サイコロを1000回振り、データ分析することが普通だった少年時代

▲データ変換パッケージ開発当時のメンバー

MBPジャパンの常務取締役を務める庄司は、幼いころから”データ”に対して人一倍強い興味を持っていました。

庄司 「小学生のとき、算数の授業でサイコロの各目が出る確率が1/6と習ったその日に、家に帰ってさっそく本当にそうなるのかをサイコロを1000回振ってデータをとり、グラフを描いて確かめたんです。それくらい、小さいころからデータを集めて分析するのが好きでした」

そんな庄司が「分析したデータを社会の役に立てたい」と考えるのは、ごく自然なことでした。大学では物理学を専攻。そこで、ある誘いを受けることになります。

庄司 「4年生のとき、友人に環境科学の大学院に行かないかと誘われました。調べてみると環境科学は各種データを分析して将来を予測するという実学的で社会意義のあるテーマであり、ぜひやってみたいと思いました」

そして大学院に進学。霞ケ浦の水質データを統計的手法で分析し、水質の傾向を予測するという研究を行いました。

庄司 「データドリブン的な考え、つまりデータを活用して社会に貢献するという私の仕事に対する原動力はこの研究を通じて培われました。大学院の仲間の多くが大学に残って研究するか研究所や企業などで研究を続ける道を選びましたが、私は実社会で役立てるべきだと考えていたので、IT業界に入りました」

大学院卒業後、2001年29歳のときに入った会社では、データ活用製品の開発に情熱を注ぎます。多くの製品を世に送り出し、成長させてきました。IT業界ではキャリアの大半をミドルウェアパッケージの開発技術者として過ごしてきました。

庄司 「さまざまなことに携わる中でも、とくにデータ変換パッケージについては、私自身が製品の企画を行い、設計から実装、テストまですべての工程に携わったので非常に思い入れがあります。

初年度はわずか数ライセンスしか売れなかったのですが、この製品のプリセールスを通じ、多くのお客様のニーズ、データ活用に関する課題などを直接ヒアリングする機会を得て、製品をどんどんブラッシュアップするという正のスパイラルで製品を成長させることができました」

この製品は1700社を超えるお客様、年200ライセンスを超えるまでに成長したと言います。しかし、庄司はパッケージ開発に限界を感じ始めており、IT環境の観点からも、違う道を考え始めました。

パッケージ製品の限界──「良い開発ベンダ」の必要性

▲常務取締役 庄司 吉徳
庄司 「私はパッケージ開発を通じてお客様の業務の改善に寄与するという仕事にやりがいを感じていましたが、一方で限界を感じるようになってきました」

パッケージ製品の限界。それは部分最適と全体最適の違いにあると庄司は語ります。

IT環境はこの10年ほどでハード面、ソフトウェア面で劇的に進化。クラウド環境はハード面におけるシステム構築にかかる時間やコストを、従来に比べ大幅に改善しました。Webアプリに代表されるシステム開発も、各フレームワークのエコシステムやDevOpsを実現する各種ツールの充実により、生産性、品質が向上しています。

今までであれば自社開発が必要だった機能も、多くのオープンソースやWebサービスが登場し、これらを利用するという選択肢が増えました。AIですら、オープンな開発環境を使うことで、誰でも容易に活用できるようになっています。

庄司 「では、すべての方がこれらの恩恵を活用してシステムを構築できるかというと、残念ながらそうではありません。ほとんどの方はやはり開発ベンダに開発を依頼しなければならないでしょう。技術の選択肢が大幅に増えた今、いかに良い開発ベンダに巡り合えるかどうかが良いシステムを構築する鍵になります。

こうした状況の中で、『良い開発ベンダ』とは何かと考え始めたのです。それは、お客様の課題に対し共に考え、データ活用に関する深い造詣を持ち、適切な技術を組み合わせて、高品質、高機能、低価格なシステムを提供できるベンダだと考えています。

データの重要性は、収集能力の向上、AI技術の発達によりますます高まっており、データの活用はシステムの存在意義そのものです。技術についても日々調査や研究を行いつつ、それでも新しい技術が必要な場合は、十分に調査を行った上でむしろ積極的に採用する。そんなコンサルティング力、技術力、積極性、柔軟性を持つベンダが必要だと考えていました」

そんな折MBPジャパンからコンサルティング事業をお任せしたいというオファーが庄司に届きました。

庄司 「ひとつのパッケージの開発、拡販を通した部分最適ではなく、要件定義から入りシステム全体を構築するような事業を行いたい。SI事業に強みを持つMBPジャパンでなら、自分の考える『良い開発ベンダ』を実現できるかもしれないと考えたんです。そこで、ジョインさせていただく決心をしました」

コンサルティングの上で大切にしていること

▲DX推進事業部の打ち合わせ風景

2019年に入社後、「良い開発ベンダ」になるためにコンサルティング力の強化が必要だと考えた庄司は、MBPジャパンにコンサルティング部を立ち上げました。当社のコンサルティング事業で大切にしていることはふたつあると語ります。

庄司 「ひとつ目は、当たり前ですが、お客様のためにシステムをつくることです。要件定義フェーズでは『お客様が本当に実現したいことは何か?』を、お客様と一緒にとことん考えて、ご満足いただけるシステムにしたいですし、実装フェーズにおいては、開発規模にもよりますが、可能な限りアジャイル開発を提案しています。

実際にでき上がるシステムがお客様の求めるシステムから外れないためには、イテレーション毎にお客様のフィードバックを反映することが必要という考えからです」

ふたつ目は、特定の技術、製品に固執しないこと。

庄司 「良い技術はもちろん採用しますが、使い慣れた技術、得意な技術があると、どうしてもそれに寄せてしまいがちです。しかし、使い慣れた技術に固執してしまうと選択の幅を狭めてしまい、システムの実現に最適な提案ができていない可能性があります。

もちろん、使い慣れていない技術にはリスクがともないます。継続的に新しい技術を習得するコストもかかるでしょう。しかし、そのリスクやコストを十分な調査、技術力でカバーするのが開発ベンダの役目だと認識しておりますし、その姿勢が結果的にエンジニアの成長にもつながります」

お客様と一緒に考え、一緒に良いものをつくり上げていく──この考えは、庄司がメンバーに繰り返し伝えてきた「HRT」の心が影響しています。謙虚(Humility)、尊敬(Respect)、信頼(Trust)。この3つの価値観をチーム、お客様で共有することを大切にしているのです。

庄司 「IT業界に限った話ではありませんが、チームで良い仕事をするためには活発な議論が必要です。議論から良いアイデア、目指すべき方向性、実現に向けた課題などが明確になります。しかし、謙虚・尊敬・信頼が根底にない議論は、チームを疲弊させてしまうだけです。

なので、相手を尊敬・信頼し、謙虚に接する、このような人間関係がチームを円滑にし、良い仕事ができるのだと確信しています」

永遠に生きるかのように学べ

▲最近はPythonを活用したAI・ディープラーニング技術に夢中

当社のコンサルタントサービスは「お客様がDXを実現する」ものであるため、コンサルティング事業に関わるコンサルタント、技術者はDX推進事業部に所属しています。

庄司 「『お客様がDXを実現する』というのは、従来なかった製品・サービス、ビジネスモデルを生み出すこと。プロセスを再構築し、既存ビジネスに生産性の向上・コスト削減・時間短縮をもたらすこと。そして、業務そのものを見直し、働き方に変革をもたらすこと。これらを実現するシステムを構築するサービスです。

当社とご縁があったお客様すべてにご満足いただけるよう、技術力向上とメンバーの拡充に努めていきたいと考えております」

すべてのお客様にご満足いただけるように、事業の拡大と技術力の向上に力を入れていきたいと話す庄司。自身もエンジニアとして、まだまだ学びたいことがたくさんあると言います。

庄司 「私が大事にしている言葉に、『永遠に生きるかのように学べ』というものがあります。

IT業界はドッグイヤーを通り越し、今やマウスイヤーも通り越すほど技術のトレンドが推移しています。Qiitaの記事だと1年以上前の記事は警告が出るくらいです。なので、現代のエンジニアもこの心構え・習慣が求められると考えております」

しかし、必要というよりは楽しいから、好きだからという動機で学んでいるエンジニアの方が多いと庄司は語ります。

庄司 「現在たまたま常務取締役という役職を拝命しておりますが、私もエンジニアとして技術の習得に努めています。休みの日には今でもプログラムを書いていますが、単に好きだから、楽しいからというのが大きいですね」

2020年、これまでのビジネスから新たな一歩踏み出したMBPジャパン。今後どのように変化していくのか──変革はまだ始まったばかりです。