きっかけは自身の後悔。高齢者が自分らしく安心して暮らし続けるための挑戦

急速に加速する高齢化社会に対し、早急な対応が求められている日本。エヌアセットでも、65歳以上が安心して住み続けられるための新規事業を展開しています。今回は、当社が賃貸管理会社として提供できる高齢者に向けたサポートや、新規事業設立を行う中で、挑戦を続けてきた社員をご紹介します。

生涯顧客サービス実現のために。この10年でできなかったことと新たな挑戦

▲株式会社エヌアセット 営業部部長 上野 謙

創業12年目を迎えた株式会社エヌアセットは、2019年9月現在社員数約100名。この数年で、お部屋探しの契約件数も増え、高津区では一位の実績を上げられるまでになりました。(※全国賃貸住宅新聞、仲介件数ランキング調べ)

当社には根幹となる営業セクションを支えるかたわら、外国人向けの仲介、地元企業向けのサービスなどの新規事業の立ち上げを担ってきた人物がいます。現営業部部長の上野謙です。

2007年、エヌアセットの前身である総合不動産企業に新卒社員として入社し、エヌアセット創業後も賃貸仲介、売買仲介、保険、管理受託などの営業を行ってきた彼ですが、エヌアセット創業時はまだ社会人2年目。若いながらにして、目まぐるしく変わる当時の環境で奮闘していました。

上野 「当時、しっかりと社会に認められるような事業やサービスをやっている会社がいいと思い入社を決めましたが、 2年目からは状況が一変して。まずは目の前のお客様に対してどうしたら信頼いただけるのか、日々試行錯誤していました」

トライアンドエラーを繰り返しながら数年。時にはまったくうまくいかずに落ち込む時期もありました。それでも彼が進み続けてきた背景にあったのは揺るぎない想いです。

上野 「うまく行かなくてもとにかくがむしゃらに走り回り、良いと思うことはすべて行動し続けました。 そのかいあって、少しずつお客様に信頼されると感じることが増えてきたんです。エヌアセットが目指しているのは生涯顧客サービスの実現。

少し壮大すぎる言葉かもしれませんが、私自身『ひとりのお客様から何度もお仕事を依頼していただけるようになりたい、それこそがお客様の生涯を支えることなのだ』という想いがあったんです。だからこそ、自分自身ができることや取り扱える商品の幅を広げていきたいと考えました」

信頼に結びつくのは地道な努力。ひとりの営業マンとして、賃貸仲介のみならず、売買仲介、保険、オーナーの管理受託営業など自ら業務を広げ、着実に知識と経験を増やしていきました。その中で上野は、まだ自身でフォローしきれていない領域がクリアになっていきます。

上野 「たとえば外国人顧客へ対するサポートです。これはやりたいという気持ちがある反面、どうしても言葉などが障壁となり取り組みきれずにいました。ほかに地域の企業やその社員に対するサポート、高齢化する社会への対応も。

それぞれ、人が安心して住み続けるためには必要不可欠ですよね。でも、これらをひとりでやるにはどれもハードルが高く難しいことのように思いました」

上野個人としても、企業としても、根幹となる事業の基盤固めとともに重点課題としていたのが外国人へのサポートと高齢化社会への対応です。9年前にはエヌアセットベトナム社をホーチミンに設立、4年前には地元の介護事業者への出資など、先行して取り組みを始めてはいました。しかし、本業である賃貸事業との連携ができていない状態だったのです。

まずは知ることから。R65不動産との出会い、協業

▲パートナーである株式会社R65の山本様と。高齢者に向けたサポートの強化を目指し情報交換しています

2019年現在、エヌアセットが提供する高齢者向けのサービスはふたつありますが、どちらも上野を中心に試行錯誤しながら高齢者サポート×賃貸事業のかたちに仕上げてきたものです。

ひとつは2018年9月ごろからスタートした介護施設の紹介。こちらは出資している介護事業者イイケア社と連携しながら、地元の介護施設60施設を中心に、要望に応じて高齢者の方に紹介しています。

上野 「『デイサービスだけでは不安』というお客様へ対してお手伝いをすることになったのが始まりでした。現在は地元のケアマネージャーにヒアリングしたり、勉強会に参加したりしながら、少しずつ営業の幅を広げている段階です。

何事もまずは知ることが大切だと思っています。施設そのもののことや、施設への入居を検討している人について知る努力をし、時には医療に関する用語も含めて勉強していく。大変なこともありますが、新しい知識や体験は、やはり新鮮ですし、やりがいも感じています。看護師の妻には、いつも相談に乗ってもらっています」

もうひとつは“賃貸で暮らし続けたい高齢者”へのサポート事業。今後ますます増加する高齢者、介護施設以外の住まいや暮らしのサポ―トが不可欠になるという上野の考えも反映されています。

上野 「施設紹介を初めて、改めて認識したのですが、介護施設への入居はやはり高額です。

もちろんそれにはさまざまなサービスや人によるサポートがあるので、ある程度の金額はあって然るべきですが、高齢者の住まいの選択肢として賃貸住宅が担うべき役割が多くあることを知りました。 とはいえ、賃貸住宅で住み続けるためにはオーナー側のリスクを緩和する必要があります」

そんなときに、出会ったのが株式会社R65の山本遼さんでした。65歳以上入居可能物件専門サイト「R65不動産」を運営するR65。当社は、パートナー契約を結び、サイトへの管理物件掲出や、入居者向けの見守り機器や保険サービスなどを展開しながら、高齢者世帯の賃貸入居サポート体制を強化することになったのです。

上野 「このパートナー契約により、高齢者が賃貸住宅で “安心・安全 ”に暮らし続けるために、リスク緩和のアイデアやマッチングサービス、実績を共有していきたいです。また、これを契機に、管理エリア内に高齢者入居可能物件をますます増やしていきたいと考えています」

2024年、人口の29.7%が高齢者になると言われている日本。地域密着型不動産であり、生涯顧客サービスを目指すエヌアセットは、このような課題を解決していく使命があります。

きっかけは自身への後悔。高齢者に対する想い

▲自身が立ち上げた高齢者施設紹介サービス利用者と
上野 「実は、私、親不孝をしていると思っていて……」

高齢者サポートに対して熱い想いを持つ上野ですが、その想いが生まれたのには大学生時代の原体験がありました。

上野 「大学生活の後半は、病で寝たきりとなってしまい自宅療養をしていた母親の看護をしていたんです。日中は訪問看護の方がいらっしゃるのですが、夜間や朝は家族で面倒を見ていました。このまま母のそばにいたいと思う反面、『社会人になったら思いっ切り働きたい』という、もともとあった自分の気持ちに嘘がつけなくなってきて。

就職活動中のある日、母に『就職したら、家を出たい』と伝えました。母は、言葉を聞ける状態ではあったものの、自分から発することができない状況でした。私の言葉を聞きながら、涙を浮かべていましたが、その真意は今になってもわからないですね」

社会人になって、目の前の仕事にがむしゃらにしがみつく毎日。

その年の7月、母親が逝去しました。

突然のことだったと振り返ります。

上野 「威勢よく言って家を出たけど、果たして自分は、あのころの想いのまま、仕事をやり切れているんだろうか。もしかして、自分が家を出たから、母は思ったよりも早く逝ってしまったのかな。

母にもっといろいろしてあげたかったな、などと、とめどなく後悔が溢れてきましたが、亡くなってしまった今となってはもう遅い ──だとしたらせめて、これから出会う人に『母にはしてあげられなかったことをしてあげたい』と強く思ったんです」

しかし、日々現場に赴き、日々忙しく仕事と向き合う毎日。高齢者や要介護者へのサポート事業が思ったようには運ばず、考える時間もままならない状況が続きます。

上野 「不動産事業者だからこそできることはないかと思いながらやっていましたがなかなか……。そんなときに縁あって一緒に取り組んでくれることになった介護施設の皆さんや R65の山本さんのような方の存在は大きかったですね」

いい出会いにも恵まれ、少しずつ前進する上野。近頃、さらに先を見るようになりました。

上野「法人向けサービスを始めたときに、ある企業の人事担当者 から聞いた課題のひとつが介護離職。介護と仕事を両立できず、退職する人が少しずつ増え始めているそうです。会社にとって社員は大切な経営資源。大きな打撃ですよね。

同じ地域の企業として、この地域に関わるすべての人に対して、安心して働き続けるための支援ができればよいと思っています。 そのためには高齢者が安心して暮らせる賃貸物件の整備や介護施設との連携が大切です。この地域の人の役に立ちたいと思っています」

現在は、高齢者の入居可能な物件は全体の数%ではありますが、まずはその割合を向上させたい。

駅から遠いのは必ずしもマイナスではなく、周辺環境(買い物、病院など)が整っていれば、高齢者にとっては十分なケースも少なくありません。

母親との別れから13回目の夏、上野の挑戦は始まったばかりです。

人の役に立って、また仕事ができる。連続性のあるきれいな仕事を行いたい

▲8年前に賃貸でお手伝いしたお客様の売買仲介を任せていただくことに

そんな上野が大切にしていること。それは「“きれいな仕事”ができたかどうか」です。

彼にとって、“きれいな仕事”とはどういうものなのでしょうか。

上野 「ひとりのお客様から、連続性を持った依頼を受けられるような、関係性によって成り立つ仕事が、わたしにとっての “きれいな仕事 ”です。先日は、高齢者福祉施設でお手伝いしているお客様から『今所有している賃貸物件の借上げ相談をしたい』とお話があり、提案させてもらう機会を得ました。

その後、ご依頼いただけたのですが、お客様ご自身の資産に関わる大切な業務を任せてもらえることが嬉しくもあり、やりがいだなと思いました。仕事を通して信用していただき、次の仕事を任せてもらえる、そんな連続性をこれからも増やしたいです。

不動産のことから暮らしのサポートことまで、さまざまな相談が寄せられるようになって、一生涯、やりとりが続く。これが私の理想とする仕事のカタチですね」

エヌアセット創業時から共に歩んできた上野。その道のりが彼の美学をつくり上げていったのでしょう。しかし、まだまだ彼の足が止まることはありません。

ようやく、点と点が線となり、面をつくり上げて勝負できるようになってきた入社13年目の今──。上野がこれからもずっと大切にしていきたいことはなんなのでしょうか。

上野 「仕事柄たくさんのお客様とお会いしますが、良い関係性を築くには『自分という人間を好きになってもらう』ということが大前提だと思っています。自分を信用してもらうためには、まず相手のことを真摯に知ろうとする姿勢が大切。お互いの信頼があるからこそ、さまざまなサービスや会社そのものを相手に受け入れてもらえるんじゃないかと」

個人としても会社としてもチャレンジしながら、楽しみながら、そしてひとりのお客様と向き合いながら、生涯かけてお手伝いする。

そんな社員で溢れる会社にするため、今も彼は進み続けています。

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