社員の想いが会社を動かす!社会貢献「ソーシャルビジネス支援プログラム」の誕生秘話

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社には、社員が発案したプロジェクトを支援する制度があります。現在では当社の社会貢献活動の中核となるまでに育ったのが「ソーシャルビジネス支援プログラム」。このプログラムは仕事で培った経験やスキルを社会問題の解決に役立てたい……そんな社員の想いから生まれました。
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はじまりは日曜日のカフェ。社員の想いが会社を代表する社会貢献活動へ

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プログラム立ち上げで重要な役割を果たした家子(右)、現在も社会貢献担当を務める奥野(左)
当社の社会貢献活動である「ソーシャルビジネス支援プログラム」は、事業活動を通して社会課題を解決しようとするソーシャルビジネス事業者の方々に対して、「資金支援」だけではなく、「人的支援(プロボノ活動)」も行うものです。研究員やコンサルタントとして積み上げてきた経験やスキルを活かし、課題解決のために協働を行うことは、シンクタンク・コンサルティングファームらしい当社ならではの取り組みです。

社員からの声をきっかけにスタートし、今年で5年目。当社に支援を求めるソーシャルビジネス事業者の応募数は3年連続で50件を超え、約30名の社員が支援先の課題解決に奔走しています。

そのはじまりは2013年4月。立ち上げメンバーは、当社の副主任研究員である家子直幸を含むわずか6名でした。とある日曜日のカフェに、立ち上げメンバー一同が集まったことがきっかけとなり、少しずつ形になりはじめるのです。

「社内用の資料に、これから会社としてCSRに積極的に取り組んでいくと書かれていたのを目にしたんです。当社には、社員の新しい取り組みをサポートする制度があるので、これを活用して何か新しいCSR活動ができないだろうかと。6人の有志が日曜日にカフェで集まって、作戦会議をしたことがはじまりでした」(家子)
さまざまなバックグランドを持つメンバーが各々の想いを持ち寄って議論した結果、浮かび上がってきたのが、シンクタンク・コンサルティングファームである当社の特徴を生かした「ソーシャルビジネス支援プログラム」の構想。研究員やコンサルタントが現場で培ってきた経験やスキルを、社会問題の解決に役立てようというアイデアでした。

そうと決まれば“鉄は熱いうちに打て”と言わんばかりに、5月のインキュベーションファンド(社員が新たに取り組みたいテーマやドメイン開発を支援するため、会社が資金提供を行う制度)への提案に向けて急ピッチで動き出したメンバーたち。仲間を集める過程で出会ったのが、現在も社会貢献活動の担当を務めている副主任研究員の奥野麻衣子でした。

「私はどちらかというと会社側の視点で、当社のCSRには何が相応しいかを話し合っていました。そう思っていた矢先、ソーシャルエコノミー研究センターという部署を横断的した組織の会合で家子の話を聞いて共感し、協力したいと思ったんです」(奥野)
提案に向けた準備は、通常業務の時間外に行うため、使える時間はほんのわずか。もともとNPOで活動していた家子が社内の仲間を集め、資料作りや経営層との話し合いは奥野が進めるなど、1か月の準備期間でそれぞれの役割を果たしていきました。

「準備の甲斐もあって、社内の支援制度に無事に採択されたのですが、今度は会社として正式に組織を立ちあげるための経営会議が6月に待ち受けていて……。出張時の飛行機内でも、ひたすら経営会議に向けた資料作りに励んでいました」(奥野)
経営会議を経て、7月には社会貢献担当が発足。3ヶ月前に6人の社員が日曜日にカフェで話していた“構想”が、あっという間に“組織”として立ち上がったのです。

熱意を伝え続け、仲間集めに走り続けた4ヶ月

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熱い情熱をもってプログラムを推進
社会貢献を担当する組織が立ち上がり、社員の想いが正式に会社から認められたといっても、ようやくスタート地点に立ったにすぎません。立ち上げメンバーの目標はソーシャルビジネス支援プログラムを実際に行うこと。ここから具体的なプログラムの設計や参加メンバー集めに奮闘していきます。

プログラムの支援内容は、資金提供だけではなく、研究員・コンサルタントが持っている経験やスキルを活かし、課題解決のために協働するという人的支援(プロボノ活動)も行うこと。プロボノとは、職業上の知見やノウハウを活用して行う社会貢献のことで、企業の社員や各分野の専門家が非営利団体(NPO)などを支援するかたちで行われています。

社内に対しても、こうしたプロボノとは何かの説明から始め、プログラムの狙いを説明していきました。

単に“上から目線”でソーシャルビジネス事業者と伴走するのではなく、プロボノ参加者も支援を通じて学ぶことはたくさんあります。

「お互いに刺激し合いながら成長できる機会にしていきましょう」と、社内や支援候補先に丁寧に伝えていきました。

「プログラムを成功に導くためには、プロボノとして参加する社内メンバーと支援候補先の双方に内容を理解してもらったうえで、関心を持ってもらわなければいけません。制度設計もさることながら、それ以上にプログラムの内容を伝えるための草の根活動が大変でしたね」(家子)
社内勉強会やパネルディスカッション、ランチミーティング、メールでの声かけ、社外の有識者を招いたイベント開催……。「メンバーを集めるために、やれることは何でもやった」という家子と奥野。結局、他人事と思われているうちは何を言っても流されてしまう。いかにして、関心が低い社員に興味を持ってもらえるかーー。最終的には個人のネットワークを活かした人海戦術で、熱意を伝えていきました。

社会貢献担当の発足から約4ヶ月後の2013年11月、ついに初回のプログラムがスタートします。

「半年間伴走していくということで、プロボノメンバーのコミットが必要になる活動なんです。通常業務と並行して進めていくので、そこで尻込みしてしまう人もいます。ですから、活動の意義や背景、得られるものや楽しさを地道に伝えていくしかありませんでした」(家子)

家子や奥野をはじめとした立ち上げメンバーの地道な行動が、徐々に周りの社員を動かし、初回のプロボノ参加者は28名、支援先を決定するための投票に参加した人数は82名にのぼりました。

ようやく形になったプロジェクトーー「想定外」だった社内外への効果

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報告会の議事進行を務める奥野
やっとの想いでスタートしたプロジェクト。当初想定していなかった「嬉しい発見」もありました。それは、「社外との交流だけでなく、初めて関わる社内メンバーとの出会いがすごく楽しかった」という参加者の声をたくさん聞けたことです。

「普段の業務のなかでは、他の部署や異なる世代のメンバーと仕事をする機会はどうしても限られてしまいます。このプロジェクトを通じて、普段関わりがない社員同士が同じ課題に立ち向かったり、共に食事をしながら会話を交わしたりすることで、新たな繋がりが生まれていきました」(奥野)
その影響は経営層にも広がっていきます。岐阜県に拠点を置くNPOを支援した際には思いがけない出来事もありました。

「社長がわざわざ一緒に岐阜まで来てくれたのは嬉しかったですね。里山の生態系保全のため、獣害対策用わなを見回るフィールドワークに参加してくださって。ソーシャルビジネス支援という新たな取り組みに対して、経営層が理解を示し応援してくれる、そして言葉だけでなく行動で示してくれるのは大変ありがたかったです」(家子)
プロジェクトの性質上、通常業務と並行して半年間に渡って支援団体をサポートするため、十分な時間を確保することは簡単ではありません。特に若い社員にとってスケジュールや時間の管理は難しい問題。直属の上司が理解を示してサポートをするなど、参加しやすい雰囲気や風土を作っていくことも大切です。

経営層だけでなく、現場への理解も少しずつ広げていくうちに、参加者の層にも変化が見えはじめています。

「研究員やコンサルタントに加え、バックオフィスの社員の活躍が目立つようになってきました。NPOは会計や人事、総務といったバックオフィスの機能が十分でないケースもあり、貢献できる場面が多いんです。参加者の裾野が広がることは、個々人のスキルや経験が磨かれるという点でも非常に効果的ですね」(奥野)
さらには、NPOと白書を一緒に作り、イベント開催やメディアへのアプローチを行ったこともあります。結果的に全国的にこの内容が取り上げられ、参加していた若い研究員にとっては貴重な経験となりました。

社会貢献・ソーシャルビジネス支援のトップランナーを目指して

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熱い想いをもってディスカッション

このプロジェクトを通して、シンクタンク・コンサルティングファームとして培ってきた当社独自の知見を提供できました。その一方で、支援先となるソーシャルビジネス事業者だけがもっているアセット(=独自性・強み)のおかげで、普段なかなか得られない経験ができていると奥野は実感しています。

「プロボノとして団体に伴走しているつもりが、反対に“教えてもらったことの方が多いぐらいだ”という声が毎年聞こえてきます。社内にも、確実によい影響を与えていますね」(奥野)

部署内での“縦の繋がり”に加えて、部署や職種を超えた“横の繋がり”が広がってきたこともそのひとつ。過去に同じ団体を支援していたメンバーに声をかけて、新たな案件を一緒にスタートさせるなど、社内のネットワークが広がることで普段の仕事の幅も広がってきています。
5年前に会社の社会貢献活動の一環としてはじまったソーシャルビジネス支援プログラム。今年度の応募団体数は64件、支援先団体を選ぶ際の投票数は160件超と初年度を大きく上回りました。

事務局メンバーを中心とした地道な広報活動の成果もあり、支援を求める事業者だけでなく、関心を抱く社員も増え、当初思い描いていた形に少しずつ近づいてきています。

「もっと幅広い層の人たちにプロボノを浸透させていきたいです。そして、社員が参画して良かったと言い、社外からみてもいいプロジェクトだと思われる、社会貢献・ソーシャルビジネス支援のトップランナーのような存在になれると嬉しいですね」(家子)

立ち上げ当時から熱い想いを持ち続ける家子。この気持ちは奥野も同じです。

「参加者の顔ぶれを見ていても、ここ1~2年で少しずつ社内外の関心が集まり、変化の兆しが見えるようになってきました。だからこそ走り続けなければいけない。ひとりでも多くの人に参加してもらい、いい体験をしてもらう。それを続けていきたいと思っています」(奥野)

たった6人で、休日のカフェではじめた話し合い――。それが「ソーシャルビジネス支援プログラム」として会社の正式な社会貢献活動となり、3年間でここまで育ってきました。

とはいえ、熱い想いはまだまだ続いています。彼らの挑戦は、はじまったばかりです。

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