アップサイドを追求するだけが本当の投資か?オプトグループは日本の未来へ投資する

“企業の成長請負人”として、新規事業創造をグループアセットによって支援するオプトグループ。COOの野内敦は、自身が経験した新規事業の失敗と成功を踏まえ、起業家の背中を押すだけではなく、起こりうるリスクも捉えた支援を心がけています。起業家のチャレンジを実現させるためには何が必要なのか。野内の姿からひも解きます。
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市場、ビジネスモデルだけでなく、「ヒト」を重きに、投資の判断を下す

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▲創業メンバーとして、様々な新規事業を経験。失敗と成功、両方を知る野内は投資においても冷静です

「ベンチャー企業が閉塞感を打破する」――。そう信じ、投資先企業の事業成長を一緒に考える、いわゆる“オプト型ハンズオン”を続けているオプトグループ。グループCOOの野内敦は、オプトグループによる支援のあり方について、このように考えています。

野内 「私たちは、グループ内で連携を取りながら、ヒト・モノ・カネ、そして情報の面から新規事業を支援しています。短期的なファイナンシャルリターンを求めるだけではなく、人的コネクションや最先端の情報など、中長期的な視点から投資先企業を支援しているのが特徴です」

オプトグループでは、主にVCの役割を担うオプトベンチャーズや、“ゼロイチ”を生む新規事業開発を直接支援するオプトインキュベートなど、グループ会社がそれぞれに役割を持ち社内外の様々な新規事業を支援しています。

野内 「私が企業を見るときにポイントとするのは、『経営者』『経営チーム』『市場』『ビジネスモデル』の 4つです。 4つのうち 2つがヒトに関わることなんですよね。市場やビジネスモデルは状況に応じてピボットできますが、人材はそうはいきませんから特に重要です」

野内が支援に関わった企業の中に、貸し会議室などの空きスペースをシェアできるプラットフォームを提供する株式会社スペースマーケットがあります。同社の代表取締役である重松大輔氏は、野内から受けた「ヒト」に関わるアドバイスについて、このように述べています。

株式会社スペースマーケット 代表取締役 重松大輔氏
「野内さんからは、スタートアップが陥りがちな『勢いだけ』『目先のことだけ』ではなく、たとえば『幹部は一枚岩であることが大事』ということなど、パブリックカンパニーとしての先々のあり方を見据えた高い視点からのご意見を常にいただいてきました。しかも、それが “押し付け ”ではなく、私たちの選択肢を増やすような形で導いていただいていることに、とても感謝していますね」

スペースマーケットは、スペースをシェアして新たな価値を生み出すという事業を構築し、2018年の売上高が前年同月比300%以上という成長拡大を続けています。

資金の“おかわり”ができないと、新規事業、スタートアップは倒れる

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▲スペースマーケットの社外取締役に就任した野内(中央左)。重松氏(中央右)からも信頼を寄せられています

新規事業、そして起業の成否を分けるものは何なのかーー。そのことを野内はずっと、考え続けてきました。オプトグループでも、有能な人材が熱意をもって新規事業やスタートアップにチャレンジするものの失敗し、時には失敗の責任を取りフィールドから去っていく姿を何度も見てきたからです。

野内 「私自身も過去に失敗したからこそ実感するのですが、大きな失敗要因は資金が尽きてしまうことにあります。
特に社内の新規事業を立ち上げる場合、外部からの資金調達を前提としてないため、当初計画した限られた予算の範囲で戦うしかなく、資金が尽きても “おかわり ”することがなかなかできない。そうすると、たとえ成長する可能性を秘めた事業であっても撤退せざるを得ません」

こうした問題を認識した野内は「どうすれば新規事業のリスク許容度を拡大できるのか」を考えた結果、ひとつの解決方法を見出します。それが、社内の新規事業であったとしても、エクイティ(株式)を用いた戦略でした。企業の価値を捉え、他社も絡めた株式交換や事業譲渡といった手法を駆使することで、資金面のリスク許容度を高めることができます。

野内「社内事業とベンチャー創業には、共通点もあります。外部から資金調達できているベンチャー企業であっても、市場環境の変化によって、いつ資金の供給が止められるかはわかりません。
私は ITバブルの崩壊などを経験し、資金調達が滞って潰れる会社をいくつも見てきましたから、そうした危機意識を常に持っています。だからこそ、限りあるアセットを前提としたリスクマネジメントが不可欠と考えているんです」

オーバーアセットで大きく勝負することが美学と投資業界で言われがちですが、IT激動の時代に身を置いた野内は違います。際限なく資金調達できることを前提とする今の風潮に対しては、疑問と不安を感じています。

手元資金と今後調達“可能”な資金を合わせたとしても、限られたアセットと捉えて勝負する。これが新規事業、そして起業の成否を分ける野内なりの答えなのです。

チャレンジを実現可能にするために必要なのは、“ダウンサイド”への視線

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▲野内を中心にオプトベンチャーズが支援した企業は続々と上場を果たしています

オプトグループのなかで、VCとして投資を通じて起業家を支援するオプトベンチャーズ。野内はオプトベンチャーズの代表でもあり、投資先のベンチャーに対してアドバイスをすることも少なくありません。そうしたときに野内が意識していることが、「ダウンサイドをいかに抑えてあげられるか」という点です。

一般的に、新規事業を支援するときには、売上・利益の拡大を前提とする「アップサイド」に目を向けたアドバイスがなされることが少なくありません。しかし、野内はあえて、損失を被る可能性である「ダウンサイド」にもきちんと目を向けるべきであると考えています。

野内 「新規事業を支援するときには、つい、『もっと行け』と背中を押すスタンスになりがちなのですが、状況によっては『今はやめておくべき』と意見させていただくこともあります。
アップサイドを追求するだけでなく、いかにダウンサイドを抑えていくか。ここを意識している投資家は少ないと思いますが、私は常に両面を考えるようにしています」

新規事業とスタートアップに対して、野内がここまで冷静である理由。それは彼自身が経験した数々の失敗からくる知見だけではなく、オプトグループが新規事業を支援する理由である、「日本の社会課題を解決する」ことにも関係しているのです。

解決したい社会課題は何か?確固たるビジョンこそが事業、起業を成功させる

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▲自社の利益だけをみている訳ではない。野内は日本経済の未来を見つめて、日々、戦っているのです

日本の社会課題にITを掛け合わせることが価値を生み出し、それがやがて社会の活力になる――。そう信じて、新たなチャレンジに挑む起業家と向き合い続ける野内。

野内 「『流行っているから』『儲かりそうだから』ではビジネスは続きません。
これまで私はいろいろな起業家の方を見てきましたが、『成功するのは確固たるビジョンを持ち、動じない起業家』というのが現状の解なんですよね。やはり、日本社会の課題を捉え、ロングスパンで本質的に解決していくことが大事だと思っています」

印刷という、伝統的な産業にインターネットを持ち込み業界構造を変革したいと考えたラクスル株式会社もオプトグループの支援先のひとつです。

ラクスル株式会社 代表取締役CEO 松本恭攝氏
「我々が解決したい日本社会の課題に対して、同じような見解を持っておられて。大きな資本と、強いチームが必要だった中、大きな資本を投資いただき、十分な投資が行なえました。また、過去の野内さんの事業の成功、失敗などを取締役会でシェアしていただき、解像度の高い議論に結びつきましたね。事業経験が豊富なアドバイザーとして、幾度も助けてもらいました」

オプトグループは、このように本気で社会課題の解決を目指すベンチャーから、「本気で応援する会社」として選ばれる企業でありたいと願っています。そのためにも、現状にとどまらず、より高い目標に向けてオプトグループは歩みを進めていきます。

野内 「オプト グループでは、現状を遥かに超える高い目標を社内で掲げています。現状のオプトグループの状況は決して悪くはありませんが、それでも目標に据えたのは現状とまったく別のステージであり、達成するためには飛躍的な成長が必要です。そのために何を壊し、何を創っていくべきなのか、常に考えていきたいですね」

「新しい価値を創造する」。創業時のこの想いを胸に、オプトグループは前進します。デジタルテクノロジーを駆使したベンチャーが日本の経済再生を担い、社会全体に活力をもたらす。そうした未来に目を向けながら――。

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