ペットが噛んでも切れない!ロングセラーの超タフストロングケーブルが誕生するまで

頑丈な充電ケーブルのパイオニアとして、株式会社オウルテックは業界1位を目指してものづくりに励んでいます。累計出荷数200万本を超えるストロングケーブルは、某量販店のプライベートブランド品に採用された当社のロングセラー品。この製品がどのようにして生まれたのか、今回は誕生秘話をご紹介します。
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ベテランの技術を駆使して、頑丈なケーブルの製造に着手

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▲30歳の頃の丹木芳則。机の上にあるのはノートPC用超薄型3.5インチFDDの試作品

株式会社オウルテックは、キーボードやタッチペン、ドライブといったパソコン周辺機器の製造、販売を行なっています。なかでも弊社の主力商品である「ストロングケーブル」は、多くの方に好評をいただいています。

この製品が生まれたのは、弊社の社員がお客様から聞いた、あるお話がきっかけでした。

2014年4月、ペットを飼う家庭が増加している今、人間と動物が同じ空間でも快適に暮らせる生活を手助けしたいーーそう思った弊社は、ストロングケーブルの開発をスタート。シニアマネージャーとして新商品の開発を手がける、丹木芳則(たんぎよしのり)がメインで担当することになりました。

2018年現在、60歳の丹木は1979年に某大手電子部品の総合メーカーに就職し、フロッピーディスクドライブ(以下、FDD)の機構設計や小型化に携わってきたベテランエンジニアです。

そんな丹木がケーブルの製造で初めに着手したのは、被膜部分を硬いプラスチックで覆ったバージョンの試作でした。市販のケーブルの被覆部分は、PVC(ポリ塩化ビニル)やPE(ポリエチレン)といったやわらかい素材が主に使用されています。しかし、これらはペットが噛む力に耐えきれず、簡単に傷が付いてしまっていました。

そこで何種類かのカバー素材の中から、丁度良い硬さの素材を採用して製造をはじめます。試行錯誤の結果、初代ストロングケーブルが2014年4月に完成しました

ペットが噛んでも傷つかず断線しないケーブルはできたが……

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▲X線透過装置で断線箇所を確認している様子。この作業により、超タフストロングケーブルの誕生が近づいた

その頑丈さから、ストロングケーブルは発売当初から話題となりました。しかし、品質保証チームと不良品を調べていると、断線しているケーブルの比率が多いことに気付きます。ケーブルの外皮は強くなったため傷は付かず断線もしていませんでしたが、コネクタ付け根内部の断線が発生していたのです。

すぐに、製品の改善が求められました。原因を探るべく、1カ月ほどかけてすべての不良品に対し、通電検査とX線透過装置での断線検査を実施。電源ライン、信号ラインなど一つひとつに通電チェックを行なったため、かなりの時間を要しました。加えて通電チェックでNGとなったケーブルは、X線透過装置で端から端まで確認し、断線箇所の特定もしていったのです。

すると、コネクタの付け根部分(SR部)の形状が原因であることが判明。さらにそれだけでなく、耐久性のために材質の検討も必要だとわかります。

「このままだと、せっかくお客様に購入していただいても、十分に満足していただけない……」そう考えた丹木たちは、第2モデルの開発に取り掛かることにしました。

扱い方は十人十色、どんな状況でも耐える設計が必要

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▲2018年現在の丹木は61歳。趣味はゴルフ、娘と息子を持つ良いお父さん

構造力学を学んだことがある人なら、ケーブルの付け根部分は応力集中しやすい(特定の部分に力が加わりやすい)ことが分かると思います。そのため自然と、応力をかけずに取り扱うことができるでしょう。

ところが、そのことをまったく知らずに扱う人もいます。たとえば丹木の娘は、ケーブルを接続した充電中のスマートフォンを、寝たり起きたりしながら使っていました。そのため多くの力が、コネクタ付け根部分にかかっていたのです。

娘を見て、ケーブルの扱い方は十人十色なんだと丹木は悟りました。そこで第2モデルの開発は、まず通常よりも長いロングSRという付け根の形状を設計しました。コネクタ部の素材もやわらかいものから固いものまでテストを繰り返した結果、5万回の屈曲に耐えるケーブルをつくることに成功。使用時に足を引っ掛けて引っ張られても破損しないよう、アラミド繊維という防弾チョッキなどに使われる引っ張り強度の高い素材も、ケーブル内部に追加しました。

そして屈曲試験を行ないました。オリジナル製品の開発なので、正確な精度を確かめるために屈曲試験機も自分たちでつくりました。通常の屈曲試験はプラスとマイナス、それぞれ60°に曲げて試しますが、当社はどちらも+/-90°に曲げるという厳しい条件で行ないました。どんなに乱雑に使われても、長く使えるようにと考えたのです。

設計方法を見直したこと、そして選んだ素材が功を奏し、第2モデルは初代と比べてはるかに強度が増しました。

2017年に発売を開始したこの「超タフストロングケーブル」は、初代ストロングケーブルに「超タフ」という言葉を足した商品名です。保証期間を2年間にできるほど品質に自信があります。おかげさまで、お客様にプライベートブランドに採用していただくなど、エンドユーザー様からは乱暴に扱っても断線しにくく絡みにくいから愛用しているとの声を聞いております。

強いだけではなく、安心・安全もプラスした商品を

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▲超タフストロングケーブル。充電器ならオウルテックと呼ばれる商品を目指している

4年に渡って改良を重ねてきたストロングケーブルですが、より良いものをつくるため、今後は3つの目標を持って商品を開発していきたいと思っています。

1つ目の目標は、耐久性の強化です。すでに5万回の屈曲に耐えているので、耐久性は十分ありますが、さらに屈曲回数を伸ばし、他社との差別化を図りたいと思っています。

2つ目は、巻き取り式のケーブルの強度を高めること。巻き取り式のものは、断線しやすいフラットケーブル(帯状の平たいケーブル)が使われています。市販のものは数百回の屈曲試験で断線してしまうケースがほとんどですが、弊社は1万回の屈曲試験に耐える製品をつくるのが目標です。ちなみに強度を試す巻き取り試験機も、自社で設計してつくりました。

最後に3つ目。最近ハーフショート(半通電)が原因でコネクタ部分が溶けたり、発煙したりする事故が増えてきています。ハーフショートは、ケーブル端子部にゴミ、ホコリなどが付着することで発生します。布団の中やカーテンのそばなどで発生すると、火事につながりかねません。特に最新のスマホに導入されている急速充電機能は、大きな電力を扱うためリスクも高まっています。

今後はハーフショートが原因で起きる熱事故を未然に防ぐため、温度が上がると電流を遮断するセンサーを搭載した充電ケーブルを普及させる必要があります。すでに当社の最新充電ケーブルには実装していますが、全モデルに対応することが目標です。

今後は、充電器ならオウルテックと覚えていただけるように、より良い品質の商品をつくりたいです。

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