企業理念の浸透がいい人材を集める。性格のいい会社ランキング2位 ファインドスター

ミライフは2018年2月、国内最大級の社員クチコミを扱うヴォーカーズと共同で「性格のいい会社ランキング」を発表しました。今回はランキング2位という結果を残したファインドスターの渡邊敦彦社長の姿から、同社の根幹にある理念経営や「価値観採用」について掘り下げます。
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辞めた社員も食事に誘う「家族経営」というアイデンティティ

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▲渡邊さんは、ファインドスターのグループ会社としてワンスターを立ち上げた。写真は自宅キッチンでの仕事風景

ファインドスターは、ダイレクトマーケティング支援事業を展開するファインドスターグループの事業会社。渡邊さんは創業者の内藤真一郎さんの「社員は家族」というアイデンティティを受け継いだ2代目の社長です。

渡邊さん 「内藤はずっと『家族経営』という言葉を使っています。ビジネスライクな関係性の会社も、当然あっていいと思います。でも、僕らはやっぱり『仕事仲間』って人生で非常に重要な位置を占めると考えているんです」

今でこそ社長としてそう語る渡邊さんですが、実は入社3年目に一度ファインドスターを辞め、別の会社に転職した経験があるというから驚きです。

もともと学生時代から起業したいと考えていた渡邊さんは、「起業家輩出企業」を掲げていたファインドスターへの入社を決めました。

25歳の頃、営業職として活躍し部下もいましたが、渡邊さんは大手商社の子会社に転職しました。しかし次第に「大企業文化は自分と合わない」と感じはじめたと言います。

一方、ファインドスターを辞めた後も、内藤さんから飲みの誘いのメールが届いていました。

渡邊さん 「辞めた後3〜4回目に飲みに行ったとき、『お前、いつになったら起業するんだ?』『本当に今の仕事を楽しんでいるのか?』と言われてグサッときました。現状を話したら『社長をやりたいのか? それなら出資するから、とりあえずやってみろ』って言われたんですよ」

その後、渡邊さんはファインドスターに戻り、ワンスターという会社を創業することになりました。

渡邊さんが言うには、内藤さんは辞めた社員のほぼ全員と食事に行っているそうです。

「家族経営」という内藤さんの理念を実際に体験した渡邊さんは、「ファインドスターグループのアイデンティティとして、僕なりのやり方でしっかり受け継いでいきたい」と力を込めて語ってくれました。

企業理念や価値観を表す「BeSTAR(ビスタ)」ができるまで

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▲経営理念の浸透を目的とした「ビスタ研修」。ビスタが記載されているカードを見ながら、読み合わせや議論をする

ファインドスターには企業理念や価値観を総称する「BeSTAR(以下、ビスタ)」というものがあります。

2008年から約1年をかけてビスタをつくったきっかけは、離職率が高まったことでした。

当時ファインドスターでは、今後の成長を見越してたくさんの人を採用していました。しかし社内では「なぜこんなに人を採用するのか? そんなに成長する必要があるのか?」という意見が出はじめていました。

渡邊さん 「成長するのは当たり前だったはずが、気づいたら全然違う価値観の人が混ざっていたんです。彼らが辞めてしまうのはある意味仕方ありません。問題は、そういう価値観の合わない人がいるから、本来残ってほしい人が辞めてしまうことでした」

辞めてほしくない人間が辞めていくという状況に危機感を持った経営陣は、ファインドスターという会社が働くうえで大事にすることは何かをきちんと明文化し、採用の入り口で見極める必要があるという結論に至りました。

経営理念をつくるプロジェクトが発足し、当時のファインドスターの執行役員以上と、グループ会社の代表だった渡邊さんをメンバーとして「そもそも理念とは何か?」というところからスタート。

週1回の会議や合宿を経て、「仕事をするうえで大事なことは何か?」を出し合い、グルーピングしていきました。

最終的に残った20個の行動指針は、いわゆる「原理原則」と言われるような当たり前のことがほとんど。しかし渡邊さんは、「基本の徹底ができることが足腰を強くする」と言います。

ビスタを浸透させるために、入社時にまず1回90分×6回の研修を実施。新入社員に対しては、基本的に社長である渡邊さん、もしくは取締役以上がコミットして行ないます。その後は全6回あるビスタ研修を半期に1回、グループ毎に全メンバーが実施。

また、会議などでディスカッションする際もビスタの言葉を散りばめています。そうすることで共通認識を持つことができ、浸透にも寄与するため、普段からビスタの言葉を使って会話をするようにしているのです。

モチベーションを上げるためには「成長実感」が得られるかどうかが重要

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▲社員総会の集合写真。価値観採用で多くのメンバーが集まってきている

ファインドスターではビスタをつくった後、最も優先すべき採用基準は「価値観のマッチ」に決めたといいます。基本的な価値観である「信頼」「開拓者精神」「win-win」の3つに対する共感があるか、そこに対して何らかの経験を持って体現しているかをチェックすることが採用フローに組み込まれました。

2009年からはじめたこの「価値観採用」によって、価値観ミスマッチの人材を採用する確率は激減。価値観を明文化したことによって、1次選考を担当する現場でも、価値観に合っているかどうかをチェックできるようになったといいます。

「価値観採用」を約10年続けてきて、最近は「価値観のマッチ」は採用の最重要項目ではなくなりました。いちいち項目に入れなくても、それが当たり前になっているからです。ファインドスターのビジネスには、実はそんなに派手さはないとミライフ代表の佐藤雄佑は考えています。

また、コツコツときっちり顧客に提供価値を出すためには、モチベーションが大切。その「モチベーションを高める工夫」がありました。

渡邊さん 「モチベーションを押し上げるためには、自己の成長実感が得られているかどうかだと考えています。デキる人にやらせたほうが業績的には安定しますが、それ以外のメンバーは成長実感を得られない。短期的に見れば生産性が高いけれど、中長期的にはその人が辞めるリスクもあるし、後任が育っていない可能性も大いにあるので、いかに『ゆらぎ』を与えるのかは重要です。
だから僕らはグループ経営という手段を選んだんです。グループ会社をつくったり、経営陣でなくとも伸び盛りのグループ会社に異動したりと、各グループ会社にどんどん人を送り込むことで、経験を付与しています」

しかしこれはあくまでグループとしての視点で、ファインドスターのメンバーからすると変化している実感は限りなくゼロに近いことに気づいたと渡邊さん。

2018年からは、ファインドスターで働いているメンバーに対しても、より経験を付与することを強化していくつもりだと語ります。引き続きグループ会社を増やし、人を輩出していくことは続けつつ、中にいるメンバーに対して、もっと成長実感を得られるような場所にするのが今期のテーマです。

会社と社員のwin-winの関係が、互いに「いい緊張感」を生む

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▲渡邊社長と佐藤。手に持ってるのはビスタの冊子

ファインドスターが「性格のいい会社ランキング」で2位になったのは、「働きがい」を構成する「ビジョン」「成長」「仲間」の3点を満たしているからだと佐藤は分析しています。

佐藤 「ビジョンはビスタがしっかり浸透しているため、言っていることとやっていることが合っていると感じるし、『成長』は成長実感が得られるような取り組みをされています。『仲間』も価値観採用によって、同じ方向を目指す仲間がそろっている。各スコアが軒並み高いのは、まさにこれらの項目にピッタリあっているからだと思います」

「性格のいい会社ランキング」を構成するもうひとつの要素「多様な働き方」に関してファインドスターの口コミを見てみると、「女性の働きやすさ」が上位にあり「産休・育休を取っても戻ってきやすい」というコメントが多くあります。

育児だけでなく介護や自身の体調の変化など、働く場所や時間に制限がかかる可能性は、男女問わず誰にでもあります。そのため、ファインドスターでは、マネージャー以上は働く場所も時間も完全に自由ということにしています。

渡邊さんにとって「性格のいい」という定義は、会社と働く人たちがwin-winの関係にあるかどうかということ。「win-win」という考え方は、まさにファインドスターの基本的価値観に含まれており、非常に大事にしていることのひとつです。

渡邊さん 「理想的なwin-winの関係性とは、社員が自身の成長によってどんどん自立していく。自立していくからこそ働く場所の選択肢をたくさん持つことができる――数ある選択肢の中でファインドスターを選んでもらえるかどうかは経営側の勝負です。
社員が自立していけばいくほど、関係性に『いい緊張感』が生まれ、それが非常に健全な会社をつくっていくことにつながると考えています」

佐藤の定義した「性格のいい会社」は、そうしたwin-winの発想を持っていて、ファインドスターでは、さらにそこにいる「仲間」を非常に大事にした会社づくりをしています。

ミライフでは今後もファインドスターのような「性格のいい会社」を発掘して、つなげて、ビジョンである「働く、生きるを、HAPPYに」を実現していきたいと思っています。

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