「どこにいても、チームで働く」苦悩と挫折が生み出した、国境を越えるコミュニケーションツールに込められた想い

世界中の離れた人同士が、1つでも多くの企業課題を共に解決し、時間をもっと豊かに使うことができれば……。株式会社Oneteam代表取締役 佐々木陽は、東南アジアでの経験を糧にビジネスコミュニケーションツール「Oneteam」を生み出しました。そこに託された想い、そして佐々木が目指す世界とは?
  • eight

言葉、時差、文化……国境を越えるユニバーサルビジネスを、「Oneteam」が支える

796433b2498fd0ba1cd9cfcb7c446256621d748f
——必ずここに戻ってくる。

2013年、リクルートの海外担当として約2年を過ごしたタイで、佐々木は誓いました。

当時、必死の思いで進めた東南アジアでの案件が白紙に……。突然聞かされた会社の判断に、佐々木と近藤(のちの Co-founder)はなす術なく、ただ悔しさを噛みしめていました。

東南アジアの同じ地に戻る。お世話になった現地の人々に、良いソリューションを提供する。そのために設立したのが株式会社Oneteamです。

東南アジアで感じていた仕事上のコミュニケーションに対するストレスを解消する。そのために開発されたコミュニケーションツール「Oneteam」は、着実に世界中で利用者を増やしています。

プロダクトの思想は、タイを拠点に、ベトナム、マレーシア、シンガポール、そして日本など6カ国を行ったり来たりする毎日を送っていた、佐々木の想いそのものです。

佐々木「時差がある状態では、常にどこかの国でプロジェクトが動いています。寝ている間に行われたやりとりは、起きたころには流れてしまう。何がなんだか分からなくなるんです。ユニバーサルなビジネスの世界では、リアルタイム性よりもイシューベースの会話の追求が必要だと感じていました」
日本やアメリカとの連絡も多く、言葉も、時差も、文化もまったく違う。それらの国々で複数のプロジェクトを同時進行することに、限界を感じていました。

佐々木「僕らは『Oneteam』を通して、離れた者同士が滑らかにコミュニケーションできるワークウェルな世界を創ることを目指しています。1つでも多くの課題を解決したいんです」

好奇心と探究心で駆け抜けた飛び級出世街道の、思いもよらぬ“落とし穴”

小学校のころから、好奇心と探究心旺盛だった佐々木。花を見て「なぜ白と赤のスイトピーをかけ合わせてピンクにならないのか」、地図を見て「大陸がどう移動したから宗教がどう分散したんだろう」と考えるような子どもでした。

佐々木「好奇心と探究心が強く、就職のときも、いろんなものを扱えていろんな業種を見られる職に就きたかったんです。そこで広告代理店に入社しました。空港開発やコンビニのポスレジ開発もすれば、携帯ショップの店舗デザインもする。いろんなことができそうだなと」
そこで、ビジネスの基本を習得したと振り返ります。その中でも“流通”の発想が、自身の仕事観に大きな影響を与えます。

佐々木「今でも、ほとんど流通の戦略で事業運営しています。集客して、購入者の比率を上げて、購入者の単価を上げて、リピート率を上げる。どんなビジネスでも同じですよね」
入社3年目からはリーダーとして、コンペで負け知らずのチームを統率。抱える案件も増え、“企業経営”について興味を抱きはじめます。しかし、代理店の立場では企業経営まで入り込めない。そこで、事業会社でありメディアを取り扱っているリクルートにジョインしました。

リクルートでは「じゃらん」をスケールさせるアライアンス戦略などを担当。オンラインで航空会社と宿を自由に選べてツアー化させる仕組みを創り、数々の賞を受賞しました。

その後も、立て続けに事業開発者として案件にも恵まれ、アライアンス担当から資本を伴うジョイントベンチャーの設立などに携わる機会が増加。会社の仕組みや株主総会についても学ぶことになります。

そんな中、SUUMOへの異動を機に、海外案件も手がけるように。タイを拠点に東南アジアでの勤務がスタート。多くの案件を同時進行させながら、一大プロジェクトとして近藤とともにタイの大手企業とのジョイントベンチャー設立に向けて邁進していた佐々木。

しかし、そのプロジェクトが設立目前で白紙になってしまったのです。

「自分の事業を創って、必ず戻ってくる」 再起を誓った土地での、感動の再会

佐々木「めちゃくちゃ悔しかったです。お世話になった人たちに申し訳なくて……。今でこそ会社の判断には納得していますが、当時は気持ちのやり場がなかったです」
経営陣、チームメンバー、雇用するはずだった人たち……。佐々木の頭の中には、現地でお世話になっていた方々ひとりひとりの顔が浮かびました。タイでも、ベトナムでも、佐々木が2年もの時間をかけて創ってきたすべての案件が、クローズされていきました。

そして無念の帰国命令……。しかし佐々木は、その時点で「いつか東南アジアに帰ってくる」と決めていました。

佐々木「自分の事業を創って、自信を持ってみなさんに会えるまで、旅行も含めて2度とこの地は踏まない。そして、必ずここに帰ってくると。そう決めたんです」
その後リクルートを円満退社して、ASEAN経済共同体発足の年である2015年2月3日、株式会社Oneteamを創業しました。

——必ずここに戻ってくる。

そう決めてから2年を経た2015年秋、佐々木は再び東南アジアの地を訪れました。自分たちが作ったはじめてのプロダクトを、その手に携えて……。

佐々木「当時お世話になっていた会社を訪問したのですが、正直とても不安でした。東南アジアを去るときは、泣きながら『また一緒に仕事をしよう』って、応援してもらった。でもそれは、僕がリクルートという看板を持っていたからだったのか、個人として言ってくれていたのか、自信がなかったんです」
しかし、その不安は無用に終わります。佐々木を出迎えてくれたのは、想像以上に温かい言葉でした。

佐々木「タイでも、ベトナムでも、会社を訪れると、役員を含めて全員出てきてくれたんですよ。『よく戻ってきたな』『また一緒に仕事できるな』って。めちゃくちゃうれしかったですね。本当に感動しました」

国籍も年齢も性別も無関係。躍進力のある「1つのチーム」を作りたい

佐々木「僕らは“デジタルを駆使するけれど、対面に最高の価値を置く”と決めています。『会う』というのは、顔色を見て気遣いしたり、親密な会話をするための貴重な時間です。 “対面の価値”を最大化するために、テクノロジーがあるんです」
Oneteamの定例会議は金曜日の1時間のみ。その他の会議も、事前に「Oneteam』上でイシューをあげて解決策を提示することで、10分あまりで済むことも少なくありません。このようにして生まれた余剰時間を、新しいチャレンジや家族との時間に充ててほしいと佐々木は考えています。

そして、Oneteamはユニバーサルビジネスを前提としたチーム。だからこそ社内には、“国境”がありません。

企画、リーガル、ファイナンス、クリエイティブ……すべての部門が多国籍。給与テーブルも全社公開でグローバル共通。国籍関係なく、能力があれば収入もアップします。

佐々木「台湾人の優秀なデザイナー、サンフランシスコで働くAndroidエンジニア、マレーシア人のメンバーに、カナダからのインターンなど、さまざまなバックグランドを持つ人が働いています。年齢も、性別も、気にしません。共同創業者の近藤も僕よりかなり年下ですが、背中を預け合うパートナーにするにあたって、迷いはありませんでした」
CTO、CFO、CMOなどのポストありきで採用することもありません。入社して、みんなに支持されてはじめて、そのポジションにつくべきだと考えています。

佐々木「今はまだ十数名の会社なので、とにかく前に進めることが大事です。だから、メンバーシップよりオーナーシップ。各々が、チームのために何ができるかを考えて動ければ、働く時間や場所は関係ありません」
Oneteamは、「新しい世界に、新しいチームを支援する」 そんなミッションを掲げ、世界に貢献するプロダクトを生み出し続けます。それによって世界中の企業課題を1つでも多く解決する。世界が、そんな1つのチームになることを目指して……。

関連ストーリー

注目ストーリー