「心の健康に携わる者が活躍できる世の中」を目指して

▲大学時代:後列右から2番目が大内

医療に携わる一家に生まれたこともあってか、私自身も無意識のうちに「人を健康にして幸せになってもらえるような仕事がしたい」という気持ちを自然に抱くようになっていました。ただし、最終的に最も引かれたのは身体の健康ではなく心の領域。

大学でも心理学を専攻し、当初は産業カウンセラーの資格を得てカウンセリングなどの仕事に就く未来をイメージしていたんです。ところが具体的に調べ始めてみると、かなり大勢の人が有資格者となっているにも関わらず、活躍の場が限られておりまして……。職業として維持することすら難しいのだという現実を思い知らされることになりました。

もちろん自分の将来を案じて「どうしよう」と戸惑いましたが、同時に「こんな現実を誰かが変えなければいけない」という気持ちも湧いてきました。ですから民間企業への就職活動を開始していく中で、「自分自身が産業カウンセラーになって、少ない選択肢の中からどこか働ける場所を見つけるのではなく、心の健康に携わる人たちが活躍できる場をいつかつくって提供できるようになりたい」という願望が芽生えていったんです。

MSOLに魅力を感じたのは、マネジメントのプロフェッショナルとなってお客様や世の中に貢献していける、という点です。いつになるかはわからないけれども、「心理学関係者が活躍できる場」を用意しようというのなら、マネジメントというスキルや経験は間違いなく必要になる。

そんな想いもあって入社を希望しましたし、社長の高橋にもストレートに将来の夢を話しました。すると「すごくおもしろい発想だよ。良いと思う」と言われたんです。正直、ビックリして「もしかしたら、いずれ退職して夢を追いかけるかもしれないんですけど、良いんですか?」と尋ねても「全然良いよ。応援するよ」と言ってもらい、「こんなに懐の深いベンチャーもあるんだ」と感心しながら入社することを決めました。

マネジメントの成功は人間関係で決まる。だとすれば「心」は重大な要素

▲MSOL入社後:同期と。右が大内

私が入社した2013年当時のMSOLは今ほど大人数の会社ではなく、上場もしていませんでしたが、いくつもの名だたる企業からオファーが次々に舞い込み、全社員が多忙な日々を過ごしていました。私も研修後にアサインしたデビュープロジェクトから、立て続けにひとりでPMOを切り盛りすることになったんです。

たまたまの巡り合わせでそうなったとはいえ「最初からこんなに責任を背負い、未経験の仕事と向き合うことになるとは思わなかった」と、めげてしまいそうな心境でした。それでも逃げ出さずに続けられたのは、ふたつ目にアサインされた製薬関係のプロジェクトですばらしいお客様に恵まれたからです。

というのも、医薬業界ですから、当然とんでもなく高度な専門性を持った方たちが集まっています。しかも皆さん年上ばかりなのに、若造でマネジメントの経験値も浅い私をきちんとリスペクトしてくれて、議論して決めたプロセスにしっかり前向きにコミットして動いてくれました。

こうなるとチームは一丸となり、プロジェクトは快調に前進していきます。「マネジメントの仕事っておもしろい」と心から実感しました。加えて、私なりの解釈も生まれましたね。つまり「PMに関わる理論やスキルも重要だけれど、最終的にマネジメントの成否を決めるのは人間関係なんだな」という発想です。

大学時代に心理学の学習の一環として勉強したマインドフルネスが、実はプロジェクトマネジメントにおいても有効に作用するんだ、という考え方がこのころから少しずつ確信に変わっていきました。

産業カウンセラー、マインドフルネス……続けて訪れた“学び直し”のチャンス

▲現在の大内

入社3年目のときに、お客様先で産業カウンセラー資格を持つ方と知り合いました。もともと私が抱いていた夢について話をすると「だったら産業カウンセラーという資格があるから、働きながらでも学んでみたら?」と教えてもらいました。

一般には産業カウンセラーとして知られているこの民間資格を取得すると、たとえばビジネスの現場でカウンセリングを実行したり、研修を開けられます。そうしていくことによって「職場におけるメンタルヘルス対策」や「人間関係の改善」「キャリア開発上の支援」に携わっていくチャンスがあるというのです。そこで、迷うことなく働きながら資格取得のための講座に1年間通いました。

すると、この学習期間が終わって間もない入社4〜5年目にまたしても学びのチャンスがやってきました。当時のMSOLの人財部長の知り合いに、「Googleでマインドフルネス研修を受けた後、そのノウハウを生かした講座を立ち上げ、独立した人がいる」というのです。もちろんすぐにその講座に通い始めました。

こうして嬉しいことに社会人になってからも心の健康について体系的な知識を学び直し、カウンセリングの実習まで経験できたことから、入社時にはまるで雲をつかむようなものでしかなかった夢が、現実味を帯びているような実感が湧いてきたんです。

「仕事で集団をマネジメントしていく経験をさせてもらい、同時にリアルに役立つ心理学を学び直す経験もできているのだから、あとは経営というマネジメントについて学び取れれば独立することだって不可能じゃない。」そう思うようになりました。

ただ、「そうじゃないだろ」というつぶやきも私の心の中にありました。大学時代に学んだ心理学の多くは、「心の状態が何かしらの理由によってマイナスになっている人」を対象としており、「そのマイナスをどうやってゼロにするか」の学びが中心でした。

しかし、社会人になってから学び直した知識の多くは「ゼロの状態の人をプラスに変えていくとこんな成果につながる」という内容。つまり、ビジネスに携わる人たちがマインドフルネスを上手に活用できるようになれば、プロジェクトのマネジメントにも必ず成果が現れるんじゃないかと。そういう気づきが生まれ、MSOLの中で生かしてみたいという気持ちの方が強くなったんです。

「本物の笑顔」でプロジェクトを満たし、成功させるしくみをつくり出す

▲同PJのメンバーと。一番左

プロジェクトのマネジメントをする責任者なのだから、そこに関わるあらゆる人のマインドもマネジメントして成功に導いていくべきだ。そして、そのとき、マインドフルネスをはじめとする心理学上の知見は必ず役に立つ。

でも、そんなしくみを構築した前例はあまり聞きません。シリコンバレーで大成功した外国の企業、たとえばGoogleがわざわざ研修メニューに盛り込んでいることや、Appleのスティーブジョブズがマインドフルネスのための瞑想を習慣にしていたことは知られてはいます。少なくとも日本で心理学の知見を持つ者が任されるのは「マイナスをゼロに戻す」役割が大部分。

だったら、多様な企業の重要プロジェクトのマネジメントを担っているMSOLがしくみを創出していくべき。そうしてプロジェクトを成功させれば、収益的にも喜んでもらえるし、関わった人たちの幸福度を上げる作用だってマインドフルネスにはあるはずです。その上、心理学を学んだ人たちに「ゼロをプラスにする」役割を提供するしくみにだってなる。私が7年前に口にした夢の「形」はこれなんだ、と今なら言えますね。

恵まれているなぁ、と感じたのはMSOLが有志社員たちによる「勝手勉強会」的なものを積極的に奨励している会社だったことです。「自律的キャリア形成」という経営理念が浸透している証です。私もさっそくマインドフルネスについての勝手勉強会を始めたところ、多くの社員が賛同して受講してくれました。その結果、人財本部から「正式な研修カリキュラムとしてやってほしい」という要請ももらいました。

受講する人が増え、自らのプロジェクト内で幸福度の上がる働き方をしていくことで、「雑念を捨て、今この瞬間に集中する」姿勢が自然に伝播していくようにしたい。タフな仕事を心からおもしろく感じ、嘘や偽りのないピュアな笑顔を浮かべる人が増えていくしくみを粘り強く完成させたいと思っています。

もちろん、独立するという選択肢はまだ心の中にありますけれど。今は、この前例のない取り組みでMSOLと共に働く人たちを笑顔にしていくことに夢中になっています。