私らしく在る場所を探しに海外へ。異質であること恐れない14歳の決断

ひと言で表すなら、異質。

あるいは、限りなく同化しない自我、そして自立への希求。

中学生のころの鈴木 景子は、置かれた環境や周囲の感覚と自分の価値観の間にある大きな溝に悩む日々を送っていたと振り返りはじめます。

鈴木 「通っていたのは中高一貫の女子校ですが、大学までのレールがすでに敷かれているいわば守られた世界でした。私には、それがどうしても窮屈に感じていました。

たとえば、誰かが『かわいい!』って言ったら『そうだね!かわいい!』と同意するのが当たり前の雰囲気。同調圧力というか、同質なのが善で、そのことに誰もなんの疑問も持っていない世界観が合わなかったんです。

なぜ、思っていないことでも同意しなければ、この世界では成り立たないんだろうって」

そんな彼女の前に、オーストラリアの姉妹校から留学生がやってきました。

その出会いは、鈴木に世界の外の存在を教えてくれました。

この窮屈な空間だけが世界のすべてじゃない。外に出て行きたい。

胸に宿った想いを現実のものにするために、14歳の鈴木は留学を決意します。

鈴木「留学への思いを家族に打ち明けましたが、なかなか受け入れてもらえず、1年くらい家族会議が続きました(笑)。それでもあきらめられず、両親をなんとか説得してオーストラリアの高校に留学しました。

一日も早くこの世界の外を知りたく、その世界には自分の居場所があるんだと信じて、守られた世界に感謝する気持ちよりも、新しい世界への期待の方が大きくなっている自分がいたんですよね。

でも、実際に単身でオーストラリアに行ってみると、その環境は想像以上に厳しいものでした。その学校にアジア人はまったくおらず、私は本当に異質な存在になったんです。

誰も話しかけてきてくれないし、興味も持ってくれない、友達もできない。最初の数カ月、ランチはいつもひとりぼっちで孤独でした」

日本での環境に感謝を覚えると同時に、自分自身も変わらなければならないと気付いた鈴木。

話しかけられるのを待つだけ、話しかけてもらえない状況に不満を感じるだけではダメだったのです。

自ら周りに話しかけ、行動を起こすことで、徐々に状況は変わっていきました。

鈴木「今思えば、学校が嫌だから留学したいなんて短絡的な発想だったなと感じます。

でも、あのときの私にはそれが必要だった、とも思えるんです。新聞や本を読んで心が救われ出版社を志したり、働くフィールドは海外を志向したり。あのころの経験や思考は自分のキャリアのベースにもなりました」

海外という物理的距離の離れた世界へと飛び出るだけではなく、新聞や本から今の世界と違う場所と接続することで、鈴木は心を満たしていたのでした。

「挑戦できる」世界を求めて出会ったのが、マーケットワンだった

新卒で入社した出版社で、鈴木は国内の書店営業を担当することになります。

鈴木「大手書店と商談を行い、店舗側の要望に応えるフェアやこちらが推したい商品の提案を行いました。その後、書店と出版社をつなぐ取次会社の担当になり、発行部数の調整や書籍のプロモーションを実施する仕事でした。

約4年間の国内営業を経験後、その次は海外営業へ。アジア圏とヨーロッパ圏の出版社を相手に日本での翻訳や出版権の交渉をしたり、逆に自社の書籍を売り込んだり。ある種の版権ビジネスですね。ときどき現地へ出張に行くことも。そんな活動を約2年間行っていました」

営業としてさまざまな経験を積んでいた鈴木ですが、その胸に少しずつ「このままここにいていいのだろうか?」という想いが兆します。

鈴木「中学のころと似ているんですが、ここより他の世界があるんじゃないか?って思ってしまったんです。大きな組織ですから、指示系統が複雑だったり、社員の平均年齢が高かったりする面があるのは否めません。

もっと早く、もっと挑戦できる場所に行こうと思ったのが、転職を決意したきっかけでした」

転職活動において鈴木が軸に据えたキーワードは、海外とマーケティング。

その延長線上にあったのが、マーケットワンだったのです。

代表の山田との面接がとくに印象的だったと振り返る鈴木。

実は、その面接は非常に意外な内容でした。

鈴木「転職を検討していると、どうしても前職のネガティブなところに目がいきがちでした。

でも、山田に何度も軌道修正され『どんな会社にも良し悪しの両面がある、一面的な見方だけで物事を判断してはいけない』と教わりました。面接の場でそんな話をされるとは思ってもみなかったので、衝撃的でした。

確かに私はその出版社のことが好きだったし、ネガティブな気持ちを原動力にしちゃいけないなって思い直しました。その上で、マーケットワンで働く人たちの姿を見ると、実力さえつければ年齢に関係なく活躍できる可能性があるんだ、と感じたんです。

それが、ここで挑戦したいと思った決め手でした。とはいえ前職でのロンドンのイベントは最後まで責任を持って完了したかったので、入社を4カ月待ってもらいました」

こうして2019年4月、鈴木はマーケットワンという新しい世界に踏み出したのでした。

挑戦は、大変でも苦難じゃない。挑み、夢をかなえていく日々

海外マーケティングを志向してマーケットワンにたどり着いた鈴木。

しかし「私、マーケティングのことを何も知らなかった!」という事実に気付くまで、それほど長くはかかりませんでした。

鈴木「とくにセールスアナリストとしての業務に関しては、正直に言ってメンタル的にきつかったですし、満足のいく成果を出すこともできなかったと自覚しています。

たとえば、電話の相手に冷たくあしらわれたり、話を聞いてくれなかったりする。セールスアナリストとして仕事をしていくなら、相手の機嫌が悪かっただけだとか、自分個人に言われたわけじゃない、と割りきるべきでしょうね。

でも、私にはできなかった。どうしても落ち込むし、なかなか気持ちを切り替えられなくて」

一般論で自分の感情を納得させられないのは、昔から同じ。

しかし仕事である以上、どうしても成果を出さねばなりません。

そこで鈴木は、もう一段高い視点から物事を見つめ、行動することにしました。

鈴木「たとえば週次で5件の成果を出すというミッションが課されている中で、『電話で相手にされないのが悲しくて達成できませんでした』なんて通用しないことは十分にわかっています。

なので、積あげのアプローチではなく、ゴール設定からの逆算し自らのアクションを計画・管理する。

足りない情報は積極的に周囲から集め、トレーナーやプログラムマネージャーに相談しながら、ミッションを果たす。プロジェクト全体から個別の取り組みに落とし込んで考えるよう心がけていました」

そんな中入社半年後にプログラムマネージャーにチャレンジする機会を得て、2020年1月からは、正式にマーケットワン・ジャパンのプログラムマネージャーに。

セールスアナリストのときと比べて、見える景色も考えるべき領域も格段に広く、難しくなったと実感しています。

鈴木「プロジェクトによっては、10人以上のメンバーと一緒に進めているものもあります。

メンバーにモチベーションを高く保ってもらうには、一人ひとりの性格やその日のコンディションをくみながらの進行管理が大事。難しいですが、そういったスキルも身につけていかねばなりません」

難しさはあるものの、現在のポジションと仕事は鈴木が志したものの一歩でもあります。

海外との関わり、マーケティング、さらにもうひとつ、挑戦したかったことがありました。

鈴木「それは、20代のうちにマネジメント業務を経験すること。前職では組織構造的にまずかなえられなかった希望ですが、マーケットワンでならチャレンジできる。

挑戦の環境があると感じたのは、間違っていなかったです。後は、自分自身がマネジメントやマーケティングの知識とスキルを身につけていくだけ。自分を試されるなと思うし、やりがいもあります」

思っていた通りのマーケットワンで、思っていた以上のチャレンジが始まっています。

たった1割の喜びとやりがいを求め、主体的に挑み続けていけるか

マーケットワン・ジャパンとはどんな会社?と問われると、鈴木は「受け身な人には向かない会社と答える」といいます。

鈴木 「困っているオーラを出して、声をかけてもらうのを待っていてもダメ。でも、それは決して冷たいわけじゃなく、主体的に発信する必要があるということです。

具体的に何に困っていて、どうしてほしいのかを伝えれば、情報過多になるくらいのアドバイスをもらえますから。働いている人も多様で、年齢も国籍も価値観もバラバラ。

だから、否定されたり過度に干渉されたりすることはない。その分、成果で評価されるので、キャリアパスや仕事観を明確に持っていなければなりません。自立と自律を強く求められるのが特徴かもしれません」

そんなマーケットワン・ジャパンで働くようになり、鈴木は「自分の仕事観がクリアになってきた」と言います。

鈴木 「仕事って、たぶん9割大変なことばかりです。でも、残りの1割には喜びややりがいがある。そのためにがんばっているのかもしれないと思うようになってきました。

たとえば、自分の提案でプロジェクトが良い方向に動いたり、成果につながったりしたとき。それは仕事全体で見ると瞬間と言っても良いくらいわずかなものですが、9割の大変さを帳消しにしてくれるほどすばらしい喜びを与えてくれます」

また、グローバルカンパニーのマーケットワンならではのやりがいも。

鈴木 「以前、オーストラリアオフィスと打合せをして、プロジェクトの理解や方向性がまったく異なることにお互いが気付くときがありました。

そのギャップを埋めるために会話を続けお互いの理解を得られると、目に見えない壁がスッと消える瞬間が訪れたんです。 言葉を越えてわかり合えると、まるでハイタッチしたような感覚になる。

そういうコミュニケーションも含め、常にあるべき姿に拘って、さまざまな関係者と会話をしながらつくりあげていくことが仕事なのかなと思うようになってきました」

会社は家族じゃないし、同僚は友達じゃない。

社員がどんなスタンスでいても守ってくれるような存在じゃないし、そうする責任もない。

でも自分の人生に責任を持ち、確固たるビジョンを持った上で、能動的に関わる姿勢があれば、最大限の成長につながるチャンスが存在する場所だと鈴木は考えています。

そして、自分自身がそうあるように、日々意識し、行動し続けている。

「この先もっと多様な働き方が普及していったとき、どこの国でも、誰と働いていても成果を出せる人になりたい」と語る鈴木のスタンスには、もうすでにマーケットワンらしさがにじみ出ていました。

その強さが彼女を輝かせ、進む道を照らし続ける光となっていくのでしょう。