商店街に若者が帰ってきた! 「けぇろう祭」をきっかけに、街中に活気が“けぇってくる”

前橋市の地域力向上のため、共愛学園前橋国際大学が2016年6月に発足した「共愛学園イレブン」。前橋中央通り商店街「まちなか研究室」を拠点に活動中です。その大きな取り組みのひとつとして、2016年8月27日に開催した「けぇろう祭」。商店街に「けぇろう(=帰ろう)」という趣旨で、本学の学生が主催しました。
  • eight

学生の足が遠のき20年。前橋中央通り商店街に、けぇろう(帰ろう)

95d269e86f147a5ddca4b79cb3d1ab584596793a
「けぇろう祭」オープニングセレモニーの様子
「共愛学園の生徒たちが商店街に帰ってきてくれて、とても嬉しいです」。そう話すのは、前橋中央通り商店街振興組合理事長の大橋慶人(おおはしよしと)さんです。
かつて、本学園の高等学校が近くにあった頃、商店街には毎日たくさんの生徒たちが訪れていました。しかし、1998年の高校移転を機に生徒の足が遠のき、商店街もだんだん活気が失われていったのです。

「当時、女子学校であった共愛学園の生徒たちの通学路だった商店街には、おしゃれな雑貨屋や洋服屋が並んでいました。毎日女子生徒たちで賑わっていたんです。とくに共愛の生徒には美人が多いと言われていて、他校の男子生徒たちもよく遊びに来ていました。とても活気がありましたね」(大橋理事長)

生徒たちが減りはじめた時期、バブルが崩壊。デパートや百貨店も潰れてしまい、商店街は活気をなくしてしまいました。あれから約20年。近年では一般財団法人 田中仁財団がリードして創業やベンチャー企業支援などを行うことにより、少しずつ活気を取り戻しつつあります。しかし、若者の姿は決して多くはありません。

そんな中、地域(前橋市)を盛り上げるべく様々な地域連携型の学びで力をつけた学生たちが集まり発足した「共愛学園イレブン」。商店街の入り口にある「前橋まちなか研究室」を拠点に、11人の学生が中心となって、さまざまな取り組みをしています。「けぇろう祭」も、学生たちによって企画されました。

「けぇろう祭の“けぇろう”という言葉は、群馬県の方言で“帰ろう”という意味。街に共愛学園の学生が帰ってきて、商店街や町の活性化をうながすイベントです。これを機に、若者が少しずつ商店街に戻ってくるのではないかと期待しています」(大橋理事長)

オリジナルジュースやかき氷が楽しめるフードブース、学生が地元企業と連携して開発したマドレーヌ「美香蔵」の販売、英字新聞を使ったエコバック製作体験、クイズやかるた……。さまざまな催しを用意した「けぇろう祭」は、無事盛況に終えることができました。

「学生を見れば分かる」アクティブ・ラーニング教育の成果

6b308070e72ebe2ced8597adaf9c4ccb3beee673
前橋中央通り商店街振興組合 大橋慶人理事長
20年もの間、繋がりが希薄になっていた商店街と本学。深い関わりが復活したのは、直近の2〜3年です。前橋市が主催している「Мキッズサミット」や「やる気の木プロジェクト」など、さまざまなプロジェクトを通して、繋がりを深めてきたのです。大橋理事長は、本学のさまざまな取り組みを知っていくなかで、本学の学生に期待を抱いてくださっています。

「ミニ商店を開き、市内の小学生に商売の疑似体験してもらうという活動があります。共愛学園前橋国際大学の学生がスタッフとして子どもたちのサポーターを務めるのですが、子どもの心理を上手に掴み、発する言葉や仕切り方……それは先生も顔負けのコミュニケーション力でした。こういう学生たちは社会で望まれるだろうと感心したものです。学生たちはどの活動でも、積極性を持って関わってくれています」(大橋理事長)

本学では、学生が運営する仮想企業「繭美蚕」にて、町の老舗和菓子屋など地元企業と提携し、いくつかの商品開発を実行。また日本語教師養成プログラムでは、日本語を母国語としない外国籍児童を対象に、日本語教育実習をおこなっています。カフェ運営や、学生起業で株式会社を経営する学生もいるなど、学生のうちからビジネスや教育に携わり、自主性を育てる取り組みに多数チャレンジしているのです。そのように本学が授業で取り入れている、アクティブ・ラーニングの成果が現れていると大橋理事長はおっしゃいます。

「学生と関わり合いになった当初は、アクティブ・ラーニングについて知りませんでした。でも、自主性があって頼もしく、特別な教育環境があるのではないかということには、すぐに気付きました」(大橋理事長)

教職員の熱心さが、学生たちの自主性を後押しする

315d53c006fe19951cf481f7bf5ec585b10a752a
スタッフ全員で「けぇろう祭」準備
本学の教職員との会話のなかでも、学生の自主性や社会との繋がりを作る教育への熱心さが伝わったようです。

「共愛学園の先生方は、学生への教育や地域連携について、熱心にお話ししてくださいます。さまざまな活動を企画して、学生たちをやる気にさせて、アイデア力を育てるというのは、先生方の高い志がなければできないはず。教育に関するお話を伺う機会を、もっと作っていけるとよいなと考えています」(大橋理事長)

大橋理事長をはじめとした商店街の人々は、若者が商店街に帰ってくることを大変喜んでくださりました。一方で、学生たちに商店街を自由に利用させることに、抵抗や不安はなかったのでしょうか。

「商店街をお貸しすることに抵抗や不安は一切ありません。わたしたちよりも、先生方のほうが不安だったのではないでしょうか(笑)」(大橋理事長)

若いうちからいろんな人を知ることが、社会で上手に生きていくコツ。そんな場を学生たちに提供したいと大橋理事長はおっしゃいます。

「通常の学生であれば、大学の先生や友だち、バイト先の人たちとの付き合いが中心です。しかし、こうして街で活動してみると、知り合いも増え、助けてくれる人が増えます。繋がりはいつか、必ず役立つもの。それに若くして、自分が社会でどう動くべきかを少しずつ考えることで、社会人としてスタートダッシュを切ることもできます」(大橋理事長)

グローカル人材を育む大学。街が次世代に期待するのは強いリーダーシップ

1df4617099c57d0aee3b50718133d5ba9ce95808
共愛学園イレブンとけぇろう祭のスタッフ、教職員 全員集合!
これからの将来、人口が減少し、どうしても街がコンパクトになっていくことでしょう。そんな未来を見据えて、大橋理事長や本学は、商店街の復興だけでなく、前橋市全体の活性化に貢献したいと考えています。

商店街の復興をめざす際、「昔の賑わいを取り戻そう」という言葉をよく聞きます。しかし、時代が変わり、社会や人間関係、仕事の在り方が変わっていくなかで、昔と同じ賑わいを取り戻すのは不可能なのではないかと大橋理事長は考えているそうです。

「未来は過去の延長線ではないと思っています。消費者のニーズも商売の在り方も大きく変わりましたよね。たとえば、今ではモノはインターネットで買う人が多いわけです。昔に戻ろうというのは無理なんです。昔の賑わいを取り戻すのではなく、こうして変わった時代を受け止めて、この場所をどのように新たに構築していくかが課題。ならば、新しい魅力的な場所を作っていく、新しいアイデアこそが必要なんです」(大橋理事長)

そのためにも、柔軟性のある若い世代が必要。だからこそグローカル人材の育成に注力している本学への期待は高まっています。

「グローバル視点かつ、足元のローカルを見つめるグローカル人材の育成というのは、まさに前橋の都市の考え方と相通じます。世界中の人々が『前橋市はいい町だね』と、訪れるような場所にすることが目標ですから。そういう観点で共愛学園前橋国際大学の学生たちにも前橋市と商店街の在り方について考えていただけるとありがたいです」(大橋理事長)

さらに、本学を筆頭に市内にある大学が協力し合って、街を元気にして欲しいとおっしゃいます。

「他大学とともに取り組む合同学園祭やハロウィンなどの活動においても、共愛学園前橋国際大学の学生はリーダーシップを発揮してくれます。けぇろう祭をきっかけに協力体制を作っていきたいですね」(大橋理事長)

2016年11月には、街中を利用した文化祭「まちフェス」を開催予定。プログラムのひとつとして、本学の学生たちが商店街でファッションショーを行います。そういった発想力や、プロジェクトを前に進めるリーダーシップも、街が“次世代”に期待していること。

自主性やグローバル視点、アイデアを持ち寄り、これからも共愛学園前橋国際大学は商店街と前橋市全体の地域力向上をめざし、さまざまな取り組みにチャレンジしていきます。

関連ストーリー

注目ストーリー