日本にドロップシッピングが誕生して10年――「もしも」が唯一生き残り、過去最高売上を更新しているワケ

在庫を持たなくてもネットショップを運営できる「ドロップシッピング」。株式会社もしもが日本ではじめて個人向けドロップシッピングをサービスリリースしたのが2006年。その後20社以上が業界参入し、メディアを賑わせていました。しかし10年経った現在は「もしも」しか生き残っていません。なぜもしもが生き残ることができたのか?国内ドロップシッピングの10年間を振り返りながら、その理由を紐解きます。
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大手企業が続々参入!?  もしもが最もユーザー負担の少ないサービスの提供に成功

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「ドロップシッピング」とは、直訳すると「直送」という意味です。米国ECの約3割がドロップシッピング形式とも言われています。

2006年当時、米国で人気あるドロップシッピングというサービスを聞きつけた、もしもを含む数社は、どこが最初にリリースができるかリリース日を競い合っていました。

そんな中、もしも代表の実藤裕史は元アフィリエイターということもあり、アフィリエイター仲間にヒアリングを行いました。そこで「個人で問い合わせ対応をするのは辛い」「法的な販売責任をもつのは大変だ」という声を拾い上げます。

実藤「こんなに反対の意見が多いのでは、米国型のドロップシッピングは日本で成り立たない。ユーザーの使い勝手のいいように日本型ドロップシッピングに改善しなければいけない」
利用者にリスクを負わせない仕組みをつくろうと、このとき決意しました。

実藤「もしもはショップのメリットを追求しよう。対応するスタッフの人件費を考えると、当面は赤字になるかもしれない。でも、たくさんの人に使っていただいて規模が大きくなれば、メーカーから商品を安く仕入れることができ、黒字化できるはずだ」
そして、もしもは「利用料無料、キャンセル負担なし、カスタマーサポート負担なし、物流負担なし、仕入れ負担なし」という、ドロップシッピング業界の中で最もユーザー負担が少ないサービスの提供を決定。さらにエンジニアの頑張りもあって、一番乗りでサービスをリリースすることができました。

その結果、もしもドロップシッピングは多くのユーザーにご登録いただき、日本最大級のドロップシッピングサービスとして業界を発展させていくことになります。

ドロップシッピング“やるやる詐欺”が横行。そのとき、もしもがとった行動は?

順風満帆に始まった、もしもドロップシッピングのスタート。ところが2009年頃には、「ドロップシッピング」の名を騙った詐欺が横行してしまいました。

これは、詐欺会社が「ドロップシッピング」の名だけを利用し、「ネットショップを作ったら必ず利益になる」と勧誘を行い、高額の初期費用を振り込ませ、その後は約束を履行しない、といういわば“やるやる詐欺”です。

この“やるやる詐欺”の横行は、ドロップシッピング業界にとって大きな打撃でした。

実藤「『ドロップシッピングをはじめたい』と思う人たちが、正常なサービスを利用してもらえるように、率先して呼びかけを行うことが大事だ」
そう考えたもしもは、いち早く行政・警察と密に連携を行うことに決めました。さらには業界としても動けるようにNPO法人の設立を支援し、詐欺被害にあってしまった人たちの相談にも乗るなど、全面的にバックアップをしました。

行政・警察との連携、継続的な啓蒙活動の結果、数年後には詐欺会社の摘発へと繋がります。以降、もしもの尽力もあって、“やるやる詐欺”の被害は収束していくこととなりました。

“生の声”から生まれた機能の数々。秘訣は「ユーザーを愛する思い」

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2013年、ユーザーとのグアム旅行
サービス運営ではユーザー視点が大事と言われていますが、もしもでは、徹底的にユーザーの生の声を拾い、それらを機能として開発してきました。

生の声を拾う方法として行っていることの一つが、有力ユーザーを招いた旅行。これまで、シリコンバレーやベトナム、カンボジア、グアムなどを訪れ、観光をしながらドロップシッピングについての意見交換を行いました。寝食を共にすることで、普段聞くことができない生の声を拾い上げることができる貴重な機会となっています。

また、ユーザー同士が自主的に開く懇親会に、代表が呼ばれることも多々あります。このようにして、もしもはユーザーが求めていることに耳を傾け続けてきました。

「ネットの知識がないけれど、ドロップシッピングを始めたい」という声があれば、ショップを簡単に作成できるツールの提供を開始。さらに「もっと多くのショップを作りたい」という声に応えて、これまで30個までだったショップ作成を、無料で100個のショップを作れる仕様にしています。

その他にも、購入者向けのメルマガ配信システムの開発、大口注文に対応する窓口を用意するなど…. ….ユーザーの声から生まれた機能は数え切れません。

実藤「ユーザーの声は、大変貴重です。頂いたご要望やご意見は、社内のメンバーにすぐ伝え、出来る限り対応するようにしています」
実藤がいつも、持ち歩いているメモ帳には、ユーザーからの生の声がビッシリと書かれています。「ユーザーにとって価値あるサービス」を考え抜く背景にはユーザーを愛する思いがあるのです。
このような実藤やもしものスタッフの行動を通じて、ドロップシッピングを利用しているユーザーの心を掴み、サービスの品質向上につなげていくことができました。

「物を売る楽しさ」をすべての人に伝えたい――ユーザーとの距離を近づけ続けた10年間

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なぜ、実藤はここまでユーザー目線になることができるのか?
それは「物を売る楽しさを多くの人に伝えたい」という、サービス設立時から胸に秘めている想いがあるからです。

だからこそもしもは、ユーザーにオフィスの会議室を無料で開放したり、代表や事業責任者自らがユーザーの自宅まで会いに行きます。メールや電話ではなく、「生の声」を知るために、北海道、熊本、富山、秋田、大阪…場所を問わず訪問しています。

そして、もしもドロップシッピングは2016年に10周年という節目を迎えました。

想定していた通り、リリース後の数年は赤字続きでしたが、現在もしもは黒字へと転換し、2016年上半期は過去最大の売上を更新しています。それは、ユーザーにとって価値あるサービスを考え続けた結果、理想とする形に近づいてきた証です。

現在在籍するスタッフ約30名のうち、約半数はドロップシッピング全盛期から勤めているスタッフです。“やるやる詐欺”などの影響により、「ドロップシッピングは低迷した」と言われていた時期も経験していますが、それでも「もしもドロップシッピング」が世の中にとって価値あるサービスになると信じていたからこそ、実藤と一緒に歩んできました。

WEBサービスが数多く生まれ消えていく中、10年も続いている「もしもドロップシッピング」。サービスとして社会に価値を与えるために「ユーザーを愛する思い」を大切にし続けてきたこと。それこそが、ドロップシッピング業界で、唯一もしもだけが生き残れた理由の1つだと、私たちは確信しています。

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