育児や介護で、仕事をあきらめない。ジョブシェアセンターが働き方の選択肢を広げる

ジョブシェアセンター浦和は、2018年4月で開業1周年を迎えました。ジョブシェアセンター(以下 JSC)とは、育児や介護などの事情により就業時間が限られる方が、都心へ通勤することなく職住近接で働ける施設になります。全国で初の試みとなったこの JSCの立ち上げには、ふたりの男の熱い想いがありました。
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立ち上げメンバーのふたりが、“新たな雇用創出の場”に携わるまで

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▲ JSC浦和の開設に関わったメンバーとのキックオフ。右が佐野

パーソルテンプスタッフ株式会社は大きくふたつの事業に分かれています。ひとつは人材派遣事業、もうひとつはお客様の業務の一部を運用するアウトソーシング事業です。

JSCでは、パーソルテンプスタッフのアウトソーシング事業部で受託している案件や新規の案件など、複数の業務の中から JSCに適した業務を切り分け、スタッフさんのスキルや経験に合わせて担当していただいています。当時のマネージャーの佐野裕顕(ひろあき)と田島俊がこの JSCの立ち上げに関わりました。

佐野は元々、医療コンサルティングの会社に勤めており、病院の移転や老人ホーム・保育園の設立などに従事していました。

佐野 「入社後 2年間はまったく違う仕事をしており、3年目から医療分野に関わるようになりました。病院開設・移転時のロケハンから事業計画策定・資金調達などを担当し、そこから老人ホームの設立に関わるようになったんです。
社会貢献性の高いビジネスに関わることで『世のため人のため』に仕事をしたいと思うようになり、羽田空港に保育園をつくることにチャレンジしたんです。キャビンアテンダントや整備士の方々が子どもを連れてきて、すぐそばで働けるという環境をつくってあげたかったんです」

10年勤務した後、文具のデザイン会社を経て、テンプスタッフ株式会社(現パーソルテンプスタッフ)に入社。アウトソーシング事業という、クライアントによって業務内容が異なる事業形態に魅力を感じたことがきっかけでしたが、入社の決め手は「面接で会った社員が、会社や自分たちが携わる仕事の話をしながら、感極まって泣く」という衝撃の面接でした。

佐野 「単純にいい人たちだなと思って(笑)。自分たちのビジネスへの誇りが強く、ものすごく熱い想いを持っていたので、こういう人たちと働きたいなと思ったんです」

入社後関わったとあるプロジェクトでは、思うように生産性を上げることができず、顧客の掲げる目標に反し大きな赤字を出すという失敗もありました。

しかし、大小さまざまな失敗を乗り越えることで、ちょっとのことでは動じない度胸を身に付けることができました。何よりも目の前で頑張ってくれるスタッフさんたちへの想いがあったからこそ、ここまで続けてこれたと佐野は言います。

一方、田島は新卒でケーブルテレビ会社での営業を経験し、その後パーソルグループのアウトソーシング専門会社である株式会社日本アイデックスに入社しました。

田島 「いろんなタイプの仕事を依頼いただきます。なかには日本ではどこでもやっていないような案件もあり、毎回とても新鮮でした。しかも少し業務フローを変えるだけでコストが半分になることもあるから、本当におもしろいです」

さまざまな業務委託案件の経験を積んだ田島は、より働き方の可能性を広げたいという想いから、 JSC立ち上げのためにテンプスタッフ(現パーソルテンプスタッフ)に入社することになったのです。

スタッフの活躍の場を広げたい。 JSCが生み出す価値

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▲JSC浦和のスタッフ募集説明会でJSCの魅力を伝える田島

当初 JSCはパーソルテンプスタッフ役員の構想がもとになり、テレワーク(ICTを活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方)を研究することからスタートしました。まずコンセプト設計に携わったのが佐野です。

佐野 「シェアリングエコノミー(モノ・サービス・場所などを、多くの人と共有・好感して利用する社会的な仕組み)を研究しはじめたのが 2015年でした。
派遣スタッフさんの中でも通勤に 1時間以上かかることに抵抗感を持つ方が増えてきて、希望にマッチした仕事や勤務場所を提供できないことに対してジレンマを感じていました。ちょうどテレワークという言葉が世に出はじめたので、社員がテレワークできるなら派遣スタッフさんもできるのではと考えはじめたんです」

前職で「世のため人のため」という想いを大事にしてきた佐野にとって、 JSCは圧倒的に社会貢献性の高いサービスであり、多くの人や企業にとって価値を提供できるものになると考えていました。

佐野 「郊外には女性や障害者の方など、働ける人たちはたくさんいます。でも育児や介護などで制約も多く、都心までの長時間の通勤ができないことで働くことを諦めざるを得ない。そういった人たちに自宅近くで得意な仕事を提供できれば、郊外に住む人たちだけではなく、都心の企業にとっても、労働力が確保できることなどといったさまざまなメリットがあると考えたんです」

また2015年当時は、働く人にとって郊外ならではの事情もありました。

田島 「本当は事務職がやりたいけど、仕事がないから仕方なく飲食店で働いている人も多かったんです。前職で事務の仕事をしていた人にとっては、郊外に事務の求人があること自体が価値になると思っていました」

その人がその人らしく、本来のスキルを発揮できる場所を提供することにも貢献できると考えたのです。

特に佐野と田島が大事にしていたのは「スタッフファースト」であること。気持ちよく働いてもらうことを考えて、ファシリティにも気を配りました。島ごとに椅子の色を変えて、気持ちが明るくなるようなレイアウトにし、気持ちよく働いてもらえる環境を目指しました。

求人を出す企業、仕事を探す郊外在住の人、それぞれにメリットのある場所。 JSCはこういった想いから誕生しました。

そこはまるで、“仕事の学校”。思いがけない喜びが生まれる

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▲ JSC浦和のオフィスの様子

スタートして2018年4月で1年。嬉しい発見がいくつもありました。

田島 「最初は勤務時間や時給など、条件だけを見てはじめる人が多いんですが、徐々に気持ちが変化してくるんです。自宅から近いだけでいいと思っていた仕事が、やってみるとやりがいを感じて、もっとスキルを上げていきたいという向上心が芽生えてくるんですよね。意欲的な人がどんどん増えていくのはとても嬉しいです」

最初は封入作業のみを担当していた人が、パソコンを使った入力作業ができるようになり、さらに専門的な業務にチャレンジする。仕事を提供するだけではなく、働く人の価値観や志向性の変化に向き合えることは、思いがけない嬉しさでもありました。

田島 「同じ JSCという場所でも、隣のチームはまったく別の仕事をやっているので、あちらのチームはどんな仕事をしているのかと興味を持つスタッフさんも少なくありません。今は育児や介護で働く時間が限られていても、ライフスタイルに合わせてステップアップしていけると、その人のキャリアの選択肢もグンと広がりますね」

意欲的なスタッフのために、eラーニングの受講案内も実施している田島。空いた時間に自主的にWordやExcelの習得に取り組めるように環境を整えています。

また、 JSCの特徴として、ひとつのプロジェクトが終了しても、次も JSCの中で別のプロジェクトに関わることができるということが挙げられます。

佐野 「通常の派遣就業だと、そこでの仕事が終わったら次は別の会社で新しい人間関係をつくっていく必要があります。それがこの JSCなら、場所も人間関係もそのままだし、センター長の田島がいつもいる。だから安心して新しい仕事に取り組めるんです」

JSCはスタッフにとって“仕事の学校”のような存在となり、センター長の田島は先生のような気持ちでスタッフと向き合うことが増えてきました。

一方、案件の受託状況により、スタッフにお願いする仕事がない時期が生まれてしまうことにもどかしさを感じています。

田島 「仕事によっては短期間の案件も多く、仕事を続けたくても終了してしまうことがあります。また、スタッフさんの中には働ける時間が限定的な人もいるので、仕事と働ける時間のベストマッチを生み出すために、日々頭をひねっています」

働きたいときにいつでも仕事があるのが理想ですが、100%応えられていないことが、今の田島にとって一番の気がかりとなっています。ただ、スタッフさんの中には次の新しい仕事が出てきたときに再度働いてくれる人も多く、転校してしまった生徒が再度戻ってきたような喜びを感じられるのも、このサービスに関わったやりがいなのです。

世界中で仕事をシェアする日を夢見て

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▲佐野(左)と田島(右)のよき連携によって生まれたJSC浦和

JSC浦和の成功事例を基に、2018年2月には大阪の茨木市に2拠点目がオープンしました。

世の中にとって JSCがなくてはならない存在となるために、佐野・田島はそれぞれのビジョンを描いています。

田島 「目の前でスタッフさんが頑張っている姿を見ているからこそ、自分も成長していきたいと思うようになりました。前職では業務改善がメインでしたが、今は人と向き合うことが圧倒的に多いので、マネジメントスキルを伸ばし、よりスタッフさんの成長を後押ししたいですね」
佐野 「今は首都圏近郊での展開ですが、さらにエリアを拡大し、 UIターンのために退職しなければいけない世の中をなくしたいと考えています。最終的には海外まで広げたいですね。海外にも同様の JSCを立ち上げて、浦和でできなくてもベトナムで対応する、といった世界を実現できたら最高です」

「仕事の学校」としての機能をも持つJSCで多くのスタッフたちが経験を積み、それぞれがやりたい仕事に向かって羽ばたいていく。佐野と田島が海外の学校(JSC)で先生になる日が、近い将来実現するかもしれません。

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