マザーズから東証一部へ昇格。小田原のベンチャーとして果たす責務、目指す未来

ベンチャーといえば東京、上場先はマザーズ。そんなイメージが強いと思いますが、Hameeの本拠地は小田原。そしてマザーズを経て東証一部への昇格を果たしました。そんな小田原生まれ、東証一部への上場を果たしたベンチャーはこれからどこを目指すのか。Hameeに貢献してきたCFO・水島育大の目でお伝えします。
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名門地銀を辞めてベンチャーへ。ポジションは「株式公開担当」

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▲なぜか新卒と一緒に入社式に参加した水島

水島が25歳、横浜銀行に入社して3年経ったころ。Hameeの創業者・樋口敦士に出会います。

有名な地銀に勤め、転職する気など毛頭なかった水島ですが、樋口やHameeの面々が仕事に取り組むさまを見ているうち、大企業勤めだった水島の心に火が灯されます。

水島「みんな夢中になって仕事に取り組んでいて、楽しそうだったんです。銀行は望んで入った職場で充実はしていたけれど、こんなふうに働けるなら銀行よりも面白いんじゃないかなと、転職へと踏み切りました」

水島が担当することになったポジションは、会社の経理、財務全般、そして「株式公開担当」。いざ入社してみると、上場準備どころか、組織があまりにも未完成なことに衝撃を受けます。

たとえば、あるはずの規則やルールがなかったり、売上の計上基準がバラバラだったりと未整理のまま事業が成長していたのです。水島の仕事はまず、そういった混沌のなかから、経理、財務、労務など、管理体制を一つひとつ整えていくことからはじまりました。

水島「自社のサービスであるEC自動化プラットフォーム『ネクストエンジン』を社内でも使っていたんですけど、自社製品なのに、経理のための便利な機能が誰にも使われずにいたなんてこともありました。そういう、本当に小さな一歩からはじめて、いろいろなことを変えていきました」

業務にしろ、社内の規則にしろ、現状を変えていくことに社内から反発が出るのは、ままあること。しかし水島がそういったプレッシャーを感じたことはないと振り返ります。それは、変化をおそれず柔軟に対応していくというHameeの社風にあるからです。

水島「若いというのもあったと思いますけど、積極的に変化してどんどん前に向かっていくパワーがありました。上場に向けた社内体制は、苦労せずにつくりあげていくことができましたね」

こうしてHameeは2015年4月に東証マザーズ上場。2016年7月には、東証一部への上場変更を果たしました。

スマホへのデバイスシフト。多くの会社が消えるなか、どう生き残ったのか

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▲ストラップを中心に扱っていた時代の展示会の様子

変化に柔軟に対応できること――それは、私たちにとっては大きな強み。先ほどお伝えした社内の体制変更もそうですが、もちろん、事業の面でも同様です。

HameeがEコマース事業で扱っているモバイルアクセサリは、1年先、いえ数ヶ月先に大きな波が来て、業界図が一変することもありうる世界。

実際、2000年代前半までは、ガラケー向けのストラップを中心にEコマース事業を展開していましたが、日本でもスマートフォンが普及することを見越し、スマホカバーへとかじを切りました。

そのころにうまくスイッチできずに脱落していった同業者も少なくありません。いや、むしろデバイスシフトに先に対応する方が稀です。ではなぜ、Hameeは思い切った決断をくだし、売上を落とすことなく、むしろ伸ばしていくことができたのか。

水島「500社以上ある取引先や仕入先とフラットなつき合いができているからですね。若い会社だから、年上のみなさんがいろいろな情報を教えてくれて、私たちも素直に話をうかがうことができる。それで市場の動きをキャッチして方向性を柔軟に変えていけたのかと。

一方で、身の丈は理解しています。たとえば今はおもちゃの市場が活況で、私たちも少し扱っていてバッと売れることもあるんです。じゃあもっと売ろうか、となれば、一時的に売上は上がるかもしれません。でも、そこに資本を投入しても物量は扱えないから勝てないんです。

変化を受け入れる力はありますが、むやみに何でも飛びついて、手を広げていく性格の組織ではありません」

激動する市場のなかで、単に新しいものを追っているだけでは、本当の強さは生まれません。新しく生まれてくるものの何が価値を生んでいるのか、価値はどこにあるのか――私たちHameeの掲げるビジョン「クリエイティブ魂に火をつける」に照らし合わせて方向性を決めています。

マザーズから東証一部へ。急成長ではなく、持続的な成長を実現するため

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▲市場変更セレモニーの様子

Hameeは東証マザーズ上場から、時をおかずに東証一部へと上場変更しました。その理由は、今後、Hameeはどんな企業でありたいのかという意志のあらわれです。

企業のありようはビジョンや考え方によってそれぞれです。3年で一気に大きくして終わりにする企業。あるいは、社会に重要なインフラを提供しているから、利益はわずかでもサービスを提供し続けることに意義を見出す企業もあるでしょう。

成長企業向けの市場であるマザーズから東証一部へとステップアップすることで、Hameeは「急成長」を目指すのではなく、「長く継続的に成長していく企業」でありたいと示しているのです。

水島「ネクストエンジンは、2800社を超えるEコマース事業者にご利用いただいています。大げさかもしれないですが、社会のインフラだと思っています。このサービスをしっかり長く、少しずついいサービスにしていくことに、すごく価値がある。

実際に顧客の方にとっては、一部上場企業が提供しているサービスだということで、より安心感をもって利用していただけています。地元の小田原でも、『若い人たちが多いけれどがんばっている、しかも一部に上場しているちゃんとした会社』と見ていただけるようになりました。

そしてスマートフォンアクセサリという、生活必需品ではないけれど、生活者のすごく身近にある製品。身近にあるがゆえに、楽しさやおもしろさだったり、ワクワクする気持ちだったりを、製品にして届けられたらいいなと」

私たちHameeの事業ドメインは「happy mobile, easy e-commerce」。常にこの原点に向き合い、サービスを育て、広げていきたいと考えています。

モノづくりの強さと売れる強さ。このふたつがあるから、勝ち続けられる

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▲2017年現在の水島

東証一部に上場して2017年で2年目に入り、Hameeは今後もモバイルアクセサリを扱うコマース事業、ネクストエンジンを提供するプラットフォーム事業のふたつの事業を柱として成長していくことを目指しています。

モバイルアクセサリの市場はめまぐるしく変化し、数ヶ月単位でどんどん人気商品が移り変わっていきます。そのなかでずっと良いものを生み出し続けることは、Hameeにとってたゆまざるチャレンジだといえます。

Eコマース業界のインフラとしてのネクストエンジンの改善、バージョンアップも、トップシェアを保ち成長させていくために不可欠な業務です。

これらを遂行する組織の体制としては、機能で分かれている「ひろめる」「つくる」「ささえる」のそれぞれのグループに所属するスタッフをアサインして、プロジェクト単位で仕事を進めるようにしています。

創業者の樋口をはじめ、いろいろな人と関わることができるため、社員の成長の機会も多く、新規事業の芽も生まれています。プロジェクト制で生まれた事業としては、「ROOT株式会社」の設立、Eスタジオ、ふるさと納税のバックアップシステムなどがあります。

また、プラットフォーム事業で市場の動向データを把握できる立場と、リアルでモノを売る基盤を両方もっていることは、Hameeならではの強みであり、ここから新しい事業が生まれる可能性が広がっています。

水島「ネット上のサービスと、リアルなモノを作れる力が組み合わさることで、いろいろなサービスが考えられます。これが今後の新しいチャレンジの足がかりにもなると考えています」

まだ見ぬ未来に向けて、常に新しい何かを生み出し続けていくために。私たちHameeは、変化を積極的に受け入れて追い風にしながら、さらなる成長をめざしていきます。

※所属、業務内容は取材時時点の内容となります。

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