宮古島でリゾートワークをしながら「人に教える」体験が、働く“楽しさ”を広げる

自分は何のために働いているのだろう。そう感じることはありませんか?こうした疑問や長く携わった業務に対する飽きは、モチベーションの低下や、離職につながることも考えられます。そこでヌーラボでは社員が自分の仕事を見つめ直す「教育・研修制度」を立ち上げました。それは誰もが知るリゾート地でのある体験です。

バリューを再認識できる何かがほしいーーそんなときに届いた、ある招待

▲海を背に語る、代表取締役の橋本正徳

2004年に3名の技術者が創業したヌーラボは、15年で国内外に6つの拠点を構える会社に育ちました。約110人いる社員は「ヌーラバー」と呼ばれ、その約7割が技術者です。

中途採用のエンジニアたちが日々研さんを重ね、プロジェクト管理ツール「Backlog」やビジュアルコラボレーションツール「Cacoo」、ビジネスディスカッションツール「Typetalk」といった自社サービスを開発・運用しています。

この3つの自社サービスが目指すのは、「お客様を幸せにする」こと。 そのために“働く楽しさを広げること”を軸に据えて設計に取り組んでいます。

ところがヌーラバーの増加にともなって、本質とはそれた部分に気を取られてしまう社員が見受けられるようになってきたのも事実です。

もっと一人ひとりのヌーラバーが自分自身で大事なバリューを再認識していける、体験をともなった教育・研修制度を整えられないかーー。

そう考えていたとき、代表取締役の橋本正徳のもとに、知人からある招待状が届きます。

橋本 「沖縄県の宮古島にサテライトオフィスを誘致するプロジェクトが2016年からはじまったのですが、その視察ツアーに来てみないかという誘いでした。
宮古島は、ICTの活用と人材育成が課題になっています。そこで、サテライトオフィスづくりを推進することで都市部の企業との交流を促し、課題の解決につなげようとプロジェクトがはじまったみたいで。せっかく誘ってもらえたし、行ってみようかなと」

こうして2016年12月、橋本は宮古島に向かいました。

宮古島への視察ツアーを通じて新しい教育・研修制度を着想する

▲宮古島への視察ツアーでのワークショップの様子

橋本は4泊5日の視察ツアーに参加します。

テーマは、「宮古島でテレワーク・リモートワークを試しながら島の暮らしぶりを体感し、リゾートワークの可能性を考えるツアー」というものでした。

自身がテレワークを試すことで新しい考え方が得られたものの、残念ながら視察中には、社員と宮古島を結びつける施策案が浮かばず、橋本はヌーラボの本社がある福岡に帰りました。

2017年度を迎えると、ヌーラボは働きがいにまつわる社内調査を実施します。おおむね良好な結果ではあったものの、「教育・研修制度」への満足度が他の項目と比較すると低い傾向があることがわかりました。

解決策の検討に頭を悩ませる中、HR担当者の安立沙耶佳は気になるツアーを発見します。

まったくの偶然でした。それは、橋本がかつて参加した「宮古島視察ツアー」だったのです。今度は、安立と橋本のふたりで宮古島を訪ねました。4泊5日の視察ツアーで、「サテライトオフィスが宮古島にできることで何をすれば(宮古島が)面白くなるか」というテーマのワークショップに出席します。

橋本 「そのワークショップには地元の高校生も参加していて、島外の刺激を求めていることが伝わってきました。大人たちにも同じ意思があることがわかったので、私たちにも何かできることはないかと考えたんですが、ヌーラボとしてサテライトオフィスを設けることは難しく……」
安立 「宮古島は実際に行ってみて、とてもいい場所でしたし、ヌーラバーにもきてほしいなと純粋に思いました。オフィスを構えるのは難しくても、何かに活用できないかなと橋本に話してみたんです。そこで、『研修の場として活用してみてはどうだろう』ということになって」

そして橋本と安立は、宮古島でのリゾートワークという教育・研修制度を着想します。さらに島内の小中高校で出張授業を開くことも決めました。

安立 「これは、私の前職のCSRを参考にしました。社員が学校で『働くとは何か』について授業を開くのですが、自分のことを振り返るいい機会になるんですね。こうした“授業”という形であれば、私たちの研修だけでなく宮古島の人たちへの貢献にもつながるかなと」

こうして、日常業務の環境から身を離した場所で、人に教えることで学びを得る「リゾートワーク制度」の構想が生まれました。

宮古島に企業誘致の仕組みを残す教育・研修制度の完成

視察ツアーを終えた橋本と安立は、さっそく動き出します。安立は、制度のドラフトを制作。そのドラフトを橋本が確認し、労務チェックを通して、すぐに運用していきました。

実は、この制度には大きな特徴があります。社員だけでなく、その家族も一緒にリゾート地へ行くことができるのです。

橋本 「日常と異なる環境で働くことに改めて向き合ってほしいのに、家族に言い出しにくい、同意を得られないということでは使ってもらえません。
ヌーラバーは、社員とその家族の総称だと思っています。だから、ご一緒に行ってもらえる制度にしました」

結果、家族の推薦でリゾートワーク制度に申し込む社員も現れました。そんな中で行なわれた選考では、「宮古島でどんな出張授業に取り組みたいか」を希望者に問いかけました。

安立 「できる限り、社員自身で授業内容を考えてもらいました。そのプロセスを踏むことで、自分自身のキャリアや会社の文化を振り返ることができるんです」

並行して、宮古島に対しても、リゾートワーク制度の実施を伝えました。2年続けて実施した視察ツアーの結果、実際にアクションを起こした企業はあまり多くなく、このような制度を整えていること自体に喜んでもらうことができたのです。

そしてーー

橋本 「宮古島の関係者は、翌年から宮古島の小・中・高校に“出張授業”という仕組みを取り入れて、他社に提案していきたいと話してくれました」

ヌーラボとして、ヌーラバーとして、宮古島として、それぞれがメリットを感じることができるリゾートワーク制度は、こうして広がりの兆しが見えはじめました。

働くことの“楽しさ”を次世代に

▲代表の橋本とヌーラバーたち

こうして2018年10月12日。ひとり目のヌーラバーが宮古島に訪れました。

出張授業は、島内の中学校で行なわれることになりました。訪問先の学校以外からも注目が集まり、教室は宮古島関係者であふれていました。

安立 「授業をしたヌーラバーによると、思った以上に子どもたちの反応がポジティブだったみたいです。中学生って挙手をして発表をするのは嫌がりそうだなというイメージがあったそうですが、実際はみんな積極的に手を挙げて質問してくれて、とても印象深かったと話していました。
さらにそのヌーラバーは『改めて、ヌーラボで働くことの魅力を思い出せた』と答えてくれたんです」

これは日常から身を離して、一歩引いた目線で会社を見つめ直したからこそ得られた実感です。

安立 「また、自分も宮古島に訪れてみたことで、子どもたちだけでなく学校や市からの期待も感じ取ることができました。ICTを教育で活用するように、と叫ばれる中、それを指導できる環境が整備されているとは言えないようでした。そこでヌーラボが微力ながら貢献できているようです」

2019年3月までに、11名のヌーラバーが宮古島を訪問する予定です。同伴予定の家族は14名、出張授業への協力校は9校で、出席してくれる学生たちは500名以上にのぼります。

リゾートワークを終えた社員は、体験をブログに記録してシェアをする義務があります。各ヌーラバーからの報告を多くの人たちに読んでもらえることも、私たちの楽しみのひとつ。

2018年11月現在、私たちは宮古島以外の地域でもリゾートワークを実施していく計画を立てています。

ヌーラバーが何を目的に自社サービスの提供をして、どんなバリューを残そうとしているのか。物事の“本質”に目を向け、働くことの楽しさを伝えていけるヌーラボでありたいーー私たちは、そう願っています。

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