「大切にしたい価値観」が多すぎて40個くらいになっていた――制作者たちの奮闘

MJEが大切にしてきた「コモンバリュース(COMMON VALUES)」は、運用開始から8年を迎えた2019年、新たにアップデートされました。その過程にあったさまざまな健闘を、デザイナーの立場からサポートした戸田、ライティングを担当した山下が振り返ります。

なかなか煮詰まらなかったコモンバリュース改定の議論

▲コモンバリュースのまとめを依頼された戸田(左)と山下(右)

「こうなったら、戸田くん、呼びましょうか」

残暑の日差しがまぶしい大会議室。株式会社MJE(以下、MJE)の大切な価値観や行動指針を示した「コモンバリュース(COMMON VALUES)」の改定についての議論がまとまらず行き詰っていたときに、どこからともなく発せられたひとことでした。

コモンバリュースは2012年 の運用開始以降、推進委員会が結成されたり、毎朝朝礼で唱和したりと、あらゆる取り組みがなされていたものの、会社の規模が拡大し、多様な社員が増えたこともあり、いまひとつ社内に浸透していないことが、ここ数年問題視されていました。

「そもそも、コモンバリュースで言っているような行動を、責任者層はとれているのか?」そんな疑問を皮切りに、ゼネラルマネージャー(以下、GM)以上の経営陣でコモンバリュースを一新するプロジェクト「コア・リーダーシップMTG」が始まったのは2018年春のこと。

毎回、会議室のホワイトボードには「成長」「当事者意識」「機会」「顧客体験」など、さまざまなキーワードが並びましたが、それらをどうまとめるか、という最後の段階で議論が煮詰まらずにいました。

そんなときに声をかけられたのが、入社7年目のデザイナー・戸田でした。この手の依頼には慣れていた戸田ですが、期待に応えようと思う反面、複雑な気持ちや不安もあったと言います。

戸田 「初めの依頼内容が『良い感じにまとめてほしい』というぼんやりとした依頼内容だったので、いったい誰にとっての『良い感じ』なのか、何をもって『良い感じ』なのか、このままでは『良い感じ』迷子になってしまいそうだったので(たぶん経営層も同じ状態……)、まずはそこから整理していこうと思いました。
でも正直、依頼を受けたときは、期待に応えたいと思う反面、まだまだ社内には『デザイン=見た目をよくすること』というような認識があるのかもしれないな、という少し複雑な気持ちと、そもそも価値観経営やコア・バリュー経営の方面にあまり知識がない僕がやってしまっていいのだろうか、という不安も少しありましたね(笑)
とはいえ、こんなふうに、会社の責任者たちが一堂に会するような長期間のプロジェクトにかかわることはなかなか貴重なので、かかわれたこと自体は純粋に嬉しかったです。
それにこういうプロジェクトに顔を出しといたほうが、今後仕事をするうえでいろいろと話が通しやすくなるかもしれないなあ、というちょっとした打算もあったのは内緒です(笑)」

MVVのフレームワークをヒントに46個あった言葉を11個に

▲GM以上から出た言葉を元に整理をする戸田、山下とファシリテータを務める三木

戸田がまず手を付けたのは、過去十数回にわたって開催されてきた改定ミーティング内容を担当者から共有してもらうことでした。

所狭しとキーワードが並べられたホワイトボードの写真たちを見て「これは、なかなか手ごわいぞ」と感じた戸田は、企業理念のつくり方、他社の企業理念の構造、社長が理想としているような企業の理念のつくりなど、自分なりに調査と勉強を重ねました。

戸田 「コモンバリュースに載っている言葉を数えてみたら、全部で46個ありました。
数が多いこと自体は問題ではないんですが、それらの関係性が複雑で説明が難しいから浸透のハードルが高かったのかも、と思ったので、できるだけシンプルに、少ない言葉でさまざまなことを説明・解釈できるような感じにまとめたいなと思いました」

そんななかでたどり着いたのがMVVというフレームワークでした。

MVV、それは、「Mission:企業の目的・存在意義(私たちはなぜ存在するのか?)」「Vision:あるべき姿≒アイデンティティ(私たちは何者で、何をおこなうのか?)」「 Value:価値基準・価値観(ミッション・ビジョン実現のためにどんな志向であるべきか?)」これらを明確化することで、誰が見ても企業の存在意義がわかりやすい形にまとめることができるフレームワークです。

さらに戸田はこの“言葉の選択の部分”に、入社3年目の部下である山下を呼ぶことにしました。

戸田 「山下は、ライターとして本格的に修行したことはないですけど、自社メディアを運営していた時期から、誰よりも『言葉』に真っ正面から向き合ってきましたし、これまで一緒にWeb制作などの仕事をしてきて、ごちゃっとしたまとまりのない言葉のかたまりからしっかりとした『たたき台』をつくれる力を彼女はもっているなあと思っていたので、プロジェクトに誘いました」
山下 「私も、最初にホワイトボードの写真を見せてもらいました。言葉の抽象度のばらつきとか、参加メンバーそれぞれの主張の強い・弱いとかが垣間見えたような気がしました。なので、いったん議論の芯になるようなたたき台を出して、それを修正していくかたちで議論を深めていければと思いました」

ついにやってきた、2人にとって初めてのコア・リーダーシップMTG。当初は、10月の社員旅行で新しいコモンバリュースを発表しようという予定でしたが、そのときは既に9月半ば。

戸田と山下は、まず、研修旅行に間に合わせることを目的に無理やりまとめるのではなく、あくまで「この場にいる全員でつくりきること」を目的にすべきだという話をしたうえで、山下とつくったたたき台を発表しました。

戸田 「実際にMTGに参加してみると、参加メンバーそれぞれのコモンバリュースに対する思い入れや、リニューアルへ向けての言葉選びへの慎重さがひしひしと伝わってきました。
多忙で一堂に会する機会が少ない経営陣なので、何か形となるものがないと、話が本題からずれたり、決まるものも決まらないと思っていたので、1発目でフレームワークのたたき台をつくってもって行ったのは正解だったと思います」

ついに発表された新たな Value そして Way

▲新たな Value と Way を全社に発表し、実施したワークショップの様子

そして、年が明けて2019年。新年1発目の朝礼でついに新たなMisson・Vision・Value、そしてさらにValueを実現するためのWay(行動指針)を全社員の前で発表しました。

戸田 「発表は難しかったですね。会社にとっても重要な発表の場なので緊張もしました。『どんな順番で話す?』『どんなテンションで話す?』『どうしたら社員みんなに伝わる?』と、お正月中もずっとぐるぐる考えていたくらいです。
発表の一部を山下にしゃべらせてみたら、こいつ、人前で結構しゃべれるやん!という発見もありました(笑)」
山下 「あんなふうに人前で話す機会はめったにないので、かなり緊張しました。
こういった大切なことは、影響力のある経営陣の人が発表するものと思っていたんですが、逆に、まだ3年目である私が前に立つことで、『新しい行動指針は、これまでとは違うみたいだぞ』という印象は、聞き手に与えられんじゃないかと思います。
単なる発表ではなくて、私の話を聞いているあいだに、聞き手に自問自答してもらえるような『問い』を入れることを意識して発表しました。
たとえば、『目の前の人に敬意をもつ』という行動指針があったら、『あなたが人から敬意を感じるのはどんな瞬間?』といった具合に問いを立てるわけです。できるだけみんなが考えやすいような問いを立てるのは結構難しかったです」

さらに、この日は発表だけでなく、普段の行動に落とし込めるように全社員でワークショップも実施しました。策定にかかわった経営陣をファシリテーターとして、200名が5~6名ずつに分かれて5時間ものあいだディスカッションを繰り返す、大規模なワークショップとなりました。

戸田 「会場が狭いとか、ファシリテーターが足りないとか、運営の反省点はありましたが、ワークショップはやって良かったなあと思います。やっぱり、発表しただけではまた浸透せずに終わってしまうと思いますので」
山下 「ワークショップの様子を見ていて、やっぱり私たちの説明だけでは理解度にばらつきがあるなあと感じました。ワークショップ後のこれからの働きかけが重要だと思います」

大切なのはこれからの行動や意思決定をフィットさせていくこと

▲これからの抱負を語る山下
戸田 「今回の発表やワークショップで、社員のみんなに改定の背景や概要を知ってもらうことはできましたし、考えるきっかけも与えられたと思います。
でも、このまま何もしないでおけば『ただの言葉』で終わってしまう。
今回決めたMisson,Vision,ValueそしてWayは、これからのMJEの意思決定にかかわるものだと思うので、これを中心にものごとを判断していく『価値観』として、全社を挙げて、特に今回プロジェクトの中心にいた経営陣たちが先頭を切って体現していくことが必要だと思います。
部下や組織はそういう経営陣を見て、そういう意思決定を見て初めて動くと思うので。僕自身、すごく良い機会にかかわらせていただいたと思うので、これからも推進のところには積極的にかかわれたらなと思っています」
山下 「私たちがやったのは、最後のかたちを整えるところにすぎません。たくさん時間をかけて決めたものだと思うので、経営陣の皆さんには『自分たちが決めたんだ!』という気持ちをもって促進の先頭に立っていただけたらなと思います。私も、今後の推進には積極的に協力していきたいですね!」

ついにアップデートされたMisson, Vision, Value, Way。経営陣全員でつくりきった「大切にしたい価値観」が全社員に浸透する未来を目指して、これからも歩みつづけます。

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