課題解決で「頼られる存在」を目指し、法人営業として踏み出した第一歩

▲NTTデータ 製造ITイノベーション事業本部 三井英毅

三井英毅の入社は2003年。NTTデータを志望した理由を、次のように振り返ります。

三井 「当時は、 ASP(Application Service Provider:インターネットを介したサービス)や EC( Electronic Commerce:インターネット上での売買や決済などの電子商取引)といったキーワードが、急速に浸透し始めた時期です。私自身、大学のゼミでは経営情報システムを学んでいたこともあり、もともと IT業界に少なからず興味はありました。

ただ、この会社を選んだ理由は、『 IT 』という切り口よりも、社会インフラに関わる事業を通じて、世の中の 『課題解決』に貢献できるところに惹かれた部分が大きいですね。ベースにあるのは、『人に頼られる存在 』でありたいという想いです」 

そんな三井が最初に配属されたのは、新規顧客の開拓をミッションとするチームでした。若手に権限委譲がなされ、フラットな組織風土だったというこのチームで、三井は法人営業としてのキャリアをスタートさせます。 

担当顧客から初受注があったのは、入社2年目を迎えて間もなくのこと。その時の記憶は、15年余りが経った今も鮮明です。

三井 「新しいオフィスインフラを検討したいというご相談をいただき、当時出たばかりのモバイルセントレックス(携帯電話を内線として使うサービス)の最新機種を、社外では携帯電話 、社内では IP電話として利用する新規サービスをご提案しました。先進的な取り組みを志向しているお客様だったこともあり、フリーアドレスと連動し “一台2役で新しい働き方に寄与する ”というコンセプトが受けて採用に。ただし、世に出たことのない “初物 ”だったので、想定外のトラブルもあり、導入後のフォローには苦労しました……」 

トラブル発生の度、お客様のもとに駆けつけ、開発担当や保守ベンダーに事象をフィードバックして改善を図ったと言います。

三井 「お客様にはとにかく誠実に対応し、しっかり寄り添えるように、ということを心掛けていました。納入後に苦労した経験も含め、この受注が私の営業としてのまさに第一歩だったと、今にして思います」

新天地・大阪で学んだ、営業のイロハとお客様の企業文化

▲プライベートでは会社の同期とともにマラソン大会出場を継続する三井(写真左)

入社後5年間、幅広い分野のお客様を担当した三井は、入社6年目に大阪への異動を経験します。新たな配属先は、大手電機メーカーの専任部隊として、堂島を拠点に開発と営業の両機能を備えるチームです。同社の受発注集中管理システムの開発、保守・運用までを当社が担当し、数十年来の取引実績がある歴史の長いお客様です。 

ここでお客様と対峙したときのことを、「社員の方はとにかく優秀な方ばかり。さすがは、日本を代表する電機メーカーだと思いました。競合も、エース級のメンバーを揃えていた印象です」と三井は述懐します。

営業に突き付けられるコスト感覚も、それまでの5年間には経験したことのないシビアなものだったと言います。 

三井 「お見積ひとつ出すにしても、書面には記載しないかなり細部なところまでつくり込んでおき、どんな交渉にも万全の態勢で臨むようにしていました。 “ナニワの営業のイロハ ”みたいなものを勉強させてもらったと思っています」 

そんな堂島のチームには、基幹システムの維持・運用プラスアルファの部分で、新しいことに前向きにチャレンジしようとするマインドが根付いていました。 

そんなチャレンジのひとつとして実現したのが、基幹システムを中心とした各種システムやソフトウェアの運用・保守・管理を一括して請け負うサービスの立ち上げです。今でこそ、AMO(Application Management Outsourcing:アプリケーション運用業務の外部委託)という呼称も一般的になりましたが、当時は、このようなサービス自体が珍しかった時代です。

提案の肝は、天津にあるNTTデータグループの開発拠点を活用したオフショアメンバによる運用・保守サービスの組み込み、また将来的なコストダウンを最初から織り込んだことだったと言います。

三井 「初めに、受発注集中管理システムを AMO契約に移行しました。その後、その実績を評価頂き、他社ベンダーが運用・保守を行っていた大規模なシステムの巻き取りも成功しました。私が携わったのは最初のAMO契約締結段階からでしたが、長いお付き合いのあるお客様のもとで、全く新しいサービスを契約し拡大するという新たな試みを形にできたのは貴重な経験でした」 

顧客営業として過ごした日々に、三井はもうひとつ大きなことを学び取っていました。それは、社員が企業理念を共有し、継承していくことの大切さです。

三井 「お客様は、創業以来の理念が社員の方たちに脈々と受け継がれている風土がありました。それはつまり、事業運営の根本にある考え方や、自分たちの “存在意義 ”を問い続けるときのよりどころになるもの。当時はそれを羨ましく思っていました」 

NTTデータは、当時まだ分社化して20年ほど。今ほど企業理念も明文化されていませんでした。そして近年、自社内で企業理念「Our Way」や「Values」、所属する事業部門のビジョンが明確に示されていることについて、「お客様への提供価値と提案内容をしっかりとリンクさせて考えることができてやりやすくなった」と、実感を込めて語ります。

異動の度に直面した“初めて”の経験を、自らの糧に変えて

大阪で丸5年過ごした三井は、入社11年目に再び東京へ異動します。東京に本社を置く小売業のお客様からAMOサービスを受注し、同社が運営する1,000超の店舗で利用されている基幹システムの保守・運用を、他社から引き継ぐことが決まったからです。堂島のチームの実績が評価されての受注でした。 

ここで、三井は、堂島にいる自社のエンジニアチームとの連携を図る保守・運用の担当窓口として、お客様のIT部門への常駐を経験します。 

三井 「私が運用の管理者というよりは、他社からの巻取りにあたりナレッジトランスファーを主導しつつ、お客様と一緒に新しい保守・運用体制やスキームを立ち上げるような立ち位置だったので、営業畑一筋だった私でもなんとかミッションをクリアすることができました」 

そして、帰京して3年目の2015年。NTTグループとパナソニックの業務提携を契機に、重点領域として位置づけている流通領域のPoC(Proof of Concept:アイデアに基づく試作品開発を行い、トライアルとして実証実験などを行う事でサービスの実用化目途を推し測ること)施策の一環として、三井は新しい送客サービスの企画・運営を担当することになります。 

三井のプロジェクトが目指したのは、訪日外国人観光客を想定した“おもてなしサービス”の実現でした。具体的には、NTT及びパナソニックが各々保有する物体認識技術を活用し、屋外広告を起点に、店舗への誘導までを狙うもの。 

三井自ら、企画書を手にプレゼンして、大阪・なんばエリアの商業施設と鉄道会社の協力を取り付け、プロジェクトの本格始動からわずか半年で、オリジナルのアプリを使った実証実験にこぎ着けました。 

三井 「多くの方々の協力を得て実証実験は一定の成果のもとやり切ることができましたが、実現に向けては様々な課題に直面しました。外でアプリをインストールしてもらい、スマホをかざして撮影してもらうこと、さらに店舗まで誘導することのハードルが想像以上に高かったんです。

ただ、本当におもしろい経験をさせてもらったと思っています。 “ユニバーサルオブジェクト認識 ”という概念を用いて、自らアプローチして協力企業を募り、実証実験とはいえ独自サービスの提供までやり切るという、 “新しいこと ”尽くしを経験するチャンスは、いつでもできるわけではありませんからね」 

その後、いったん営業から離れて製造業領域の事業企画を経験し、2018年春に営業マネージャーとなった三井。2019年現在は、大手の食品メーカーや化学メーカーを担当し、長期的な関係構築に向けたアプローチを自らのミッションとしています。

“ワクワク”すること。それが本質的な課題解決に向かう原動力

▲全社でも注目されているスマート養豚プロジェクトメンバー。写真中央はNTTデータ本間洋社長

入社以来の15年余の日々を振り返り、三井は顧客営業としての自身のポリシーを、次の3つの言葉で言い表します。 

1つ目が「自分自身が目の前の仕事にワクワクして、楽しむこと」。入社2年目の初受注を皮切りに、いくつもの「新しいこと」にチャレンジする度、自らのモチベーションがかき立てられる経験をしてきたことを踏まえつつ、その波及効果にも言及します。 

三井 「営業のワクワクは、間違いなく開発のメンバーにも伝わるし、最終的にはお客様にも伝わると思うんです。 “人を巻き込む ”のは営業の仕事の大切な部分。その意味でも、まず自分自身が楽しむことが重要だと思います」 

2つ目が「お客様と中長期の関係を築くこと」。“中長期の関係”の意義については、若手時代のあるエピソードを明かしてくれました。 

三井 「営業かけだしのころ、担当していたお客様から RFPをもらい、数回にわたりヒアリングまでしたのですが、技術的なハードルがあって提案を断念したことがあったんです。上司と一緒におわびに行くと、お客様は大激怒して退室……。非常にショックでしたが、その後で上司が一席設けたところ、その方が『たとえ難しい提案だとしても、チャレンジさせることが若い彼の成長につながるんじゃないか』とおっしゃったそうなんです。

『難しくてもいいから挑戦することで、そこから会話が生まれ、新しいアイデアや新しい関係が生まれ、長期的な関係構築にもつながっていく』と。そこまで考えてくれているんだ、と衝撃でした。目の前の現在進行形の案件や、短期的な成果とは別に、大切なことがあるんだな、と気付かされたというか……。まぁ、こんな風に言語化できるようになったのは最近のことですが(笑)」 

そして3つ目が「お客様を好きになること」。 

三井 「信頼関係を築く上でベースになるのは、やはりシンプルに、お客様を “好き ”と思う気持ちだと思います」 

現在の三井は、新たな“ワクワク”にチャレンジしています。それが、2018年12月に日本ハム株式会社様との共同で始動した「スマート養豚プロジェクト」。IoTとAIによる画像判定により、豚の飼育状況や発情の兆候を判断し、養豚場の生産性向上と、飼育従事者の「働き方」改善につなげることを目指す取り組みです。 

そして、あらゆる業界がIoTやAI導入を試みるようになった昨今の潮流を念頭に、次のような考えを口にします。 

三井 「スマート養豚プロジェクトを例に挙げると、厳重な管理体制が敷かれた豚舎に対して、IoT機器を導入する、これだけで今まで見えなかった状態を捉えることができ、効果はてきめんです。しかし、得られたセンサデータや画像から豚の健康や発情の傾向を見定める AIとなると、様々な観点で分析する必要があり一朝一夕にできるものではなく、トライアルアンドエラーを繰り返し前進させていく必要があります」 

AI技術の開発は、簡単に答えが出ない困難さはあるものの、その分、「お客様もエンジニアも営業も一緒になってアイデアを出し合うおもしろさがある」のだと言います。つまり、そこでNTTデータに求められるのは、お客様から要件をいただいてスタートする従来型のプロジェクトとは全く異なるアプローチです。

三井 「だからこそメンバーには、その違いをよく理解しお客様に伝えることで、デジタル変革時代のプロジェクトを立ち上げていってもらいたいと思っています」 

お客様の事業成長、あるいはデジタル変革の先に、三井が見据えているのは「社会への貢献」です。 

三井 「社会の課題解決にどれだけ貢献できるか、という視点を欠いた事業は、永続していかないと思っています。ただ、どこにもない “答え ”にたどり着くのはそう簡単なことではありません。だからこそ、お客様とは “パートナー ”と言えるような長期的な関係を構築していきたいと考えています」

プロジェクト内に響き合う “ワクワク ”の中心に、社会貢献という大きな志を持った顧客営業、三井の姿があります。