成長し続ける「温泉むすめ」プロジェクト

▲温泉むすめのメインキービジュアル

「現在進行形でその規模を拡大している「温泉むすめ」プロジェクト。アニメや漫画、キャラクターなどのIP(Intellectual Property)を通じて、日本全国の温泉地や地方都市を盛り上げることを主目的として、2016年11月にスタートし、翌年3月から本格始動した。

また、2019年6月には観光庁からの後援も決定し、温泉むすめHPを始め各種イベントなどにおいて、観光庁のロゴマークが付加されるようになった。

さらに同年12月には、観光庁およびJNTO(日本政府観光局)による、全国各地における外国人観光客を誘客するプロモーション「Your Japan 2020」キャンペーンにも選出される。そして今年も都内を始め、仙台や松江など、各地でのイベントを開催しており、その勢いはとどまるところを知らない。

本格始動開始から丸三年を迎えた「温泉むすめ」。「地域活性クロスメディアプロジェクト」と銘打った、地域に根付いた地道な活動は立ち上げから今まで一切ブレることなく、2020年現在も一歩一歩、ときには試行錯誤を重ねながらも着実に進化している。

では、はたしてなぜここまで温泉むすめは受け入れられたのだろうか──追求すればするほどに、従来のコンテンツと一線を画す要素が『温泉むすめ』には数多く内包されており、今後の展開次第によっては従来とは異なる「化学変化」を起こす可能性が秘められているように思えるのだ。

プロジェクトの本格稼働から約3年。このように長い期間愛され続けている温泉むすめ。なぜこれほどまでに受け入れられたのか。そこには確とした理由があった──」

「スケールの大きさ」と「地域の視点」で、継続的な巻き込み体制をつくる

「温泉むすめが広く受け入れられている理由を、コンテンツの構造的な観点から見ていくと、まず全国展開というスケールの大きさが従来のコンテンツと明らかに一線を画していることが挙げられる。

他のコンテンツでは、イベントやライブを大都市中心に開催しており、さらにコンテンツ自体の世界観は局地的に展開しているものがほとんど。その点、温泉むすめは対象としているのが日本全国の温泉地なので、かなり幅広くイベントが行えるという強みがある。

温泉地を美少女キャラクターとして擬人化し、各温泉地の特徴を織り交ぜながら楽しくも伝統文化を啓発する本プロジェクト。キャラクターや作品にハマった人がその温泉地を聖地巡礼として訪れ、魅力に気付き、温泉むすめだけでなく現地の理解も深まる──Win Winの関係が構築されている。

そのために大事なのは継続性。仮に地方でイベントを行ったとして、最初は集客できたとしてもそれ以降は続かず、一発の打ち上げ花火で終わってしまうことが多い。

それに対して「温泉むすめ」は、一過性のブームで地方を利用するのではなく、あくまでその土地にコンテンツを根付かせていきたいという想いで取り組んでいるのだ。

また、温泉むすめはビジネス第一主義ではなく、あくまで地域の視点に立ったスタンスで取り組んでいるプロジェクトでもある。

とはいえ「地域に根付かせる」と言葉にすれば簡単に響くが、実際は時間もお金もかかるため、綺麗ごとだけでやってはいけない。だが、ビジネス重視ではなかなかできない先行投資も行った上で根気強く向き合っている。

その姿勢を評価し、応援している個人投資家や企業が多くいる。そういった意味で、温泉むすめは「地域巻き込み型プロジェクト」であると評することができる。コンテンツのつくり手の意図だけでなく、みんなでコンテンツを大きくしていく──その姿勢が、温泉むすめを愛されるコンテンツへと押し上げたのかもしれない」

一過性でないブームをつくり上げようとする根源は、「熱量」と「誠意」である

「代表の橋本氏の「一過性のブーム」に対する線引きは確固たるもので、ブレがない。そしてその一過性でないムーブメントをあくまで地域主体で盛り上げていくことも大切にしているのだ。そしてその根底には全国の温泉地を元気にしていきたいという強い「熱量」と「誠意」がある。

その「熱意」と「誠意」は、こと温泉むすめに対してのみではなく、彼の半生の軸となっている。橋本氏は一度、やると決めたら責任を持ってとことんやり込む。そこに負けず嫌いな性格も相まって成果を出してきた。

橋本氏は昔から、人に頼られることが多かったと語る。小学校から高校までクラスの学級委員長としてクラスをまとめていたし、友人たちからさまざまな相談を受けることもあった。

また、高校卒業後に上京してから経験したいくつかのアルバイトでも、気付けばいつも正社員並みの業務とポジションを任されていたという。

そして、その傾向が最も反映されているのが、「美人時計」である。美人時計とは「bijin-tokeiであなたは1分間の恋をする。」という氏が考案したキャッチフレーズのもと、街角で時刻を手書きしたボードを持つ女性の写真が時間を伝えるコンテンツサービスであり、2009年に一世を風靡した。

橋本はそんな美人時計の育ての親。イチから組み上がった本サービスを月間アクセス数500万、月間ページビュー2億PVを獲得するまでのコンテンツに育て上げているのである。

コンテンツを育てる──ひと口に言っても、それが表す内容は多岐にわたる。美人時計を考案した中屋 優大氏から「このコンテンツを大きくしたい」と橋本氏が相談を受けてから、美人時計をバイアウトするまで約1年半。

その中で、現場でのコンテンツ制作から広報活動、タイアップやコラボなどの営業に至るまで幅広く運営に携わったのである」

美人時計での成功をへて、さらに先へ

「美人時計を育て上げた橋本氏。

そしてそんな美人時計のヒットまでの経験を「世界が恋した美人時計」にしたためて刊行している。そこには美人時計運営における楽屋裏の話が描かれている。

しかし驚くべきことに、その原稿は3日間で書き上げたものだというのだ。しかもその内実はコンテンツビジネスに特化した専門的な内容となっており、それをたったの3日間で書き上げてしまう集中力こそが、橋本氏の持つ熱量なのである。

そして美人時計をヒットさせた経験は、現在にも生かされている。スキル面はもちろんではあるが、その中でも最も温泉むすめに反映されているのは姿勢であろう。

「一度引き受けた依頼は最後まで責任を持ってやる」と橋本氏は常々口にしている。それが温泉むすめにおける継続性や、地域に寄り添う姿勢として現れているのである。

次々に優れたコンテンツを生み出す源流は、特別なものではない。「物事に対して徹底的にやり込む姿勢」や「一度引き受けた依頼は最後まで責任を持ってやる」こと。もちろんノウハウや特別な発想も大事ではあるが、当たり前を突き詰めることを大事にしているのだ。

今なお成長を続ける温泉むすめ。その背景には莫大な「熱量」と、愚直なまでの「誠意」があった」