂げました。それはAPIの開放です。

APIの開放とは、開発プログラムの一部を外部公開すること。これにより、これまでHamee単独でサービスを開発・提供する「システム」だったネクストエンジンを「プラットフォーム」化し、他の企業が新たな機能を自由に開発・販売できるように変えたのです。

この進化によって、なんとバックオフィス業務の95%を自動化するシステムを組むユーザーが登場するまでに。ネットショップ運営の自動化はますます大きく飛躍しました。

鈴木 「本来ネットショップが力を注ぐべきは、商品の企画・開発や、豊富な品揃え、ブランディングなど、お客さまと直接触れ合うフロント業務です。究極は、お客さまがその業務にもっとクリエティビティを発揮してくれるようになること」

こうした鈴木のクリエイティブ魂がこもった開発の取り組みと、実業務を熟知したショップ運営者がヘビーユーザーとして開発現場の隣で業務をしているという信頼により、ネクストエンジンは2017年現在、2600を超えるEC事業者さまにご利用いただく業界NO.1のサービスに成長しています。

次世代テクノロジーで実現——ネットショップのクリエイティブな未来

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▲日常の一コマ

Hameeはこれから、ネクストエンジンをよりいっそう発展させ、ユーザーのみなさんへ“ネットショップの未来”を提案していこうと考えています。

そのため “探究室”という名の、ちいさな部署を立ち上げ、新たなミッションに向けて準備中です。探究室では、ビッグデータや人工知能、IoTといった次世代のテクノロジーを活用して、新たなサービスを提供するべくさまざまな可能性を探っています。

ネクストエンジンには、1日10件程度を受注しているちいさなネットショップから、月間10万件に対応する企業まで、さまざまな顧客データが蓄積されています。こうした情報を人工知能で処理することによって、顧客への商品レコメンドや仕入れ商品の分析など、より顧客に寄り添うための機能を提供することが期待できます。

さらに自動化が本格的に進めば、これまで以上に時間の余白が生まれます。そうすれば、本来やるべきクリエイティブな仕事だけに専念できる環境がいよいよ実現すると、私たちは考えているのです。

鈴木 「単に商品を仕入れて売るだけでは、価格競争に巻き込まれてしまいます。自分たちしか生み出せない価値をつくり育てることは、長く生き残っていくためにもっとも重要な仕事です。私たちは、ネクストエンジンを上手に活用することで、ユーザーに“ビジネスの成長” に直結する活動をもっと増やしてもらえたらと本気で願っています」

それにはまず、Hamee自身がネクストエンジンを使いこなし、空いた時間をフル活用してクリエイティブな力を発揮する姿を発信していくと決めています。

Hameeの社名に込めた<happy mobile, easy e-commerce>を体現するべく、まだ見ぬなにかを考え、新しい価値をつくり出し、そして世界をもっとあっと驚かせたい。

鈴木 「私自身、ネットショップが大好きでたくさん買い物をします。いつも思うのは、どのジャンルにも商品の選択肢がもっとあったらいいのに、ということです。ネクストエンジンを使って、ユーザーのみなさんと共にそんな世の中をつくれたらいいな、と」

その実現のため、鈴木はこれからもネクストエンジンの開発に全力で取り組みます。内に秘めたクリエイティブ魂をメラメラと燃やしながら——。

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