「もっと時間が欲しい、そう思いませんか?」組織の生産性を高めた先に見えるもの

高稼働や対人ストレスが多く、人が疲弊してしまうような現場が増えています。時間的なゆとりを生むには、生産性向上とともに、働く人のマインドも変えていく必要があります。自分のやりたいことに時間を費やせる社会づくりに本気で取り組む小宮と、組織の生産性を高めるために立ち上げた新しいPMOサービスを紹介します。

なぜ、優秀な人が集まっているのに、皆疲弊していくのだろう

PMOサービスを高品質、低価格で、必要な箇所だけ提供する新サービス「Shared PMO」。マネジメントソリューションズ(以下、MSOL)のPMOサービスの品質は維持しながら、リモートによるプロジェクト状況可視化や、サービス単位、日単位での現場実行支援を行なっています。

「Shared PMO」を立ち上げたのは、現在Shared PMO事業推進マネージャーの小宮啓太郎です。

小宮 「予算規模の大きいプロジェクトなら従来のフルタイム型(月単位)のサービスを活用していただいたほうが効率的です。けれども中小規模のプロジェクトだと、今必要なタスクが限定的だったり、予算が限られていたりします。ですがこれまでは、お客様が任せる業務数や費用を抑えたいと思うと、コンサルタントのグレードを下げるしかありませんでした。そこのニーズを埋めるのが Shared PMOです。
たとえば、ひとり暮らしの人なら、大根を買おうとしたときに、丸々 1本はいらないかもしれません。でも三等分に切ってあったら、多少割高でも買うじゃないですか。そんなイメージです」

小宮は2008年に入社するまで、SEとして大企業向けのプロジェクトに携わるなど、IT業界で経験を積んできました。しかし、当時のIT業界は終電や徹夜が当然のように続くハードな環境。プロジェクトリーダーなども務め、キャリアは重ねていきながらも、労働環境が改善されないことに、小宮はだんだんと疑問を抱くようになります。

小宮 「自分の会社も、他の会社も、優秀な人はいっぱいいるんです。一人ひとりと話すとみんないろんな技術を持っているし、いろんなことを知っている。なのになぜみんな疲弊してくのだろうと。
もちろんプロジェクトが無事終われば達成感はありますけど、じゃあ『もう 1回同じことをしたいですか?』と聞かれたら、イエスと答える人は少ないと思いました。そんな状況では、長く働き続けることなんてできない。そこの疑問はずっと持っていました」

疑問を抱えながらも、夜遅くまで働く生活に追われ、解決の糸口はまだ見つけられずにいました。

転職のきっかけは、MSOLコラムと代表取締役への強い共感と期待

20代:2008年冬 ロンドン アーセナルの本拠地「エミレーツスタジアム」にて

小宮は20代の頃から、月に1~2万円をかけてビジネス書を読み漁り、個人レベルでの生産性の向上や効率化は進めていました。

小宮 「新卒 2年目くらいには、エクセルでマクロを組んで、自分の頭のなかにあるタスクを洗い出し、優先順位を付けていくツールを自作しました。これは改善しながら今でも使っています。なぜそこまでやったかというと、とにかく時間がなかったんですよ。
当時は、フットサルを深夜 10時~ 12時でやって、その後飲みに行くとか。それくらいしないと遊ぶ時間がなかったんです。若かったですし、何とか自分の好きなことをしたり、本を読んだりしたい。その時間をひねり出すためにやっていました」

工夫を重ね、徐々に仕事は上手く回り始めますが、個人レベルでは限界があることも実感。組織で改善する必要性を強く感じていました。そんなときに、MSOL代表取締役社長の高橋信也の書いた「PMOを生かす」(日経BP)というコラムを目にします。

小宮 「そこにはトラブルや失敗などの “プロジェクトあるある ”が具体的に書いてあり、それに対する答えやヒントも載っていました。自分と同じような疑問を持っていて、さらに解決策まで提示している人がいるんだと驚きましたね。自分も働き方を変えたいなら、もうこの人のところに行った方が早いだろうと、MSOLに面接を受けに行ったんです」

小宮が一次面接に向かうと、面接官として待っていたのはなんと、代表の高橋でした。

小宮 「いきなり社長か!と思いましたけど、その高橋との会話がおもしろすぎたんです。私はもともと組織論に興味があって、新卒で人事系の ERPパッケージに関わる SEになりましたし、そのときの不満やモヤモヤも組織に関するものでした。
そして高橋も、アプローチは違えど組織論に非常に興味を持っていて、私が大学の卒論で『社会学的に見た日本的経営』について書いたことを話したら、意気投合。面接というよりはディスカッションになって、志望動機や経歴は聞かれた覚えがないです(笑)」

和気藹々とした雰囲気で面接は終了。しかしこのとき、小宮は「この会社に決めたい」と意を固めました。

朝6時の衝突と和解。物事を動かす本質を、身をもって感じた

2枚目写真と同じ「エミレーツスタジアム」ピッチにて。同年MSOLに入社。

小宮は、仕事に大きな期待を抱いて2008年にMSOLに入社。しかし入社早々、理想と現実のギャップを目の当たりにします。

小宮 「すごくスマートに業務が進んでいるだろうと思っていたんですが、まったくそうではありませんでした。当時すでに混乱ぎみだったプロジェクトに入ったというのもありますが、現場はやはり疲弊しているようでした。入社 1カ月くらいして、たまらず先輩に『このままでいいんですか?』と詰め寄ったりもしました」

プロジェクトは、崩壊寸前。疲労とストレスが限界に達した、とあるチームリーダーとぶつかりました。

小宮 「その方が、感情的に『もうこんなんやってられまへんわ』みたいになってしまって。その話をしていたのは徹夜明けの早朝ですし、いろいろパニックで壊れてきてたんです。もうそこからは、スポ根の世界。
『ちょっと待ってください!諦めたら終わりですよ!ぶっちゃけで話しましょう』って無理やり引き留めて、『御社の裁量に超えるものであれば、自分が持ち帰って掛け合いますから、どうしたらいいか一緒に考えませんか?』『いやいやもう降ろさせてもらいます』『そうじゃなくて!』としばらく感情で会話したら、そこでようやく心を開いてくれました」

このドラマのような修羅場を乗り越えたおかげで、小宮は物事を動かすうえで大切なことを学んだのです。

小宮 「ソリューションだ、フレームワークだ、と言うだけではなくて、結局やるのは人間なので、人と人がその痛みとか苦しさとかまで共感し合わないと上手くはいきません。それを身をもって経験できたことは大きかったと思います。これは本だけでは絶対わからないこと。そこで『理論と実践のバランス』を学びました」

それ以来小宮は、大変な現場の時ほど、理論や知識のみに頼るのではなく、人間として相手に本音でぶつかり、課題を解決するようにしています。

PMOという立場から、社会に一石を投じたい

これまでのPMOの経験を活かし、「生産性」にフォーカスしたサービスが「Shared PMO」です。

当初社内には、「PMOサービスを切り分けて提供することなんてできるのか?品質が落ちるのではないか?」など、懐疑的な声もありました。ですが、徐々に依頼が増え、社内外からの引き合いは増しています。

「Shared PMO」立ち上げの根底にある思いは、時間をつくること。2児の父としても奮闘する小宮は、時間の貴重さを日々実感しています。

小宮 「朝は子どもを毎日送りに行って、週 2回はお迎え。 5日分のご飯を月曜日と火曜日につくっています。このご時世、奥さんに全部任せるわけにもいかないので。私が一貫して思っているのは、『もっと、時間がほしい』ということなんです」

そして、一人ひとりの余白時間の増加が、社会を変えることにもつながると考えています。

小宮 「生産性を高めることによって、自分の余白の時間を増やし、その余白の時間を、家族サービスだったり、仕事だったり、やりたいことに費やす。能動的にそういう行動を起こせる人が増えれば、価値観は変わっていきますし、世のなかはもっとよくなるんじゃないかと思います。
自分たちはもしかしたら、今のままでもギリギリやっていけるかもしれませんが、子どもたちの世代には世界は大きく変わっているはずです。そうなったときに対応できるように、意識や価値観の変化というところに、一石を投じたいと思っています」

生産性を上げることが、仕事だけではなく人生全体の充実度にも影響する。そのマインドを持つ人が増えれば、社会はよりよくなる。そう信じる小宮は、今後もPMOという立場から、社会に影響を与えていきます。

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