「パパの育児参加に貢献したい」音楽業界から子育て業界へ転身したエンジニアの志

「日本ではまだまだ父親の自然な育児参加ができていない。この状況を変えたい」という想いを持って株式会社カラダノートに入社した、ひとりのアプリエンジニア。その前職は、まったく畑の違う音楽業界でした。なぜ彼がそのような想いを持ち、異なる業界へと転職するに至ったのか。そのキャリアと原体験を探ります。

好きな音楽と機械を組み合わせ、楽器メーカーでエンジニアとして活躍

▲前職時代の高橋。幼少期から音楽や楽器に触れる機会が多かったという

株式会社カラダノートは、多種多様なバックボーンを持った社員が「子育て×IT」という軸に共感し、可能性を見出して集まっているのが強み。2019年3月に入社した開発推進室の髙橋和康も、特徴的な経歴を持つひとりです。

大学院卒業後7年間、楽器メーカーのエンジニアとして勤務。楽器メーカーに就職した理由は、楽器や音楽に親しみ、演奏したり作曲したりも自然に行なっていた幼少期や学生時代の体験からでした。

髙橋 「小さいころから楽器が好きでした。母がピアノの講師だったこともあってピアノを習っていましたし、ギターやベースも学生時代にやっていました。趣味でバンドを組んで楽曲制作して、レコーディングとかもやっていたので、音楽に携わりたい気持ちがありました」

ですが、演奏や作曲を仕事にすることに可能性を感じなかった髙橋は、音楽家になるのではなく、別の道を模索。

彼がもうひとつ好きだったのが、機械に触れることでした。エンジニアだった祖父の影響もあり、音楽と機械を組み合わせた仕事を思い描き、大学・大学院では「音響工学」を専攻。

髙橋 「たとえば、部屋がどういう響きになのか、なぜそうなるのかということを、部屋の大きさや形、壁の材質、天井の高さなどから測定するというのも音響工学です。建築っぽい部分もありますね」

学びを生かせる職種として、エンジニアを選んだ髙橋。楽器メーカーにて、ハードウェアエンジニアとして約3年間、その後同社内でアプリエンジニアとして約4年間経験を積みました。

髙橋 「楽器を演奏するアプリ、作曲ができるアプリなどの UIを主につくっていました。ユーザーの多くはプロの方です。

パソコンよりも気軽にライブもできますし、ちょっとした作業もできるので、外で思いついたものを iPhoneや iPadでメモして、家でつくりこむといった形でも使われていました」

「教育や子育てには、まだ伸びしろがある」と考え、異業界に挑戦

▲もうすぐ2歳になる娘の成長を感じ、子育てに貢献したい

アプリ開発を経験して、それまでのハードウェアとは違うやりがいを感じていました。

髙橋 「アプリとハードウェアでは、製品スパンが全然違うんです。ハードウェアはひとつつくるのに早くても 1~ 2年ですが、アプリは 3カ月ほどでできてしまうものもあるので、その分、時代の流れに追いつきやすい。僕はアプリの方にハマって、楽しく仕事をしていました」

そんな髙橋の転機は、2017年に子どもが生まれたことでした。

髙橋 「それまでは趣味の音楽が生きがいという感じで時間もかなり使っていたんですが、子どもが生まれてガラッと生活が変わりました。楽器を触る機会も少なくなりましたし、まずスペース的に楽器が邪魔っていう(笑)。当時あった楽器は半分くらい売りましたね。

働き方も、前職ではフレックスも在宅勤務も無く、残業が多くて帰るのが 21時や 22時になることもありました。当然、子どもと過ごす時間もそんなに無く、もっとその時間を増やしたかったのと、直接子育てに貢献できる環境に身を置いてみたいと思うようになりました」

アプリエンジニアとして、教育や子育て分野の仕事を探し始めた髙橋。7年間務めた音楽業界には、意外にも未練は感じていませんでした。

髙橋 「小学校教員をしている妻と、普段から教育の話をすることも多くて、そのなかで教育や子育てには、まだ伸びしろがあると感じていました。音楽は 7年間やりましたし、やりきったなという思いもありましたね。

家では、音楽と子育てを絡ませて、子どもに音楽を聞かせたり、赤ちゃんが安心すると言われているノイズ音はどういうものがいいのかという研究を、シンセサイザーを使ってこっそりやったりしています(笑)」

転職前から、「陣痛きたかも」など、カラダノートのアプリを目にしていた彼は、当社でのアプリエンジニアの募集を見つけ、応募。面接でエンジニアから、開発の進め方やアプリの内容などの話を聞いていきました。

髙橋 「雰囲気もアットホームですし、そんなに技術もガチガチに決まっているものではなく、臨機応変にしていると聞いて、それはすごく自分に合っていると思いました。他社では、もっとガツガツしているところもあったんですが、自分にはカラダノートの雰囲気が決め手になりましたね」

こうして2019年3月、アプリエンジニアとして入社を決めたのでした。

最先端にすればいいとは限らない。子育てアプリをつくる難しさ

▲現在は開発推進室のエンジニアとしてチームで連携しながら開発を進めている

現在(2019年5月)までに髙橋は、「授乳ノート」「ステップ離乳食」「陣痛きたかも」に携わり、UIの変更などをこなしてきました。

前職よりも規模の小さいカラダノートでの仕事は、彼に新鮮な楽しさを与えています。

髙橋 「前職はエンジニアだけで全体で 200人くらいいたんですが、カラダノートのエンジニアは全部で 6人。自動的に、ひとりの担当分野が広くなります。そこは面接のときに想像していたより広かったですね。

今までは見ていなかった、アプリがサーバーに連携しているところなども見られるようになって、もっと自分の幅が広がっていくんだろうなと感じます」

一方で、音楽のプロ向けのアプリと、妊娠・育児期の女性や家族をターゲットにしたアプリとでは、考え方やつくり方が大きく違うことも感じています。

髙橋 「たとえば前職は買い切りでしたし、ターゲットもプロなので、ひとつのアプリが 5000円とかしていて。だから勝負は、最初のところでいかに売るか。売上の 8割が海外でもありました。ですが今は、アプリの使い勝手はもちろんですし、そこから広告収入を得たりしながら成長させていく。売上もほぼ 100%日本ですし、そういう意味で考え方が変わりましたね」

特に大きな違いを感じたのは、流行や最先端のものを取り入れることがすべてではないという点です。

髙橋 「カラダノートのアプリは、使いやすさが一番なので、流行のデザインや最先端の技術がかっこいい、だからユーザーになるというわけにはいかないんですよね。前職ではとにかくかっこいいものがウケたので、そこは難しいです。どういう情報を仕入れればいいのかも、まだまだ手探りの部分も多く試行錯誤しています。

そこは先輩に聞いたり、ユーザーである妻に聞いたり、レビューを見たりしながら進めています。こちらのつくりたいものを届けるという考え方から、ユーザーさんの意見を取り入れながらつくっていくように気をつけています」

イギリスで子育て文化の違いを感じて生まれた、パパの育児参加への想い

▲イギリス留学時の高橋。日本との間に感じたギャップが現在の高橋の子育て感をつくっている

入社後は働き方も変わり、夜遅くまで残業を強いられることもなく、先日は在宅勤務制度も活用しました。それにより髙橋は、子どもと過ごす時間が増えたことを実感しています。

彼が当社に入社した目的であり、今後の目標に据えているのは、「パパの育児参加」。その想いの源泉は、高校時代の経験にありました。

髙橋 「高校のときに親の転勤で 3年間、イギリスに住んでいたことがありまして。そのときに感じたのが、ヨーロッパって子育てにすごく父親が参加しているんです。そもそも向こうの人は残業してないですから。

僕が小さいころには、父は仕事で忙しく平日に会った記憶がないんですが、イギリス時代の父は、平日でも普通に家にいて夕食を一緒に食べたりしたんですよ。同じ会社なのに、なぜイギリスではできて、日本ではできないのかわからないですけど、やっぱり環境なんですよね」

この原体験に、自分が父親になったことが重なり、日本でも「パパの育児参加率を上げる環境づくり」の一助になりたいと思うようになったのです。

髙橋 「前職で外注していた海外の男性デザイナーに、子どもが生まれたと報告したら、『どのくらい休むんだ?』と聞かれて。『いや、休まないよ』と言うと、『なんで休まないんだ』って。そのくらい感覚が違うんですよね。そういう風土も変えていければと思っています。今は大多数がスマホを持っているので、アプリなど入りやすいところから、自然に育児に入っていけるようにできたらいいですね」

入社して約2か月。髙橋は試行錯誤を繰り返しながら、新しい仕事に向かっています。その視線の先には、パパが自然に、当たり前に育児に参加できる社会があるのです。

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