地域のため、未来のために。「産学連携×地方創生」への挑戦

MJEでは大阪大学経済学部・中川ゼミとの共同研究を積極的に進めています。2018年度に実施した研究のひとつが「徳島県三好市・地方創生プロジェクト」。同市に本社を構える南海MJEがサポート役となり実用化を想定したビジネスプランを練り上げました。7カ月に及んだその一部始終をメンバーが振り返ります。
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地方創生という壮大なテーマに挑んだ、4人の阪大生

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▲会議でアイデアを出し合う大阪大学経済学部・中川ゼミの学生たち

大阪大学経済学部・中川ゼミのスローガンは「アカデミーの力を現場にいかす。現場の知見からアカデミーを発展させる」。フィールドワークを主軸としながら、多様な企業との共同研究・開発案件を進めています。

「徳島県三好市・地方創生プロジェクト」は、2018年度に提示された研究テーマのひとつ。メンバーは、4年生の仁木亮太郎さん、菅野雅人さん、3年生の吉本裕さん、山本晃幹さんの4人で構成されました。このプロジェクトに参加した理由はメンバーそれぞれ異なります。

仁木さん 「僕は徳島県の出身。三好市とは少し離れた南部地方の町にある和菓子屋が実家です。『大学で学んだことをいつか地元に還元していきたい』という気持ちは以前からありました。このプロジェクトの概要を聞き将来やりたいことへの糸口になる絶好のチャンスだと考えました」
山本さん 「提示された 7つの研究テーマのなかで最も自由度が高いプロジェクトであることに、魅力を感じました。たとえば “集客する”とか “売上を伸ばす”という明確な目的があれば、初動のイメージがつきやすいのですが、これは地域創生というとても大きなテーマ。
何から手をつければいいのか、見当もつかなかった……そんな未知の世界に、一度飛び込んでみたかったんです」

「今までまったく関わっていない分野でビジネスプランを立ててみたかった」という菅野さん、そして「以前から社会課題に関心が高かった」という吉本さん。

それぞれの思いを胸に集結した4人は、このプロジェクトを通して出会い、研究を進めながら親交を深めていきました。

しかし、頻繁に「かなり難しいテーマだった」という言葉が漏れるところを見ると、スムーズに運んだことばかりではなかったようです。

一体、どんな困難が4人を待ち受けていたのでしょうか。そして南海MJEはどのように関わってきたのでしょうか。

“三方好し”のプランにしたい 奔走しながら難しさを実感

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▲三好市での実地調査にて、祖谷・かずら橋

「徳島県三好市・地方創生プロジェクト」は2018年5月に始動。12月に三好市でおこなわれる「ビジネスプラン発表会」をゴールに進められました。南海MJEとの週1回のオンライン会議と、月1回の現地調査を実施し、試行錯誤を繰り返しました。菅野さんは、初めて三好市に訪れた時の印象をこう振り返ります。

菅野さん 「僕は千葉県の出身。このプロジェクトに入るまで、四国のことをあまり知りませんでした。三好市に対しての先入観も特になし。
でも、現地に行ってみて『ここでビジネスを考えるのは結構大変なことなんだろうな』とまず思いました。町には人が少ないし、商店街も活気があるといえる状況ではなかったんです」

しかし、地元の住民や店舗オーナーへのヒアリングを重ね、三好へ足を運ぶごとに、菅野さんの気持ちにも変化が生まれてきました。

菅野さん 「はじめに見た駅前の景色は、ほんの一部分に過ぎないということがわかったんです。三好には、国の重要文化財である祖谷のかずら橋やラフティング体験など、豊かな自然に囲まれた見どころやアクティビティがある。もっと広い視点で目を向けていき、市全体で活性化できるプランができたらいいなと考えるようになりました」

銀行や市役所、観光企業など、地元企業や団体へのヒアリングは、主に仁木さん、山本さんの担当。住民の視点とはまた違った角度から地域課題を吸い上げていきました。

しかし、日を追うごとにメンバー一人ひとりが、このプロジェクトの“本当の難しさ”を実感しはじめます。

仁木さん 「プランを構想するには、利益をもたらすビジネスの視点、サービスとしての魅力を追求する消費者の視点、そして、地元の人々に本当に喜ばれるのかという 3つの視点、つまり “三方好し”かどうかが大切で。
具体化していくほどに、多くの人を巻き込みながら実のある意見を聞くことが重要になっていきました」

地域のことを知れば知るほど、本質を追求したプランにしたい。けれども、方法がわからない。そうした時、確かな手を差し伸べるのが南海MJEの役割でした。

実現したい その一心でプランから“ビジネスモデル”へ

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▲今回のビジネスプランのコアアイデアとなるトゥクトゥクを実際に三好市で試走する

南海MJEは、主に調査をするうえで必要となる地域企業や団体、関係者に関する情報を提供することで、プロジェクトのサポートをおこなってきました。

アイデアがある程度出そろった時に「本当に適したプランなのか」を確かめるべく、商工会議所へとつないだのも、南海MJEでした。

山本さんは、人口減少に着目し、交流人口から定住人口へと変える「民泊×仕事」の仕組みを、仁木さんは、廃校に店舗を呼び込む「廃校パーク」を、菅野さんは三好の魅力をまんべんなく伝える「修学旅行プラン」をそれぞれに持って、商工会議所に相談。

その意見を参考に検討を重ねた結果、最後のひとつに絞られたのが、吉本さんが発案した「AWA-TUK(あわとぅく)」でした。

「AWA-TUK」は、東アジアで普及している三輪タクシー・トゥクトゥクを無料観光案内サービスとして活用するプラン。以前インド旅行中に見かけた、トゥクトゥクのエネルギッシュな姿に、ヒントを得たといいます。

吉本さん 「三好市は交通アクセスの悪さが、観光、定住などすべてのボトルネックになっていると感じました。手段をつくるだけでなく、移動そのものを楽しめるトゥクトゥクを導入すれば、人が訪れる動機づけになるんじゃないかと。
『イノベーションは別の事象の掛け合わせで起こる』という思考がベースとなりました」

次の段階は、練り上げたプランを “実現可能なビジネスプラン”にまでブラッシュアップすること。

仁木さん 「AWA-TUKを運営するためには、まず、収益をつくる仕組みを構想することが先決でした。最終的には、観光客に市内で使用可能な買い物チケットを販売する、という内容で落ち着きました。
でも、そこにたどり着くまでには、道路交通法などの法律や補助金制度、土地の所有権、地元の相場など、多角的に調べることが必至だったのですが、ここが非常に重要で、難しいポイントでした」

いざビジネスプランに落とし込む為に、必要な情報を集めるとなると、誰に聞いて、どこで調べたらいいのかわからない――そんな局面で、たびたび彼らの頼みの綱となったのが、やはり南海MJEが持つ地域情報でした。

ユニークな三輪タクシーが、地域社会を明るい未来へと導く

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▲地域行政や学校関係者、企業、大学教授などを招いて三好市で開催されたビジネスプラン発表会

南海MJEの社員として学生たちのサポート役を務めたのが、入江翼です。もともとはMJE本社に在籍していましたが、2018年4月に南海MJEへ出向となりました。

入江 「新卒入社 2年目で出向となるのは社内でも珍しいことなんですが、私は愛媛県出身、出身校は徳島大学なので、適任とされたのかもしれません。本社では経験することのできない地方創生という大きなテーマに挑戦できることが、何よりも嬉しいです」

南海MJE代表の瀬尾亮介とともに取り組んでいるのが、三好市より委託されている地域活性化への取り組み「生涯活躍のまちづくり」。この産学連携プロジェクトのゴールである「ビジネスプラン発表会」の企画・運営もおこなっています。

ビジネスプラン発表会当日は、地域行政や学校関係者、企業、大学教授などを招き、発表された7つのプラン実現に向けた意見交換を実施。そのなかでも「AWA-TUK(あわとぅく)」は高評価を得ることができました。

山本さん 「AWA-TUKという珍しい乗り物が、三好の象徴的な存在になる。そんな可能性を秘めた、ユニークな発想が受けたのかもしれません。僕たちの考えが及ぶところには限界があったかもしれませんが、地域の人々に少し違った未来を見せられてよかったです」

「プランをただ発表する場にしない」というのが「ビジネスプラン発表会」のモットー。当日発表された魅力的なプランは、来年度、行政や民間企業と協力した実証実験をする方向で動いています。

入江 「地域創生と産学連携に同時に関われた AWA-TUKは、自分にとって特に思い入れのあるプラン。ぜひとも実現させたいですね」
仁木さん 「将来、地元徳島に貢献するべく、その実用化に関われたら光栄です」

みんなの思いを乗せて、カラフルな三輪タクシーが三好の町を駆け抜ける。近い将来、そんな光景が見られるかもしれません。

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