前例なき「攻めのプロジェクト」を推進していく――若手社員の悪戦苦闘の日々

三井不動産株式会社が提案する、今までにない新しい形のシェア型ワーキングスペース「WORKSTYLING」。2016年秋、このプロジェクトに実務担当として参画したのが、ビルディング本部の田口諒です。しかし彼を待っていたのは、まるで前例のないことの連続でした。今も現場で奮闘を続ける、田口のストーリーをご紹介します。
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会社として掲げるビジョン、メンバーの思いをカタチにする実務担当として

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▲プロジェクトメンバーの田口諒(左)と、面白法人カヤックの砂長和樹さん(右)
田口がWORKSTYLINGのプロジェクトに関わりはじめたのは、2016年10月のこと。企業にとっても、働く社員にとっても使いやすいサテライトオフィスをつくる――そんなコンセプトが固まりつつあった頃です。

彼はそれを具体化していくために、既存のビル運営管理業務について実務経験がある人間として継続的なサービスを提供・推進するため、このプロジェクトに配属されました。

田口 「当時、コンセプトや中長期的なビジョンはみんな一致していて、メンバーそれぞれが抱いていた思いも並々ならぬものがありました。それらを実現すればするほど、事業の付加価値が高まる状態というか。

ただ、継続的な三井不動産のサービスへと落とし込んでいくうえで、実務面で手を動かすポジションが手薄だったようなんです。僕はその取りまとめ役として呼ばれました」

今回のWORKSTYLINGで最も重要となったのは、サービスを作ったあとの継続的な運営・管理。決して場所が完成したら終わり、という仕事ではありませんでした。

田口 「今回の場合、私たちにとってのお客様はふたつの方向にいらっしゃるんです。ひとつは、WORKSTYLINGを使っていただく社員の方。もうひとつは、それを管理する側となる企業の方。

両方のことをきちんと考えないと、ユーザーはすごく使いやすいのに、管理者側は毎日の運用がとても負荷になる……ということが起こりかねません。だからはじめから、そこに気をつけてサービスの設計をしようと思いましたね」

彼が配属された時点で、すぐに取りかからなければならない実務は膨大な量にふくれあがっていました。しかもこれまでの三井不動産の事業と異なり、他のオーナー様からビルを借り、そこに投資するケースなども出てきていました。そのため、前例がほとんどなかったのです。

しかし施設のオープン予定日は、刻一刻とせまりつつあります。

田口 「もうね、いきなり嵐のような日々でしたね。なにしろ、山積みの課題、すべての優先順位が高いんですから(笑)」

WORKSTYLINGリリースに向け、田口にとって怒濤の毎日がスタートすることになりました。

タスクは山積み……“ショート・ストッパー”としての奮闘のはじまり

サービスを提供する際に必要となる課金システムの開発や、施設の利用案内づくり、新しい拠点のオープン準備から、さまざまな規約、契約書づくりまで……。田口の業務範囲は、実に多岐にわたっていました。

プロジェクトに参画した彼は、とにかくまずは情報収集からはじめて、各企画立案者が実現したいことをひもとき、それら一つひとつを実務レベルに落とし込んでいったのです。

田口 「いつしかみなさんからは、“ショート・ストッパー(遊撃手=自由な守備範囲をもつ人)”と呼ばれるようになりました(笑) ほとんどすべて正解がないことへのチャレンジのため、日々さまざまな意見が飛び交い、昨日には話をして決めていたことが、翌日には企画が白紙に戻る……などということもありました。日々悪戦苦闘していましたね」

彼が進めることになった実務の中には、ユーザーがWORKSTYLINGを利用する際に使う予約システムなど、さまざまなアプリケーションやシステムの企画制作・開発も含まれていました。

ウェブ制作のプロフェッショナルとして、プロジェクトの初期段階から声をかけ、参加していただいていたのが、株式会社ブルーパドルの深津康幸さんと、面白法人カヤックのと砂長和樹さんです。

深津さん(ブルーパドル)
「2016年の秋頃はちょうど、ユーザーが使う予約システムについて、プロトタイプを提案している最中でした。でも企画やインターフェイスのデザインが先行で走っていたので、機能面などを細かくすり合わせる必要がまだまだあったんです。そうしたことを含め、田口さんがプロジェクトにアサインされてから、一気に進みはじめた印象がありますね」
砂長さん(カヤック)
「はじめにお話をいただいたとき、今までにないサービスで興味をひかれました。三井不動産さんがこうした事業に取りかかるというのは、とても楽しい仕掛け方だと思いました」

膨大な実務に翻弄されつつ、田口自身も、WORKSTYLINGプロジェクトの意義を感じはじめていました。

田口 「正直なところ、プロジェクトに参加した当初は驚くことも多かったんです。今後、会社としてこんなに手厚いサービスをやっていくんだ、と。ともすれば、既存のビルディング事業の首を絞めることにつながってしまうのでは……と懸念したこともありました。

でもあらゆるお客様が、『働き方改革』の必要性を感じているのも事実であって。今までオフィスビルを提供してきた私たちが、新しい形のサービスで企業をサポートする――そこに腰を据えてやっていくのが、とても重要なことだと思うようになったんです」

徹底したユーザー目線で、一つひとつの体験をデザインしていく

2017年春のプレオープンに向けて、田口とカヤックとブルーパドルのおふたりは、ユーザーが実際に使用する予約システムの制作を詰めていくことになりました。

WORKSTYLINGでは、利用する社員の方の入退室管理や、施設内の会議室予約などをスマートフォンで行うことを想定していました。ユーザー側はもちろんのこと、労務管理を行う企業側の使い勝手のよさ、管理しやすさを考え、アプリケーションの設計を行っていったのです。

深津さん 「僕自身は、八重洲にはじめてプレオープンしたWORKSTYLINGを見学したときに、ここまで細かくワーカーのニーズを満たしているスペースってないんじゃないか、と感じたんです。それを見て、アプリ制作もがんばらなければいけないな……と気がひきしまりましたね」

たとえば最近のスマホは画面が大きくなってきているので、メニューボタンが画面の上の方にあると、片手で操作ができなくなります。だから、誰でも操作しやすいデザインを詰めていく――そうしたスマホのインターフェイスひとつにも手を抜かず、実際に使う人のことを徹底的に考えながら、アプリケーションのデザインを行いました。

田口 「深津さんも砂長さんも、すごく柔軟性のある方。僕のところにはプロジェクトメンバーから『こうしたい!』という要望が続々と届くのですが、そうしてあちこちから飛んでくるボールを、どんどん形にしてくれるんです。それがすごいですよね」

彼らはわずか4か月の間に、実際のサービス設計を行い、その改善をひたすら続けて、ようやくなんとか稼働できるアプリケーションをつくりあげました。

プレオープン期を終えれば、いよいよサービスの有料運営がはじまります。プロジェクトのフェーズがどんどん変わっていく中で、提供する予定のサービスの精度を、さらに上げていく必要があるのです。

田口 「オープンしても、これから拠点が増えても、サービス全体をどんどん改善していかなければいけません。終わりがないというより、このプロジェクトを終わらせてはいけないんですよね」

既存事業を守るためではなく、社会を本気で変えるための “オフェンス”事業

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オフィスビルを建設し、企業に入居してもらって、あとは適宜管理をしていく――これまでの事業とはまったく異なる、新たなプロジェクトとなったWORKSTYLING。

これまで積み重ねてきた自身の知見を、「このために全力で吐き出しています!」と笑う田口には、日々駆け回りながら得た確信がありました。

田口「参画前は、当社にとって既存ビル事業の“ディフェンス”的な側面もあると思っていたんです。でも、今回のプロジェクトはそうではないんですよね。本気で企業の働き方を、社会を変えていくための全力の“オフェンス”なんですよ」
深津さん 「本質的に、WORKSTYLINGは利用する企業の売上を上げることにフォーカスしているプロジェクトだと思っていて。ビルテナントをつくる企業として何を提供していくか……そこに真摯に向き合った結果、こうしたサービスにたどり着いたのがすごいと思いますね」

今後に向けてカヤックとブルーパドルのおふたりも、アプリケーションの機能を充実させていく他に、次に展開するしかけをさまざまイメージしています。

深津さん 「今後はアプリケーションを接点にして、WORKSTYLINGで叶えられる働き方や、施設内の設備の活用法……たとえばホワイトボードを使って思考を整理するノウハウとか、さまざまな情報発信をしていけたらいいなと考えています。要は、働き方を改善して、生産性を高めるためのインプット。それを、ユーザーの方同士でシェアできるような仕組みづくりをしていきたいですね」
砂長さん 「実はカヤックも、八重洲のWORKSTYLINGのヘビーユーザーなんです(笑) クリエイティブの仕事をするうえで、生産性を高められる場所はとても貴重です。だからこそ、働く場所としてどんどん活性化していくことを願っています」

日本の大手企業が「働き方改革」を進めるにあたってひとつの大きなネックになっていた、労務管理。田口は悪銭苦闘しながらも、それを負荷なくできる仕組みを実際に作り上げてきました。

ユーザーは自分の仕事の生産性を高めることができ、企業側も管理が簡単にできる。そしてそうした働き方の変化が、企業にとってのメリットになっていく――。そうした価値観の転換を日本に広めていくために、田口をはじめ、プロジェクトメンバーの模索は今も続いています。

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「WORKSTYLING」公式サイト https://commons-web.jp/workstyling/ws.html

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