Unityエンジニア0人からスタート?ゲーム実況x3Dアバター「エモモ」誕生秘話

2018年8月にリリースされた、ゲーム実況アプリ「Mirrativ」上で3Dアバター配信を実現する機能「エモモ」。世界初の機能に挑んだミラティブ開発チームの軌跡を、CTO 夏澄彦、Unityエンジニア 横手良太、Androidエンジニア 盛岡佑太が語ります。
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誰もが使える3Dアバターによるゲーム実況配信への挑戦

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▲開発スタートは去年の春。そんなこともあったね、と笑いながら思い返す三人。

ゲーム実況アプリ「Mirrativ」に追加されたサービス「エモモ」は、スマートフォン上で簡単に3Dアバターでの配信を可能にします。アバターを着ることによって現実での自分を気にせず配信できる「エモモ」には、人の才能を身体や拘束から解放することで、もっとお互いをわかりあえる未来を実現したいという思いが込められています。まさにミラティブが目指す世界の根幹となる機能とも言えるでしょう。CTO夏澄彦は、エモモ開発の始まりを振り返ります。

夏「世間でVTuberが流行りはじめ、スマホ上で2Dのキャラクターが動く状況が一般的になりました。彼らがMirrativを使って配信してくれるようになりまして、これはかなりMirrativとの相性がいいのではと思いました。僕らは韓国でもサービスを展開しているのですが、韓国ではけっこう顔出し配信しているのに対して、日本ではあまり顔出し配信は行われていません。
そういった身体性の欠如を、Mirrativが独自に着せ替え可能なアバター機能を提供することで、補完、さらには強化できるのではないかと考えました。」

配信でのアバター機能を実現するためにプロジェクトが動き出したのが2018年4月。エモモはその当時主流であった2Dアバターではなく、3Dアバターで開発を進めることに。

夏 「エモモが 3Dアバターにこだわったのは、着せ替えなどのカスタマイズ機能を充実させたかったからです。2Dは一つひとつのキャラクターのクオリティを手軽に上げる点では効果的ですが、ミラティブにとって必要なのはユーザーさん一人ひとりが個性ある独自のアバターを作る拡張性だったのです」

こうした3Dでのアバター着せ替え機能を両OS上で作り上げるためには、ゲームエンジンの一種のUnityの導入が必要でした。ミラティブには開発当初Unityを扱える人材がおらず、外部企業との連携を深めることで3Dアバターの着せ替え機能や仕組みの構築を進めます。しかし、それでも開発のステップは容易なものではありませんでした。

夏 「僕らは元々実況配信サービスを提供していたので、ネイティブ開発された配信システム上にどのように Unityを取り入れるかが課題となりました。はじめは Unityから WebGLで出力してアプリ内の WebView上で無理やり動かすことも検討しましたが、一定時間動かしているとアバターがカクつき始めてくるなど思ったようなパフォーマンスが出ず……」

内部にUnityエンジニアがいない状態にも関わらず、iOS/Androidの両OSでネイティブ開発されたアプリ上でUnityを動かすという多難なスタートを切ったエモモ開発。課題解決の光となったのは、新たな仲間の存在でした。

最強のUnityエンジニアのジョイン、働きやすい環境の構築

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▲面談当日にジョインした横手。異例の当日入社。

2018年7月、ふと足を運んだその日に働きはじめたという異例の人材、横手良太がミラティブに加わります。CTO夏とのわずかな会話と会社の雰囲気が、横手の「とりあえずやってみよう」という意思を動かしました。

横手 「 Unityについてわかる人が誰もいないということは見てとれたので、さてどうしようかな、と。Unityで何かやろうとしたらまずエンジニアとデザイナーが必要ですが、私がジョインした当時はエンジニアである僕だけでしたね」

ゲーム企業で3Dゲームの開発に携わった経験のある横手は、ミラティブ内で「最強のUnityエンジニア」と呼ばれる存在に。

夏「コードとパソコンだけ横手に渡すと、特にディレクションせずとも、どんどんクオリティが上がっていくんです。外部企業に協力を仰いでも補えなかった部分が、横手によって解決していった。今では横手ができないことなら、世界中誰もできないと思っています (笑 )」

また、開発チームのメンバーは、正社員だけでなく業務委託(副業〜フルタイム)のメンバーが稼働しやすい工夫をすることでより充実していきました。

横手「副業メンバーは基本的に土日や夜の稼働になるので、緊急度の高いタスクではなく、将来的に解決したいタスクをお願いするようにしています。研究開発のような、デッドラインが読みにくいタスクを副業の方にお任せすることが多いですね」

最低限のスケジュールのみ押さえ、長期的な目標設定を元にタスクを解決していくスタイルは、フルリモートメンバーの活躍に繋がります。中には北海道に在住しながら開発に携わるメンバーもいます。

横手 「エモモのような先進的な挑戦をする場合、ある目標を達成するまでに 3ヶ月から半年ほどかかることも珍しくありません。つまり、今やらないと手遅れになるものが多い。こうした必然性も相まって、ある程度レンジの広い視野を持って課題の頭出しをする開発環境ができました」

ユーザーの視点に立つからこそ見える、適切な機能の選択

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▲盛岡自身ユーザーの配信をみるのが大好き。配信を見てはふとした改善ポイントなどを積み上げていく。

開発に必要な人材が集まっていき、α版、β版と段階を経てエモモはユーザーの元へと届けられていきました。


夏 「まずはアバター文化がMirrativに受け入れられるかどうかを検証するために、特定の配信者さんに対して機能を絞った形で α版を公開したのが 2018年 6月です。こういった今までにない新機能に関しては、まずは既存のユーザーさん全員に刺そうとはせず、一人でも刺さったユーザーさんのニーズや不満に応えつつ、徐々に他のユーザーさんにも展開していくというのがMirrativでのセオリーです。実際に配信者さんがエモモを使って雑談し始めている様子を見たときには、手応えを感じました。テンションが上がりましたね。一方で、課題も見えてきたというのが正直な感想です」

α版リリース後、実際に配信している様子やユーザーインタビューによって、アバターユーザーの利用用途はほとんどが雑談であり、ゲーム実況ではないことがわかりました。ゲーム実況時の画面の見せ方等に課題があることがユーザーに実際に触ってもらったことでクリアに見えてきました。そこで、ゲーム配信とアバターがより融合できる世界観を目指したブラッシュアップを進めました。

また、気軽にスマートフォンからゲーム画面を配信できることが最大の強みであるMirrativは、ユーザーの平均配信時間が長いという特徴があります。長時間配信をしても配信者やスマートフォンに負荷をかけないエモモを目指したアイディアの模索が続きました。

夏 「他のプラットフォームにあるような、配信者さんの顔の動きとアバターを同期する機能については、特に悩ましいところです。触り始めた直後は楽しいのですが、Mirrativぐらいカジュアルに配信できるプラットフォームだと配信の手軽さを失う可能性があるので、他のプラットフォームにあるという理由だけでは導入せず、Mirrativのユーザーさんに最適化した形での導入を検討しています。」

こうした機能の取捨選択の基準は、ユーザー視点で体感したときに感動が生まれるかと、使いやすさ。そして『わかりあう願いをつなごう』という未来につながるかどうかです。エモモに実装される新機能・ボイスチェンジャー開発に携わる盛岡佑太は、エモモユーザーの視点に立ったビジョンを語ります。

盛岡 「エモモのユーザーさんを見ていると、男性だけれどかわいい女の子のアバターを選んでいる人も多い。その配信を見ていて、自分とは違った誰かになるための要素のひとつとして “声 ”って重要だな、と感じました。それに、人って結構恥ずかしがり屋ですから、声が変わるだけでも配信のハードルを下げられると思うんです」

「なりたい自分になる」ための手段として提供されているエモモ。ユーザーである一人ひとりの願いに寄り添ったとき、ボイスチェンジャーの発想は自然に生まれたものでした。

盛岡 「ミラティブのユーザーさんは長時間配信しますから、自分の声を頑張って変える必要があると疲れてしまいます。リリース直後は声の高さを調整する機能のみですが、今後は声の太さなども変更できるようにして、最終的には細かい調整はしなくても『かわいい声』などのカテゴリごとに簡単に自分の声を設定できるようにしたいです」

ゲーム実況を長時間配信できること、タレントとしてではなく一般の人たちが気軽にアバターを利用できること、そしてユーザーがなりたい自分になれること。こうした目標が明確にあるからこそ、機能の取捨選択とユーザーへの適切なサービス提供は続けられるのです。

誰もがアクセス可能なサードプレイスと、なりたい自分を目指して

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▲ミラティブ社入り口にて。和気藹々と撮影が進んだ。
横手 「今後の目標は、Mirrativのユーザーさん全員がエモモを個々のカスタマイズで利用し、新しいコミュニケーションを生み出せるような場を作ることです。そのためには、着せ替え機能のカスタマイズ性はもちろん、グラフィックの精度や表現力の向上が必要です。誰でも楽しく使えるというところがポイントですね」

ユーザーに対するサービス提供の平等性へのこだわりは、コミュニケーションを作るサービスの提供者としての自覚があってこそ。iOSファーストだった開発方針を、アンドロイドでも同じ体験ができるよう急ピッチで改善したのも、デバイスによる格差が生まれないように配慮したためでした。

夏 「私たちは、ゲーム配信 xエモモを通じて会社や学校、あるいは自宅でもない別の安らげる場所としての “サードプレイス ”を提供することも目指しています。ゲームが好きという共通点から仲間を作る場があることは、『わかりあう願いをつなごう』というミッションに直結するものです。こうした目標を実現させるために努力している間にも、デバイスやテクノロジーは進化していますから、それに応じた挑戦を続けるのみですね」

ひとつの願いに向けて、一心に先端を走り続ける。そんなミラティブ開発チームは、さらなる開発スピードの向上に向けて、新しい仲間を求めています。

盛岡 「先進的な技術に携わる開発を裁量の大きい環境でできることにやりがいを感じます。特に、ユーザーさんが触っているスマホ画面の様子を直接目の当たりにできるMirrativでは、自分のリリースした機能をユーザーさんが楽しんでくれている反応を生で見れるので本当にうれしいものです。やりたいことはたくさんあるので、スピード感を持って取り組んでいくための仲間が欲しいです」
横手 「 Unity開発に必要な組織体制の基盤が整い、いよいよ本格的にエモモの成長を促進させるフェーズに来たと感じています。ゲーム開発エンジンとしてではなく、まったく別の形で Unityを利用することに興味のある人に、ミラティブの環境は向いていると思います。また、ネイティブアプリへのUnity埋め込みなどのR&D的な動きと、アプリのデータ分析をするグロースハッカー的な動きを両立できる環境は刺激的です」
夏 「僕らはスマートフォン上でできることがすべてコミュニケーションでつながる時代に生まれて、Mirrativはそれをソーシャル化する手段を持っています。その中でたどり着いたエモモという発想に僕自身がワクワクしていますし、僕らだけでなく、ユーザーさんととともに新しい世界を作り上げていくことが楽しみです。エモモ配信の高画質化、低遅延化などの課題に、第一線で取り組める人を求めています」

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