会社員にこそ、「新しい働き方」を叶えてほしい―――三井不動産の新たな挑戦

三井不動産の「WORKSTYLING」は、新しい働き方を叶えるための法人向けシェア型サテライトオフィスです。企業規模や業種に関係なく、さまざまな会社の社員が、場所や時間に縛られることなく利用できます。その開発背景には「社会を変えていきたい」という、三井不動産社員の真剣な想いがありました。
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60年以上ずっと変わっていない、事業構造の本質を問い直す

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▲法人営業統括部・川路武

2015年秋、三井不動産のビルディング本部では、ある機運が高まっていました。世の中の変化を受けて、社員自身が自分たちの仕事を見つめ直すとともに、新たな事業への模索がはじまっていたのです。

その中のひとり、法人営業統括部の川路武(かわじ・たけし)は、「そもそも、企業がオフィスビルを必要とする理由は何か?」と、事業の原点について考えていました。

川路 「なぜ企業がビルを借りるのか。それはひとえに、事業活動を通じて利益を出すため。しかしながら、企業が固定の場所を賃借するオフィスビルの基本的な在り方は、もう60年以上前からずっと変わっていないことに気づいたんです。そこで “利益を生み出せる新しい場所”として、働く人の力が倍になるような環境を作れないか、と思うようになりました」

異動してきて1年が経過した時期にちょうど、既存のオフィスビル事業に変わる、新たな価値提供をビジネスモデルから考えるプロジェクトチームの動きがあって本部内の各グループから有志が集まり、10人ほどの新しいプロジェクトチームが発足しました。

メンバーはまず、どんな環境があれば仕事の効率や生産性が向上するか、自身が理想とする「新しい働き方」を考え、ディスカッションを重ねました。そして、それらを実現するために必要なものとしてたどりついたのが、まったく新しいスタイルの「多拠点型シェアオフィス構想」だったのです。

それは「今までなら1社単独にお貸ししていた大型ビルの賃貸借ビジネスモデルを、たとえば地方を含めた数十カ所に分散して、利用企業も100社にシェアしていただく新しいモデルに応用していく」。

考え方はシンプルですが、大手法人向けのオフィスビル事業としては、だれもやったことがない初の事業モデルです。果たして本当にビジネスとして成立するのか……社内では、真剣な議論が続きました。

メンバーの気持ちを駆り立てたのは、「人々の働き方を変え、社会をよい方向に変えていきたい!」という強い想いでした。

働き方は、人生のすごし方にダイレクトに影響するもの。その「働き方」が変われば、一人ひとりの生活が変化し、いずれは社会を動かす力になると考えたのです。そして三井不動産なら、それを実現するためのベストな環境づくりができるはず——。社員たちはそうした気概を持って、プロジェクトを進めていきました。

企業に勤める会社員にこそ、「新しい働き方」を実現してほしい

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一口に「新しい働き方の実現」といっても、その定義はさまざまです。今回のプロジェクトメンバーは、それを「今の社会ではできていないことを、できるようにする」ことだと考えました。

たとえば、育児・介護と仕事をしっかり両立することや、より自由で柔軟性の高い勤務形態を選べることなど……。規模の大きい企業に勤める会社員の場合、そうした働き方の自由度はまだまだ高くないのが現状だからです。

たしかに、ベンチャー企業やフリーランス向けのシェアオフィス、コワーキングスペースは増えているかもしれません。しかし企業に勤める会社員が、自由に働ける場所は意外と限られていました。

川路 「今までは私も、子どものちょっとした学校行事などに行くのを諦めていました。でも家の近くにサテライトオフィスとTV会議の設備があれば、遠いオフィスまで行かずとも、そこで朝の会議に出てから子どもの行事に参加し、午後になってからゆっくり出勤する……そういうことが簡単にできるようになりますよね」

「場所」の制約から解放されれば、自分の「時間」を好きなようにデザインすることができる。そうすれば会社員であっても、これまで仕事との兼ね合いで我慢してきた生活上のさまざまなことができるようになるはず。

三井不動産の「サテライトオフィス構想」最大の目的は、それを実現するための環境を整えることでした。

それぞれの企業では実現が困難な「理想の環境づくり」を叶える

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▲WORKSTYLING YAESU

この新たなプロジェクトは「WORKSTYLING」と名づけられ、2016年より一つひとつの提案を具体的な形にしていくことになりました。新しいオフィスビルの在り方と、働き方のトータルデザインを提案する、新事業が本格的に誕生したのです。

働くことの付加価値を最大化させるために、必要なものは何か。プロジェクトメンバーがそれを突き詰めていくと、「創造」「没頭」「共創」という3つのキーワードにたどりつきました。

それらは今のオフィスビルに足りていない部分だと考えられましたが、各企業がそれぞれ整備していくためには時間もコストも、労力もかかります。だからこそ三井不動産がそうした環境を用意し、企業様に提供していこうと考えたのです。

プロジェクトを最初に具現化したワークスペース「WORKSTYLING YAESU」(東京都中央区)では、全面ホワイトボードのミーティングルームなどをはじめ、「創造」が生まれやすい工夫がされています。

また、ひとりで集中しやすく仕事に「没頭」するための個室、遠隔地と簡単にテレビ会議ができる設備を兼ね備えた、「共創」ができる会議スペースなど、仕事の生産性を高めるための工夫が多くほどこされています。

さらに大手企業や、機密性の高い事業を行なう企業の社員の方にこそ使っていただきたいため、細部の設計にもとことんこだわりました。

街のカフェではできない機密性の高い作業や、打合せなどにも安心して使用できる高いセキュリティ性。いちいち会社に戻らなくても、高性能なシステムから容易にテレビ会議に参加できる利便性。誰がいつ、どのくらい使用したのかすべてログで管理できる労務管理のしやすさ。これらの機能を備えることで、法人利用に耐えうるクオリティを担保しています。

川路 「日本の社会では企業で働く人の割合が多いため、その人たちの働き方を大きく変えたいんです。企業に勤める会社員も、さまざまな“新しい働き方”ができるはず。そうした会社員の働き方を変えることこそが、社会の変革につながると思っています」

未来の「働く場所」の可能性は、無限に広がっていく

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2017年4月、ついにスタートした「WORKSTYLING」。三井不動産の新たな提案に対する、企業のみなさまの反応はさまざまです。まだ具体的な働き方をイメージできず戸惑う声もある一方で、私たちが想定していた以上に多様なニーズがあることもわかってきました。

たとえばある企業では、地方の支社や研究所の社員が東京の本社に出張する際に、一週間だけ臨時オフィスとして使用したい、というようなご要望がありました。オフィスの中にそのためのスペースがなくても、必要なときに必要な時間だけ、快適な空間で仕事をすることが可能です。

また子育てや家族の介護をしている社員の方に、最寄りの拠点を利用してもらい、限られた時間の中で効率的に仕事に取り組んでほしい、という声も多数挙がっています。

私たちは今後、このWORKSTYLINGを全国30か所に展開し、より多くの企業様に活用していただけるよう、準備を進めています。

川路 「いちばん大事なのは、企業と個人とが協調しながら、企業はセキュリティや労務の問題について安心でき、個人は自分のスタイルで心地よく仕事ができる『環境』の存在だと思っています。環境さえきちんと整っていれば、新しい働き方への移行が進み、企業にとって新たな”利益を生み出す場所”が次々に生まれていくはずですから」

長年にわたり、あらゆる事業を手掛けてきたなかで、蓄積してきた知見。それを最大限に活用し、三井不動産は、これからも人々の働き方や生き方を変え、社会をよりよく変えていくために尽力していきます。「WORKSTYLING」はあくまでも、その最初の一歩にすぎないのです。

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