「周りと違うことをしたい」という想いが生んだ、クリエイティビティ

▲Entertainment Divisionの佐藤
佐藤 「高校生のころから、周りと同じことをするのがすごく嫌でした」

あまのじゃく気質があり、当時流行っていたJ-POPは聞かず、別の音楽を聞いていました。周りとは違う方面のことを知っていく方が楽しかったという佐藤。

佐藤 「みんながやっているからという理由で周りに流されて、そこに自分の意思を感じられないのがすごく嫌でした。それに、違う方面を知るということは、みんなが知らないことを自分なりに追求できる喜びがあります。また、今のクリエイティビティはみんなと違うことをしていたからだと思いますね。みんなの知らないものを知っていた、そして、知りたいという想いがあったからこそ、他の人と違う発想ができ、それがクリエイティビティにつながったのかな、と」

今のクリエイティビティは、高校生のときから培われているという佐藤。

進路については、幼少期からアニメが好きだったこともあり、中学生のときには「高校を卒業したら声優の専門学校へ行きたい」と思っていました。しかし、明確に「声優になりたい」という強い気持ちがなかったため、親を説得できませんでした。そのため、大学へ進学しました。

佐藤 「大学在学時の就職活動のときに、とくになんの仕事をしたいかっていう明確なビジョンが全然なくて。そのときに好きだったアーティストのPVやメイキング映像をいろいろ観て、『ああ、良いな』って思ったのが映像というものを仕事にしたいと思ったきっかけでした」

それからの行動は早く、すぐに就職活動を辞めて、一年間フリーターとして働きお金を貯めました。

その後、好きなアーティストの卒業校であり、映像も学べるという理由から音楽系の専門学校に進学しました。

本当にやりたいこととは、作品から生まれる“つながり”にあった

▲学生時代の佐藤(写真右が佐藤)

専門学校卒業後はポストプロダクションの会社に就職しました。そこでは編集アシスタントの仕事をしていました。しかし、学校で学んできたことを生かせず、やりたいことができない環境であったため、半年で辞めました。

佐藤 「学校では、映像全般を学んでいましたが、実際に仕事で編集をやるとなったときは、学校で学んでいないことがたくさんありました。当初は、学校で学んだことを生かしてバリバリ働くものだと思っていました。だから、学校で学んだことと実務との間にギャップを感じて辞めてしまいましたね」

また、転職した2社目のスカパー関連の会社でも、撮影や編集の仕事をしていました。

佐藤 「最初は楽しかったのですが、これがやりたかったことなのかと言われたら『違う』と思いました」

そこで数年仕事をしていて、自分のやりたいことを再度考え直すようになった佐藤。そのころに初めて参加した東日本大震災のアニメのチャリティーイベントが、彼の転機となりました。

佐藤 「そのイベントで、作品があるからこそ人が集まって助けることができたというのがわかりまして。自分がそういうコンテンツに携わることで、楽しみとか助け合いとかにつながるなら、そんな良いことはないと思いました。そこから自分のやりたいことが決まったな、と」

その後、ナオ社に編集職で転職することになりました。

純粋にコンテンツに向き合い生まれた、自分の存在価値に対する疑問

▲社員旅行時の佐藤

憧れのコンテンツづくりの仕事についた佐藤。そんな中でやりがいももちろんですが、実際、職についてから苦労やギャップもあったと言います。

佐藤 「入社した当時は、スタジオでの撮影や編集に携わっていたのですが、純粋に自分が編集したものをおもしろいと言ってもらえることへの喜びがありましたね。ついに、やりたかったことがやれたかなと思いました。ただ、やってみるとギャップもたくさんありました。
たとえば、私が編集や企画したものが、他の人におもしろいと刺さるかどうかを考えなければいけないという苦労がありましたね。やる前は、他の人に刺さるものをつくれると思っていたのですが、実際にはあまり刺さらなかった、みたいな。しかし、そこでいろいろなレスポンスを得られて、企画会議などでの衝突や苦労があったからこそ、まずは自分に刺さるものを考えるという知見を得て成長できたんだと思います」

初めての経験ばかりで、さまざまな衝突や苦労があったという佐藤。しかし、その苦労は無駄ではなく、確実に力をつけていきました。

そして、西尾から編集の責任者を任せられます。

責任者になり会社の人数も増えていっている中で、どう考えて仕事をしていたのか、佐藤は語ります。

佐藤 「クリエイティブな考え方しかしていなかったと思います。いかに自分たちでやったものに対して良いレスポンスが来るか。編集や企画をする場面では常に、自分に刺さらないものを考えても時間の無駄だという考えを持っていました。そして、純粋につくり手として楽しんでいました」

しかし、ほどなくして社内状況が一変し、忙しい時期が訪れました。さまざまな自社コンテンツに関わることが増え、深く関わっていることがなくなってしまいました。そのため、自分の存在価値や立ち位置に疑問を抱くようになります。

佐藤 「今思うと、いろいろ考えてやってきたけど、どこに向かってというのはなかったかなと思います」

その後、正式に部署がつくられ、責任者の役職が決まりました。それがきっかけで、今までより幅広い視野を持つようになります。

認めてもらえる。褒められる。これが何より──

▲会議中の佐藤
佐藤 「このチャンネルには、こういうおもしろさがあるから見るっていうのをつくりたいです。じゃないと視聴者が減っていく一方だと思っています。一番良いのはそれが自分で考えたものだったら良いなっていう」

佐藤は得意のクリエイティビティの思考で感情に訴えるかけることを考えながらも、今まであまり意識しなかったマーケティングの思考で、会社の目標や数値面も意識して仕事に取り組むようになりました。そのきっかけは、責任者の立場を意識するようになったことにあると語ります。

佐藤 「マーケティングでの思考を意識するようにはなりました。しかし、得意不得意を考えてやった方が良いと思っているので、同じ制作チームでマーケティングでの思考が得意な及川晃治に、ほとんど任せています(笑)」

自分にできることをする佐藤。責任者となった今、後輩に対しては、もっと挑戦してほしいと語ります。

佐藤 「コンテンツ制作に携わる後輩たちには『もっとふざけて、そして、もっとエンターテイナーになって』って思いますね。数値面は責任者がどうにかするから、後輩にはもっと挑戦してほしいとも思うようになりました。

やっぱり、自分が携わったものでおもしろいと思って見てもらえて、視聴者に “認めてもらえる ”、 “褒められる ”これが何よりかなって思っていますからね。わりとシンプルかなとは思いますが、それがあるからこそ頑張れます。もうけはその次だと正直思っていて、結局人の感情を動かした方が勝ちかなって思っていますね」

責任者の立場にいながらもクリエイティビティの思考を忘れず、あえて違う方向を見る佐藤。あまのじゃくなエンターテイナーは、これからも多くの人々の感情を動かしてくれるでしょう。