「学ぶチャンス」を世界中へ! みんなの“知りたい”に応える事業に込められた想いに、目から汗が止まらない

スマホ家庭教師「mana.bo(マナボ)」を提供する株式会社マナボは、創業以降、着実な成長を遂げ2017年の株式上場を目指しています。一見順風満帆に見える事業ですが、その背景には創業者・三橋克仁が圧倒的努力で“克ち”得た「学ぶチャンス」があったのです。
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宇宙飛行士になりたかった少年の悩みの種は「お金」

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このような大きい夢を持つ子どもは特に珍しくありません。そしてその多くが苛酷な努力に耐えられず、いつしか夢を忘れてしまいます。しかし、理科の先生にすすめられた本がきっかけで、小学4年生からこの夢に向かって本気で走りはじめた三橋少年は、他の子どもとはちょっと違いました。

少年時代の三橋は、野球が大好きなわんぱく少年で、ふたりの妹に勉強を教えてあげる優しいお兄ちゃん。三橋の父は、フランスでそれなりに成功した画家でしたが、当時の日本で画家として家族を養っていくことは厳しく、三橋家は決して、裕福とは言えない家庭環境でした。経済的には恵まれない中でも、「宇宙飛行士」という夢を叶えたかった三橋少年は、中学3年生のときに夢を叶えるための逆算をはじめます。

「お金がない」、そして「名前が宇宙っぽい」という理由で、国立の中でも学費が安い筑波大附属高校を目指すことに。合格のために勉強したいという一心で、近郊の塾を自転車で周り、料金・授業内容まで徹底的に調べてコストパフォーマンスを比較。

中学生らしからぬ行動力で、満を持して両親にプレゼンテーションをしましたが、両親の答えは「NO」。あえなく失敗した三橋はふてくされ、夜中に家を飛び出します。しかし、そこはやはり中学生。あっさりと警察に補導され、当時通っていた中学校の校長先生にお説教されることに。

「なんでこんなことをしたんだ?」

野球部キャプテン、生徒会長を務めていた三橋がなぜ警察に補導されるようなことをしたのか、校長先生は不思議そうに聞きました。三橋は宇宙飛行士への夢、家庭環境、今の自分の悩みをすべて校長先生に話します。すると校長先生は、三橋の父が描いた絵をなんと100万円で購入してくれたのです。これは、少年の切実な想いに心を打たれた大人から贈られた、三橋にとって人生最高の「投資」だったかもしれません。

校長先生のお陰で得た100万円の軍資金で、とある進学塾に通えるように。するとその年、別の進学塾が「開成必勝コース」を立ち上げるにあたって、開成高校に進学できそうな優秀な学生を募集しはじめます。猛勉強によって優秀な成績をおさめていた三橋にも声がかかり、授業料免除で早稲田アカデミーにも通えることに。

三橋は持ち前のハングリー精神で運を引き寄せ、お金をかけずに「学ぶチャンス」を得ることができたのです。

「ラベル」で評価される教育業界への疑問

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受験は無事成功。開成高校合格という義理をきっちり果たし、三橋は当初の予定通り筑波大附属高校へ入学。宇宙飛行士になるために、東京大学の航空宇宙工学科を目指します。そして1年間の浪人生活を経て、ついに東大の門を叩きます。

ここで少し時計の針を戻して高校時代へ。高校1年生になった三橋は、同じマンションに住む母親のママ友の娘さんに勉強を教えることになりました。しかも年上の高校3年生に、センター試験のための数学を教えることになったのです。当然、教える立場の三橋自身も猛勉強。二人三脚で試験に向けて勉強した結果、なんとか生徒は受験に合格することができました。そのとき、「ありがとう!」「(問題が)わかった!」と言ってもらえることの喜びと達成感に出会ったのです。

そして再び時計を大学時代へ。このような原体験があって、大学時代にも家庭教師としてアルバイトを開始。しかしここで、三橋はある違和感に気づきます。

三橋 「大学院2年生のとき、ある親御さんから指名をされて小学6年生の生徒の指導にあたりました。実はこれが子守みたいで、かなり楽な仕事だったんです。それなのに時給8000円ですよ。高1の頃に教えていた頃のほうが明らかに高度な授業内容で大変だったのに、時給800円。この差にものすごく違和感がありました。親御さんたちは『指導の内容』ではなく、『ラベル』にお金を払ってしまっているんだなって気づいたんです」
現在の塾や家庭教師サービスの環境では、指導の中身を保護者が把握できず、指導の内容ではなく「東大」「早慶」などのラベルで選ぶしかありません。そして、家庭環境やお金によって「学ぶチャンス」に差が生まれているのも事実……。

これを可視化し、能力さえあれば誰でも教えることができ、意志があれば誰でも学べるようにしたいという想いが、のちに立ち上げる「mana.bo」の設計思想に影響しています。つまりmana.boは、三橋自身の原体験から生まれたサービスなのです。

教育への情熱が、恐怖に打ち克った瞬間

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東京大学に入学した三橋は、宇宙飛行士サークルに入り、宇宙飛行士になるには必須のロシア語を専攻。着々と夢への階段を登り、実現に近づいていました。

一方で、過去の経験から「お金」に興味をもち、株式投資サークルにも所属。メンバー同士で資金を持ち寄り、自作でトレーディングシステムを設計するほど熱中。その後も資金運用はかなり上手くいっていましたが、リーマンショックが起こったことによってプラマイゼロに……。

そこで一度初心にかえり、しっかり工学も勉強しようと大学院へ進学を決めた矢先、教育・経済・プログラミングに知見があったことを評価され「東大ノート」というサービスを展開する会社からオファーがきました。

サービス運用を一通り任されることにやり甲斐を感じ、大学院に入学した直後から休学して仕事に集中。この経験から、教育・ITのクロスドメインであれば、これまで培った自分の能力と、「学ぶチャンス」を多くの人に与えたいという情熱が最大限発揮されることを確信し、ビジネスの道へと進む大きな転機になりました。

大学院に復学後、予備校のホームページ改修などの仕事を行いつつ就職活動も開始。するとコンサルティング会社から早々に内定をもらい、しかも就職後に海外でMBAを取得して日本に帰ってきて起業してよいというキャリアプランまで約束してもらえました。

しかし、「mana.bo」の原型サービスがビジネスコンテストで入賞したことで、三橋はまた「学ぶチャンス」を得ます。そして訪問先のシリコンバレーでの体験が、青年の心を大きく揺さぶるのです。

三橋 「Google本社のスケールの大きさに圧倒されて、これは敵わないなと。でもその後にEvernote本社を見て、『これくらいにはなれるかな』と前向きになれたんです。Googleの後に見たからかもしれませんが(笑)シリコンバレーに行ったことで、すぐにでも起業して『学ぶチャンス』を届けたいという想いがとても強くなりました」
キャリアを約束された就職か、リスクを伴う起業か、大きな決断を迫られます。

そして3カ月間迷って苦しんだ末、「起業」を決意。三橋はその瞬間を「情熱が恐怖に打ち克った」と話します。迷い苦しんだ期間で、「自分の中に毒を持て」(著:岡本太郎)という本を読み、自分のやりたい道を進まないと生きていると言えない。失うものは何もないと悟ったのです。

その後、多額の資金調達に成功して、人並みの生活を送れるようになったのはまだちょっと先の話。創業時に三橋と仲間たちがどんな苦労をしてきたかは、また別の機会にお話しします……。

世界中の人の“知りたい”に応えるサービスへ

2015年現在、三橋の夢は、世界に向けられています。

三橋 「今はまだ、自分たちが実現したいことの5%くらいしかできていないんです。『世界中の人々に最適な学びを届ける』が僕らのミッション。よく日本の教育業界では少子化問題が指摘されていますが、もとよりmana.boは日本だけの展開、教育業界に留まる気はありせん。知りたいと思ったことをオンデマンドですぐ誰かに聞ける、そんな新しい価値を世界中の人々に提供していけると思っています。そういった意味では、世界中で『オンラインチュータリングと言えばmana.boだよね』と言われるようになったとき、100%実現したと言えるかもしれないですね」
目標は、2017年後半に時価総額300億円規模での東証マザーズ上場。そして2018〜19年で海外展開を加速させ、2020年には世界100ヶ国で使ってもらえるようなサービスにしていくことーー。今はわかりやすく、大学生が中高生を教えるというサービス形態ですが、中学生が大学生に、若者がシニア層に教えるなど、利用スタイルの幅を広げ、世界中の人々の「すぐ知りたい」に応えるサービスを目指します。

三橋 「講師・家庭教師時代に、電話やメールで生徒からの質問に答えていたことがありました。そのとき電話やメールだけじゃ伝わらないことが多く、『直接会ったらすぐ教えられるのになぁ』と感じたことが何度もあったんです。でも生徒としては、今わからない、その瞬間に聞きたいんだろうなと……。それを提供できない歯がゆさが、mana.boのオンデマンドスタイルのきっかけになっています」
それは、「学ぶチャンス」を得ることに、誰よりも苦労した三橋だからこそ提供できること。宇宙飛行士が宇宙から地球を見るように、三橋はいま、会社の窓から世界全体を見据え、少年の頃と変わらないキラキラした夢を追い続けています。

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