社会とのつながりを軸に“生き続ける”会社へ ― KeepAlive変革の歩み ー

「世の中の企業をテックカンパニーに進化させる」という目標を掲げ、2019年4月に第3創業期を迎えたKeepAlive。組織構成や事業領域を抜本的に見直し、テクノロジーの力を駆使して持続可能な組織と事業づくりを進めています。代表の西田陽介が、過去を振り返るとともに、将来の展望を語ります。

「技術を駆使し未来の社会課題へ目を向ける」 創業期からの揺るがぬ想い

▲KeepAlive代表の西田陽介

ITバブルの真っただ中だった2003年の日本には、「ITで何かを生み出したい」「世の中を変えたい」という人であふれ返っていました。

当時23歳だった私も、そうした志を抱いていたひとり。偶然にも、新卒入社した会社で同じ志を抱く仲間に出会います。それが、当時の同期でKeepAliveの共同創業者である成田敦でした。

同じ時間を過ごすうちに意気投合した私たちは、「5年以内にITに関する会社を起業しよう」という約束をします。

そして2006年、私たちは約束どおりKeepAliveを創業しました。起業当初のコンセプトは、「インターネットとコンピュータの技術を駆使した仕事をすること」だけ。

「“金もうけ”ではなく人と違ったことをしたい」「個性のある人とつながりたい」という想いだけはあったものの、それ以外、特定のサービスをつくるなどの具体的な展望は一切ありませんでした。しかし、お客様や協力してくれる人たちとの関わりをつなげていき、どんどん広げていきたいという想いは強く持っていました。

大切なのは、「”社会”の中にきちんと身を置き、“社会”と関わっていくこと」。私は当初からそう考えていました。

そうした想いから、社名を「KeepAlive」と名付けました。KeepAliveとは、ITの通信用語で“生き続ける”という意味です。コンピュータ同士の通信は一回のやりとりで切断されてしまうものもあります。しかし、KeepAliveは通信が切断されることなく生き続けるということ。その様子を会社とステークホルダーとの関係性の継続になぞらえました。

起業当時、26〜27歳であった私たちは、当時持ち合わせていたシステム開発に関する技術を使って、さまざまなクライアントの課題を地道に解決していきました。

そうした中で、スマートフォンの出現によってアプリやゲームが盛んになった頃に急成長した会社が衰えていったり、同時期に起業した会社が倒産してしまったり、IT業界は日々変わり続けていきました。しかし、私たちは流行り廃りに振り回されることなく社名の通り生き続けてきたのです。

若くて未熟な私たちでしたが、少しずつ共感してくださるお客様や社員が増えていきました。やがて私たちは30代半ばになり、できる仕事の幅も広がってきました。KeepAliveは、ようやく組織の体を成してきたのです。

そうした中で、IT業界の構造的な課題が見えてきました。

抜本的な構造改革に踏み出した第2創業期

▲構造改革を経て成長し2019年8月にはオフィスを増床した

IT業界にはいくつかの構造的な課題があり、以下のようなネガティブな連鎖を引き起こします。


・一括請負による納期のひっ迫と、それにともなう長時間労働の発生 
・労働時間の長い人が優秀な人と認識される誤解 
・難易度の高い仕事が労働時間の長い人に集まり、ボトルネックになる 
・ボトルネックになるといっそう労働時間が増えてパフォーマンスが下がる 

当時のKeepAliveも、まさにこのようなネガティブな連鎖が起きていました。私はこの課題を解決しないと、10年後の社員たちが幸せになれないと思ったのです。

私は、「クライアントとの関係性の改善」と「働き方改革」によってこの課題を突破できるのではないかという仮説を立てました。こうして、2015年に改革に着手します。

まず私たちは、ともに仕事をするクライアントが「同じ課題感を持っていて目線が合っていること」が大切だと考えました。そこでクライアントに対して、「私たちの働き方を改善することがクライアントの価値につながる」と根気強く説明したのです。

並行して、働き方改革を進めました。まずは長時間労働をしている社員の洗い出しを行いました。それから、「難易度が高く特定の人しかできない」とみなされている業務は何か、誰がやっているのかを調査しました。その結果、同一人物が特定の業務を“聖域”として抱え込んでいたことが判明しました。

このような業務を所定の時間内に複数の人で分担するようにした結果、今まで隠れていた本当に優秀な人が浮き彫りになったのです。

この取り組みによってクライアントとの関係が強固になり、単に「施主の望みをかなえる請負型のものづくりビジネス」から、「施主の本質的な課題を解決するコンサルティングビジネス」に変化を遂げました。

さらにビジネスを加速させるために、私たちは2018年から第3創業期として翌3カ年の中期経営計画を練り始めたのです。

ソフトウェア開発手法をリアルな業務に転換する

▲社内業務のDevOps化について日々改善

私が計画を立て始めた2018年当時KeepAliveは30人ほどの規模でした。社会に影響を与えるためには、規模を拡大していかなければいけません。そのため、この中期経営計画では社員数・売上高をともに数倍にスケールさせる計画を立てたのです。

真っ先に必要となったのは、計画を全員で推進していくための屋台骨となるミッションの策定です。

この計画をつくっていた当時、私はAIやロボティクスの台頭によって、マンパワーに頼る従来型の労働対価というのは得られにくい社会になりつつあると考えました。

そこで、社会に対してKeepAliveはどのような付加価値を提供できるのかということを、経営層で議論しました。議論の末、「持続可能な社会をつくるための原動力をテクノロジーの力で生み出し提供していく」。そんなコンサルティングが次なるミッションとしてふさわしいのではないかという結論に至りました。

こうして、第3創業期のテーマである「DevOps」が浮かび上がってきたのです。

DevOpsと聞くと、ソフトウェア開発手法の話であり、技術論のような印象を受けるかもしれません。私もこのような仕組みについては、成田を中心としたエンジニアリング部隊から知識をキャッチアップしていきました。知識を深めていく中で、リアルな業務の世界でもこれと同じことが言えるのではないかと考えたのです。

DevOpsは、生産管理の手法です。「経営と現場を一体にすること」「機械に任せられる部分を自動化すること」「だれがやっても同じ結果になること」「一定の品質を出し続けること」といった生産性の向上を目指すフレームワークです。

第2創業期で私たちが実践した、「決められた時間で人の生産性を測定すること」「属人性を排除して誰でもできるようにすること」にDevOpsの考え方を加えれば、リアルな業務に取り入れられるのではないかと考えました。

デジタルトランスフォーメーション(DX)が叫ばれる昨今、私たちはDXを推進するフレームワークとしてDevOpsを掲げました。

日々の業務の中で再現的なものというのは、手順書やマニュアルという形でソースコード化できます。そこに属人的な揺らぎが求められないのであれば、それは自動化できるということです。世の中の基幹業務というのはそういった行いの占める割合がかなり高いものであると考えています。私たちのコンサルティングは、このような業務改革をDevOpsで行うことです。

そこで、われわれのDevOpsの有効性を確認し、社員全員が自信を持ってコンサルティングに取り組めるように実証実験するための社内プロジェクトを立ち上げました。対象は普段私が管掌している人事・広報・営業にまつわる業務で、社内から有志を募り、プロジェクトを進めているところです。

まずは私たちがDevOpsを体現していく

▲毎週金曜日に若手中心で行っている勉強会の様子

社内プロジェクトを進めるにあたり、大切なのは「バリューチェーン」と「ツールチェーン」です。皆さんご存知の通り、バリューチェーンとはなんらかの価値の生み出される道のりを、論理的なステップに分解して分析するためのものです。

一方ツールチェーンは、バリューチェーン上の生産過程における、使用する道具のつながりのことです。基幹業務というのは、古くは紙とペンと電話のみで行われてきました。それがコンピュータの誕生により、データベースやアプリケーション、それらが統合的につながっている基幹システムというものに置き換えられました。さらに昨今のデジタル社会では、AI・ロボティクス・クラウド技術がそれらに替わろうとしています。

広報・人事・営業というのは密接なバリューチェーンによってつながっています。これらの業務を身近なデジタルツールでチェーンを組むことによって、業務効率を数倍に引き上げていくこと。それが今回のトライです。

実現のためにあきらめるのは「品質」と「アイデア」。代わりに得るものは、適当さと妥協から生み出される「速度」、そして「再現性」です。

速度さえ担保されれば、再現性に基づき、2周目3周目で改善していけば良い。それがDevOpsの体現です。

広報・人事・営業のような間接業務に適用する理由は誰かに迷惑が掛かるわけでもないし、失敗した時の損失が発生するわけでもない。自分の裁量で行えるものが多いからです。

このようなトライによって効果が確認でき次第、クライアントへのコンサルティングメニューとして昇華していくつもりです。また、第2創業期で追及してきた働き方改革のプロダクトアウトとして、もう少しリスクの高い自社サービスの開発も考えています

私たちは、真に社会と持続可能な関係を目指して今後も歩みを進めていきます。


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