人間らしさってなんだっけ?カルチャー型テックフェスティバルTOA出展からの気付き

2019年7月に、欧州版SXSWとも言われ、昨今盛況なカルチャー型テックイベントTOA(Tech Open Air)に出展しました。テクノロジードリブンで目まぐるしく変化する現代の中で、「これからの時代の人間らしさとは何か? 」について、開催地ベルリンのカルチャーレポートや出展プロジェクトのご紹介を通してお伝えします。
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圧倒的に自由な空気感。カルチャー×テックの融合でイノベーション量産へ

▲Tech Open Air 2019(TOA)のイメージムービー

こんにちは、パナソニック株式会社の今枝侑哉(いまえだ ゆうや)です。私は、企業ブランディングにつながるビジョン発信や、イノベーションのための新規事業の種づくりを目的に活動している、デザインチーム「FUTURE LIFE FACTORY(以下、FLF)」に所属しています。

今回は2019年7月2~5日の4日間、ドイツ・ベルリンで開催されたテクノロジーフェスティバル「Tec Open Air 2019 (以下、 TOA ) 」において、子どものためのスマート知育玩具「PA!GO」のコンセプトモデルを参考出展した際のさまざまな気付きを、簡単なレポートとともにご共有できればと思います。

まずは冒頭のTOAイメージムービーをご覧ください! テック系のイベントって聞くとどうしても堅苦しくって、スーツで、しかも難しい言葉でプレゼンしているっていうようなイメージがあると思うんです。でもTOAは違います。

ほかのテック系イベントとの雰囲気の違いは一目瞭然。とにかく自由な空気感! 会場も、“Open Air”という名の通り、青空の下でビール片手に話し合ったり、歴史的建築の中でのセッションが行われていたり。自然や伝統的なカルチャーと最新テックをうまく融合することで、次代のイノベーションにつながる明るい未来の話がしやすい雰囲気づくりがされていて、「うまいな」と思いました。

ベルリンは昨今“第二のシリコンバレー”とも呼ばれるようになりました。新しいビジネスのアイデアが次々に生まれ、そこに投資家が集まる、といった良い循環ができています。そのような良い循環の下支えになっているのが、スタートアップを支援するコワーキングスペースやイノベーションハブ。

その環境の良さと多様性を尊重した自由な空気感に、クリエイティブな人々がどんどん集まってきて、革新的なアイデアの量産につながっているようです。「イノベーションを支援するための環境づくり」と「多様性を尊重した自由な空気感づくり」の2点は、そのまま企業の話に置き換えても、企業内で持続的にイノベーションを起こすためのエコシステムづくりのヒントになりそうだな、と感じました。

子どもの好奇心をブーストするスマートAI知育玩具「PA!GO(パゴ)」

▲「PA!GO」のコンセプトムービー

テクノロジードリブン(技術先行)で目まぐるしく変化する現代社会だからこそ、今後はヒューマンドリブン(人間先行)で「これからの時代の人間らしさとは何か?」を真剣に考えた製品やサービスが大切になってくるのではないのか。TOAというイベントや、ベルリンのテクノロジーに対するスタンスは、そういうことなのだと読み取りました。

そして私たちパナソニックがTOAに出展した製品は「テクノロジーを使うことでより人間の感性を豊かにする」というテーマをもとに制作されたもの。

今回TOAに出展した「PA!GO」は、スマートフォンが普及して子どもたちがゲームやアニメなどで画面を見る時間が増加する中、「テクノロジーが子どもたちの想像力や好奇心に取って代わるのではなく、むしろ伸ばすような未来にしたい」「多感な幼少期に、身近にあるリアルなものに関心を持ち、考える力を育んでほしい」という想いで開発に取り組んできました。

PA!GOのコンセプトムービーをご覧ください。これまでの知育玩具は組み立てたり音が鳴ったりと、単純な仕掛けのものが多く、そのために規模としてはやや小さかったのだと思います。しかしスマートAI知育玩具PA!GOを使えば、AI画像解析技術を活用することで、子どもたちの「探索する」「遊ぶ」「学習する」といったさまざまな意欲を育むことができるのです!

PA!GOには3つのモードがあります。

まず「INPUTモード」で外の世界を探索し、子どもの好奇心の赴くままに対象物の写真を撮影。そうすると対象物の名称や詳細情報を音声で学ぶことができます。

続いて「OUTPUTモード」。帰宅後はPA!GOがTVのリモコンに早変わり。外の世界で記録した対象物について、家族に共有したり、対象物についてYouTubeなどの動画でより深く学ぶことができます。

そして最後に「STORYTELLINGモード」。将来的には小型プロジェクターを取り付けて、まるで懐中電灯を照らすように映像を投影。子どもたちが自分なりのストーリーを組み立てて、家族に学びを共有することを促します。また記録ができることで、子どもたちだけで完結せずに、家族と学んだことを共有できること・話題をつくれることも大きな魅力だと考えています。

私たちが期待しているのは、小さい子特有の「これ何?」「これどうなるの?」により寄り添い、世界を広げてあげられる──そんな役目をテクノロジーが担えればな、ということ。

これからの時代の人間らしさとは何か?これからの未来世代のために何を残したいのか?をチームであーでもない、こーでもないと考えて、やっとたどり着いた製品・サービスのコンセプトモデルです。

TOAにて「PA!GO」コンセプトモデルを発表。そこで学んだものとは?

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▲TOAでの「PA!GO」展示ブースの様子

「PA!GO」はまだ製品化も未定の開発段階ですが、世界中から感度の高いエンジニアやデザイナーが集まるTOAで展示することで来場者の声を集め、開発の初期段階からニーズの把握や活用例を模索する狙いがありました。

私たちは強い信念と自信を持って製品開発に臨んでいますが、それがどう受け取られるかは予想ができません。そのため、TOAは非常に貴重な機会だな、と。

そして、同期間中に会場内でプレゼンテーションも実施。「PA!GO」プロジェクトについて約80人の観衆の前で説明しました。

その結果、聴講後にはメディアや教育機関施設から問い合わせがいくつもあったんです。

植物園経営者:「うちの植物園用にカスタムして使用したい」、アウトドアイベント企画者:「アウトドアイベントにて、親子参加のワークショップで使ってみたい」 、留学生支援サービス業者:「子どもだけでなく、英語が苦手な留学生向けの英語学習ツールとしても使えそう。50台ほど購入したい」

などなど実際の声から需要があると知れたこと、そして評価を得られたことはとても大きかったです。本コンセプトに大きな手応えを得ることができました!

日本の大企業は、品質保証や安全安心のブランドイメージとトレードオフのかたちで、不確実でイノベーティブな新規性の高い製品・サービスをどうしても生み出しにくい構造にあります。そんな中で、このような展示会への出展は、外部の反響によって社内の説得に一定の効果があるのではないかと思います。ある種の市場性調査みたいな感じですね。

開発途中のベータ版ハードウェア・家電を販売する仕組みづくりに挑戦!

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▲段ボール製の「PA!GO」ベータ版体験DIYキット

今後の展開として、PA!GOの機能の一部を簡易に体験することができるベータ版体験DIYキットを、2019年秋以降にネット販売することを検討中です。

ソフトウェアの世界では当たり前に行われている、開発途中のベータ版の一般公開を通して製品の改善やニーズ調査を行う手法を、ハードウェア・家電の世界にも取り入れたいと考えています。今度はベルリンだけでなく、グローバルでどのような反響が得られるかドキドキします。

今までさまざまな理由で、数多の不確実でイノベーティブな新規性の高いアイデアが社内外に眠っていました。この取り組みをベースに、それらが開発途中のベータ版の状態で、「素早く・安く・簡単に」世の中に問いかける仕組みづくりができたらな、と。

なぜ不確実で新規性の高いアイデアを世の中に出せる仕組みづくりにこだわるか?それは、いつの時代も不確実で新規性の高いアイデアこそが、未来を形づくるイノベーティブな製品・サービスを生み出すからです。

iPhoneがキーボードのない携帯電話をつくり、今のスマホの原型をつくったように。GoProがモニターなしの小型ビデオカメラで、アクションカメラという新たな市場を切り開いたように。つまりは前例をつくりたいんです。PA!GOがうまくいくことで、「こうすればお客さんの意見も入っているし、安全性が確保できるよね」っていう筋道を確立できれば、会社としても、もっといえば業界自体もさらに成長できると思うんです!

この活動が、企業における「イノベーションを支援するための環境づくり」と「多様性を尊重した自由な空気感づくり」に少しでも貢献できるきっかけになること。

そして何より、これからの未来世代に価値ある製品やサービスを残し、次代の人間らしさをみんなで考え、みんなの力でより良い世の中をつくっていけたらすてきだな、なんて蒼い夢を描いてます。

テクノロジーがヒューマンドリブン(人間先行)であるように。そのために、これからも私たちパナソニックは製品と、そしてもちろん人間と向き合っていきます!

本プロジェクトの今後の展開は、下記専用Webサイトより随時情報更新します。最後までご覧いただきありがとうございました!

https://panasonic.co.jp/design/flf/works/pago/

また本プロジェクトをきっかけに、Twitterにて仕事で日々集めている新製品やサービスのヒントになりそうな、未来の兆しや情報の発信をしていこうと思ってます。良かったらフォローお願いします!

パナソニック株式会社  FUTURE LIFE FACTORY 今枝侑哉

https://twitter.com/yupokamoyo

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