生粋の営業マンが新規事業を立ち上げるーー泥臭さを知っているからこそできたこと

「an」「DODA」のメディア運営、人材紹介・求人広告などのサービス展開をするパーソルキャリア。2017年、新たに「Sync Up」というバイトタイムシェアリングサービスが誕生しました。新規事業立ち上げプログラム「0to1」から生まれたこの事業。中核を担うのは、営業畑出身の若き精鋭たちです。
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人と同じことはしたくない。だから、新しい事業を自らの手でつくってみた

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▲写真左:藤澤専之介 右:竹下壮太郎

2017年4月に新規事業を立ち上げた主要メンバーのふたりは、ともにそれまで営業として活躍していました。

まず、プロデューサーでサービス責任者の竹下壮太郎は、2011年に新卒でインテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。

1年目は九州支社で求人情報サイトの営業を担当し、九州支社内で過去最多の月間取引社数を達成。2年目で首都圏アルバイト領域の大手企業を担当するソリューション営業に異動し、2016年には大手物流企業様の採用構造改革案を提案・実現しました。

竹下 「お客様の企業理念に強く共感していたこともあり、ぜひ課題解決のお手伝いをしたいと思いました。
まずは、とにかく現状を理解しなければと思い、様々な物流拠点をまわって現場の方にヒアリングを実施。差し入れにスポーツドリンクを持っていき、それを口実にドアを開けていただいたこともあります (笑 )。
お話を伺っていくと、当時の採用体制に少なからず無駄が生じていることがわかったんです。競合がやらないことをやろうと思った結果です」

足繁く通い、いつしか竹下が一番現場のことを知っている状態に。現場の声を反映した提案がお客様に受け入れられた結果、パーソルキャリア史上最高額の売上額を達成し、全社表彰を受賞することができました。さらに、同時期に「0to1(ゼロトゥワン)」で提案した新規事業が採用されたため、社内の話題をさらうこととなったのです。

もうひとりのプロデューサーである藤澤専之介も、多くの成果を残してきました。

彼は2009年に大手化学繊維メーカーに新卒で入社し、ベンチャー企業を経て2013年にインテリジェンスに中途入社。「キャリア新人賞」(中途入社1年目で最も活躍した人に贈られる)をはじめ、営業関連のあらゆる賞を受賞し、若くして営業チームのマネジメントも任されました。

藤澤が意識していたことも“みんなと同じ仕事はしない”ことです。

藤澤 「 『生産性を高めることに貢献したい 』という想いが強かったですね。売上第一に考えるのではなく、お客様のお話を丁寧に伺い、課題に向き合いました。
たとえば、ある企業様で、某難関資格を持っている方を中途採用したいけれど、資格を持っている人自体が少ないので、なかなかマッチングしないという課題があったんです。
こういう場合、普通はとにかく資格保持者に応募してもらうように必死になるんですが、“資格はないけれど、必要な知識と素養がある人 ”というターゲット層を分析して、ご提案しました」

この提案は見事に当たり、企画したイベントでは数多くの転職サポートを実現したのです。

人と同じことはしない――。

そんな共通する想いを持ったふたりは、社内の飲み会で出会い意気投合。ほか数名とともにチームを組み、「0to1」への応募を決めました。

新規事業への強い想いをつくった原体験

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▲竹下はパーソルグループ全社で行なう社員総会で、グループビジョンを最も体現した取り組みに送られる「人と組織の成長創造インフラ賞」を受賞

リーダーの竹下は、実はかつて世代別日本代表に入ったことがあるほどのサッカーの腕前があり、彼の新規事業に向けた熱い想いの原点も実はスポーツにありました。

竹下 「ある有名なスタジアムで前座試合に出たことがあるんですが、いいプレーをすると、会場がドッと湧き上がってくれるんですね。しかも、僕はセンターバックという比較的目立たないポジションだったのに、試合後に子どもたちがサインを求めに来てくれました。
結局、プロのサッカー選手を目指す道は選びませんでしたが、根底には『誰かの夢に影響を与えられるような生き方をしたい』という想いがあります。
どんな仕事でもやり方でも構わないけれど 、人の心を動かすような “新しいものを生み出す ”ことを極めたい。それが事業の立ち上げにチャレンジしたいという想いに結びついています」

また、新規事業へのチャレンジは3回目だった竹下。過去には悔しい想いも経験していました。

竹下「 2回目は落選したのですが、1回目は通常業務と両立できず、途中で投げ出す結果になってしまったんです。
社会人としてやってはいけないことをしてしまい、当時のメンバーや運営事務局には本当に申し訳ないと思っています。大きな失敗をしたことで『今度こそは!』という想いも強かったですね」

実は藤澤も過去に一度、新規事業にチャレンジしていました。藤澤は元々経営者志向で、高校生の頃から「社長になりたい」と思っていました。その想いから2社目のベンチャー企業に飛び込み、経営を間近で見てきましたが、そこで心境の変化が生まれます。

 藤澤「この会社がなくなったら、困る人がどれくらいいるかって考えるようになって、結論としてユーザーは競合他社を使えば大丈夫って言う判断になっちゃったんですね。
そこから考え方が変わって、本当にやりたいことは会社を立ち上げることではなく、世の中になくてはならないような事業を生み出すことだと思ったんです」

インテリジェンスに入社当初から「いずれ新規事業をつくりたい」という想いを持ち続け、2回目のチャレンジで事業化につながったという背景があったのです。

正解なんてない!だからこそ、新規事業は面白い

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▲キャリア新人賞受賞時に、スピーチをする藤澤

ヒアリング、調査、資料作成等の入念な準備を経て、ついに迎えた2016年12月の最終役員プレゼン当日。

竹下 「本番直前の練習ではカミカミで、藤澤に『ほかの人に代わる?』と言われるし (笑 )、プレゼン会場に財布も携帯も持って行き忘れるほど……。普通の状態ではありませんでしたね」

しかし、極度の緊張を乗り越えて本番では堂々たるプレゼン。無事に新規事業の立ち上げが決定しました。

2017年4月からは営業職を離れて新規事業に専念。

右も左もわからない状態でしたが、『リーン・スタートアップ』(※)を片手に走り出します。

※エリック・リース『リーン・スタートアップ ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす』(2012、日経BP社)/新しい製品・サービスを生み出すための方法論を述べた本

実は、もともと「0to1」で提案していたのはSync Upではなく “アルバイトをするほどマイルがたまる”というサービスでした。しかし、進めていくうちに「本当に必要とされていることは何なのか」という疑問にぶつかりました。あらためてクライアントや店舗、学生アルバイトなど合計100件以上の取材を実施した結果、方向修正が必要だという結論に至ったのです。

藤澤 「小売・外食などのアルバイトを大量採用する業界では、新規のアルバイトがなかなか集まらない現状があります。既に働いているアルバイトにもっと働きやすい環境を提供する。つまり、ポイントは “シフト ”だと思ったんです。」

同じチェーン店でも、店舗Aでは人が余っているのに、店舗Bでは人が足りないという事態が日常的に起こっています。そして、「もっとシフトに入りたい」と思っているアルバイトも実はたくさんいます。これは自分たちでコンビニのバックヤードに8時間張り付いて店長やスタッフの動きを見たり、対面で学生や企業にヒアリングをしたりするなど草の根活動をしたからこそ見えてきたことでした。

そこで生み出されたアイデアが「Sync Up」。アルバイト自身がアプリで人手が足りない店舗をチェックでき、他店舗にシフト希望を出せるというバイトタイムシェアリングサービスです。

Sync Upによって店舗側は労働力の平準化を図ることができ、アルバイトは求める収入や都合のつく場所・時間に応じて働くことができます。

アイデアは固まりましたが、ここからがさらに大変でした。ふたりとも営業しか経験していないので、システムを作るうえで何が必要か、どう見積りを取るのかすらもわからない状態でした。

藤澤 「 2017年6月に、開発経験が豊富なエンジニアの伊藤竜之介を採用しました。彼がいなければ事業を続けられなかったと思います。それまではアイデアが浮かんでも、知識がないので技術的に可能かがわからず、身動きが取りづらい状態だったんです。
でも、伊藤は『何でもつくれるよ』と言ってくれたので、安心してアイデアを出せるようになりました。こんなエンジニアは珍しいと思いますが、彼の口から『できない』という言葉を一度も聞いたことがありません (笑 )」

伊藤はただ形にするだけではなく、そのサービスは本当にユーザーが求めているものかという点にもこだわります。Sync Upチームの共通言語は「ユーザーのため」。独りよがりにならないモノづくりを追求することで、お互いをリスペクトし合う関係性になりました。

その後、1名ずつエンジニアとデザイナーが加わり、チームは合計5名です(2018年3月時点)。

藤澤 「少数精鋭でまったく専門性の違うメンバーと働けるのは、営業時代になかった面白さですね。また、どんな仕事も本質的にはそうだと思いますが、新規事業には本当に正解がないです。
立ち止まっても仕方ありません。間違っていたらすぐに修正をかけるしかないし、不確実な中でも素早く一歩を踏み出さなくちゃいけない。でも、それが楽しいですね」

アルバイトの情報格差をなくすためにSync Upができること

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▲目標のもっと上をいくと語るふたり。バイトタイムシェアリングが当たり前になる未来を目指している

2017年6月からテスト版のWebサービス・アプリの開発を始め、10月には日本ピザハット株式会社様でSync Upがトライアル導入されました。そして、2018年1月には本格リリースを開始。

実際に利用した学生アルバイトの目に、Sync Upはどう映っているのでしょうか?

藤澤 「学生アルバイトの方にヒアリングすると『(Sync Upをつくってくれて)ありがとう!』『友達にすすめます』といった声が聞かれました。
すんなりこのサービスを受け入れてくれているようで、嬉しいですね。今後は同じグループ内のあらゆる店舗で、働きたい時に働ける世の中を実現できたらいいなと思っています」

また、店舗側からも嬉しい声が聞かれました。

竹下 「アルバイトの人手を調整する際、これまでは店長を介していました。しかし、店長は通常の業務だけで手いっぱいというケースが多いんです。
Sync Upを使うことで、店長側から『楽になった』というお声もいただきました。困りごと・ストレスを減らすことに貢献できたのは嬉しいですね」

仕組みができていないことで、アルバイトはなかなか情報が共有されないという問題を抱えています。必要に応じて様々な店舗情報を知ることができれば、アルバイトの希望に応じた働き方の提供だけではなく、仕事への意識が高まってスキル向上につながると確信しています。

「Sync Upに入っている企業は働きやすい」
「Sync Upを利用すれば、もっと成長できる」

ユーザーにそう思ってもらえるような世界を創っていきたいと思っています。2020年までのサービス導入社数の目標は250社。できれば、もっともっと上へ――。

バイトタイムシェアリングが当たり前になる未来は、そう遠くないでしょう。

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