注目される対面型総合資産運用サービス――業界の垣根を越え、より顧客に寄り添ったサービスを構築するために

「金融業界の最適化」をミッションとし、金融専門人材(ヒト)やその他事業運営リソース(モノ)の最適配置を通じて、金融業界の構造的問題の解決を目指す日本資産運用基盤。今回は主に保険業界で高度金融専門性を磨いてきたディレクターの吉田貴一がIFAや保険代理店等が主導する対面型総合資産運用サービスについて語ります。

保険代理店ビジネスが抱える課題

▲過去には保険業法改正の議論にも直接携わり、あるべきサービス提供への想いは強い

「人生100年時代」を迎えて、資産運用に対する関心が高まっています。65歳で定年を迎えても、まだ人生は35年も残っています。

夫が先立てば、妻は長い老後を過ごさねばなりませんし、他に頼る身内がいない単身者ともなれば、自分の老後に必要なお金について、よりシビアに考える必要があるでしょう。

――いくら必要なのか。
――今の預金で本当に足りるのか。
――途中で重い病気にかかり、診察料や治療費、薬の費用など、たくさんのお金が必要になった時、果たして生活を続けていけるのか。

悩みは尽きません。だからこそ資産運用が必要になるのですが、これまでお金の「運用」を一度も考えたことがない人たちからすれば、「何から始めれば良いのか分からない」状態だと思います。

しかし、そこで銀行や証券会社の窓口に行って聞いても最適なアドバイスを受けられるとは限りません。販売する側にとって都合の良い商品を勧められる可能性もあるでしょう。インターネット金融機関は、変な商品を勧められる危険性はないものの、必ずしも一人ひとりに寄り添った親身なアドバイスを受けられるわけではありません。

これらに対し、資産運用の相談窓口としてこれから注目を集めそうなのがIFA(Independent Financial Advisor)や保険代理店なのです。

吉田 「もちろん IFAや保険代理店にも課題はあります。現状、金融商品や保険商品の販売については、業態ごとに登録制が採られており、販売に際しての公正確保や顧客保護の規制についても、業法によって定められているからです。
その結果、 IFAや保険代理店などの販売業者が顧客と接して、金融商品や保険商品を販売する際には、各業法に基づく登録を行う必要があります。多くの大手金融機関が個人を対象にして総合資産運用サービスに乗り出していますが、保険代理店は未だに投資信託などの販売を手掛けるまでに至っていません。
保険代理店は資産計画策定支援等のノウハウの蓄積もあり、個人向けの接点に強みはありますが、保険商品しか提供できないのであればとても総合的な資産運用サービスとは言えません」

今、顧客本位の業務運営が求められているだけに、保険代理店も投資信託等の販売を行うことで顧客利便を高めていく必要があるのです。

インターネット販売の限界

かつて金融商品の販売は、銀行にしても証券会社にしても、全国に支店網を設け、そこに属する社内の営業担当者が、店舗内か外交によってお客様と直接コミュニケーションを取り、販売するという形態が一般的でした。

しかし、金利や手数料の自由化が加速するなかで、従来のビジネスモデルは通用しなくなりました。たとえば証券会社であれば、株式委託手数料の自由化とインターネット証券会社の台頭によって、コストの高い支店での金融商品販売は、割に合わなくなってきたのです。

株式を売買したり、投資信託を購入したりする顧客も、インターネット証券会社の方が割安な手数料で取引できるとなれば、そちらを積極的に利用するようになります。

でも、全員がインターネット取引に馴染めるわけではありません。高齢者、あるいは資産運用の初心者にとっては、自分の意を汲んでくれる対面取引の方が適しているケースもあります。

吉田 「今は銀行、証券、生命保険のいずれもが、インターネットでサービスを提供しています。確かに、取引コストが安く設定されており、コストコンシャスな利用者によって、取引は年々拡大していきました。
でも、一方でインターネット取引が馴染まないという人もいます。人を介さないということは、かゆいところに手が届くサービスが受けられないということです。


もちろん、それで良いという方は、インターネットサービスで取引をすれば良いのですが、なかには資産運用でも保険でも、一定の知見を持ったプロフェッショナルに参考意見を聞きたいという人もいるはずです」


普及が進んできているとはいえ、万人に適しているとはいえないインターネット取引。人を介した取引が必要な場面も多々あるのです。

吉田 「富裕層の方はまさにその典型でしょう。彼らは資産を運用するだけでなく、保全する必要もありますし、相続や贈与など税金の問題も抱えています。それらを総合した資産運用アドバイスを的確に行えるロボットアドバイザーは、今のところどこにも存在しません。


本当の富裕層がプライベートバンクを活用して、ファミリーアセットの運用・管理を任せているのは、こういう事情があるからです」


もちろん、この手のニーズは富裕層に限りません。家族がいない高齢者、あるいは超多忙なビジネスパーソンなども、対象に含まれます。だからこそ、顧客と直接向き合って金融商品の販売を行うIFAや保険代理店に対する関心が高まっているのです。

業際の垣根を取り外して顧客利便を高める

▲資産運用サービスの総合化や対面接点の存在感の高まりなどに関して、代表の大原啓一と強い共感を持つ

2019年現在、保険商品、投資信託など金融商品の仲介サービスに関する規制が横断的に一元化される方向で検討が進められようとしています。

それが実現すれば、IFAや保険代理店などの仲介業者は、現状のように業態ごとに販売登録する必要が無くなり、単一の登録さえ済ませば、さまざまな金融商品をワンストップで扱える仲介サービスも実現する可能性があります。

吉田 「これが実現すれば、顧客の利便性は飛躍的に高まるはずです。


たとえば保険代理店の窓口に行けば、そこで複数の生命保険会社、損害保険会社の保険商品だけでなく、投資信託はもちろんのこと、場合によっては株式の個別銘柄、 ETF、 J-REIT、さらに預貯金の類まで揃っている。となったら、ひとつのアカウントで総合的な資産管理ができるようになります」


もちろん、インターネット証券会社のように、非常に低いコストでの取引は難しくなりますが、それでも顧客目線に沿ったフィー体系を構築できれば、新しい金融商品・保険商品の購入窓口として、IFAや保険代理店に対する関心が高まってくるものと考えられます。

吉田 「また、保険代理店にとっては、願ってもないビジネスチャンスになります。この制度が実現すれば、個別に金融商品仲介業の登録を受けることなく、投資信託などの金融商品を販売できるようになるからです。


保険というリスクヘッジのための商品と、投資信託など資産を増やすための商品の両方を扱えるようになれば、従来に比べてより幅広い顧客アドバイスができるようになります」


しかし、新しい制度が発足するとしたら現状の体制では不十分な点も出てくることが予想されます。

吉田 「投資信託をはじめとする資産運用商品の販売に際しては、商品の選定、説明、顧客のリスク許容度の把握など、保険商品の販売とは異なるノウハウ、リスク管理が必要になるため、その体制をきちっと整備する必要がありますね」

高度金融専門性に基づく事業運営支援

吉田は、国内大手保険会社で1995年に行われた保険業法の改正に直接関わり、その後は外資系保険会社に転じてコンプライアンス業務などに従事してきた、保険ビジネスのプロフェッショナルです。

これから、どのようなビジネスを考えているのでしょうか。

吉田 「保険会社でのキャリアが長かったので、まずは保険代理店で投資信託など金融商品の販売を行いたいというニーズに対して、的確なサービスを提供していきたいと考えています。


すでに、いくつかの保険代理店からは、保険商品だけでなく金融商品も扱いたいという話が来ているので、まずは制度改正の行方を睨みつつ、現行体制のもとでの参入も含め、保険代理店が投資信託など金融商品の販売を行う際に生じる問題点を洗い出し、その対応を検討していきたいです」


また、現在取り組んでいる業務のなかからも見据えていることがあると言います。

吉田 「これは現在進行形ですが、地方銀行を対象にしたコンプライアンスのサービス提供も考えています。今、地方銀行も保険商品を積極的に扱っていますが、果たして商品の内容やリスクをきちんと説明し、顧客の理解を得たうえで販売しているかどうか、疑問な点もあるからです。


商品内容が複雑で契約期間が長期にわたる保険商品は、アフターサービスも含め、管理体制がしっかり機能していないと、顧客からのクレームにもつながってしまうこともある。銀行の方々の問題意識を喚起し、きちんとしたコンプライアンスのアドバイスなども行ってまいります」


日本資産運用基盤株式会社は、金融事業支援プラットフォームとして、これから新たな展開が期待される個人向け資産運用ビジネス事業立ち上げや運営を支援することを通じ、さまざまな金融事業者が効率的に質の高いサービスを提供できるような態勢を整備し、最終的には顧客である一般生活者の長期的利益に資するような環境構築をサポートする存在でありたいと考えています。

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