変革のために意思を持って走り出す──DXに取り組むエンジニアの信念

デジタル技術の新陳代謝が加速し、社会に急激な“変革”をもたらす現代は、“未来”を予測しづらい時代でもあります。そうした中、NTTデータグループの中期経営計画のスローガンである「変わらぬ信念、変える勇気」を体現しているのがAI&IoT事業部です。統括部長の重 彰記が、デジタル時代の“変革”を語ります。

「データドリブン経営」と「DX」の実現に地に足のついたアプローチで貢献

▲ビジネスソリューション事業本部 AI&IoT事業部 重彰記

重 彰記が統括部長を務めるAI&IoT事業部のミッションは、データ分析やAI技術を活用し、お客様の「DX(デジタルトランスフォーメーション:デジタル技術を活用し、既存の枠組みを脱して新たな価値創造を行うこと)」を支援すること。

重 「『 AIで DXを実現します』と言うと、流行の単語を並べただけでしょ? と思われてしまうかもしれませんが、実際には、データドリブンな経営を追求しようとしているお客様に対し、極めて地に足のついた『現状の経営課題ありき』のアプローチを行っています」

「データドリブンな経営」とは、事業運営を通して得られたデータに分析を加えることで、客観性の高い判断を導き出し、経営の意思決定を行うこと。データの蓄積・収集・分析のプロセスに、ITの力が活用されることになります。「ただし──」と、重は大事な点を指摘します。

重 「データを単に集めるのはそう難しいことではありませんが、残念ながらやみくもに集めたデータが現実の課題解決に生きるケースはまれです。目的や課題を明確にした上で、分析に必要なデータを最適な形で蓄積・収集する。私たちは、この課題抽出から、データ活用による効果を確認するところまでの一連のプロセスをサポートしています」

そんな取り組みの中で、重は企業が「DX」をキーワードにこれからの成長戦略を描く“今”という時代を、3つのキーワードで読み解きます。それは、“Borderless ” “Speed ” “Disruptive”です。

重 「 Borderlessはずいぶん前から言われていますが、国境に限らず、あらゆる分野間の垣根が低くなっているんです。『働く場所』を限定しない労働、多様性を増すペイメント、制約のないデータ流通など……。ヒト・モノ・カネのすべてがオープンな社会に突き進んでいるのを感じます」

Speedは言わずもがな、デジタル技術の目まぐるしい進化を指しています。

重 「新たな技術を社会が消化しきる前に、次なる新技術が登場するようになってきています。過去、第一次産業革命から第四次産業革命までは、一世代の移行に数十年を要しましたが、今後は数年単位で “革命 ”が起こる可能性があると思っています」

そしてDisruptive。

重 「企業が真に目指しているのは Disruptive Innovation(破壊的イノベーション)と呼び表されるような、既存のビジネスモデルや価値観を一変させるような変革です」

BorderlessとSpeedの加速により、Disruptiveな変革のチャンスは増しているはずですが、実現は容易ではありません。

重 「変革は、確実に時間をかければ訪れるというわけでなく、日ごろの営みの延長線上に突然出現するのだと思います。だからこそ、目の前の課題解決にちゅうちょしている暇はないのです。チャレンジによりもたらされるリスクへの懸念はありつつも、実行しながら前に進んでいかなければ始まりません」

そして、手探りの中で踏み出そうとするお客様をサポートし、かつSIerであるNTTデータ自身が環境変化の荒波を乗り越えるために、世の中の潮流や最新技術に対するアンテナを高く保ち続けることも重要であると重は考えています。

実際、AI&IoT事業部では、デジタル領域における最先端のムーブメントの発信起点となっている、海外の複数拠点にメンバーを派遣し、日々、最新の情報収集に努めています。

1冊の本がきっかけに。高校3年生で出会った「SE」という職業

▲プライベートでは登山が趣味。富士山頂上にて

2019年現在、NTTデータにおいて、デジタルの最先端領域をフィールドとする事業部に籍を置く重。もともと理系少年で、自宅のテレビが故障すると喜び勇んで分解するような小学生だったといいます。

重 「分解は危険ですよね……(笑)。でも当時は真剣に、“ナショナルのおじさん ”に憧れていたんです」

“街の電器屋さん”が電話一本で家電の修理に応じてくれた、家電量販店が登場する前の時代。壊れた家電を目の前で修理してくれる姿が、幼い子どもの目に眩しく映ったのです。

そんな少年がやがて高校生になり、大学受験を考え始めたころ──クラスメイトがたまたま学校に持ってきていた1冊の本を通じて、初めて「SE」という職業を知り、自身が進む道として選択します。

重 「今となっては書名を思い出すことはできませんが、『これからの社会に必要な技術者』という扱い方で紹介されていたのを覚えています。ちょうどこのころ、各地の国公私立大学でシステム工学や情報系学部の新設が相次いでいたこともあって、『自分が進むべき道はこれだ』と思い定めました」

こうして1994年、重は大学の情報工学科に進学します。この当時主流のブラウザはMosaicやNetscapeで、2Gの外付けハードディスクには30万円の値が付けられていました。その後4年生になると、AIの研究室に所属。ディープラーニングによる機械学習を主とした第3次AIブームが訪れるのは2000年代以降です。それより少し手前の時期でした。

重 「いわゆる AI研究の “冬の時代 ”です。もちろん、当時はそんな言葉はありませんでしたが……。そんな中で私がその研究室を選んだのも、画像を使って研究をしているのがなんかカッコイイなという程度の動機でした。ただ、まったくの偶然とはいえ、今こうして仕事で AIに関わっているのは不思議な縁を感じますね」

就職活動にあたって高校生のときの決意が揺らぐことはなく、他の業界には目もくれずにSIerのみを受けました。そして1998年、当時はまだNTTデータ通信という社名だった当社に入社します(この年の8月に現社名へと変更)。

重 「当時の NTTデータは今のように “グローバル ”なビジネス展開を打ち出してはおらず、公共系や金融系のイメージが強くて、内実もその通り。私は英語への苦手意識があったので好都合だな、と(笑)」

就活生時代の思惑をそう振り返る重ですが、実際にはその後、30代でアメリカと中国への赴任を経験することになります。

「なんとかなるさ」で乗り越えた数々の異動。34歳でグループ会社副社長に

▲中国赴任時に立ち上げた長春支社(左)。世界遺産の街と言われる麗江へ旅行にも出かけたという(右)

入社後の重のキャリアは、開発の現場からスタートします。NTTデータが当時製造していた独自のデータベース「UniSQL」を活用したシステム開発に、数年間携わりました。

重 「今の若手の社員の方は驚かれるかもしれませんが、昔は自社でデータベースそのものをつくっていたんですよ」

SEに憧れNTTデータに入社した重でしたが、その後は開発からはいったん離れ、数年ずつのスパンでさまざまな部署への異動を経験。新規ビジネスの立ち上げや、海外のグループ会社の統括業務、不採算部門の組織改革などのミッションに取り組むことに。

そして、最大の転機となったのが2010年。この年にNTTデータグループに加わった中国の無錫にあるグループ会社に、出向者第一号として赴任することになったのです。この時、重は34歳。副社長の肩書きを背負っての出向でした。

現地では、財務の立て直しに始まり、オフショアビジネスの拡大や、BPOビジネスの立ち上げに尽力します。

重 「中国語を話すこともできない中で決まった急な辞令でしたが、今となってはいい経験でした。中国の皆さんは本当にまじめで優しくて。それに救われましたね。
実は赴任当初の無錫では、生活面で衝撃を受けることもあったのですが、わずか 2~ 3年でどこを見渡しても刷新されていった印象です。急速に近代化が進むのを肌で感じました」

システム開発の“お作法”の面でも当初は意表を突かれる場面が多かったといいますが、さまざまなハプニングを乗り越えながら経営基盤を安定化に導き、従業員数は3年半で3倍超の伸長を遂げました。

日本への帰国後は、再び開発の部門に復帰。それ以降、開発部門一筋で現在に至ります。

これまで、多くの異動を経験してきた重。想定外の辞令を受け取る度、戸惑いながらも常に心の中にあったのは「なんとかなるさ」という想いだったといいます。

重 「とくに語学に関しては、こんなことなら学生時代にもっと勉強しておけば、という後悔するは何度もありましたが、新しい環境に飛び込むこと自体に悲観的になったことはありませんね。飛び込んでしまえば楽しめる。なんとかなるさ。なんとかするさ。そう思ってきました」

若手エンジニアに期待する3つのこと

▲グローバルプロジェクトメンバーと共に。世界を舞台とした変革を目指す!

AI&IoT事業部は、あらゆる施策を行っています。そんな中でITエンジニアとしてステップアップを目指す若手は、何を大切にするべきなのでしょうか──。

1つ目は、「セルフ・データドリブン」であること。

重 「企業経営にデータドリブンなアプローチが求められるように、個人としても客観的データに基づく思考を鍛え、物事を判断できるようになる必要があるんです。
今年、『 FACTFULNESS』という本がベストセラーになりましたよね。私自身も非常おもしろく読みました。セルフ・データドリブンなアプローチを身に付けたければ、未読の方はぜひ手に取ってみてほしいです」

2つ目は、「チャレンジ」すること。

重 「私自身は、これまでどんな場所に身を置くことになっても『なんとかなるさ』のマインドにプラスして、『チャレンジ』するスタンスを大切にしてきました。困難な外的要因にさらされたときにも、それに屈することなく前向きであり続けようとすれば、おのずと展望は開けてくる──自分自身の経験上、そう思っています」

そして3つ目は、「意思を持つ」こと。

ある物事に対して「自分はどう考えるのか」を明確にすることが、たとえ困難な局面であっても主体性を失わずに具体的な行動を取ることにつながっていく、というのが重の考えです。

重 「どこであっても自分がどうすべきかを考え、考えたことは必ず実行に移すようにしてきました。考えなしに流されるのではなく、『自分はどう思うんだ?』という自分自身への問いかけを大切にしてほしいです」

そんな重が、SEという職業を初めて知ってからすでに四半世紀が経ちます。今の重はSEをどのように捉えているのでしょう。

重 「これからの世の中の中心には、間違いなく ITの領域があるはず。そして、 SEは ITを使いこなし、新たなしくみに仕立て上げ、世の中に FITさせる役割を担う欠かせない存在だと思っています。『僕たちがいないと世の中は回っていかないよ!』。若手のエンジニアには、そんな言葉を贈りたいですね」

事実、DXを模索するお客様に対し、重の事業部ではデータ分析やAI技術に根差した提案を行い、変革に貢献しています。製造業における需給バランスの最適化や在庫の適正化、流通業における出荷量予測や商品レイアウトの最適化、製薬・医療分野における投薬の効果判別や発病予測──など。対象となる業種・業態は、多岐にわたっています。しかしそれでも重はまだ満足していません。

重 「幅広い業界で、お客様に変革の成果を感じて喜んでいただけている状況があり、嬉しく思っています。ただ、“Disruptive ”とまで言えるような事例は正直なところまだ出てきていません。
現状は国内のお客様メインで活動していますが、今後は NTTデータのグローバルなリソースを活用しながら、グローバルの案件に対応していけたらと考えています」

困難な局面をもしなやかに乗り越えてきた重。今SEとして見据えているのは、世界を舞台に“Disruptive Innovation”の実現に貢献することです。

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