子どものころ、天空の城ラピュタにワクワクした想いを仕事の中に思い出す

安藤 彩乃は2018年春に産休育休から復帰して以来、通常より勤務時間が1時間短い時短勤務で勤めながらも、2020年現在は設計部の設計第1課の主任を任されています。

京王建設では案件ごとに「基本計画」と、「基本設計」「実施設計」「現場監理」と担当を分けて業務を進めます。

安藤は、実施設計の意匠を担当。確認申請や全体の進行管理、そして設備担当者や構造担当者、施主さまとコミュニケーションをとりながら調整する役割です。

ちなみに意匠とは建物の形状や間取りなどをデザインするなどの業務内容です。実は、安藤は間取りを考えるのが好きな子どもでした。

安藤 「自分の家が狭かったので、もっとこういうところに住みたいなとイメージを膨らませながら、間取りを考えるのが好きでした。天空の城ラピュタも憧れました。あの建物の奥はどうなっているんだろうって、考えるだけでワクワクしましたね」

高校時代に建築系に進むことを決意し、大学では建物からさらに広がり、街全体をデザインする都市計画を研究対象にしました。ただ「やっぱり建築単体への興味の方がまさった」と安藤。入社後、基本計画を担当したときにそれを実感します。

安藤 「基本計画では、まずどれぐらいの広さの土地に、どれぐらいの大きさの建築物が建つか。グランドデザインのようなことを検討します。最初の部分なので、まずは好きに発想を広げられるので、それは本当にワクワクして楽しかったですね」

入社後はプロジェクトの全体像を学ぶために、さまざまな担当を経験します。安藤の妊娠がわかったのは、その基本計画を担当していたころでした。

産休育休で不安に感じることは何もなかった。そういう先輩が多かったから

「産休育休で仕事にブランクができることに対して、とくに不安はなかった」と安藤は言います。

理由は、社内に産休育休を経て仕事に復帰する女性が多くいたからです。

安藤 「総務から産休育休についてしっかり説明ももらえたし、手続きも順調で問題なく準備ができました。設計部の部長もとても柔軟に考えてくださる方で、いろいろ考慮いただいたのがよくわかりました。

それに当時担当していた基本計画という業務は、1案件が1~2カ月程度で完了するローテーションだったので引継ぎも容易でした。復帰前には、どんなふうに働きたいかを伝えられる上司との面談の場も用意されていてそれも安心でしたね」

安藤は不安なく産休育休を取得し、4月開始の子どもの“慣らし保育“を経て、希望通りの4月下旬に復帰を果たします。さらに、最近改めて部の柔軟性を実感したことがあります。

安藤 「コロナウイルスの影響で保育園が休園になったのですが、上司の方から先に“小さい子どもがいるなら在宅がいいのでは“と声をかけてもらいました。」

子育てと両立しながら働く中で周囲からの配慮もひしひしと感じた安藤は、より“時間“の大切さを認識するようになりました。

安藤 「効率的にやるにはどうすればいいか。明日いきなり子どもの事情で休みをとる必要がでるかもしれない。そうなったとき迷惑をかけないように、今日のうちにやっておくべきことは何か。そんなことを考えるようになりました」

「何度でも聞いていい」師匠から学んだ大切なスタンス

効率化や限られた時間をどう活用していくかを考えながらも、安藤には仕事をしていく上で大切にしている想いがあります。

それを教えてくれたのは安藤が唯一「師匠」と呼ぶ人物。師匠は入社後、基本計画の担当になったときの最初の上司です。

安藤 「基本計画は、建築基準法をはじめいろんな法律や条例に基づいて設計をしていきます。ただ条例の解釈の仕方は本当にさまざまなんですね。どう解釈すべきかわからず質問すると、必ず丁寧に説明してくれました。

“それについてはここにこう書いてあるよ“と法令集をさっと開いて見せてくれる。経験豊富だし、その根拠もすべてちゃんと頭の中に入っているんですね。

こちらの理解不足で申しわけないと思うんですが、“自分の教え方が悪いだけだから、何度でも聞いていい“と、とても穏やかな方なんです。師匠はもう定年退職をされているので、今度は私がそんなふうに後輩たちに教えていきたいなと思っています」

主任として後輩教育までも行う安藤ですが、一番やりがいを感じるのは、やはり建物が完成するときです。

安藤 「建設中は、建物のまわりに足場を立ててシートをはっています。また、敷地のまわりを一周フェンスで囲います。

それを“仮囲い“というのですが、完成してその足場や仮囲いをばらして、建物が見える瞬間、それが私はいちばん好きです。ああ、ようやくできたんだなって。なにより達成感をおぼえる瞬間ですね」

常に、最終的にその建物に住んだり使ったりするお客様のことを想いながら設計した建物の完成は、安藤にとってどんなものにも代えがたい貴重な瞬間なのです。

ライフイベントを包括しながら自分の夢をかなえていく。そんな道がここにある

「地元の役に立ちたい」と子どものころから想い続けてきた安藤。それは今も変わりません。

2009年に入社し途中、産休育休のブランクをひいても、キャリア10年になろうとする安藤にとって、その想いはより強くなっています。

安藤 「これからも京王線の駅舎や京王線周辺の施設などの案件に携わっていきたいです。もっともっと使ってくださる方に便利な施設が多くなるといいなと思っていますし、自分自身もそれに関わりたいと思っています。やっぱり愛着があるんですね、京王線に(笑)」

安藤の描くその未来には、常に子育てとの両立も重要な要素となります。

安藤 「小さいうちは、できるだけ子どものそばにいる方がいいのかなという気はしています。しばらくは時短勤務ですね。1歳ぐらいまではよく熱を出したりしていましたが、今は大きくなって丈夫になり子供の看護で休むことは少なくなりました。

とはいえ、子どもはまだまだかまってほしがるから家で一緒にいて仕事をするには、工夫しなければいけないことがあり難しいですが、在宅勤務など働き方の選択肢は増えてきていると感じます」

実は、安藤の夫は同期入社。営業本部に所属する営業担当です。

安藤 「復帰してから実施設計の担当になったんですが、実施設計は初めてなんです。大規模な、しかも2年以上という長期スパンの仕事をまかされて、まだ全体像がつかめていないこともあって、思っていたより時間がかかってしまうことも多くて……。

でも、そういうときは夫に連絡して、保育園のお迎えにいってもらいます。同じ会社なのでお互いの状況がわかりやすいのも助かっていますね。こうした動きに対しても、設計部の部長をはじめ皆さん本当に理解があって、そのおかげで働きやすいんだと思います」

結婚、出産、子育てというライフイベントを経ても、子どものころからの夢を、途中で挫折することなく追い続けている安藤。今は「子どもたちとできるだけ一緒にいる」ことを優先して働いていますが、3年後にまた考え方は変わっているかもしれません。安藤が“夢を実現する“という歩みにブレーキがかかることは、今後もなさそうです。