ひとりで諦めかけたゴールも、チームなら――ある女性デザイナーの奮闘記

株式会社カエタルテクノロジーの取締役・小池富子は、アプリUIデザインやメディア向けのクリエイティブ全般を統括しています。元々は一匹狼で仲間を頼ることができなかったと語る小池。男勝りな性格の裏に、女性らしさがキラリと輝く感性を存分に発揮したデザインで、世界に挑戦します。
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会社を創業するも、自分ひとりの力でやっていくことに限界を感じる

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▲株式会社カエタルテクノロジーの取締役・小池富子。どんなに苦しいときでも笑顔を忘れない

信じられるのは自分ひとりだけーー以前の私はそう思っていました。しかし、長く勤務していた広告業界の仕事を退職したことがきっかけで、私の考え方は大きく変わったんです。

そもそも私が10年務めた広告業界を辞めた理由は、「制作スタッフ」としての限界を感じたからでした。

お客様と直接打合せした営業スタッフが「つくりたい制作物」を私に伝えてくれるのですが「何のためにそれが必要か」という“目的”が見えませんでした。制作物が発注になれば会社の売上はあがりますが、果たしてそれが本当にお客様の“問題解決”につながるかは、いつも疑問でした。

その疑問を解決するために、PCと一日中向き合う制作スタッフではなく、お客様と直接対話のできるクリエイティブディレクターを目指すべく退職願を出して、1年後の2014年8月栃木県にて女性目線デザイン制作会社「株式会社Ruderal」を創業しました。

社長とはいえ、社員を雇える余裕もない。経営についてまったく知識もないうえに、営業、制作、打合せ、メール対応をすべて自分ひとりでこなさなければならない現実に直面。

毎月給与が自動的に振り込まれていた社員時代とは違い、すべてのタスクが思い通りに進まないストレスと業界の価格競争から抜け出せず、自分のデザインの価値を評価してもらえない不甲斐なさに「自分ひとりでは何もできない」ことを痛感しました。

でも、お客様と直接対面で話をしたいという想いを胸に、睡眠時間を削っては、自分の限界を超えて仕事をこなす日々を送っていました。

お客様でありながら、チャンスを与えて続けてくれた代表山中との出会い

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▲女性目線デザインを題材としたセミナーは毎回満席だった

トライアンドエラーを繰り返していくうちにおかげさまで少しずつ売上も伸び、3年目を過ぎた頃からマーケットを東京へ広げるチャレンジをはじめました。

が……勢いで飛び出してはみたものの、毎月固定の案件があるわけではなく、プロジェクトが終わるたびに営業しないと仕事がない不安定な状況。不安を抱える毎日を送っていました。

そんなとき、人のご縁を通じて出会ったのが代表の山中剛志でした。まだ東京に出てきて間もない私に「うちの仕事やってよ」と声をかけてくれたのがきっかけで、毎月定期的に仕事をもらうようになりました。

山中は、女性だからとか経歴といった経営者としての未熟な部分にフォーカスするのではなく、デザイナーとしてのキャリア=私の強みを活かすことにフォーカスしてくれていたんです。おかげで、私は山中から多くのチャンスをいただき、とても大きな自信につながりました。

投げ出したくなるような仕事の課題も、相談したときに返ってくる山中の歯切れの良い切り返しが、凝り固まっていた自分の発想の転換点になり、アイデアが湧いてくるようになりました。

そんなつながりが続いた2018年の3月、「新しい会社を設立するので一緒にやらないか」とオファーをいただき、株式会社カエタルテクノロジーの取締役に就任が決まりました。

チームでやっていくことは難しい。それでも諦めたくなかった理由がある

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▲カエタルテクノロジーのクリエイティブはすべて小池が手がける

新しい環境に「ドキドキ」「ワクワク」の喜びをゆっくり味わう間もなく、カエタルテクノロジーの取締役に就任した直後から、息のあがるような毎日がはじまりました。

ひとつの大きな事業を成し遂げる“チーム”を構成するために、プロジェクトごとにスケジュールを分割して計算し、一人ひとりのスキルを把握したうえで全体のタスクをマネジメントしなければならなくなりました。

自分のことは自分で管理するマイペースな一匹狼で活動していた私にとっては“チーム”の存在が重く感じられてしまい「ひとりでやった方が早い」と思うことが多くなっていきました。

でも、これではひとりで会社を創業したときの自分と何も変わらない。ひとりで頑張って苦しくなったときに「仲間がほしいな」と何度も天井を仰いでいた過去を思い出しました。今目の前にいる“仲間を信じ、頼る”勇気が足りなかった自分を反省しました。

それに気づいてからは、スケジュールが把握できる工程表を使い、業務の進捗を入力してもらうとともに、メンバーにこちらから声を掛け、状況を確認することで、無理のないスケジュールが調整できるようになりました。

また週1回のミーティング、月1回の飲み会を行なうことで、チーム内の団結も強くなり、設立から6カ月もしないうちに一人ひとりが大きく成長することができました。

どんな人でも、成長し進化し続けられることを自分の姿を通して伝えたい

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▲伝えたいメッセージがぎゅっと詰まっている自分でデザインしたポスター

そもそも私はなぜ、人に甘えられずに何でも自分ひとりで抱えることを覚えてしまったのか。それは高校を中退し16歳で母になり20歳でシングルマザーになった、本当に何もない「0以下」だった過去があったからです。

信じられるのは自分ひとりだけ、私が頑張らないと子どもが不幸になる――

同世代の友人たちが遊んでいる中、苦しい現実から逃がれるように昼も夜もがむしゃらに働いた時代がありました。でもビジネスの世界では、学歴も育った環境も過去も関係なく、全員が同じスタートラインに立てる。だからこそ過酷であることを承知のうえで、この道を選びました。

過去の自分に別れを告げ、ひとりでは達成できずあきらめていたゴールに、再びチャレンジできる“チーム”とともに、さらに大きく描く世界を創っていきたいと思っています。

人をうらやんでは「私には何の取り柄もないから」と、チャレンジする前からあきらめていた過去の自分に「私自身が証明し続けていきたい」そんな想いがあります。

「チャンスはいつでも目の前にある。それに手を伸ばし、つかみに行く勇気のあるものだけが自分を変えることができる」。そして「誰でも、いつからでも、なりたい自分になることができる」。特に女性にはこのメッセージを強く伝えたいですね。

ぜひ、これからのカエタルテクノロジーに大きく期待して下さい。

最強の“チーム”が世界を変えていきます。

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