働くパパ・ママの悩みは子どもの長期休暇にあり。一緒に“出勤”できるオフィスの模索

子どもたちがパパやママと一緒に“出勤”し、仕事場のとなりですごす。パパやママはいつも通り仕事に集中しつつ、ランチの時間は大人も子どももひと休みして会話を楽しみ、業務時間が終わったら、そのまま一緒に帰宅——。そんな働き方を実現する方法はないものか? 三井不動産の法人向け多拠点型シェアオフィス「WORKSTYLING」にて、さまざまな実験がはじまっています。
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「せっかくの長期休み、一緒にすごしてあげられない」親たちの罪悪感

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▲三井不動産が展開する法人向けシェアオフィス「WORKSTYLING」の汐留拠点。ここで、働くパパ・ママたちのための“実験”が行なわれた

子育てをしながら働く社員が、いつも困っていること。それはもう人それぞれ、数限りなくあるはず。しかしとりわけ悩みや葛藤が大きくなるのは、どうやら夏休みや冬休みなど長期休暇中のことらしい——。

そんな仮説にたどりついて検証をはじめたのは、「WORKSTYLING」のプロジェクトメンバーのひとりで、自身も2児の母親である奥村彰子でした。

三井不動産が2017年4月から展開しているWORKSTYLINGは、全国に複数の拠点を持つ法人専用のシェアオフィスです。

奥村は2016年10月、第2子の育休明け直後にこの事業へ参画。それ以来「子育てと働き方」をテーマに、試行錯誤しながらさまざまなチャレンジを重ねてきました。

その中のひとつが、2017年8月、子どもたちの夏休みも終盤にさしかかった頃に行われた、あるプログラムの実施。きっかけとなったのは、小学生の子どもをもつ親たちが抱えていた悩みと葛藤でした。

奥村 「長期休暇に入ると、そもそも子どもたちの預け先にすら困っているケースがたくさんありました。運良く学童などで預かってもらえたとしても、子どもと離れて自分が仕事をしていることを引け目に感じている人が多かったんです」

単純に預け先を確保できれば万事解決、というわけでもなさそうでした。

「長期の休み中こそ、本当は子どもと一緒にいたい」、「普段はできない経験をさせてあげたい」――。周囲のパパ・ママ社員やお客様から話を聞いていくうち、彼女はそれぞれが親として抱いている強い願いに触れたのです。

奥村 「だったら、お子さんも一緒にWORKSTYLINGに“出勤”してもらおう。パパやママが働いているのと同じ場所で、普段とは違う体験ができるような場所をつくろう、と考えるようになったんです」

こうして、WORKSTYLINGを起点とした「子どもと隣で働くプロジェクト」が始動することになりました。

大事な夏休みの2日間、出勤した子どもたちにどうすごしてもらうか?

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▲「子どもと隣で働くプロジェクト」に賛同し、ご協力くださったヤマハ株式会社・技術開発部の和佐田慎史さん

プログラムを試験的に実施することになったのは、8月23-24日の2日間。開催場所として選ばれたのは、WORKSTYLING汐留です。

当日は開放感のあるオープンスペースの奥にある会議室を、子ども専用ルームにすることが決まりました。さらに親たちが安心して仕事に集中できるよう、保育専門のスタッフとの連携も。

みなさんを迎え入れるための「場所」の準備は整いました。あとは、子どもたちに “普段とは違う体験”をどう提供していくかです。

奥村 「場を作るのは、私たち三井不動産の役割です。じゃあコンテンツはどうしようと考えたとき、せっかくなので、WORKSTYLINGを利用してくださっている会員の企業様とコラボしていこうと思いました」

いくつかの会員企業様にお声がけし、子どもたちに提供するプログラム作りが急ピッチでスタート。その中の1社が、2017年7月からWORKSTYLING の利用をはじめていただいたばかりのヤマハ株式会社様でした。

今回のプロジェクトに協力してくださった和佐田慎史さんは、コンセプトを聞いたときの印象についてこう振り返ります。

和佐田さん 「会社としてぜひ協力したいというのはもちろんのこと、個人的にもとても興味を持ちました。実はちょうど同じチームに、育休で休んでいる優秀な後輩がいて。でも保育園の空き待ちで、なかなか復帰できない状態が続いていました。

その損失の大きさを、僕自身が身を以て実感していたんですよね。だからこそ、今回のWORKSTYLINGの取り組みはとても意義深く、面白いと思いました」

開催日まで時間のない中、和佐田さんが用意してくれたのは「楽器バコ(オリジナル楽器)」を自由に作れるキット。パルプのエコパッケージを使ってマラカスにしたり、弦を張ってギターを作ったり、本物のギターやバイオリンとつなげて実験をしてみたり……。

奥村 「子どもたちが当日体験したものはそのまま、夏休みの宿題としても提出できると(笑)。そんな細かいことも含め、参加してくださる親子にとって細部まで配慮されたプログラムを作っていただきました」

大人はいつもの仕事を。その“隣”で、子どもは夏休みならではの体験を

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▲ミーティングスペースにて、「楽器バコ」の実験や工作に夢中になる子どもたち

開催当日、WORKSTYLING汐留に16組の親子が“出勤”してきました。参加してくれたのは、小学校の子どもをもつ会員企業のみなさま。 

子どもたちは夏休みの真っただ中ですが、あくまでも、大人たちは通常の出勤日です。当然のことながら、プログラム参加者以外の会員様たちも多数いらっしゃいました。 

大人たちが仕事に取り掛かると同時に、会議室に集まり、さっそく用意されたプログラムに夢中になりはじめる子どもたち。

 和佐田さん 「子どもの発想ってすごいですよね。一応、作り方の見本のようなものも用意しましたが、その通りに作っている子なんていませんでした(笑)。大いに盛り上がり、みんな楽しんでくれたようなので本当によかったです」 

今回、「子ども専用ルーム」にあてたミーティングスペースと大人の執務スペースを、空間としても導線としても明確に分けました。そのため子どもがあちこち走り回って仕事の邪魔になってしまうこともなく、想定以上に騒がしくなることもなく、プログラムは順調に進んでいきました。

 そして時おり仕事の手を休めては、ミーティングスペースの窓から子どもの様子をほほえましそうに眺める親たちの姿も……。

 奥村 「とにかく仕事をしているときと、ランチの時間などに子どもと話しているときの顔つきが、もうみなさん全然違うんですよ。それが印象的でしたね。 

ふつうの出勤日にお子さんがすぐ近くにいて、一緒に昼食が食べられる。ときどき様子も見に行ける。遠くまでお迎えに行かなくてもいい――。まさに、私たちが体験していただきたかったことの一つひとつに、共感していただくことができたと思っています」 

参加してくれたみなさまからの非常に好意的な反応と、子どもたちの満足げな笑顔とともに、プログラムは無事終了。奥村自身も、確かな手ごたえを得ることができたのです。 

またステキなプログラムを子どもたちに提供してくれたヤマハ株式会社様も、WORKSTYLINGという場所に新たな可能性を感じてくださっていました。

 和佐田さん 「今回ご提供したキットに対するお子さんたちの反応は、僕たち開発部にとって新商品のアイデアを検証することにもつながるんです。自社だけではなかなかハードルが高いことも、WORKSTYLINGという場があることでカタチにできる。ここで生まれる共創は、今後、ヤマハにとってもプラスになっていくはずです」 

妻の里帰り出産に合わせた、夫の“里帰り出勤”! 拠点の活用方法は無限大

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▲WORKSTYLING汐留にて。奥村(写真右)は引き続き、和佐田さん(左)など利用いただいている企業のみなさまと共に、新しい働き方の可能性を探っている

こうして、「子どもと隣で働くプロジェクト」を通したひとつの実験が終了しました。しかしこうした取り組みを日常化し、それを全拠点に広げていくためには課題も残されています。

奥村 「WORKSTYLINGの拠点は、あくまでも“仕事をする場所”であり、小さな子どもを預ける前提で設計されているわけではありません。
ただ家の近くのWORKSTYLINGで開催することで、より一層子どもとの“出勤”が気軽になる可能性があります。だからこそハード面の課題や開催拠点の検討については、これからクリアしていかなければなりませんね」

一方で、今回のプログラムをきっかけに、思いがけないところで生まれた新しい「子育てと働き方」のアイデアもありました。

和佐田さん 「実は2017年の冬、うちにも子どもが生まれる予定なんです。妻が地元の仙台で出産するので、WORKSTYLINGを活用した『働き方改革』のトライアル施策を会社に提案しました。
妻が里帰りする11月から、週2日ほど、僕はWORKSTYLING仙台でのテレワークを許可してもらおう、と。そうすれば土日を含めた週の半分以上の時間を、家族一緒に過ごせますから」

WORKSTYLINGは法人に特化したサービスを数々整備しているため、こうした自由度の高い働き方を受け入れたとしても、管理側の手間や労力が増えることはないのです。

奥村 「私たちが作った場所をそんな風に使っていただけるなんて……そのアイデアを聞いて、とても感動しました。何より、奥様に寄り添いたいという和佐田さんの想いがステキだな、と。WORKSTYLINGを、子育ても仕事も大事にしているみなさんの気持ちを叶えられる場所にしていきたいですね」

2017年10月現在、WORKSTYLINGの拠点は全国21箇所まで増加しました。そしてこれからも、その数は増えていく予定です。

企業に勤めていても、家の近くの仕事場に子どもと共に出勤し、それぞれが思いおもいの時間を過ごせる。家族のライフステージに合わせて、柔軟に働き方をコントロールしていける――そんな未来を1日も早く実現できるよう、WORKSTYLINNGを通じた実験は、まだまだ続きます。


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「WORKSTYLING」公式サイト https://commons-web.jp/workstyling/ws.html

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