「庭の離れに住んで家が建つのを毎日眺めた」。建設業界を志した原体験

▲京王建設 総務人事課の中村 紘

小学生のときの夢は建築家になること──

そんな彼女は現在、京王建設の人事として新卒向けのインターンシップや会社説明会などの新卒採用業務を行っています。もともと、人前に立つのでさえ苦手だった彼女が、なぜ学生の前に立つ機会の多い総務人事課で働いているのでしょうか。

中村が建設業界に興味を抱いたのは、幼少期にまでさかのぼります。

中村 「 10歳のころ、実家を建て替えることになり、離れで暮らしていました。そこから、家が建て替わっていく過程をずっと見ていたんです。今思うと不思議な体験ですが、それがきっかけで建築というものに興味を持ち始めました。
また、数学などが得意だったこともあって、大学では建築学科に進みましたね。やがて、学んだ建築を生かしつつ、現場を支えられる事務職に興味が移っていきました」

大学入学を機に長野から上京した中村が住み始めた家は、偶然にも京王線の沿線にありました。当時、もっとも身近な建設会社が京王建設だったのです。

中村 「就活中、学内セミナーに京王建設の人たちが来たことがありました。緊張感すら漂う企業もあった中、京王建設の人は笑顔で楽しそうな雰囲気でした。学生の私へ気軽に明るく話し掛けてくれて、社員同士もフレンドリーだったのを覚えています。私は会社内の人間関係を重視していたので、社員同士の雰囲気をよく見ていました」

社員同士の雰囲気の良さとなじみのあった京王電鉄のグループ会社だったこと。それらが決め手で入社を決めた中村でしたが、そのときはまだ自分が総務人事課に配属されるとは夢にも思っていませんでした。

「人前に立つのは今でも苦手」──想定外の人事。慣れない業務に四苦八苦

▲配属当初、問い合わせの電話に出ることでさえ苦手意識があった

京王建設では10月の内定式を終えると、全職種の内定者が通信教育のプログラムを受けます。「ビジネス書の1章分程度の量で、有名人のインタビューやビジネスパーソンとして必要な内容の記事を課題に出し、感想文の執筆を行う」10月から3月までの約半年間、1カ月に1回のペースで提出します。

中村 「提出した課題に対して、しっかりフィードバックがあるんです。人事以外の各部署の上長も見てくれるので、入社前から密にコミュニケーションを取れました」

そして入社式当日。事務職として入社した中村は、建築や土木の管理事務職に配属されるとばかり思っていました。しかし、通達されたのは予想外の総務人事課への辞令──

中村 「人前に立って話したりするのは大の苦手なのに、なんで私が?と思って正直驚きました。ただ、人事のメンバーは就職活動を通じて雰囲気がわかっていたので、その点では安心感がありましたね」

配属されてからはまず、総務に関する業務全般をイチから学んでいった中村。郵便物の仕分けや伝票の処理などから、1日の業務全体の流れを覚えていきました。問い合わせなどで掛かってくる電話を取ることでさえ、毎日苦痛だったと振り返ります。

中村 「大勢の学生たちの前に立つ手前の段階で、すでにつまずいていました。話す様子を周囲のメンバーに聞かれているのが嫌で……。問い合わせを受けてもどこに誰がいるのかわからないし、電話を継いでいいのかもわからない。先輩社員に聞きながら、一つひとつ覚えていきましたね」

学生に一番近いことが強みだとわかった。だからもっと信頼されたい

▲学生の前に立ち、京王建設の会社説明デビューを果たした中村
中村 「会社説明のデビューは入社後初の秋のインターンシップで、グループワークの説明をするところから。自分が変わるきっかけになったのは、内定者懇親会などを通じて学生と少しずつ話す機会を得たことです。入社から 10カ月後には会社説明会で話す機会をもらえました。
とはいえ、全部を話すのではなく一部。先輩のまねをしながら、少しずつチャレンジしていきました」

会社説明会に使う資料を準備し、先輩社員のやり方を見て覚えては場に臨み、学生の前に立って説明する。そのことを通して徐々に場慣れしていきました。

中村 「学生と関わるようになり、学生たちと最も年齢が近いことは自分の強みにできると思いましたし、近い立場で気軽に緊張せずに話せる立場でありたいと思っています」

当時、隣の机で中村の面倒を見ていた総務人事課の先輩である松田祥平はこう振り返ります。

松田 「説明会は 1カ月半の間に 15回ほど、一度に集まる学生は 10名ほどです。一回に重みがあるため、中途半端で任せるのはむずかしい。だから徐々に慣れてもらい、その都度フィードバックしていましたね」

2年目を経験している現在は総務人事課としての自覚が芽生えてきた中村。

中村 「自分がイチから関わった学生はまだ入社していないので、早くその実感を得たいです。一回り以上も年齢の離れたチームメンバーが多い中で、私は学生に一番近い。だから、学生から聞かれたことにしっかり答えられて、信頼される存在になりたいですね」

意見を持って自分らしさを出せる、成長できる柔軟さを持つチーム

▲年齢は離れているが、アットホームで意見が言いやすいチーム環境

現在、採用市場は競争がより激化し、厳しい環境です。そうした中で、京王建設の採用チームは常に新しさを取り入れる動きの心掛けをしています。

松田 「今まで通りでも、うまくいくかもしれない。しかしやり方を変えずにうまくいかなかったとしたら、もう挽回できない。取り返しがつかない状況になります。建設業界的には保守的ですが、チーム全体ではもっと変化させたいという意思が強いです」
中村 「学生とのコミュニケーションに LINE@を始めるなど、これまでなかった動きが出ているんです。たまに、そこまでやりますか? というほどアグレッシブなアイデアも飛び出しますが、意見は言えますし、ただのトップダウンではないのでやりやすいですね」

新しい提案に対して否定されることはなく、年齢は離れていてもコミュニケーションの壁はなく、意見を言いやすい環境だと中村は胸を張ります。

松田 「私は長く採用に携わってきて、学生とも年齢が離れているので、凝り固まった価値観を持ってしまっているかもしれない。だから中村をはじめ新しく入ってくるメンバーには、既成概念にとらわれないフレッシュな感覚の意見をもっともっと言ってほしい。無意味に否定することはありませんから」
中村 「まだ業務に追いつくのに精一杯ですが、もっと慣れたら自分の色を持てるし、意見を持って自分らしさを出せたらと思っています」

これまで企業文化を築き上げてきたマネジメント層が、これまでのやり方にとらわれず、柔軟に変化しようとしているチーム。だからこそ中村は安心して自分の意見を委ねられ、共に成長し続けられるのです。

はたして一年後にはどのような景色が見えているのでしょうか。配属当時から見違えるほど成長してきた中村は、地に足をつけてしっかりと自身の未来を見据えています。