AIやRPAの活用によって育まれる“人間らしい”営業セールスのあり方

いま、B2BのSaaSサブスクリプションモデルであるSaaS企業が世界中を席巻。それに伴い、営業に求められる仕事も大きく変わってきています。AIやRPAを駆使して、どのような営業の未来像をつくるのか。HRテックを革新しつづけるカオナビの副社長・佐藤寛之氏とマルケトの弘中丈巳が語り合いました。
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「根性」で売れる時代は終わった

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▲ノリ良く企業Tシャツをアピールするカオナビ・佐藤氏(左)とマルケト・弘中(右)

「カオナビ」は2012年のサービス開始以来、顔写真が並ぶ画面で直感的に使える人材管理ツールとして6年間で導入企業数1000社を突破。その成長要因のひとつが、2015年に行なった営業戦略の転換でした。

2015年、カオナビは、マーケティングから営業までのフローの徹底的な効率化を目指し、マルケトの導入を決断。資料のダウンロードやWEBサイトを視聴したリードに対し、AIが自動的にスコアを割り当て、数値化するシステムの運用を開始しました。

これにより、マーケティングでは「いま提供すべきコンテンツ」が明確化。さらに営業ではハイスコア化したリードがインプットしている情報を分析することで、リード一つひとつに最適なアプローチを行なうことのできるCRM体制ができたのです。

この体制構築に至った真の背景を、佐藤氏は「営業の役割の変化」によるものと語ります。

佐藤 「私も長く営業のキャリアを積んできましたが、リードで連絡先だけをつかんで、やみくもにアポイントメントを取って根性で攻め落とすような営業スタイルの時代は終わったと思っています。
たとえば、導入を検討しているリードは、すでにWEBサイトなどで『商品情報』や『導入事例』を理解しており、営業があらためて『商品説明』に来ても時間の無駄になってしまう。営業が語るべきは、その次のステップなんですよね」
弘中 「私たちのようなB2BのSaaSセールスでは、結局、ひとつのサービスが誕生すれば後続の似たようなサービスが生まれ、そこから出てくる表面的なソリューションは同じに見えてしまいがちです。だから、サービスの機能や性能だけでは『勝負』にはならない。
むしろ大切なのは、サービスを導入した後のこと。自社のサポート体制や、他社のナレッジを共有できるコミュニティなど、アフターフォローの枠組みです。
そのうえで、サービスをクライアントがどのようなオペレーション体制で活用し、何を目指していくのかを営業がクライアント担当者と創造的にディスカッションできなければ、これからのSaaSセールスは成り立ちません。
だからこそ、AIやRPAを活用することで、営業が創造的な仕事に専念できる体制をつくることが重要だと考えています」

営業こそ創造的な仕事

仕事のモチベーションを語るうえで有名な、グリム童話の一節があります。

とある旅人が、3人のレンガ積み職人に出会いました。1人目の職人は「なぜこんな辛いことを自分がしなければいけないのか」と嘆きながらレンガを積む。2人目の職人は「それが自分の仕事だから」とプライドを持ってレンガを積み、そして、3人目の職人は「自分は大聖堂をつくり、みんなの幸せに貢献している」と喜びを持ってレンガを積んでいます。

これは、同じ仕事をしていながらも、その仕事に対する意識やモチベーションは仕事をする人によってまったく異なることを示すお話です。

「営業」という仕事においても、創造性と成果を重視し、仕事に対する喜びとやりがいをマネジメントがいかにつくり出していくかが重要だと両者は語ります。

佐藤 「かつての日本企業の営業は、『成果』より『プロセス』にマネジメントの比重がありましたよね。本来、『成果』が重要なら営業一人ひとりがプロセスを自分で考える力を育てるべき。
でも、『今日、アポを何件取ったのか』という『プロセス』が評価の指標とされ、『プロセス』を自分で考えるというよりは『とりあえずやってみる』ことが重視されていました。つまり、『営業』という仕事に創造性が必要とされなかった」
弘中 「でも、いまはAIやRPAを活用して業務が効率化した分、創造的な仕事にあてる時間をつくり出せます。そうすると、仕事にやりがいが生まれて、働くことが楽しくなるんですよね。楽しくなると知的好奇心も広がって、好奇心を満たす時間もつくれる。
そうなると、結果的にクライアントとのディスカッションにも役立つアイデアをインプットできて、創造的な仕事の好循環につながると思うんです」
佐藤 「つまり、AIを活用することによって、AIにはできない『人間らしい仕事』を深めることができる。だから、カオナビでは、明確な『意図』をもって自分のするべき仕事を自分で考えて働くことを社員には求めています。
クライアントにとって自分がどんな『意義』を生み出せるかを考えるような、『意義』と『意図』に基づいたマネジメントと、それを実現する体制づくりを常に考えています」

「インサイドセールス」はSaaSセールスにおける「司令塔」的存在

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▲2015年のマルケト導入以来、事あるごとにSaaSセールスについて語り合ってきたふたり

「意義」や「意図」に基づいた営業の仕事。その実現のためにはSaaSサービスを企業の目的に合わせて使いこなす必要があります。

そこで、カオナビではマルケト導入にあたって、社内の組織体制も刷新。従来の営業職を「フィールドセールス」と再定義し、マーケティング部門とフィールドセールス部門の中間に「インサイドセールス」部門を新設しました。

インサイドセールスは、いわばSaaSセールスにおける「司令塔」のような存在です。マルケトによって一定のスコアに至ったリードを精査し、アポイント化。さらにフィールドセールスの「誰」にパスするかまで判断しています。

佐藤 「いま、私の席はインサイドセールスの部署に置いているんです。ここにいると、マーケティングの話も、営業の受注の話も両方入ってくるので、フロントとして戦略が立てやすいからです。
つまり、インサイドセールスとは、サービスの認知から受注に至る流れの全体を見たうえで、いまの商流のチューニングが正しいのかを判断し、舵取りをする仕事だということです。
一方で、インサイドセールスはテレアポ業務も行なうので、直接お客さまと接する仕事でもあります。直接会話して感じた印象や温度感を、リードの情報として加味して判断に役立てる。論理的な創造力も、エモーショナルな創造力も必要となる、すごく面白い仕事だと思うんですよね」
弘中 「マルケトのインサイドセールスのミッションは、『お客さまが比較・検討し購買するまでのプロセスの中で最高のものを届けよう』です。
最適な購買体験は人それぞれなので、インサイドセールスはお客さま一人ひとりの状況に合わせ、人間対人間であることを意識して接しているんです。いわば、『コンシェルジュ』に近い仕事と言えるかもしれませんね。
お客さまにとっては『会社の顔』として接する最初の担当者なので、その印象次第でその後のフィールドセールスの成果がまったく変わる。ここが面白いところですよね。AIを活用することで、『人間らしさ』を発揮できる仕事こそが重要になるんです」

AIの時代にモノを言うのは「人間力」だ

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▲AIの時代の「営業像」について語り合う

一時期、話題となった「AIが人間の仕事を奪う」という考え方は、あくまでルーティンな業務に限ったこと。むしろ、インサイドセールス、フィールドセールスそれぞれの営業領域において求められるのは、AIを活用して「人間らしい仕事」を発揮することです。

佐藤 「先日、印象的な受注があったんです。充分なスコアに至ったリードにインサイドセールス担当者が電話をかけて、アポイントが取れたのでフィールドセールスが訪ねたんですね。
そうしたら、『電話の時点で印象が良かったから、もう導入を決めていた』と。落ち着いて考えると『ちゃんと検討しましょうよ!(笑)。』って思うのだけど、でも、これって人間力のなせるワザなんですよね」
弘中 「実際、フィールドセールスにとっても、クライアントにとっても、受注は早ければ早いほどいい。その分、導入後のサポートやディスカッションに手厚く時間を掛けられるのですから。
むしろ、インサイドセールスが『受注できたので対応お願いします』と言えるなら、フィールドセールスはサポートに全力を費やせます」
佐藤 「まさに、そういう営業プロセスや、フィールド/インサイドの役割の変化が見えてきましたよね。それぞれがAIを活用し、人間にしかできない仕事に注力していく。そのためには、私たちのマネジメントや風土づくりを通じて、自律的に仕事の仕方を考えていける人材に育てていかなければなりませんね」

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