進化の波に押し流されないために。テクノロジーの進化を「未来逆算思考」でとらえる

シンギュラリティ(技術的特異点)が訪れるという2045年に向かい、日々進化するテクノロジー。近年ではAIを活用したサービスの実用化もあちこちで見られるようになりました。AIチャットボットの開発を担当する小林洋平が、加速する技術改革に対しどのようにみずからをアップデートしていくのか、未来図を語ります。
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最新テクノロジーから後れをとらないために、試行錯誤を繰り返す

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▲NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 小林洋平

AIチャットボットを活用した顧客接点サービスから商品の在庫管理まで、リテールビジネスのデジタル化を進める小林洋平。

新規サービス企画から開発運用保守、アナリストリレーション活動の一環としてカスタマーエクスペリエンスへの取り組み実績をダラスで講演するなど、幅広い領域で活躍する小林ですが、私生活では、めんどくさがり屋な一面も。

小林 「服を買いに店舗に行くのが面倒なんですよ。でも、服を選ぶ基準として生地の質を重要視していて、そこは自分の手で触って確かめたいんです。

『じゃあ自宅にいながらにして質感や手触りを確かめるためにはどうしたらいいんだろう。3Dプリンターで一部再現できたらおもしろいんじゃないか』などといろいろ想像して、チームメンバーとアイデアをわいわい話し合ったりします」

日常のささやかな出来事からも、「こんな未来があったらどんな風に生活は変わるだろうか」と想像をめぐらせる小林。アイデアの引き出しを広げるべく、最新テクノロジーにも広くアンテナを張っています。

小林「今は中国の深圳が最先端テクノロジーの発信源となり、世の中に対して新しい価値を生み出しています。今ちょうどうちのメンバーが現地にいて、『おもしろそうな技術を見つけたから日本でビジネス化できないか』と、意見交換したりしています。

中国は、産官学の連携がしっかりしていて、POCから実ビジネス化へのサイクルが早い。そのスピードに後れをとらないように、常に情報をアップデートしています」

技術革新のスピードは速く、今後さらに加速することが予想されています。そうした状況下では、現状をベースにした仮説検証では後れをとってしまいます。

変化の波に押し流されぬよう、常に「未来逆算思考」でいることを意識しているという小林。学生時代から、まだ顕在化していない潜在的な課題を見つけるのが得意であったと言います。

業界発展のために自社ビジネスを変化させる 現状打破の鍵は経営者の視点

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▲なにごとにもチャレンジし、アクティブに活動していた学生時代

学生時代はサークルの渉外担当として外部との連絡や契約交渉を担当。

100名を超えるメンバーが在籍し、総務、財務といった役割別グループが存在するサークルで、小林は多様なステークホルダーをとりまとめる全体統制も担っていました。

小林 「どれだけ綿密に企画を立てて予定を組んでも、その通りに行くことはまずありません。今は顕在化していない課題でも、そのまま放っておいたらどういうことが起きるか。その先を想像し、予測して準備しておく動きが自分の性格に合っていたんです」

NTTデータへ入社後は、いろいろな業界のシステム開発を担当。品質、コスト、納期といった「Q(Quality)、C(Cost)、D(Delivery)」をいかに遵守して計画通り開発を進めていくか、プロジェクトマネジメントの基礎を身につけていきました。

しかしあるとき、今あることだけをやっていて自分の価値は出せるのか、という疑問を抱きます。

小林 「私のいた部署は、若手でもすごく意見が通りやすくて活発な職場でした。けれど、やっぱり何を言っても自分はシステム開発の視点でしか話していないように思えて……

どんな風に物事を考えればもっと説得力のある発言ができるようになるんだろう、と悩んでいたんです」

そんなとき、あるお客様との出会いが、小林の仕事に対する考え方を大きく変えました。

小林が担当したお客様企業はフラットな組織風土で、経営幹部の方とも普通に現場で話す機会がありました。当時まだ若手だった小林も、意見を求められることがあったと言います。

お客様と何度も話をしていくうちに、小林は、自分がこれまで見ていたよりも高い、経営者の視座を知ります。

小林 「その方は自社ビジネスのことだけでなく、業界そのものの行く末を見据えて、今何をするべきかをいつも考えていらっしゃいました。

業界自体を発展させていくために、自分たちのビジネスをどう変えていくか。そういう目線で考えていかなきゃならないんだよなって、非常に影響をうけたんです」

起点を“未来”において、起こりうる出来事を予測し、仮説を立てて試行錯誤をしながらビジネスを変えて検証していく。

そうしたお客様の事業パートナーとなるために、小林は自分も同じ視座に立たなければならないと感じました。

小林 「日本だけを見ていてもだめなんです。グローバルで起こるさまざまな事例をみて、それを自分のものとして吸収していかないといけない。

『開発したサービスが無事リリースできました』で終わりじゃなくて、そのサービスをリリースしたことでお客様事業がどれだけ成長できたか、今ではそこまでを目標設定にしています」

未来を起点に現状とのギャップを捉えることが課題解決の秘策

見えている課題を解決する場合、ある程度の道筋を立てて成果を測ることできます。

しかし、今はまだ見えていない未来の課題を解決する、あるいは実現したい未来をつくるために必要な打ち手を探していくような場合、そこに明確な答えはありません。

小林 「たとえば財務会計システムのように、あらかじめ出さなければならない四半期帳票の型が決まっているようなケースは、仕様をかっちりと決めることができます。

けれど、たとえば今私が取り組んでいるAIチャットボットサービスのような場合、サービスの発展の仕方って無限にあるんです。

なので、未来を考えたときに『何が実現できればこのサービスに価値が出るのか、そのために“to do(何をするか)”ではなく“to be(どうなっていたいか)”』について、初めにお客様としっかり議論していきます」

描いた理想の未来が、必ずしも今すぐ実現できるものではない場合もあります。

制度、法律、技術、世の中の流れ。チャレンジしたけれど、思うような成果が出ずに取りやめることもあるでしょう。

新しくチャレンジすることの難しさに何度もぶつかると、やがて目の前の仕事をやることの方が重要だと思いがちになってしまうかもしれません。小林も、いつもうまくいくことばかりではありませんでした。

しかし今の延長線上に未来があるとは限りません。未来を起点に今の現実とのギャップは何であるかを考え、そこに向かって何をどう変えていくかを常に考えるようにしていると言います。

そして、思いついたら必ず周りに言って意見を聞くようにしています。

小林 「妄想でもなんでもいいんですけど、自分の中に留めておいても仕方ないじゃないですか。だからいろんなメンバーに話していく必要があると思っています。

意見を交わしているうちに、周りから関係する技術情報を教えてもらえたり、自分ひとりじゃ思いつかない組み合わせが見つかったりする。そういうとき、ワクワクしている自分を感じるんです」

ワクワクした未来をつくりたい。その気持ちが小林を動かす原動力となっています。

お客様の一歩先を歩いてリードする。その先にきっとワクワク感が待っている

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▲メンバーとともに、未来をつくる

これからも最新のテクノロジーを活用して、人々の暮らしや世界を変えていくことにチャレンジしていきたいという小林。その目は世界を見据えています。

小林 「日本人である以上、日本を発展させていきたいという気持ちはあります。ただ、今以上に自分自身と世界とのつながりをもっと強めていきたいとも考えています。

今も海外へ行く機会はありますが、今後はより日本と海外とを横断的につなぐ動きをしていきたいですね」

未来に起こりうることを想像し、予測して潜在的な課題やアイデアのヒントを見つけ出す。学生時代に得意としていたことは、今も小林の強みになっています。

小林 「みんなが『これ当たり前だよね』と思っていて口に出さないようなことでも、実はそれが問題となっていることってたくさんあります。

それは何も日本に限ったことではなく、US、オーストラリア、グレーターチャイナ、韓国、東南アジア、EMEA……いろんな国のメンバーが集まるプロジェクトの中でも起きます。

特にシステム技術者は、つい機能や動作といった技術的側面に目が行きがちなんです。

でも、『システムを導入することにより業務にどういった変化が起こるのか』とその先を想像してみると、ビジネス的な視点での見落としを発見することもある。

それを未然に防ぐためには、今現在ではなく未来を起点に考え、『今の当たり前』を頭から取り払う必要があるんです」

IT部門だけでなく、現場の店長や営業担当者など、なるべく多くのお客様と会話するようにしている小林。小林が目指すのは、お客様と横に並んで歩くのではなく、お客様の一歩前を歩いてリードできるような存在です。

その先には、自分の手で世界の一片を変える何かを生み出すという、ワクワクする挑戦がきっと待っているはずです。

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