「ただの引越し」を「組織成長のチャンス」に変えた、全員参加型のオフィス移転

オフィスの移転は、会社にとって大きな節目となる一大イベント。とはいえ、経営陣がほとんどを決めてしまい、社員は「忙しいのに…」とぼやきながら荷物を整理するのが、一般的ではないでしょうか。私たち株式会社ヒトカラメディアは、自社のオフィス移転を全社員参加のプロジェクトにしました。移転に至るまでの軌跡を、取締役の田久保博樹がご紹介します。
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全社員を巻き込む「オフィス移転プロジェクト」は成長のチャンスになるか

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▲取締役の田久保博樹

ヒトカラメディアは、主にベンチャー企業を対象としたオフィス移転、内装プランニング、働き方のコンサルティングなどを行う会社です。東京に本社を置き、軽井沢と徳島県美波町にサテライトオフィスを展開しています。

“「都市」と「地方」の「働く」と「暮らす」をもっとオモシロくする”  これが、私たちの掲げるミッション。 

そして、“「働く場」と「働き方」からいきいきとした組織/個人を増やす” というビジョンを実現すべく、これからの働き方や暮らし方を提案しています。 

「働く場をプロデュースする」ことが私たちの仕事ですが、実は、自分たちが働く場については、そこまで深く考える機会はありませんでした。正直なところ、関心を持つ余裕がなかった、といったほうがいいかもしれません。

2014年1月、渋谷駅の神南エリアにオフィスを構えた当初は、33坪の空間を2、3人で広々と使っていました。しかし、どんどん社員が増え、2016年夏には20名の組織に。デスクの後ろを通るときは椅子を引いてもらったり、朝礼では社長すら座るスペースがなかったり――。手狭なオフィスに、みんなのストレスがたまっていきました。

そこで、代表の高井淳一郎と私で話し合い、オフィスの移転を決断。どうせ移転するなら、社員全員を巻き込む「オフィス移転プロジェクト」にしようと決めました。オフィスの移転をきっかけに、自分たちの仕事や働き方、組織全体のこと、未来まで思いをはせてほしいと思ったからです。

そしてもうひとつ、その1年ほど前に社内のコミュニケーション不全から業績の悪化に陥ったことがあり、経営陣と社員の間で、お互いの意思をもっとしっかり伝え合わなければいけないと痛感しているところでした。ですから、全員参加のオフィス移転プロジェクトを、組織として成長する好機にしたいと考えたのです。

「大変そうだけど面白そう」――全員を巻き込むカギはきちんと伝えること

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▲全員で取り組んだ3回のワークショップ。うち1回は、社員旅行中にも!

2016年9月6日、オフィスに全社員を集めて、オフィス移転を検討していることを経営陣から発表。最初の共有会は、特に力を入れました。スライドを60枚ほど使い、なぜ全員で時間をかけて移転を進めるのか、会社の経営状況や中長期計画なども含めて渾身のプレゼン。社員が納得してくれなければ、その後がうまくいかないからです。

その甲斐あって、社員の反応は前向きでした。会の終わり際、ある社員がボソッとひと言。「大変そうだけど、面白そうですね」。それがみんなの本音だったのだと思います。

それから翌年2月の移転まで、みんなで走り抜けました。振り返ってみるとワークショップやプレゼン、フィードバックなど、5か月間で計13回の場を設けていました。

このオフィス移転プロジェクトは、大きく分けてふたつのフェーズがありました。

前半は、移転先の物件を決めるまで。大きなお金が絡むため、決定権は経営陣が握りました。最初の2回はワークショップを開催。いきなり移転の話ではなく、事業やチームを見直す時間から入りました。事業部横断のチームで「売り上げ目標達成のための注力施策」を共有したり、事業部ごとに「会社としての土台」を考えて、今後のアクションプランを決めたりしました。

続いて、チームに分かれて、新オフィスとして提案するビルのプレゼン大会を行いました。経営陣からフィードバックを行い、3物件まで絞って実際に見学。チームメンバーによる現場でのプレゼンもカギとなり、最終的に2物件を比較検討し、そのうちひとつのビルに決めました。

前半のフェーズで経営陣が注力したのは、プロジェクトの進捗を随時説明したり、丁寧にフィードバックしたりすることです。全員を巻き込んでいるため、さまざまなアイデアが出てくる中で選ばなければいけない。

そのとき、なぜこれにしたのか、どうしてこれではないのか、きちんと伝えることを大切に……。すると普段の仕事でもプレゼンを行う営業メンバーにとって、率直なフィードバックはいい学びになったと喜ばれました。

内装についてもみんなで話し合い、遊び心いっぱいの新オフィスが完成

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▲物件お披露目会。がらんとしたオフィスには夢が詰まっていました!

さて、後半は、オフィスの内装から完成までのフェーズです。こちらは、普段から内装業務に携わるふたりのメンバーに推進を担当してもらいました。

全3回のワークショップには経営陣もいちメンバーとして参加し、これから大切にしたい働き方や面白いビジネスチャンス、それを実現しやすいオフィスなどについて話し合いました。うち1回は、社員旅行中に行い、大いに盛り上がりました。

オフィス設計のベースとなったのは、「革新は日々の積み重ねからしか生まれない」という考え方。日々のことを大切にできるオフィスにしようという方向性が決まりました。

2017年1月25日は、移転前の物件お披露目会。朝から全員で新オフィスを内見して、レイアウトプランが発表されたときのことは忘れられません。まだ何もないオフィスで、ここがどう変わっていくのか想像しているときのみんなのワクワクした様子、希望に満ちた表情――。ガランとした空間で集合写真を撮影したのもいい記念になりました。

そうして2月13日、新オフィスへの引越が無事に完了。ゲストを招いて「移転パーティー」も開催しました。

さあ、私たちの新オフィスをご案内しましょう。

以前のオフィスでは、執務スペースと打ち合わせスペースしかなかったため、広々として多彩な空間がある新オフィスは、まったく別のステージです。

執務スペースと打ち合わせスペースはもちろん、さまざまなスペースがそろっています。たとえば、陽当たりのいい窓際の席で集中できる「リラックススペース」、死角となる柱の裏はヒソヒソ話やひとりで集中する時に利用する「ヒソヒソスペース」、開放感があり女性に人気の「ランチスペース」など。

資料整理やスタンディングの打ち合わせができる「作業台」、気分が変わる「アウトドアチェア」、オフィス各所に設置した自由に使える「ホワイトボード」、全員の写真と誕生日を一覧にしてメンバー紹介も兼ねた巨大な「ボード」などもあります。

コミュニケーションと来客が増え、新サービスも登場!見学はどうかお早めに

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▲みんなで作り上げたことで愛着がわき全員自慢のオフィスになりました

オフィス移転プロジェクトにかけた期間は、約半年。全社員参加のプロジェクトとしたことで、毎月2回ほど全員で集まり、みんなにとっては通常業務に加え、スケジュール調整や作業の負担がかなり大きかったと思います。しかし、みんなでやり遂げたことによる効果は計り知れません。

まず、経営陣だけでは思いつかなかったエリアや物件が出てきたときは、驚きました。また、事業部を横断したメンバーで話し合う機会が多かったため、プロジェクト前後では、社内全体のコミュニケ-ションが格段に増えました。ランチに誘い合ったり、部署横断の新サービスが生まれたりと、確実に組織の活性化につながっています。

そして何より、全員で自分たちが働きたいオフィスを作り上げてきたため、自分たちが納得のいくオフィスが完成したと自負しています。

とてもうれしいのは、新オフィスになって来客の数がずいぶん増えたこと。見たいといって来てくださる方もいますし、社員たちが知り合いやお客さんを積極的にお招きして、社内を案内して回っているのを見ると、やってよかったなとしみじみ思います。自分たちが誇りに思えるオフィスができること、それは働く人と会社のバリューを高めてくれるとわかりました。

私たちは働く場のプロデュースを仕事としていますが、今回、自分たちで初めて移転プロジェクトを経験して、組織にとっていかに素晴らしいチャンスなのかを改めて実感することができました。

「オフィス移転」を「ただの引越し」にしてしまうのは、もったいない。

もちろん大変なこともあるけれど、いずれにせよお金のかかる移転を、どうやって組織のために役立てていくか。身を持って感じている私たちだからこそ提案できる、働く場と働き方のプロデュースにぜひご期待ください。

ちなみにわかっていて移転したので想定済みですが、この新オフィスはビルごと取り壊しを予定しているため、2018年秋には退去しなくてはなりません。気になる方は、ぜひお早めに見学にお越しくださいませ。お待ちしております。

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