異端の青年期を経て、社長になった男の夢ーー データで人の生活を豊かに彩ること

「その人の行動を先読みして、最適な提案をするためにデータが重要なんです」と話すのは、国内最大級のパブリックDMPを提供する私たちインティメート・マージャーの代表、簗島亮次。簗島がどんな経験を経て、どんな想いを持って創業したのか。幼少期の原体験からこれまでを振り返ります。
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「定量的な成果が得られる」から、小学生時代からモノを売りはじめた

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▲インティメート・マージャーの代表、簗島亮次

振り返ってみると、小さい頃から定量化された成果が好きな、変わった子どもだったと思いますね。「頑張ったね!」という定性的な評価よりも、明確な対価がもらえる方が納得感があったんです。誰でも同じ解釈ができるもの以外はそんなに価値がないなと思っていて、今もその感覚は変わっていないですね。

定量的な成果の代表例がお金。ですから、小学生時代からいろんな方法で稼いでいました。店じまい直前で特売セールをやっている文房具店で大量に文房具を安く仕入れて、それを学校で売るとか、今思うと、とんでもないことをやっていましたよ(笑)

そういう考え方になった理由ですか?祖父や両親の影響が大きかったかなと。祖父は投資家で、母親は統計解析の研究者と、定量化された情報で判断するのが当たり前な家庭環境だったからだと思います。

小学生時代からお金を稼ぐことは頑張っていたんですが、高校時代までは本当に「無」。

勉強という勉強はまったくと言っていいほどしませんでしたね。

「これはやばいぞ、大学に行こう」、「でもどこへ行こう」となった時に、兄の友達で今も仲良くしてもらっている、じげんの平尾くんが(株式会社じげん代表取締役社長 平尾 丈氏)が慶応SFC(慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス)に行っていて、すごく楽しそうだったんです。

考え方が近い彼が合うなら、僕も大丈夫だろうと思い、しっかりと勉強して、なんとか入学することができました。

高校まで何もしなかったことを反省し、大学ではジャンル問わず幅広く勉強しましたね。研究室には3つ入り、デザインや作曲、小説の授業も取りました。いろいろ勉強しましたが、当時から「データ」への興味はありましたね。

大学院まで進み、そこでは「アルツハイマー」研究を選びました。なぜアルツハイマーかというと、ある程度、研究データ量がそろっていて統計解析が活かせるし、研究結果が薬や医療に活かされるという明確なアウトプットがあるので定量的な評価がされやすいんです。

改めて振り返ると、「定量的な評価を得る」ことを一貫してやってきた学生時代だったんだなと感じますね。

データを使えばすべてを“最適化”できると確信した

大学院での生活も終わりに近づき、社会人になる日が近づいてきました。ぼんやりと研究職に就きたいなぁと思っていたので、ある研究機関を受けて無事に内定をいただいたんですが.......内定式の日に辞退を決意しました(笑)

なぜか?「3年後に辞めて起業する」と伝えたら、先輩に激怒されたんですよ。「3年間で一人前になれると思うなよ」と。これは僕の時間感覚と合わないと感じて、そこからもう一度就活をはじめました。

いろんな企業を見ている中で、大学のOB会に行った時にグリーの社員がいて。「お前受けろ」と言われたのが、前職のグリー入社のきっかけです。

正直、当時は何をやっている会社なのか知らなかったんですけど、ひとり当たりの売り上げが日本一ということもあり、「これはイケてる会社だな」と思ったんですよね。

入社してみて、正解でしたね。当時、ソーシャルゲーム最盛の時代でしたが、自分がやっているサービスが評価されることに価値を感じる人たちが集まっていて。僕の考えと近い人が多く、すごく楽しく働けたなという印象です。

楽しく働けて、マネジメントの機会もいただいたりといろいろなことにチャレンジさせてもらった結果、2年半で、10回ほどMVPをいただくことができました。

待遇もポジションもいい、仕事もおもしろい。僕の人生は順調に進んでいたと思います。ただ、最高に居心地のいい環境を僕は離れます。そのキッカケも、「データ」だったんですね。

GREEの会員数は当時約1000万人以上。登録時はSNSや年齢、性別情報を記入してもらいます。インストールしているゲームの傾向から、好きなジャンルもわかる。

行動データも取っていて、いつどのタイミングでゲームしているかも一目瞭然。行動パターン別にユーザーを抽出する解析をやっていたんですが、これってDMPと近いんですよ。

頭で考えた空想上のペルソナではなく、データからペルソナ像を構築できるので、実際の施策に落とした時のズレが少なくなる。データを使えば、根拠を持って施策を打てるのは心地良いなと感じました。

その人の行動を先読みして、最適な提案をするためにデータが重要。それをGREEだけでなく、もっと多くのところでやれると楽しいなと思って今の事業を構想しはじめ、フリークアウトの門を叩きます。

そして半年後、フリークアウトとPFIのジョイント・ベンチャーとして、この会社、インティメート・マージャーを創業したんです。

金髪社長の誕生。“売るため”に、髪も躊躇なく染めた

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▲売るために髪を金色に染める決断を。これが功を奏し、会社は成長を加速させていくのです

創業当初は僕ひとり。営業、開発、デザイン、全部をひとりでやっていました。その中で唯一、経験がなかった新規営業が最初のハードルになります。

それをいかにクリアするか?

「新規営業は普通にやったら大変だ」

「顔も名前もなかなか覚えてもらえないだろう」

「あ、じゃあ金髪にすれば、インパクトあって覚えてもらえるんじゃないかな?」

というわけで、派手な金髪にして訪問営業することにしたんです(笑)すべての企業から50点もらっても負けるだけ、数は絞られても100点か0点を取りに行った方がいいなと思って。

当時、DMPは出てきたばかりの目新しいサービス。ということで、金髪の見た目と先端のサービスという相乗効果のおかげか、「なんかすごそう」と思ってくれる会社さんが一定数いましたね(笑)とにかくハイパワーで営業をかけ、結果、取引先は順調に増えていきました。

そして、売り上げが伸び、ようやく人を増やせるタイミングが訪れます。まだニッチだったDMP事業に応募してくる人は、ある程度予備知識や考えを持っている可能性が高い。しかも奇抜な髪型の社長がいる会社にあえて来るってことは、相当根性ないとできないです。なので来るものは拒まず、基本的に全員会ってきちんと話をしていたことを覚えています。

人が増え、会社が成長し、また人が増え......スタートアップですから、資金がショートするとか世の中的には経営危機と捉えられることはもちろんありました。ただ、一度も絶望だと感じたことはありません。

失敗するのはしょうがないし、問題に直面したら解決すればいい。むしろ早い段階で失敗できてよかったなと思っています。だから今のインティメート・マージャーがあるわけですから。

マイノリティ・リポートや攻殻機動隊のような世界を共につくろう

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▲大切な仲間も増え、叶えたい世界の実現もより具体的に。共に面白い世界の創造に挑んでいます

Googleのレイ・カーツワイル氏が提唱している「シンギュラリティ」(2045年に人工知能が人間の知能を超えること)という言葉、一度は聞いたことがあると思います。

その彼がシンギュラリティの25年前、2020年に起きると予測している革命、それが社名でもある「インティメート・マージャー」なんです。あらゆるデータがひとつに統合されるという内容で、僕らが今、事業でやろうとしていることと極めて近いんです。

あらゆるデータを統合し、全体を最適化したい。そう考えてつくった会社なので「インティメート・マージャー」と名付けました。社名の由来でモヤモヤされていた方、だいぶ後になってすみません(笑)

2013年の創業から約5年経ちましたが、ずっとやりたいことは変わっていません。2018年の今現在はWebブラウザのデータを中心に集めていて、Web広告配信のプラットフォームとしての側面が強いんですが、Webだけに留まるつもりは毛頭ありません。生活の中に、きちんとデータが浸透していけばきっと、皆さんの生活は豊かになる、そういうことをやりたいんです。

たとえば靴屋さんに行った時、店員さんが既に自分の情報を知っていて、適切な靴を用意してくれる。そういう風にデータ活用できる領域をどんどん増やしていきたいし、領域を増やしていくためにはいろんなデータを持っていないといけない。

となるとWeb上のデータだけだと、当然、足りません。接触時間は伸びているとはいえ、人は24時間、Web上にいるわけじゃないので。たとえば何時何分にどこにいて、何をしていた、何を買ったのかなどの情報を取れれば、きっとその人の行動を先読みして、最適な生活の提案ができると思うんです。イメージ的には、映画版「マイノリティ・リポート」や「攻殻機動隊」が近いのかな。

まずは、今後2、3年でオンライン・オフラインの垣根を超え、私たちのデータを活用できる状態をつくりたいと思っています。そして5年後には、いよいよインターネット広告やWebの枠組みから飛び出していきたいなと。オンラインデータがオフラインでの判断に大きく影響する、そういう世界になるとすごくおもしろいと思うんですよ。

僕らのデータを使った意思決定がどんどん広がり、ツールベンダーというよりインフラ化している状態を実現しようと思っています。

僕らはインターネットの行動ログという「線」の情報を持っている。その線を購買情報や生体データなど「点」の情報に繋げることによって、その線の輪郭はより、クッキリとしてくるでしょう。すべてのデータを統合し、本当に人が生きやすい社会をつくれる、そう信じてこれからも僕たちは突き進んでいきます。

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