インターネット黎明期に「世界が変わる」と確信し、通信工学の道へ

Windows95の発売日に長蛇の列ができてからしばらく。パソコンやインターネットが世の中を変えるだろうという希望に満ちた時代に、森は大学に入学しました。専攻は通信工学でした。

森 「これからインターネットやモバイルネットワークがどんどん普及していく。そして、いろいろな分野で劇的に将来を変えるだろうと思ったんです。自分もそこに通じる勉強をすれば、未来を変える一端を担えるだろうと」

大学在学中の1999年にはNTTドコモから携帯電話を利用したインターネットサービス「iモード」が発表され、モバイルやインターネットは爆発的に普及し、世の中の生活は急速に変化していきました。

後に入社することになるOKIとの縁をつないでくれたのは、研究室時代の恩師や先輩。研究室の恩師が以前、OKIと共同研究をしていたり、先輩の何人かがOKIに入社していたりしていたのです。

森 「とはいえ、『最初から絶対にOKIに入社したい』というほどの意識はありませんでした。就職活動の初期は、専攻に沿って通信事業で活躍することを思い描いて、通信キャリアを中心に企業研究を行っていたので...。

ところが、いろいろな先輩方から話を聞くと、自分が仕事としてやりたいことは顧客の抱えるさまざまな課題をITで解決することであり、それはOKIが展開しているソリューション事業にあるのではないかと気づいたんです」

その気づきの背景について森はこう語ります。

森 「自分の発想の根底には『顧客が抱えている課題を一緒になって解決したい』『顧客と接しながら自分も成長したい』という想いがありました。『顧客や仲間と共に』というのは、自分の人生のどんな場面でも基本の発想になっていたんです」

振り返れば、趣味の音楽演奏でも、森はいつもバンドやアンサンブルを組んでいました。ソロでは味わえない「仲間やメンバーと喜びを分かち合う瞬間」が森にとっての音楽の醍醐味だったのです。

こうして2003年、森はOKIに入社。金融市場のソリューションを提案するSE(システムエンジニア)として社会人の第一歩を踏み出しました。

「顧客と共に」の理想を胸に、手を挙げてつかみ取ったチャンス

入社から4年目、森に大きなチャンスが訪れます。大手金融機関のコールセンターシステムの構築に携わるPM(プロジェクトマネージャー)に抜てきされたのです。

OKIのソリューション部門は、顧客への提案から受注までを担当する提案型SEと、受注後に開発をまとめる開発型SEに大きく別れています。

森は入社以来、提案型SEとして顧客の課題ヒアリングからそれを解決するシステム提案といったことを中心に経験を積み重ねてきました。しかし、顧客の課題に対してより良い提案をするために、後工程に対する理解を深めたい、そのためにPMを経験しておきたい、と思うように。

そんなタイミングでの抜てきについて、森は次のように語ります。

森 「上長との面談のような用意された場面だけでなく、偶然社内で会ったときや飲みに行ったときなど、いろんな場面で自分の取り組みたいことを相談していました。

もともとOKIは社員の個性を見極めてくれる雰囲気がありますから、私に限らず、積極的に手を挙げればチャレンジできる範囲は広いはずです」

とはいえ、前工程しか担当したことのない森にとって、PM業務へのチャレンジは簡単なものではありませんでした。

森 「受注前に提案したものは、どんなにいい内容でも実現できなければ意味がないわけです。提案書から実際のシステムに落とし込んでいくために、システムの設計書を起こし、設計書にもとづき開発したモノを何度もテストする必要があります。

私はプロジェクトメンバーがつくってくれた設計書やテスト結果をレビューし品質の確保をする立場なんですが、経験がないのでレビューのポイントがわからなかったんです。しかも、納期はそれまでの実績の半分という短期のプロジェクト。ちょっとした遅れでも致命的になりかねない状況でした」

プロジェクトは困難を乗り切り、なんとか期日内での納品を果たしました。これには、仲間の存在が大きかったと言います。

森 「当時の上長や先輩、プロジェクトメンバーが助けてくれたおかげです。悩みや相談ごとついて的確にアドバイスをくれ、納期に間に合わせるために効率よく業務の回すフォローをしてくれました。

初めてで何もわかっていない自分をPMとして認め、予定通り作業が進んでいないときも明るく声を掛けて、支えようと考えてくれる仲間に恵まれたことは大きかったと思います」

このような、手を挙げれば挑戦しやすく仲間もサポートしてくれる文化の背景には、OKIが創業以来掲げる企業理念「進取の精神」が関係していると森は考えています。

森 「また別の機会ですが、大手金融機関に2年間ほど出向し、業種や業態の異なる複数の企業から自分と同じように出向してきたメンバーと一緒に次世代の金融サービスを検討するプロジェクトにOKIの代表として参加させてもらったことがあります。普段社内だけでは経験できないよう刺激的なプロジェクトです。

しかし、その検討アイデアやサービスをどう自社のビジネスにつなげれば良いか悩んでいました。上長へ相談すると、まずは自社の利益は置いて、新たなサービスづくりのために他社との議論を重ねることで自分の成長につなげる貴重な機会を楽しんでほしい、その経験を還元するのは自社へ戻ってきてからでいいとのアドバイスをいただきました。

じつはOKIは日本で初めて自力の電話機を製造した企業。『進取の精神』を大事にしています。目先の利益ばかり追うのではなく、たとえリスクをとっても新たな挑戦自体に価値を見いだす精神はこういう部分にも息づいているのだと感じた覚えがあります」

家族の誕生で起こった価値観の変化を、新たな挑戦のチャンスに

このように技術部門で自らの思い描くキャリアを積み重ねてきた森。大規模案件のPMを任されるなど、その歩みは順調そのもののように見えました。

ところが、2019年10月、これまでのキャリアとは一転、採用担当の道へ進むことになります。

森 「2017年に子どもが生まれて、仕事に対する自分の考え方や価値観が変化してきたんです。家族との時間を大切することを第一に、仕事では将来を担う人材に自分の経験を還元していきたいという想いが強くなりました。

採用担当者として学生へOKIの魅力を伝えていくことは、それを実現できることじゃないかと」

異動を考えた当時、森は2年間にわたる大規模案件のPMを任されており、プロジェクトはシステム本番移行という重要な局面の真っ最中。異動にはかなりの覚悟が必要でした。

森 「正直、不安はありましたが、これまでの経験から、さまざまなかたちの自己実現や価値観を受け入れてくれる風土や環境がOKIにはありました。

上司との面談では、プロジェクトを最後までやりきることとあわせて、自分の成長につながるすばらしいプロジェクトを与えてくれたことに対する感謝と、当時の価値観の変化も率直にお話ししてご理解いただきました」

こうして森は採用部門で新しいスタートを切ることに。技術部門の候補者に対するインターンの企画や受け入れ、広報活動、求人から選考、内定者フォローまで幅広い業務を担当することになりました。

森は採用部門の業務について、技術畑で培った経験や発想と通ずるものがあると言います。

森 「これまで手掛けてきたSE業務と採用には共通点があります。SEは、顧客のことを知って自社のできることをお伝えする。採用担当者は、学生を理解して、その志向にあわせてOKIのことを知ってもらう。両方とも、まず相手に対する理解ありきの業務なので、非常に通じるところがあると思います」

そもそも「顧客と共に、その抱えている課題を解決したい」というのが、森がソリューション部門に興味を持った背景でした。就職活動は学生にとって、非常に大事なイベントです。

その就活に対する解決策のひとつを提案する採用部門担当は、森が思い描いていたキャリアの延長線上にありました。

自身に課した「『現場』と『採用部門』の距離を縮める」新たなミッション

採用部門に異動してまだ数カ月の森ですが、すでに業務に対する指針はできあがっています。

森 「どんなに良い技術やソリューションであっても押し売りになってはいけないのと同じように、どんなにすばらしい会社でも押し売りしてしまってはいけないんです。

各学生の求めているものや悩みを丁寧に読み取って、自分の経験と照らし合わせて1to1で伝えていくことを心がけています。それこそが、SEとして顧客の要望をくみ取る現場にいた経験が生かせるシーンだと思っています」

さらに森は、採用部門での自身のミッションも設定しました。採用部門では数少ない技術畑出身者として「現場」と「採用部門」の距離を積極的に縮めることです。

森 「これからのOKIを担う人材について社内で議論を重ねている中で『自律型社員』というモデルが浮かびあがっています。『自らの置かれている環境や課題の行く末を的確に見据えて、自ら率先して行動できる人』というイメージですが、ただ、それではふわっとしていますよね。

OKIでは、技術系の職種について現役社員によるリクルーター制度を取り入れています。このリクルーターの社員が『自律型社員』について具体的に想像し、学生にOKIの魅力や求める人材をより伝えていくためには、今ある定義を明確化していく必要があるんです。それを言語化するのが、今の現場を知っている自分のミッションだと思っています」

そのミッションの難しさは、言葉の定義を明確にするというだけにとどまりません。

森 「技術系でも、いろんなタイプの人がいます。私のようにSEとしてどんどん引っ張っていきたい人もいれば、サポートに徹してミスをなくすのが得意な人もいる。そういう多様な個性が企業の中にそろっていることが必要なわけで。

その上でいろいろな人が自律的に動けるしくみや雰囲気づくりもしなければなりません。それを現場と採用部門の橋渡し役となって達成したいと思っています」

現在の新卒採用市場は、採用需要の高まりによる売り手市場化により、人材獲得競争がますます激化しています。OKIも時代にあわせて新たな採用制度を取り入れるなどの進化が求められています。その進化を実りあるものにしているのが、森のような挑戦を続ける社員なのです。