「日本発、世界行き」10億人利用を目指すc0banサービスの“はじめの一歩”

ブロックチェーン・仮想通貨 。IT業界に限らず、広く知られるようになったこのふたつのキーワードに、リワード型の動画広告を組み合わせたサービス「c0ban(こばん)」を提供する株式会社LastRoots。創業者のCEO兼CFOの小林慎和とCTO四條能伸がサービス開発にかけた想いと苦労を語ります。
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「昔のお前みたいな奴がいる」20年来の友人が繋いだ縁

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▲小林と四條のはじめてのやりとり(2016年3月)

「世界中で広がり、広く利用される日本発のITサービスを作りたい」

これこそ、小林がLastRootsを創業した理由です。

小林「20年以上IT業界にいますが、全世界に広がるITサービスが日本から出てきていないのが単純に悔しい。電化製品やアニメコンテンツ、ゲームなど世界でブレイクした日本発のものはいくつもありますが、ITサービスはまだないんです」

小林は、以前在籍していたグリーで海外での渉外活動や採用面接などを担当。そのなかで、日本発のITサービスが世界で成功していない理由に気づきました。

小林「日本の企業は、1億2千万人のなかから優秀な人を採用しようとします。対して成功している海外の企業は70億人から選びます。敵うわけがないと思いました。限られた日本人という枠のなかで採用を考えているうちは、世界では戦えません。
そのこともあり、グリーを辞めた後シンガポール・タイ・インドネシアで起業した際には、現地の方を採用していきました。そして、シンガポールで行なっていたMVNOの事業が軌道にのり、大型の投資オファーがあったタイミングで、日本で起業することを決めたんです」

日本発で世界にサービスを広げることが自分が目指していたこと。しかし、大型の投資を受けるとシンガポールに永住することになるーー。小林は、400万ドルという大型の投資オファーを断り、起業した複数の会社を整理。そして、日本発祥の世界で使われるサービスを作ることを決意します。

ちょうどその頃、四條と出会います。小林と四條は大阪大学の先輩・後輩。とはいえ、年齢も違うため接点はありませんでした。

四條「小林は、僕の指導教官だった荒川先生の親友で、僕がシンガポールに行くタイミングで紹介していただいたんです」
小林「荒川とは20数年の友人なんですが、人を紹介されたのははじめてでした。『今もシンガポールいる?昔のお前みたいなやつがいるんだけど』って四條を紹介してくれたんです」
四條「2016年の3月にはじめてメッセンジャーで小林とやりとりしましたが、3通目にはビットコインのソースコードが、『これ分かる?』という言葉と一緒に送られてきたことにはびっくりしましたね。正直、まずはもっといろいろ話しましょうよって思いました(笑)」

本気で起業家を目指すのであれば、起業家の横にいたほうがいい

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▲CTOの四條(左)とCEO兼CFOの小林(右)

将来の起業を目指しつつも、ITコンサル企業に内定が決まっていた四條。シンガポール行きの目的は、入社までの期間(2016年4月から6月)を利用しインターンを行うためでした。

小林「四條が何を言っても歯向かってくるのが面白くて、ちょっといじめてやろうって(笑)それぐらいの気持ちで何度も毎週のように飲みに行きました。そのなかで起業を目指している話を聞き、事業アイデアの相談もされました」
四條「小林が起業家であることは荒川先生から聞いていたので、事業アイデアや起業の話をぶつけました。それらを掘り下げていった結果、『甘すぎる』とダメ出しされたことも多くあります。そのときに話した、『本気で起業家を目指すのであれば、ITコンサルではなく起業する人の横にいたほうが良い』という話が強烈でした」

一方で、四條をLastRootsに誘うことにはためらいがありました。

小林「親友の荒川の紹介でしたし、内定も決まっていたので私から入ってくれとは誘いませんでした。この時点では、ブロックチェーンとリワード型の広告を組み合わせたビジネスモデルの大枠は決まっていたものの、人手が足りない状態でした。しかし目の前には元気な若者がいる。本音ではLastRootsに入ってほしいと思っていました」

結果的には、「本気で起業家を目指すのであれば、起業家の横にいたほうがいい」という言葉が響き、四條は内定を辞退。LastRootsに入社することを決意しました。

そしていよいよ、四條の他に、ビジネスサイドの2名を加えた4名でLastRootsをスタートします。

『どうにかなる!』と開発パートナー探しからスタート

2016年6月2日に登記したLastRootsは、6月14日に新仮想通貨c0banとそれを利用した広告サービスを作ることを発表。サービスインの時期はなんと数ヶ月後の2016年秋としていました。

小林「シンガポールで経営していた会社でECサイトも運営していて、ECで売上にもっとも効果的なのがクーポンだという知見を持っていました。しかし、それでは広告出稿費用とクーポンの値引き分の二重のコストがかかってしまいます。これを一本化し、しかも仮想通貨を利用することで報酬を貰う人も楽しめる。それがc0banのサービスモデルです。
このサービスモデルは会社設立の前段階から決めていました。決してひとりで作れるようなシステムではないのですが、数ヶ月でどうにかなると思ったんです」
四條「サービスモデルしか決まっていなくて、工数見積もありません。しかも、小林も僕もブロックチェーンの理論は理解していても専門家ではない。そんな状態でサービスインの時期を先に発表したんです。ここからは大変でした……。でも小林が『どうにかなる』って言うとなんとかなる気がして(笑)」

c0banのサービスを作るには、大きくは3つのプロダクトが必要でした。ユーザーが操作するアプリ、取引所システム、ビットコインをベースにしたブロックチェーンです。

小林「プロダクトごとに求められる開発の知識や経験が異なるため、それぞれの開発協力者を探しました。アプリは、シンガポールにいた頃に知り合ったふたりの日本人アプリエンジニアにお願いしました。彼らは、将来起業をしたいから話を聞きたいと、以前私のところを訪ねてきた学生たち(当時)です。
100人以上そんな学生たちが訪ねてきていたのですが、卒業と同時に起業したのは彼らだけでした。そんなふたりに協力してもらっても間に合わないことがわかり、リソース確保のために四條と一緒にベトナムに行ったりと……。目の回るような忙しさでしたね」

海外を飛び回り、取引所システムは、FXのシステム開発の実績がある会社に依頼。無事に開発リソースを確保することができました。

四條「ブロックチェーンは前例の少ない領域だったことが良かったと思っています。今だったら、技術的な知識があることで、チャレンジできなかったかもしれません。
例えばですが、ブロックチェーンは、その仕組み自体が高い堅牢性と耐改ざん性能を持っています。しかし、そのせいでテストデータを初期化できないなど、当時はブロックチェーン固有のさまざまな問題に悩まされました」

LastRootsの設立時には工数見積もりさえなかったc0banは、小林と四條、さらには多くの協力者の力により無事サービスリリースにこぎつけます。

四條「本番の環境でブロックチェーンがつながり、実際にマイニングが行われたときには、『来た来た』って。すごく嬉しかったですね」

c0banを世界中10億人が利用するサービスに!

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▲c0banを世界へ

設立からこれまでを振り返ると、開発組織づくりと日本で起業することならではの苦労もあったとふたりは話します。

小林「リリーススピードを重視するサービスだからこそ、多くのパートナー企業やフリーランスを巻き込み開発を進めました。彼らは常時同じオフィスで働いている訳ではありません。気持ちをひとつに、情報共有を徹底しながら、スピードやクオリティを上げていくのは難しい部分でした。あとは、海外在住者が日本で起業する苦労もありました。
また、仮想通貨は新しい分野のため、法律の整備などもまだまだこれからという状況です。世界のなかで日本は整備が進んでいると言われています」
四條「世界最大のブロックチェーンのカンファレンスに参加した際には、日本に注目が集まり討論の議題になっていましたが、法律がイノベーションを抑制してしまうのではないか?といった厳しい意見が多かったのも事実です。僕たちが先陣を切って、業界や法律を最適な状態にしていけるように頑張らなければ、と思いましたね」

さらに拡大し、日本発のITサービスとして世界中に広がることを目指すLastRoots。

明確な数字目標も決まっています。

小林「目指すのは、c0banが10億人に広がること。このときには、数千名の社員のうちで日本人が50名ぐらいしかいないなんてこともあるかもしれません。
全世界70億人のなかから採用を目指したほうがサービスは成長できるはずなので、むしろそうあるべきかなと。ただ、『日本発』『世界で使われるITサービス』にはこだわっていきます」

10億人が使うサービスを作ることは、かなり高い目標です。

ユーザービリティ・機能・マーケティング……。やるべきことは無数に存在し、現状考えていることをすべてやってもまだ届かない可能性もあります。

それでもどうにかするーー。

日本発、世界行きのサービスを目指して、勝負はこれからです。

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