超高齢社会を支える「地域包括ケア」とは――とことん寄り添った先に見える介護の未来

偕行会グループでは、病院と介護施設が高度に連携した「地域包括ケアシステム」を構築。利用者様とご家族が、負担や不安を感じることなく介護サービスを受けられる体制をめざしています。在宅医療事業部部長の城良治(たち・りょうじ)の、介護にかける思いを通じ、当グループが描く高齢者ケアの未来についてお伝えします。
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全国的にも注目される「地域包括ケアシステム」を構築し、医療福祉村を実現

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▲地域包括ケアの一例(名古屋市中村区:偕行会グループ)”医療福祉村”

もし、ご自身やご家族が年をとり、介護が必要になったとき、皆さんはどのような暮らしを望むでしょうか。

できれば、長年住み慣れた、家族や友人のいる街で暮らしたい。信頼できるかかりつけ医にずっと診てもらいたい。不安なことや困ったことをすぐに相談できる専門家が身近にいてほしい――。

安心して、自分らしく暮らしていくためには、住み慣れた地域で必要なサポートを受けることのできる、医療と介護の仕組みづくりが求められます。

2017年、いまや国民の4人にひとりが65歳以上という高齢社会を迎えている日本。さらには、65歳以上の5人にひとりが認知症であるといういま、医療と介護はもとより、地域全体で認知症高齢者とご家族をサポートしていく体制も必要となっています。

そこで、厚生労働省がめざしているのが「地域包括ケアシステム」の整備です。それは、住んでいる場所からおおむね30分以内に駆けつけられる範囲をめやすに、「住まい」「医療」「介護」「予防」「生活支援」の5つのサービスを一体的に提供できるケア体制を構築しようというもの。

地域包括ケアの取り組みは、各地域の状況に合わせてさまざまです。

名古屋市中村区にある偕行会城西病院の中には、ケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業所「ケアプランセンターさくら」が併設され、同じ敷地内には「認知症高齢者グループホーム・小規模多機能型居宅介護じょうさい」があります。

さらに、他法人の介護老人保健施設、特別養護老人ホームも隣接。医療と福祉の施設が集まり、高度に連携することで切れ目のない継続的なサービスの提供を行うモデルケースとして、全国的にも注目されており、いわば“医療福祉村”を実現しています。

そして、複数の施設が連携して「地域包括ケアシステム」を実践していくため、各施設やスタッフをつなぐ役割を果たしているのが在宅医療事業部です。部を統括する城 良治は、現職に就く前は、介護職員として高齢者の暮らしをサポートしてきました。

はじめは右も左もわからず、手探りで飛び込んでいった介護の世界。城は、最初の現場でいまの価値観につながる、「高齢者に寄り添う介護とは、何か?」を学んできたのです。

「とことん寄り添う」ことで実践する介護。自分も裸になって入浴介助

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▲医療法人偕行会 在宅医療事業部 事業部長 城 良治(たち りょうじ)

城が介護職に携わるようになったのは2000年、25歳のときのこと。知人が施設を立ち上げるのに「元気な奴がほしい」と、声をかけられたのがきっかけです。

はじめは医療事務に携わり、介護職に就くつもりはなかった城ですが、ふだんの様子を見ていた看護師長に「あなた、介護職やってみなさいよ」と声をかけられ、断ることもできず介護職へ転身することに。

あまり自分の仕事を好きになれないまま、業務上は笑顔でまじめに取り組んでいた城。しかし、運動機能が低下していく難病、筋ジストロフィーを抱えた方を担当したことで、大きなターニングポイントを迎えることとなります。

ご本人たっての希望で、不調をおして実現した旅行に、城は他のスタッフとともに付き添いました。やりたかったことを実現させてあげることができ、「あんたが息子だったらよかった」という言葉をもらって、城ははじめて、本当の意味で介護のやりがいを実感したのです。

城 「そのときに学んだのは、介護福祉の考え方の基本だと思っています。その方の訴えたいことに対して、自分がどう捉えているのか。そして何を提供できるのかを考え、実践するのが、私の仕事なんだと。あの方に出会わなかったら、この仕事を今でも続けていることはなかったかもしれませんね」

この施設に2年間勤めた後、特別養護老人ホームに籍を移します。要介護度がより重く、生活上の困難も多い入居者に対して、城はときには型破りともいえるやり方で、ご本人の気持ちに添ったサポートを実践していきました。

あるとき、入浴介助を嫌がって暴れる入居者の気持ちをじっくり考えてみた城。「もしかして、自分だけ裸なのに、介助者である自分たちが服を着ているから落ち着かないんじゃないかな?」そう考えて、ためしに自分も裸になって介助をしてみたら、すんなり入浴してくださったというエピソードもあります。

4年間勤めたあと、城はこの特別養護老人ホームを辞することを決めます。介護が必要になる前の医療の段階で、要介護にならないように「自分がやれることがあるのではないか」と考えるようになったのです。

こうして城は2007年、偕行会グループへの転職を決めました。

天井のペンキ塗りから始めた体制づくり。利用者様の気持ちを捉え行動に移す

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▲居宅介護支援事業所「ケアプランセンターさくら」が「第2回あいち介護サービス大賞」を受賞

偕行会グループに入職してからは、透析医療事業部で透析クリニックの立ち上げに携わりました。そして2年後、在宅医療事業部へ副事業部長として異動。ふたたび介護福祉の世界に向き合うこととなりました。

いきなりの異動、体制の変革に、在宅医療事業部内の戸惑いもありました。

でも、元気とポジティブマインドが持ち味の城は、そんなことではへこたれません。自分の考えていることをスタッフに理解してもらうために、まず取った行動……それは、夕方5時半から、介護施設の天井をペンキで塗り替えることでした。

その心は、「施設を利用する立場になってみたときに、どう捉えられているのかを考えてほしい」ということ。

設立して10年経った建物は、やや汚れた暗い印象が否めませんでした。でも天井を塗り替えることで明るくなる。敷地内駐車場の消えかかった白線や、雑草の伸びた植栽も、施設がどう見られるかを考えたら放置はできない……そういった地道な取り組みこそが、介護福祉の姿勢を映し出すものだと伝えていきました。

城 「本当にコツコツと、小さなところからの取り組みですが、それが事業を支えてくれるんです。スタッフもだんだん理解してくれるようになりました。今では介護福祉はどうあるべきか、きちんと意識を共有できる仲間です」

在宅医療のサービスについても、利用者の方が何を欲しているのかを、相手の立場に立って捉えることが求められます。

偕行会城西病院内には、総合相談窓口を設け、病気やくらしにまつわる不安や悩み、疑問などの相談をお受けできるようにしました。

また、院内に居宅介護支援事業所も併設。介護認定を受けたときは、まず市区町村に連絡し、居宅介護支援事業所をケアマネジャーに紹介してもらう必要がありますが、偕行会では病院内ですぐにアクセスでき、ケアマネジャーの紹介を受けることができます。

城 「行政の窓口に相談に行こうにも、皆さんお仕事も持っていて、忙しいのに平日になんか行けませんよね。その点、病院内に相談窓口があれば、入院期間中、外来の時間中に寄っていただけます。患者さまとご家族が、気軽に、なんでも相談できる窓口になることが理想です」

介護は、管理じゃなくて援助。「魅力ある介護」の未来を描く

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▲名古屋市の「交通事故死ゼロの日」には必ず、地域の方々と共にボランティア活動

偕行会グループでは、病院と介護施設が連携することにより、医療と介護を独立のものではなく、連続して考えられています。

“治療”を第一目的とする医療と、“生活”について考える介護では、考え方にギャップが生じ、患者様や利用者様、ご家族を混乱させることもしばしばあるものです。そのギャップを埋めることができるのは、偕行会グループならではの特長といえます。

城 「病院や介護施設のスタッフ、ケアマネジャーが同じ敷地内にいれば、ふつうの雑談のなかでも相談ができます。そうやって、時間のロスを省きながら、患者様や利用者様、ご家族、各分野のスタッフが相互にすぐに相談しあえる関係性を築き上げていくのが、私たち在宅医療事業部の仕事なんですね」

偕行会グループの「地域包括ケアシステム」は、2016年10月のグループホームじょうさいの開設によって一層推進されました。しかし、これから見えてくる課題もあるはずで、城ら在宅医療事業部のスタッフが、各施設のあいだに入って改善を重ねながらシステムをさらに高めていきます。

また、深刻な人手不足に陥っている介護業界において、人材育成は城にとって重要なテーマのひとつ。城は、介護職に対する世間のイメージを払拭し、「魅力ある介護」を伝えていけるようにしたいと考えています。

介護というと、対象者の生活を“管理”するようなイメージがあるかもしれませんが、城は管理ではなく“援助”だと考えています。あくまで、足りない部分に手を添えるのが、介護の本質なのではないでしょうか。

城 「生活を管理して、無理矢理スケジュールに合わせようとすると、ご本人も介護者も大変になっちゃう。たとえば自立して生活している方は、毎日必ず同じ時間にご飯を食べて、お風呂に入って、眠っているでしょうか。今日は食欲がないな、お風呂は面倒だから後でいいや、というときもあるはずですよね。私はそれにできるだけ寄り添っていきたいんです。健康と安全にはもちろん十分に配慮しますが、眠いなら今日は起こさずにおこう、なんていう日があってもいい。それでずいぶんお互いのストレスは減ると思うんです」

介護しているとき、自分だけに見せてくれる利用者様の笑顔がとても嬉しいーー。そう語る城は、これからも利用者様とご家族が安心して暮らしていける地域包括ケアを、偕行会と地域が一緒になって突き詰め、実践していきたいと考えています。

◆偕行会グループHP◆
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担当:岩田
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