世界に挑戦するために──ookamiという社名に込めた想いを体現する10年に

2019年夏、30歳の誕生日を迎える尾形太陽。20代でスポーツ業界に飛び込み、挑戦を続けてきました。今回『Forbes Presents the 30 Under 30 Asia』の選出を受けた尾形が20代で歩んできた道のりと、30代で目指す世界とは。
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世界に触れ、再認識した“大切なこと”

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▲「Forbes Presents the 30 Under 30 Asia」に選出された日本の起業家たち

2019年夏、30歳の誕生日を迎える尾形太陽。20代を全力で駆け抜けた彼が、この春『Forbes Presents the 30 Under 30 Asia』に選出され、7月11日に香港で開催された受賞者限定のサミットに参加しました。この出来事は尾形にとって、20代最後にして最大のプレゼントになりました。

尾形 「選ばれた時は率直に『ラッキーだな』と思いました。僕らの『コンシューマーテクノロジーで、新しいスポーツ産業や、エンターテイメントをつくっていきたい』というビジョンと、ある程度のファイナンスの実績があるというこのタイミングで選出していただいたのは有難いですね。だからこれを PRや会社のブランドにつなげていかないとな、と思って香港までサミットに参加をしにいきました」

普段日本のサミットには積極的に参加しない尾形ですが、今回はそういった理由から参加を決めました。そしてもうひとつ、参加した理由があると言います。

尾形 「『アジア各国のアントレプレナーの友達をつくる』というネットワーキングも大きな目的のひとつでした。この先世界に挑戦するときに、いいコネクションをつくっておきたいなと思っていたので」

サミットには200人を超える参加者が、オーストラリアや香港、中国、アフガニスタン、インドなど、アジア各国から集まっていました。たくさんコミュニケーションをとるなかで、ふたつのユニークな会社と出会いました。

尾形 「ひとつ目の会社は『Soundbrenner(サウンドブレナー)』というスマートウォッチをつくっている会社です。 CEOがとてもいい方で、オフィスにお邪魔させてもらい、香港のスタートアップやトレンドの話をしました。

ふたつ目の会社は、『Codepku(コード pku)』という会社です。 CTOとコミュニケーションをとって、香港から 2時間かけて中国の深圳という場所のオフィスまでいきました。その会社は僕らより一年くらい社歴が長い会社だけど、社員数が 200〜 300人。規模感、スピード感、ファイナンス、すべてにおいて圧倒的に進んでるなと思いました。

深圳はテクノロジーにおいてとてもホットな場所なので、以前から気になっていました。今回はそこのスタートアップとサミットで出会えてよかったです」

こうして現地のスタートアップ企業と交流した尾形は、日本スポーツ業界のひとつの大きな課題を再認識しました。

尾形 「アジアの起業家と肩を並べて思ったことは、みんなグローバルで戦ってるから競争意識がものすごいんですよね。一方で日本のスポーツ業界ってまだまだ競争激しくないし、お金も集まりやすい。だからスポーツ業界には、飛び込みやすくはなってる。でもそこにスピード感がないと意味がなくって……。

僕らはビジネス化、マネタイズ化をせずに 5年間走り続けてきました。だからこそ、この一年は危機感を持ち、深掘りしてきちんとしたビジネスモデルをつくり込む。そしてそのマネタイズしたものをサービスやチームに還元できるサイクルを、本気でつくり出さないとなという覚悟ができました」

尾形がサミットを通じて認識したのは、「自らを競争意識が高まる場所に身を置く」ことの大切さでした。

尾形 「マラソンで一緒に走ってる人がいないと、速く走るのってすごい難しいですよね。それと一緒だと思うんです。日本のスポーツ業界は未発達だから、競争する人が特別多いっていうわけではないけど、突っ走らなきゃいけないですね。

似たようなことを、別々のスタートアップがスポーツ界で同時でやっている間に、海外のスタートアップが進んじゃいますから。なんかそうゆう無駄なことをどうやって排除しようかなとは、常に考えるようにしています」

僕たちが仕掛けるスポーツビジネスの変革

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▲グローバルで戦う企業と触れ、インスピレーションを受けた尾形

「日本のスポーツ産業は絶対に変わっていく」という尾形が描く、10年後の未来とは──

尾形 「ベッティングは確実にできるようになってると思いますね。でも、合法化されてもすぐに文化になるわけではないですから。競輪も競艇も競馬も、何十年もやって文化になってるけど、今の日本でサッカーの試合でベッティングするっていう文化はないので。でも実現すれば大きな変化と言えると思います。

それに加えて、テレビの観戦スタイルも確実に変わっていくと思います。しかしどんな変化があろうと、スポーツの本質は一緒だと思っています。そこに熱狂の瞬間があって、それを誰かと分かち合うことです。それは、 VRやホログラムでは解決できないと僕は思っています。テレビだと、誰かと一緒に見るっていう点では、分かち合うことは可能だけど、 "家族 "という形態が変わってきている現代だと難しい。だって、ゴールデンタイムじゃないと家族全員で見ることはできないだろうし、ひとり暮らししていたらひとりで見ることになるだろうし……。

スポーツを見ている人は必ず、『その瞬間の感動体験を誰かと分かち合いたい』と思うはずなんですよね。
だから、僕たちの「 Player!」でその感動の瞬間を教えてあげて、誰かと分かち合えるようなオンライン上のスタジアムをつくりたいんです。」

Player!をリリースして5年。最初は気付かなかった「ある可能性」を見いだすことができました。

尾形 「サービス開発をしてきて、テレビと Player!は思ったより共存できるなと思ったんです。既存のユーザーにも、サッカー日本代表戦やテニスの錦織圭選手の試合で、テレビを見ながらPlayer!を使ってくれている方がいます。

なので、 Player!を使ったパブリックビューイングとかもチャレンジしてみたいんです。日本中の感動や感情を可視化させ、ひとつの会場に集約させる、とにかくオンラインとオフラインの境目をなくすのが目標です」

実際に Player!をオンライブで使ってる人と、現地で観戦してる人、それにパブリックビューイングで見てる人がつながれたとしたら、それもひとつの新しいスポーツの観戦体験になるのではないでしょうか」

また、テクノロジーの進化やユーザーのニーズに併せてPlayer!もアップデートさせていくべきだと言います。

尾形 「 これから動画配信にもチャレンジしていきたいです。そこに今まで僕たちが挑戦していなかったのは、動画に否定的だったわけではなくて、コスパの悪さと通信制限っていう問題があったからです。現状だと、どうしても Wi- Fi環境じゃないところで 1試合見たら、 1Gはなくなっちゃうと思います。だから動画は Player!として挑戦しにくかったんですよね。

でも 5Gの世界が当たり前になれば、その問題も自然に解決されるので、ユーザーの感度が高い動画にも挑戦していこうと思っています。ほかにも、もっとユーザーが喜んでくれそうだなって思うコンテンツにも挑戦していきたいです。

僕たちのプロダクトの原点は、ユーザーが楽しめる場所をつくり出すことです。 Player!というバーチャルなスタジアムをどう改善していけばいいのか、お客さんが見やすい椅子のポジションはないのか、座りやすい椅子の形はなんなのか、入口から椅子までストレスなく行けてるのかという設計を考え抜いて、スピードつけて開発していかないとなと思っています」

そしてもうひとつ、Player!が目指す世界に欠かせない理念があります。

尾形 「僕らが今一番フォーカスしたいのは、大学・アマチュアスポーツチームとの連携強化です。パートナーとして一緒に情報発信をしてくれるチームに対して、しっかりと還元できるエコシステムをつくっていきたいです」

大学・アマチュアスポーツチームとの連携ができ、チームに還元できるエコシステムを確立させ、ビジネスモデルをしっかりとつくりあげたときが、ookamiが世界にチャレンジするときなのです。

尾形 「スポーツってローカルコンテンツなんです。日本人は日本代表のサッカーを楽しみますが、中国の人は日本のサッカーよりも、中国のサッカーや、NBAとか海外サッカーで熱狂してると思います。でも、日本でしっかりと僕らのビジネスモデルを確立させる事ができたら、世界各国にもローカライズさせて大胆に挑戦していくことができます。東京オリンピック後をその目処にしているので、この 1、 2年が重要になってきます」

最高の仲間を集め、全員で挑戦していく

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▲ookami史を全員で築いていく

創業時から組織にこだわり抜き、仲間を増やしてきた尾形。現在、ookamiに関わる人は社員・インターンを含めて50人を越えました。

尾形 「これからもできるだけ少数精鋭でやっていきたいと思っています。 100人未満の規模感でも、日本だったらある程度はやり切れるんじゃないかなと思っています。逆にそのくらいの規模感でやりきりたいですね。

今のチームもすごく優秀ですが、今後チームを大きくするうえで、いくつかのポジションでマネージャーとなりう得る人が必要です。社内でそのポテンシャルを持っている人もいるけど、社外からも迎えたいです」

スポーツビジネス、スポーツエンタメに対して、本気で挑戦できる環境を提供する。スポーツが好きだから、スポーツに関係する仕事をするのではなく、自分たちで積極的に、スポーツを産業として興していきたい。

尾形 「どうしても一般的に『スポーツビジネスにチャレンジする!』となると、給料をすごく下げて入るイメージがすごくあるんです。給料よりも自分のやりたい道を選ぶっていうのはすごくすばらしいと思うけど、スポーツ業界入ったら給料下がるみたいな世界をつくりたいわけではないので。しっかりと優秀な人たちが、正当な対価でチャレンジできる業界を、 ookamiでリードしていきたいです」

Player!にしかできないビジネスモデルをつくり、お金を生み出す。そしてookamiに関わるすべての人に還元していく。

尾形 「ベンチャーで、スポーツビジネスで、圧倒的にリードしてるところはまだ無いから、そこに向かってどう組織をつくるのかというのが、 ookamiの課題でもあり僕自身の課題でもあります。いろんな会社にヒトが散らばってるのはスポーツ産業の開拓に向けては非効率だなと思っています」

また、どんな大学生にもookamiでチャレンジする場所を提供したいと言います。

尾形 「『スポーツで挑戦したいと思ったら、 ookamiの門を叩く』という文化をつくりたいですね。どんな動機でもいいんです。たとえば、現役体育会生の人で『自分の競技を盛りあげるために情報発信したい』という人がいてもいいと思いますし、『フルタイムでコミットしてベンチャーのことを学んでみたい』という人もウェルカムです。

とにかく多くの大学生のなかでスポーツビジネス、スポーツエンタメの領域が、チャレンジする選択肢に入ってきてほしいんです。僕の大きな仕事は、そういう人がチャレンジできる環境を整えていくことですね。そして、優秀な人を輩出していきたい。『スポーツ業界で活躍している人はookamiを経ている人が多いね』となればすごく嬉しいですし、ookamiが世の中に貢献した瞬間だと思います」

社員もインターンも、より輝ける場所をつくっていくために尾形自身の組織論もアップデートを続けていきます。

尾形の新たな30代の挑戦はここから始まる

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▲2019年夏、30歳の誕生日を迎える尾形太陽

『Forbes Presents the 30 Under 30 Asia』に選出され、20代を振り返るいいきっかけだったと語る尾形。

尾形 「僕は学生のときに初めて事業を立ち上げて、案外できるなって思ったり、叩きのめされたりの繰り返しでした。もちろんその軌跡にひとつも後悔はないです。ソフトバンクでの経験も、24歳でookamiをつくったことも。

今回のサミットには24歳よりも若い事業家もいました。彼らの高いレベルのコミュニケーションに刺激をうけました。30代はどう勝つべきかと考えました」

そうした気づきも踏まえて、ここから新たに挑戦が始まっていきます。

尾形 「ookamiという社名に込めた想いを、体現していきたいと改めて、思いました。

少数精鋭で戦略的に動く愛のある群れをつくること。世界中で、各地で最適化した形態で生存すること。誇り高く、美しく生きる。そういう想いを込めて『ookami』という名前をつけました。改めて、愚直に向かっていかないとなと思いました」

創業時には考えていなかった『一人一人のチャレンジを支える組織をつくる』ことにコミットしていきたいと言います。

尾形 「僕は組織が好きです。 ookamiに関わる全員が夢中で挑戦できる仕組みや環境、組織をつくりたい。全員で一丸となって世界にチャレンジしていきたいです」

学生・アマチュアスポーツをエンターテインメント化し、産業にする。そして、ookamiに関わる全ての人たちが、笑顔でチャレンジできる組織を。これは尾形自身の人生を賭けた挑戦であり、ookamiというチームが生存しつづける意義です。

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