ネットの声を広く聴け。思考のデジタル化から、PRパーソンの可能性が拡張する

何もかもが急速に進化しつづけるデジタル時代。リアルなコミュニケーションを生業としてきた広報・PRパーソンは今、ITとどう向き合えばよいのか。ソーシャルリスニングの導入やソーシャルシグナルをベースにしたメディア・プランニングの考案など、いち早く広報・PRのデジタル化を推進してきた一ノ瀬寿人が切ります。
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ツールに逃げるな、まずは“思考”をデジタルせよ

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▲別業界からの中途入社。入りたてのころは、デジタルの知識も浅かったと振り返ります

「広報・PRのデジタル化が、うまくいかない」

株式会社オズマピーアール PRソリューション開発部シニアディレクター、一ノ瀬の元には、このような相談があとを絶ちません。

一ノ瀬 「広報・PRのデジタル化を進めるにあたって、ツールの検討や見直しについて相談をいただくことがとても多いのですが……最初に考えるべきなのはツールではありません。 “ツールを使いこなす=デジタル化”では、ないんですね。

伝えるべき情報やコンテンツを、デジタルに最適化していくこと。それが広報・PRのデジタル化です。 “思考のデジタル化”を実現しなければ、ツールは宝の持ち腐れになってしまいます」

2017年現在、SNSを含め、さまざまなデジタルツールが台頭しています。その結果、誰もが「20代 女性」「30代 男性」など、ターゲットを詳細にしぼった情報発信が可能になりました。リーチは可能になっても本質的なエンゲージメント獲得に至っていないケースが多いのが実態で、本当に相手が求める情報を届けられているのか、定かではありません。

一ノ瀬 「思考のデジタル化において、PR本来の機能である“広聴 ”を忘れないことが大切です。つまり、世の中が求めている情報は何なのか。どんな情報を発信すればいいのか。それを理解することです。そういったことがわかれば、そのためにどんなツールを入れればよいのかが、当然のように決まるはずなんです」

現代の広報・PRにおける広聴の場、それはインターネット上です。ネット上で、騒がれている情報やシェアされている情報は何かを理解すること。ひいては、なぜそれがどのような経路でシェアされているのかまで理解すること。

そしてネット上で、旬な話題やニュース性がある話題は何かを知ること。それが、思考のデジタル化への第一歩だと一ノ瀬は考えます。

一ノ瀬 「これまで担ってきたリアルなコミュニケーションでのメディアリレーションの場で、きっと広報担当者は世の中の流れに合わせた情報提供をしてきたはず。根本的なことは今でも変わりません。ただ、デジタルも加わっただけ。

記者の方々もネットでネタを探しますから、自社の情報を見つけてもらうチャンスを知るために、いっそうネット上での広聴力が、これからの広報やPRには欠かせなくなるのではないでしょうか」

「全国紙に紹介された!」だから伝わったのか??

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▲デジタル担当になって日が浅い頃の一ノ瀬

いかにテレビや雑誌やウェブメディアで取り上げられるか。広報やPRにおける指標として、メディア露出に重きを置いている企業は少なくありません。

また、インターネットを使えば誰もが発信できる時代だからこそ、情報発信にばかり気を取られている企業も同様に多いといえます。ただ、発信すること、そしてメディアに取り上げられることが本質なのでしょうか?

一ノ瀬 「多くの広報担当者が『なぜマスメディアに取り上げられないんだろう』とか、『とにかく情報を出さないと』という意識になりがちです。でも、たとえ全国紙の朝刊ないし夕刊に取り上げられたところで、小さな記事で読み飛ばされていたとしたら意味がないですよね?

広報・PRがマーケティング機能の一部として活用されてきたことが、このような認識を生み出す結果となったのかもしれませんが、広報とは何か?に立ち返ることができれば、広報・PRでデジタルと向き合うことは難しいことではないかと」

デジタル化について熟知しているように見える一ノ瀬ですが、実は彼がオズマピーアールに入社したころは、ITやデジタルに特化した人材ではありませんでした。

前職で危機管理を担う企業に勤めていた一ノ瀬。とくに2004〜2005年には、BSE、狂牛病、鳥インフルエンザなど、食品に関する社会問題が次々と浮きぼりになり、企業の広義の危機を経験しました。

平時・緊急時のコミュニケーションにおけるプロフェッショナルとしてさらなる経験を積むべく、PR会社への転職活動を開始。とくに自由で個々人が際立って活躍している社風に惹かれ、オズマピーアールを選びました。

一ノ瀬 「オズマピーアールに入社したものの、危機管理に特化した担当になることはありませんでした(笑)。もちろん、仕事をしていればさまざまな危機が訪れるので、思いがけず前職の経験を活かして乗り越えられた案件もありますけどね。

ちなみにオズマピーアールでは、IT業界を中心に担当することになりました。組込みベンダーからソフトウェアベンダーまで、BtoBの若干ニッチな領域を担当させてもらったことで、IT関連の仕事に対する免疫をつけることができ、興味・好奇心に変えることができたと思っています」

そんな彼が、ネット上での広聴力をつけるために、広報担当者が身につけるべきだと考えているのは「ソーシャルリスニング」のスキルです。

ユニークなデータは、ネットだからこそ見つけられる

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▲仕事を通じてつながった編集者と共に出版企画などにも関わった過去も

このソーシャルリスニングとは、人々がインターネット上で発信している投稿(話題)データを収集し、分析を行うこと。主に、Google検索やSNSでのリサーチを通して世の中の関心を知ることを指します。

このソーシャルリスニングを、情報発信の切り口を考えるアイデアとして活用するプランニングが、オズマピーアールの特徴でもあります。

ソーシャルリスニングのコツとしては、「名詞×名詞」ではなく「名詞×動詞・形容詞・記号」の組み合わせや、書き言葉ではなく「打ち言葉言葉(PC,スマホ等での文字入力)」で検索すること。

一ノ瀬「たとえば、『おにぎり』ともっとも相性がいい記号って『♪』だということ、ご存知ですか?『おにぎりタイム♪』のように、音符をつけてSNSに投稿する傾向が強いんです。

それがわかれば、今までSNS運用でなんとなく『今日のランチは、おにぎり♡』としていたのを『♪』に変更しますよね。そんな風に活用しています」

ソーシャルメディアは、一般的なネット定量の調査とは違い、生活者の深層心理や感情の起伏を捉えるのに最適なメディアなのです。そのためソーシャルリスニングの活用はコンテンツプランニングだけにとどまらず、メディア・プランニングにも活かせます。

多くの生活者がキュレーションメディアやポータルサイト経由でニュースを読むようになった今、大小含めて膨大な数のネットニュースメディアの中から、真のチカラを持ったメディアを絞り込むことは困難です。

各メディア会社が提供するPV/UUや読者属性などを鵜呑みにするのではなく、エンゲージメント率が高く、かつ反響が取りやすいコンテンツの傾向をつかむ上でも、ソーシャルリスニングが有効なのです。

一ノ瀬 「今、キュレーションメディアとして影響力のあるスマートニュース、News Picks、グノシーなどに取り上げてほしいというケースが、とても多いんですよ。

そんなとき、なんとなく“スマートニュースに拾われそうな一次メディア”を見つくろうのではなく、実際にスマートニュースに取り上げられ、かつシェアまで結びつける力を持っている一次メディアを特定してアプローチするんです。

すると、なかなかメディアプランとして『アプローチしよう』とはならないであろう、マイナーなサイトが有力なターゲットとして浮かんできたりするんですよ」

固定観念は取っ払え。自由な発想の広報・PRパーソンが活躍できる

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▲会社でも中核となり、後進の指導もリードする存在に

ソーシャルメディアのデータを客観的に読み解き、企画化する能力を持っている人が、これからの時代、PRパーソンとして重宝されると一ノ瀬は考えます。

一ノ瀬 「もちろん、従来型のPRパーソンに必要とされてきた人脈やコミュニケーション能力は当然必要です。テレビや雑誌で紹介される影響力というのは、いまだに大きなものがありますから。

そのうえで、ソーシャルメディア上の生活者の声にシッカリと耳を傾け、業務適用していくチカラを身につければ、リアルとデジタルの強力な公聴スキルを持った人材として、どんな領域でも活躍できるのではないでしょうか?

僕は、テレビ局のプロデューサーや雑誌記者の方にお会いするときに、ソーシャルリスニングで見つけたユニークな情報をお土産として持っていくんです。とても喜んでもらえますよ。そのおかげで一緒に番組をつくったりや新しいビジネスをご一緒させていただく機会もできました」

ネットメディアへアプローチにするときも、分析結果からの導き出した示唆を提供することで、「一緒に企画を考えましょう」と、仕事に結びつくケースも増加。そう、一ノ瀬のように、自由な発想と手法で新しいことに取り組む社員は、オズマピーアールで活躍しているのです。

一ノ瀬 「ソーシャルリスニングの業務適用はこの膨大なデータを何かに応用できないか?という課題意識からはじまりました。

オズマピーアールには、新しいチャレンジを応援してくれる風土があるんです。トライアンドエラーを歓迎してくれます。これまでエラーもありましたが、失敗も含めて評価できて、そんな人が活躍していける環境なんです」

PRが本来もつ“広聴”の役割をベースに、思考からデジタル化すること。オズマピーアールに限らず、そんな人材が、これからの広報・PRの現場で活躍していくに違いありません。

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