おいしいだけじゃないーーウェブコンサル企業が導入した“食”にまつわる取り組み

ウェブコンサルティング会社ペンシルが、新卒採用をはじめた2007年から毎年実施している「寿司研修」。一方、2016年10月にはじまったばかりの「ペンシルキッチン」。ウェブと「食」という一見無関係に見えるふたつが不思議と混ざり合って生み出す、その効果とは……?
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制度はひとつじゃなくていい

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▲立って仕事をしたいという社員の意見に対してスタンディングデスクを手作り
福岡に本社をおき、ウェブコンサルティング会社としてウェブから企業の売上をあげる支援を行う株式会社ペンシル。その22年の長い歴史にかんがみると、これまでに充実した社内制度が確立されてきたのではと思われがちだ。

しかし、社員に社内制度や取り組みについて尋ねると、それぞれ全く違う答えが返ってくる。

—— 全員のためにひとつの大きな制度をつくるのではなく、一人ひとりのために多様な制度をつくる。

これがペンシルの制度に対する関する考え方だ。

働き方やライフステージは社員一人ひとりによって異なり、同じ社員でも変化を続けていくもの。せっかく制度をつくっても、そのメリットを十分に受けとれない社員がいるのであれば、一人ひとりに合わせた制度をたくさんつくってしまおう、というのが私たちの方針。

社内制度の目的を「社員一人ひとりが、その能力や個性を最大限に活かして、いきいきと働くことができる環境を構築し、多様で自由な発想を持って生産性を向上すること」と位置づけるペンシルは、その制度を本当に必要とする社員が気兼ねなく利用できる環境を整えるため、常に制度を進化させながら柔軟性をもって運用を続けている。

その結果、ペンシルの制度や取り組みのなかには、創業したときから変わらないものもあれば、社員の意見によって新しく導入されるものもある。

そんなペンシルの取り組みのなかから、今回はふたつの「食」にまつわる取り組みを紹介したい。

自分の価値観を「寿司」で見える化

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▲大将から直々に「本物」を教わる
はじめに紹介するのは、「寿司研修」。

この取り組みは、ペンシルが新卒採用を始めた2007年から現在まで10年もの間続いている、新卒研修のひとつ。

当時の社長、覚田(現・取締役会長)の好物が寿司であることが発端で、その名のとおり、かなりわくわくする研修だ。

新入社員たちは、まず福岡の超一流といわれるお寿司屋さんに行き、最高のサービスとお寿司を味わう……。普段なかなかできない経験ということもあり、適度な緊張と高まる期待感で心が踊る瞬間だ。

しかし、それで終わりではない。オフィスに戻ってからが本番。

「美味しかった」「すてきだった」と余韻が残るなか、自分たちが感じた、そのお寿司屋さんと他のお寿司屋さんとの違いをひとり100個ずつ書き出していく。

ネタが違う、味が違う、器が違う……。

自分なりに感じた違いをおもむろに書き出していく。最初は順調に思えるものの、多くの新卒社員が、20〜30個で行き詰まってしまう。

次に、「外観」「入口」「席までの動線」「お寿司が出されるまで」……など、フォーマットを決めて考えてみる。体験をカテゴライズし、フォーマットに沿って考えることで、50〜60個ほど書けるようになるが、なかなか100個には及ばない。

そこで、チームをつくって取り組んでみる。

1人ではできなくても3人ならできるかもしれない。そうやってメンバーと協力し合って取り組むと、いとも簡単に100個を超えることができるのだ。

寿司研修の良さは、本物のサービスを自らが体験することだけではない。

クライアントのウェブサイトの課題や問題点を見つけ、改善を行っていくペンシルのコンサルタントに必要な「ものごとを体系化して考えること」を学べるうえ、ツールを活用したり、工夫したりすることで自分の能力が大きく広がることが経験できる。

寿司研修を終え、部署に配属された後もその考え方は自然と身についていて、コンサルティングに活かされている。社内では「“寿司研修”みたいに考えてみて」という言葉が聞かれることも……。

サービスとは、仕事とは、会社とはーー。お寿司を通して学ぶ、美味しくて楽しくも、真剣な取り組みだ。

“日常のなかの非日常”で距離が縮まる

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▲月に一度のペンシルキッチンの日

次に紹介するのが「ペンシルキッチン」だ。

2016年10月にはじまったばかりのまだ新しい取り組みで、毎月持ち回りで担当になった部署がオフィス内で料理をし、それを社員に振る舞うというもの。

2017年5月現在、140名の社員が在籍するペンシルだが、人数が多くなるにつれ、顔と名前が一致しなくなったり、部署を超えたコミュニケーションが希薄になったりするのを防ぐため、誰もが日常において行う「食」 という切り口から、社内の共通項をつくるためにはじまった。

料理長を務めるのは、ペンシルのダイバーシティモチベーターでもある “あなたの のぶゑ“ 氏。社内の多様性推進を担当するのぶゑ氏は、料理も得意ということで、ペンシルキッチンでも大活躍している。

料理を担当する部署では、メニュー決めから役割分担、決められた予算での材料調達、実際の調理など、普段の仕事とはかなり違う工程を経るなかで、自然とコミュニケーションや笑いが生まれる。

また、調理が行われるのは、福岡オフィスのど真ん中に位置する「カフェスペース」。

そのため、料理ができあがる頃にはオフィス中にいい香りが立ち込め、自然と他部署の社員の足も止まる。

これまでに、サンドイッチ、炊き込みご飯、シチュー、おでん、ちらし寿司、チーズケーキ、チョコレートブラウニーなど、ご飯からデザートに至るまでさまざまな料理をオフィス内で調理してきたが、どれもすぐになくなるほど大人気だった。

普段全く料理をしない社員にとっては新たな経験となり、料理好きな社員にとっても、自分では使わない材料で調理したり、やったことのない調理方法をメンバーと一緒に模索したりすることで、新しい発見がある。

この取り組みは、ペンシルの行動規範のひとつでもある「C&K(チャレンジ&カイゼン)」を体現し、イノベーティブな発想にもつながっている。

「革新」を生み出すために

▲ペンシル創立20周年記念動画
AI(人工知能)に代表されるようなテクノロジーの発達により、ウェブコンサルティングもその姿を少しずつ変えている。

しかし、私たちは、テクノロジーやツールですべてが解決できるわけではないと考えている。

大切なのはそのサイトで何を実現したいのかという目的やコンセプトがぶれないことであり、テクノロジーやツールはあくまでもそのための手段にすぎない。

同じように、社内制度や取り組みも、ペンシルで働く社員が自分の能力や個性を最大限に発揮し、企業価値を創造していくための手段ではないだろうか。

2015年2月に創立20周年を迎え、次の大きな節目である“30周年”も少しずつ現実味を帯びている。そのなかで大きな成長を遂げるためには、より革新的な考え方やアイデアが必要だ。

そのためには、社員からの新しい意見を吸い上げながら、人材にも制度にも多様性や柔軟性をもたせることが大切だ。そう考えると、ペンシルでまた次の新しい制度や取り組みがスタートする日もそう遠くないだろう。

創立30周年では、20周年を超える大きな「ありがとう」を、クライアントやパートナー、そしてなによりもペンシルで働く社員に伝えることができるよう、私たちは今後も進化を続けていく。

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