私が本当にやりたかったこと――スペインの地で問い直した仕事への姿勢

不確実で変化が激しい環境の中、変革が求められる一方で止めることができない日々の業務。理想と現実の狭間で悩み、もがくことも時にはあります。決済サービスの新規企画に携わる福島真季も、ある時スランプに陥りました。行き詰まりを感じていた福島が、それを乗り越えるまでのストーリーをお届けします。
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思い描いていた理想の姿と、日々の仕事に追われる現実

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▲NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 カード&ペイメント事業部 福島真季

FinTechの台頭により多様化が進む決済サービス。国内外において今後ますますその傾向は高まると予想されます。諸外国に比べるとまだまだ低い日本のキャッシュレス決済比率。これを高め、日本の国際競争力を強化しながら、利用者がもっと便利で安心に決済ができる社会の実現に向け、NTTデータは日々取り組みを進めています。

入社以来、決済プラットフォーム「CAFIS」のサービス拡大に携わってきた福島真季もそのひとり。

福島 「自分にとって身近で興味があるものをイチからつくる仕事に関わりたい。そういった思いをもって就職活動をしていました。
モノづくりそのものというよりも、そのものをどう見せるか、どうデザインしていくかを考える方が好きで、何か商品を売るにしても、お客様に合わせてカスタマイズし、自分なりの付加価値を付けて売りたいと考えていました」

入社後CAFISチームへ配属された福島は、決済クラウドサービスの営業としてサービスの導入や拡販を担当します。サービスをそのまま販売するのではなく、お客様のニーズに合わせて機能追加やカスタマイズを行なうなど、入社時に抱いていた思いを胸に、仕事に取り組みました。

入社6年目で、新規決済サービスの企画チームへ異動。モバイルを活用した販促プラットフォームサービス「CAFIS Presh」の企画、立ち上げに関わります。しかし、思い描いていた計画通りには進まない状況が続きました。

福島 「立ち上げ当初はお客様から『コンセプトはよいけれど、それによって利用者の利便性や店舗の売上があがるように感じられない』と言われてしまい、そこをどう突破するかに悩みました。
他部署やベンチャー企業の方と話をしてネタを仕入れたりもしましたが、どれも机上論で行き詰まりを感じてしまって……。その頃は仕事に対して前向きになれず、スランプに陥っていましたね」

スペインで問い直した仕事への姿勢

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▲海外OJT派遣社員としてスペインへ飛んだ福島

機能や仕様ではなく、そのサービスが実現する未来をお客様と語り合うことの難しさ。壁にぶつかる福島に、NTTデータのスペイン子会社であるeveris Groupへの海外OJT派遣プロジェクトというチャンスが訪れます。

everisでもモバイルを活用した決済やマーケティングソリューションを扱っていることを知った福島は、迷うことなく参加メンバー募集に手を挙げ、壁を打破するヒントを探しにスペインへと渡ります。

福島 「everisでは、これまで私があまり経験してこなかったビジネスコンサルティングの仕事のやり方や、考え方のヒントを得ることができました。しかし一番影響を受けたのは、仕事に対する姿勢です」

スペインへ渡る前は自分の仕事の領域は決済だと決めて壁をつくっていた、と福島は振り返ります。しかし、everisのメンバーは違いました。

福島 「everisでは誰がどの領域を担当するか、といった考えはあまりありません。まず、お客様が求めているものを実現するためにはチームとして何ができるかを考えます。
そしてそのために必要なスキルを持った人が集まり、バーチャルチームをつくってプロジェクトをやり遂げるんです。この仕事の姿勢に対する学びはとても大きかったです」

現地プロジェクトに参加した福島は、チーム一丸となり熱い議論を繰り広げるメンバーの熱量に圧倒されました。やがてその熱量は福島にも移り、言葉の壁を超えるために手書きメモをふんだんに活用しながら、決済サービスやデジタル施策について毎日議論を重ねていきました。

スペインで奮闘する日々を通じて、福島はあることに気づきます。それは、かつて彼女がやりたかったことと現状とのギャップでした。

入社当時の福島がやりたかったのは、自分がいいと惚れ込んだものをより使いやすくお客様のニーズに合わせてカスタマイズし、提供すること。しかし、いつしか担当するサービスをどう売るかに視点がいきがちになっていました。このギャップこそが、福島が仕事に対して前向きになれなくなっていた原因のひとつだったのです。

自分が利用者の立場になった時、そのサービスを本当に使いたいと言えるのか、利用者や加盟店が嬉しいと思うだろうか、スペインの空の下、福島は自らに問い直します。

個人の変化、組織の変化――Payment Innovation Lab

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▲イノベーションを加速する、Payment Innovation Lab

帰国後、福島はチームに戻り、スマホ決済プラットフォームの企画立ち上げプロジェクトに参画します。

キャッシュレス決済普及の鍵ともいわれるスマートフォン。アプリひとつで販促キャンペーンから決済までをワンストップで実現できれば、利用者は支払い時にわざわざ財布を出す必要がありません。これがあれば「CAFIS Presh」も活きてくる、福島はそう感じました。

しかし、利用者の立場や気持ちが見えず視点がずれたまま企画しても、結局使われないものになってしまう。サービスありきではなく、利用者が支払いを行なうときに課題と感じるところはどこかを常に頭に置くようにしました。自分がサービス提供側にいるがゆえに見えなくなっているもの、一般消費者の感覚を忘れないようにしていると福島は言います。

福島 「仕事関係とは別の友人たちと話していると、AlipayやWeChatを知らないことに気づきます。一般消費者からすると、お得で楽に決済ができればよくて、それが何という名前のサービスかはさほど重要ではないんです」

組織環境にも変化がありました。机上論にならぬよう、初期検討においてPoCを実施するにあたり、実行スピードを高めてイノベーションの創出を支える「Payment Innovation Lab(ペイメントイノベーションラボ、以下ラボ)」が、2017年夏に設立されたのです。

福島の所属するカード&ペイメント事業部には、開発と営業の間にシステム企画という企画寄りの技術者集団がいます。異なる職種のメンバーが互いに人財交流し、新しいサービスの種を形にしていきます。これまでも連携していましたが、ラボの設立によりプロトタイプ検討や開発の環境も整い、連携パワーが増したといいます。

福島 「営業とシステム企画のチームとしての一体感が強まったような気がします。互いに自分たちの業務の枠を飛び越え、お客様ともひとつのチームになってプロジェクトを進めることができました。みんなが同じ課題感をもち、同じ目標に向かって一緒につくりあげていく、とてもいいチームでした」

福島がスペインで圧倒された、目標に向かってチーム一丸となり議論を繰り広げるメンバーの高い熱量。それは、日本のプロジェクトチームの中にも確かにありました。

そして2018年3月、実証実験を終えたスマホ決済プラットフォームを活用し、スマートフォン向けクレジット決済ソリューション「.pay」が誕生。新しい決済のあり方を提供しています。

取り戻した自分が本当にやりたい仕事

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▲決済サービスのさらに向こうへ。NTTデータの挑戦は続く。

2018年現在、日本国民の約7割が利用しているというスマートフォンも、この先ずっと使われ続けるとは限りません。デジタル新時代の決済方法とは何か、福島は次なる決済のあり方を考えはじめています。

NTTデータの強みである決済プラットフォーム「CAFIS」を活かすには、その周辺にあるマーケットに対する知識を持ち、お客様へ提案していく必要があると福島は言います。そのためには、常に知識をアップデートしていかなければなりません。

NTTデータには多種多様な部署があり、それぞれに専門知識をもったスペシャリストがいます。多様化する市場やお客様のニーズに応えていくとき、組織として持っている知識やノウハウを自分のものであるかのように使えれば強い、そう福島は考えています。

福島 「会社の豊富なリソースやノウハウをどうハンドリングするか、考えて使うのはあくまでも自分だと意識しています。自分が提案するのだから自分が理解して、そこに自分なりの色、アイデアを入れていく。そうしないと、次にはつながらないと考えています」

そう言いながら笑う福島は、入社前に思い描いていた自分自身のありたい姿を再び取り戻していました。

福島 「これからも、自分がわくわくした気持ちで挑戦できる、そんな仕事をしていきたいと考えています」

技術の進化によりどんなに高機能なサービスが実現しても、利用者に使われないと意味がないという福島。決済と何とを組み合わせれば光るサービスができるのか、日々考え続けています。

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