AI・AR/VRが発達しても変わらないもの——人の心にタッチするコンテンツを作り続ける

4,500万円の赤字決算からわずか5年で東証マザーズ上場を果たした株式会社メディア工房。以来、占いコンテンツの老舗として揺るがない地位を築いてきました。そして成功も失敗も重ね、占い以外の領域へ新しい挑戦をし続けています。そのパワーの源にある想いとは、一体どのようなものなのでしょうか。
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マザーズ上場後、次々に生まれる新しいチャレンジ

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マザーズ上場が会社の飛躍の大きなきっかけとなった

2006年9月に東証マザーズ上場を経て、代表取締役執行役員社長の長沢一男が掲げた課題は、占いコンテンツに加えて第2の事業となる柱をつくることでした。ここから果敢なチャレンジがはじまります。

最初のチャレンジは、“化粧品”。美容家と組み新ブランドを立ち上げ、表参道に出店し話題を呼びました。ところが、美容家と少しずつ方向性がズレていってしまい、2007年12月には撤退。その後、美容雑誌、携帯の販売会社と手がけましたが、いずれも2年程で撤退しまいます。しかし、これで挑戦を辞める長沢ではありません。

長沢「なかなか第2の柱ができない。それでも絶対につくらないいけない。大切なのは、時代の変化を確実に掴んで、新しいものにどんどんチャレンジしていくことです」

2016年現在はゲーム事業にも注力し、さらに、新分野ではAR/VRに投資。4年越しでアプローチしていた企業と業務提携が実現しました。また、AIも屋台骨である占いコンテンツの解析には欠かせない技術として力を入れています。

こうした先進技術へのチャレンジは、会社として掲げている“Be A Pioneer”ーーいわゆる開拓精神の表れでもあります。

長沢「もちろん本当にAI・AR/VRの時代がいつ来るのかはわかりません。ただ、世の中の流れは間違いなくその方向に進んでいるわけだから、やはりその時代の流れについていくことが重要。でもそれだけに注力するのは間違いで、そこを見据えながら広い視野で物事を見ていかないといけないとは考えています」

世界中で見られるコンテンツをーーより大きな成果を求めて海外展開へ

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長沢「世界中で見られているYouTubeのようなビジネスを手がけたい」

私たちにとって大きなビジョン“海外展開”について語るとき、長沢はこのような夢を掲げます。しかし、それをはじめたきっかけは決して前向きなものではありませんでした。

長沢が海外展開の必要性を強く感じたのは、2013年のこと。増え続ける国債発行額に、日本市場のコンテンツ成長の限界が見えてきました。その上、日本の人口は減少の一途。企業としてグローバル化せざるをえないと判断したのです。

狙うのは、人口も多く、ある程度成熟した市場であるアメリカと中華圏。まず手はじめに、2016年5月に台湾で占いコンテンツの配信を開始しました。売上高は平均でなんと1ヶ月800万円を達成。これは想定外でした。

長沢「人口2,000万人の台湾でこの額を達成するとは、親日で占い好きな国民性とはいえ驚きました。月1,000万円にも届くのではと考えています。台湾は、宗教と占いが密接で占いに依存する文化、占いショップがカフェのように街中にたくさんあります。こうした国柄や人の嗜好の違いは、事業を通してあらためて面白いなと感じました」

この成果から「もうひとつ勝負に出たい」と長沢は考えました。それは台湾より、もっともっと巨大な市場である中国です。マーケティングもしっかり行い、少しずつ市場化し、いかに中国市場を料理していくか、私たちはまさに準備の真っ最中です。

常に現在進行形のチャレンジを行いながら、頭の中には、すでに次のチャレンジの種を思い描くーー。これこそが、メディア工房らしいパイオニア精神なのです。

時代は変化する、でも決して変化しないコンテンツの価値

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移転前のオフィス。小さな雑居ビルの一角からスタートした。

長沢「いわゆる自由主義経済は、ある曲がり角に来ていると思います。自由経済を突き詰めた結果、貧富の格差が生まれ平等なチャンスが与えられていないのですから」

今の若い世代は車を持たない、服を着ない、あまり飲みにいかないなど、消費に対するアレルギーが非常に強い世代でもあります。だからこそ、この時代の変化についていくことが重要だと長沢は考えています。

長沢「我々が本当にやるべきは、時代にあったトレンドをしっかり掴みながら“人間が真に欲求する”コンテンツをつくっていくこと。これに尽きます。いかに人間の心に触れるか。そして感動させられるか。さらには人を元気にし、支えになるようなものをつくりたいと感じています」

これから、社会の変化はスピードを増していくでしょう。AIの進化は間違いなく加速し、AR/VRも5年後には大きな変化を遂げているでしょう。ただし、それは技術。人間のエモーショナルな部分は変わりません。

長沢「時代が変われども、普遍的な部分、人間の感情は変わりません。感動するところは今も昔も同じ。本や映画でも、観た後にがんばろうと思えるものと、確かに面白かったけれど、それ以上でも以下でもないというものがあります。私たちが生み出すコンテンツは前者。幸せになるものを届けるべきだと思います」

「“幸せ”は、普通にやっていたら手に入らない」

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「パイオニア精神」。これが、長沢が大切にしているもの

パイオニア精神で忘れてはいけないのは、“Never give up, Never Never Never”。いわゆる「絶対諦めないぞ」という気持ちです。

長沢「失敗してもなお私が取り組みをやめないのは、それでもやるんだという強い思い、Never give up, Never Never Never”の精神があるから。みんなで徹底的に取り組む、けれどもうまくいかなければ撤退する、そして新たなものを模索し挑戦し、新たなものを生み出していくーー。変化に強い企業にしたいんです」

「みんなで取り組む」という姿勢は、社名にも込められています。社名の“工房”は、職人たちの集まりを象徴しています。職人ひとりひとりが公平な立場で、チームワークを大事にものづくりをし、デジタルコンテンツの中にあたたかさを込めています。反対に、長沢がもっとも嫌うのは、いわゆる社内政治的な無責任な姿勢。

長沢「縦社会が残る日本の組織では、上司の言葉が絶対という関係もあります。でもコンテンツ制作の現場においては、これはあってはならない。コンテンツとは、多様性や様々な考え方がある中から生み出されるものです。制作者たちの考えを尊重すべきだし、もちろん『誰かが言ったから』という半ば無責任な言葉も絶対におかしい。私たちはコンテンツを通して、作り手である自分たちの“想い”を届けるわけですから」

どんな苦境でも諦めずに、お客様に想いを届け続けてきたからこそ、メディア工房の“今”、そして“未来”があります。

長沢「人間を信じすぎてはいけないけど、信じなかったら明日はない。平和じゃないと幸せはない。でも自然に平和になっていくことはない。だから『どうすればいいか』を自分たちで考えないといけません。“幸せ”は、普通にやっていたら手に入りません。我慢や努力があってはじめて勝ち得るものです」

決して諦めることなく挑戦をし続ける、メディア工房流のパイオニア精神。これは、お客様も作り手も共に幸せになるための極意なのです。

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