デザインの力でスポーツを支えていく──ヒトに寄り添い、つくり出したアイコン

2019年6月、130種類のスポーツアイコンをオープンソース化するというプロジェクトが始動。このプロジェクトにはPlayer! デザインチーム全員が参加。常に『常識を疑う』ようなデザインをつくり続けているチームの新たな挑戦が始まりました。

スポーツを表現する一つの手段として僕らのアイコンを使って欲しい

▲こだわり抜かれ作り上げられたアイコン

130種類のスポーツアイコンをオープンソース化する──。

デザイナーのいない大学スポーツやアマチュアスポーツチームの人々に無料で使えるアイコンを提供することによって自分自身のスポーツを表現しやすくなるのではないか、という思いを込めたプロジェクトが始動しました。

プロジェクトメンバーは、Player!デザインチームのマッカートニー龍馬(リョーマ)と小磯雄大(タケ)とナンシー・トルング(ナンシー)の3人。

このプロジェクトが持つ“価値”について、リョーマはこう語ります。

リョーマ 「どこの企業も、スポーツチームもみんなグラフィックデザインのリソースがあるわけではありません。デザインする人もいなければ、デザインしてもらうお金もないかもしれません。だからこそ、僕たちがつくったアイコンには価値があると思っています」

日本のアマチュアスポーツや学生スポーツのチームに、デザイナーはほとんどいません。だからこそ、Player! デザインチームはデザインの力で彼らの活動に寄与したいといいます。そのためにこの1カ月Player! デザインチームは全員でプロジェクトに向き合い、一丸となってプロジェクトを進めてきました。

リョーマ 「僕が進捗確認やディレクション、タケが主にデザイン自体のディレクションを担当。ナンシーはタケがつくったガイドラインを元にデザインをしていく役割を、デザインチームではしていて。このプロジェクトで 1番フォーカスしていたのは、みんなが知っているスポーツだけじゃなく、名前だけ聞いてもイメージがつきづらいようなスポーツも、 “アイコン”と “言葉”で表現できるかということ。
誰かに『このスポーツをやってるんだ』と伝えるときに、アイコンを見せてスポーツ名を言えば『こんなスポーツなんだ!』と簡単にイメージがつくようなものをつくっていこうとチーム全体で決めていました」


プロジェクト開始前、Player! には47種類のアイコンがありました。これまでのすべてのアイコンはタケが描き、つくってきました。

タケ 「僕が ookamiで初めて関わったプロジェクトが Player! のスポーツアイコンを描くことだったんです。そこからPlayer! に新しいスポーツが追加されるたびにつくってきました。ときには、現役ハンドボーラーのインターン生のシュートしてる姿を写真に撮って、それを見ながら絵を描き、デザインしたこともあったんです」

Player! のアイコンは、アイコンだけでそのスポーツを表現するのではなく、それに関連するチーム名や選手名などの“言葉”と組み合わせ、スポーツを表現しています。

重視すべきは“わかりやすさ”と“世界観”。重ねられる議論と試行

▲毎日レビューの時間を作り、お互いにフィードバックし合ってきました

このプロジェクトでは新しくアイコンをつくるだけではなく、既存のアイコンにもアップデートを加え、合計で130種類ものアイコンをつくりあげました。

タケ 「最初このプロジェクトの話を聞いたときは『ついにきたな〜』という感じでしたね。 1カ月間で既存のほぼ倍のアイコンをつくるというのは、不安でもあり楽しみでもありました」
ナンシー 「最初は本当にびっくりして。でも、このメンバーなら大丈夫じゃないかな? とも思いました。とはいえ、実際に進めていくと自分が今まで知らなかったスポーツもたくさんあって、プロジェクトの大変さを痛感することになったんですが(笑)」

大まかなリサーチをリョーマが担当し、そこからタケとナンシーで手分けしてさらに深掘りしていく。

タケ 「リサーチ途中で、『このスポーツどうしよう! 難しくない!? 』と Slack(社内で使っているコミュニケーションツール)のメッセージでナンシーと送り合ったりしてましたね(笑)」
ナンシー 「写真だけだとどうしても競技のイメージがわかなくって、 YouTubeで実際に競技をしているところを見てイメージを膨らませてからつくることもありました」

一度つくりあげたらそれで完成! というアイコンはひとつもなかったと振り返る3人。つくりあげたものを、自分自身でレビュー、修正して、さらにお互いでフィードバックし合い、また修正を繰り返す。ひとつのアイコンに4時間くらいかかったのではないかといいます。

リョーマ 「スポーツアイコンを 100種類以上つくるのって、想像以上に大変です。そのスポーツのシンボルを探し、どこがアイコニックなんだっけ?と深く考えて描かないといけません」

競技性や使う道具が同じスポーツも多く存在します。
その中でどうそれらを差別化するか──

タケ 「僕の場合は、競技の特徴をひとつ必ず見つけて、それを表現しようと思ってつくっていきました。たとえば、卓球とラージボールっていう種目があって……。ふたつの競技の違いが使う球の大きさが 4mm違うだけなんです。それをアイコンで表現するのってすごく難しいじゃないですか。なので、使うツールやコートなどが似た競技はつくるときに工夫しまくりましたね。
言葉で『ラージボール』と聞いても絶対想像できないと思うんです。でもそこにアイコンが合わされば、『あ、そういうスポーツか』ってイメージできるようになると思うんですよね。そこが僕らチームのゴールなんです」

アマチュアスポーツの多くは、言葉だけ聞いてもどんなスポーツかイメージできません。だからこそアイコンで“競技のイメージ”を伝えられるように。試行錯誤の連続でした。

しかし、ひとつだけいいアイコンが独立してできあがればいいというわけではありません。できあがったアイコンがほかのスポーツアイコン達と共通した世界観を持ち、それが“どんなスポーツなのか”を伝えることができるようにしなければいけないのです。

「わかりやすさと世界観の両立」もまた、プロジェクトの大きなテーマとして常に立ちはだかります。

リョーマ 「一つひとつの世界観がバラバラだと、スポーツアイコンとして正しいとはいえません。自分たちがつくるスポーツアイコンすべてで、ひとつの世界観をつくりあげる必要があります。
それに加えて、オープンソース化するということは、ガイドラインをわかりやすくしたり、ほかの人が編集や修正をしやすくしたりする必要もあるんです。大変でしたけど、ここまでこだわったからには多くの人に使ってもらいたいですね」

このこだわり抜かれたアイコンを1人でも多くの人に使って欲しいからこそ、誰もがわかりやすく使いやすいものを──。

さまざまな人に届けたいという想いが、アイコンをより洗練されたものへ、統一感のあるものへと押しあげたのです。

「もっとスポーツを楽しんでほしい」このチームだから気付いた課題

▲信頼し合った3人で共に築き上げたものだからこそ自信を持って公開できると笑み

アイコンをより質の高いものへと昇華させるために課題と向き合い続けた3人。アイコンに正解はなく、だからこそ難しいのだといいます。そんな3人がプロジェクトで最も苦労したのは、感覚的な“最善”を探ること。

タケ 「僕がこのプロジェクトで1番大変だったことは、レビューですね。3人で『これおかしいよね〜』という話をするのですが、1回つくったものを変えてさらにいいものをつくるってすごく難しくて。どうしたらよくなるんだろうってひたすら考えてましたね。考えて、考え抜いてひとつのアイコンをつくるので、相当な体力を使いました」
リョーマ 「見過ぎるとほかの人から見たら変だと思われても、自分では正解だと思ってしまうんです。目がおかしくなってきてしまうので、一度リセットして、よりよいものを生み出すためにフラットな状態にして考え直す必要が出てきます。だからすごい時間を要するんです」

向き合えば向き合うほど、わからなくなる。そんな迷路を、3人はそれぞれを信じて突き進みました。

ナンシー 「私の場合いつも 1番最初につくるものは納得できなくって、『本当によくなるのかな?』と不安になることもあって。でもよくなると信じてつくり続けて、デザインチーム全員で納得いくまで考え抜き、共に築いていく。そうやって徐々にアイコンはできあがっていきました。
でも、実際にその競技をやっている人の感想を聞いてみたいんです。本当にこのイメージで合っているかとか、競技をやっている人が見たらどう思うんだろう?と、できあがったものができるたびに思っていて。実際に現場に行って選手にインタビューすることはできないかもしれないけど、オンラインなどで感想を聞いてみたいですね」

これほどなく深く追求してきた自分たちだから──。

さまざまな課題と真摯に向き合って、プロジェクトを完遂させた3人には、自分たちと同じくらいスポーツと向き合って描いているチームはどこを見てもないのだという自負があります。そして見えたのは、“見せ方”の重要性。

タケ 「学生スポーツの課題って、ファンが少ないことにあると僕は思います。自分のチームのブランディングをもっと積極的に行っていかないといけないと思いますね。たとえば、メディア露出をするとか。見せ方って本当に重要な要素で。どう楽しいって思うか、どうみんなにおもしろいと思ってもらえるかが 1番肝心なんです」

アマチュアスポーツにも大学スポーツにもそれぞれ魅力が沢山あります。それを表現するひとつの手段としてデザインの力を使うことができるのではないか、とデザインチームは考えているのです。

リョーマ 「ひとくちにスポーツといっても種類はさまざま。さらに、いろんなコミュニティがあります。でも今はスポーツを“楽しむ場”が少ないと思うんです。もっとそのスポーツをきっかけに友達ができたり、コミュニティができてもいいなって。だからそういう場をPlayer!でつくりたいと思ってます。
チーム、そしてチームのファンに対して"楽しい場所"をつくる。人と人がつながって、盛りあがる楽しい場所ができれば今よりも多くの人、たとえば選手の家族や友達までを巻き込めると思っているので。そうすることでスポットライトが当たり、メディアから取りあげられやすくなる。すると多くの人に認知されてファンディングが入ってくるという理想的なサイクルができると思います」

Player! デザインチームだからこそ出来る方法で、アマチュアスポーツや学生スポーツが持つ課題解決を目指していきます。

Player! デザインチームがつくる“スタンダード”

▲Player! デザインチーム、左からタケ、ナンシー、リョーマ

ナンシー 「誰もが使いやすいデザインのテンプレートをつくりたいと思っています。たとえば、ポスターをつくるとなっても、一からデザインを考えてつくるのって、すごく大変です。だから、私たちのテンプレートを使えば簡単にデザインできるような仕組みをつくることができれば、プロモーションしやすくなるチームは増えるんじゃないかなって。それにもっと興味があれば ookamiオフィスに来てもらい、デザインチームがフィードバックもできるかもしません」

デザインのテンプレートをオープンにし、共有することによってチームのデザインへの障壁を減らしていく。Player! デザインチームだからこそできることを常に模索しています。

タケ 「デザインチームといっても、絵を描いたりアイコンをつくることだけが仕事ではありません。僕たちはマイナースポーツや学生スポーツを、 Player! を使ってユーザーと繋げられるようにしたいと思っています。たとえば、 Player! 主催のマイナースポーツ体験大会とか。デザインチームが声をあげて、企画して、どんどん “知ってもらうきっかけ ”をつくっていきたいです」
リョーマ 「タケも言っているように僕たちは、アイコンをつくるだけではなく、サービスのデザインまでします。そのスポーツの盛りあがりを鮮明に伝え、どんな人にでも使いやすいサービスである必要があるのです。そのために、画面自体の壁を取り払っていきたい。ユーザーが試合会場にいるように感じてほしいと思っています。
そんなプラットフォームを僕たちがデザインしてつくっていくことで、スポーツチームがもっと表現でき、発信しやすくなるように。そうすることで、ファンもユーザーも楽しいと思える空間ができると思います」

そんな彼らが目指す、これからのPlayer! のデザインチームの姿とは──

リョーマ 「ファンやチームの隣にいるかのようなデザインチームになりたい。より人に近いチームを目指しています」
タケ 「お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、誰がこのサービスを使ってもわかるようなデザインを提供できる、そんなデザインチームになっていきたいです」
ナンシー 「私たち全員でスタンダードを追いかけるのではなく、スタンダードをつくっていく。スポーツやそのファンにとって、Player! のデザインを使うことが当たり前になってほしいです」

2019年7月18日にPlayer! デザインチームは130種類のオープンソースのスポーツアイコンを発表しました。そのアイコンの裏側にあるのは、デザインの力でアマチュアスポーツや学生スポーツを支えたいという強い想い。

これからもその熱い想いを燃料に、よりよいデザインを追求し続けていきます。

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