「学生に戻りたい」なんて言う社会人になるな!わくわくしながら働ける世界を目指して

本業ではなく、趣味のような形でスタートした取り組みが、そのまま会社のCSR活動になる。そんな夢のような話を実現したパーソルキャリアの佐藤裕(ゆう)。それは、夢物語という言葉ではくくれない、圧倒的な熱量と自らの市場価値を高めたいという強い想いにより叶えられたことでした。並外れた行動力の先に得たものとは。
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野球一筋の就活ド素人学生だった男が、社会からの洗礼で気づいたこと

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▲高校3年の夏。甲子園を目指していたころの佐藤(左から3番目)

2018年、佐藤 裕はリクルーティングディレクターという肩書きで「CAMP」という若者のキャリア教育支援活動を行なっています。

今でこそ「そもそも就職活動とは」と熱弁する佐藤ですが、実は学生時代は、まともな就活をしていませんでした。

佐藤「学生のときまでは野球で生きていくって決めていたんです。ただ本当にプロでやるのかどうかを決断するときに、体が小さい自分がアスリートとして活躍し、かっこいいおやじになっているイメージが持てなかったんです。それで辞めちゃいました」

野球一筋だった佐藤は、「シュウカツ」の「シ」の字も知らない、就活ド素人学生でした。そんな佐藤を見るに見かねた佐藤の兄は、1件の求人と5万円を何も言わずに渡してきたのです。

佐藤「僕の代わりに企業にエントリーしてくれていて、唯一説明会の案内をくれた求人だったんですよ。この5万でスーツを買ってまずはこの会社に行って来い、ってことなんだと察しました。本当にイケてる兄貴なんです(笑)」

ただイケてる兄が唯一失敗したのは、何を買うべきかをちゃんと伝えなかったこと。佐藤はスーツとシャツだけ購入し、当時では考えらない「ノーネクタイで手ぶら」で会社説明会に向かったのです。しかも想定と違うビジネスだと気づき、説明会の途中で逃げ出そうとしました。しかしーー。

佐藤「人事部長が追いかけてきて、失礼だと怒られながらも、翌日再度訪問することになったんですよ。そうしたらいろんな人と会わされて。最後にそれまでの人とは全然違う雰囲気の人が出てきて握手を求めてきたんです。
外資系でかっこいいなと思っていたら『お前がほしい。“はい”というまでこの手は離さないよ』って言われて!その人社長だったんですけど、社長にそんなこと言われたことが、当時の自分にものすごく刺さったんです」

こうして異色の就活を終え、佐藤の社会人生活はスタートしました。仕事は法人顧客のヘッドハンティング先の新規開拓でしたが、そもそも常識が欠如した学生だったので、入社してからはさまざまな武勇伝とクレームを生み出しました。それでも、徐々にこの事業の面白さに目覚めていきます。

佐藤「まったく知識のない自分が、いろんな業界の企業と話ができて、いろんなエグゼクティブ人材に会えるので、これまで足りていなかったものを埋めていける感覚だったんですよ」

成果を出し、自信もついてきた約4年後、当時懇意にしていただいたお客さまからガツンと言われてしまいます。

佐藤「『お前はパートナーではなく業者だ』って言われたんです。人材業界の一部しか見ていない井の中の蛙だと。自分は市場価値がまったくないんだと気づいて恐怖を感じましたね」

そうしてはじめた転職活動。ただどこもしっくりこない。焦る一方の佐藤は、ガツンと言ってくれたお客さまに、現状報告と称して「市場価値を高めたい」という想いの丈をぶつけたのです。そこで話をつなげてくれたのがパーソルキャリア(旧社名:インテリジェンス)だったのです。

仕事ではなく、個人的な活動ではじめてみた「CAMP」の思いがけない反響

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▲2015年7月、法政大学キャリアデザイン学部からオファーをいただき講演。現在と比べて圧倒的に小規模

ここでなら市場価値を高められるのではないかという期待感を持って入社したパーソルキャリア。人事として入社し、その後法人営業に異動。メディカル領域の立ち上げを行ない、ゼネラルマネジャーに昇格するなど、着実に経験を積み市場価値を高めていたころに、再度人事への異動を命じられます。これが大きな転機となりました。

佐藤「元々のミッションは『新卒採用におけるインテリジェンス(当時)のブランド価値を上げる』ということだったので、調査のために全国の大学を回っていたんです。
その時にものすごい違和感を持ったんですよね。自分が普通の就活をしていないからかもしれないんですけど、みんな同じスーツで同じ話をすることがすごく不思議でしたし、そもそもなぜミスマッチがこんなに問題になっているのかも理解できなかったんです。
ただ、一方で、この違和感をインテリジェンスが解消できたらブランド価値を高めていけるのではという期待も生まれました」

しかし、佐藤は人事部門のゼネラルマネジャーを任されており、この「違和感の解消」に本気で取り組む時間はありませんでした。そこで、平日の夜や土日などの業務外の時間を使って、できることを探そうと思い立ち、まずは知っている学生を集めて話を聞くという機会をつくるようになりました。

これが「CAMP」のはじまりです。

佐藤 「最初はそれこそ小さな座談会形式でスタートしました。もうなんでも話します。就職のことだけでなく、家族のことや恋愛のことなど全部ぶつけて来い!っていうスタンスで、本音話をみんなで共有していくんです。そこでみんな刺激を受けて、どんどんイベントのリピーターになってくれました」

座談会からはじまり、学生団体に誘われて規模を拡大してセミナーを開催。それが広がり、大学のゼミに呼ばれるような取り組みに発展していきました。なぜ、こんなにも支持を得られたのでしょうか。

佐藤「わかったのは、学生の能力が下がっているということではなく、大人が勝手につくった環境の中でまとまってしまっているだけということです。
新しい考え方や刺激を与えてあげると、すごく柔軟に価値観が変わっていくんですよね。学生にとってはこれまでにない考え方を吸収できることが、リピートしてくれた大きな要因だと思います」

実はリピートしたのは学生ばかりではありません。大学教授も「CAMP」を理解し、そして頼ってくれているのです。

佐藤 「大学教授やゼミの講師の人たちはアカデミックな分野でのスペシャリストです。でも企業視点やビジネス視点は得意ではない。逆に僕はそこが得意分野。僕は先生たちが言いにくいことも含めて学生たちに伝えることで、相互補完しているようなイメージです」

佐藤がかねてから目指していた「自身の市場価値を高める」ということを「CAMP」を通して実現できている、と手ごたえを感じるようになっていました。

その一方で、ジレンマも感じていました。佐藤ひとりでできることには限界があるということです。これまで隙間時間でやっていたことですが、もっと時間とコストの投資ができたらより多くの学生に伝えられるという想いが強まっていったのです。

賛同してくれる、リピートしてくれる人々から感じる「CAMP」の可能性

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▲2018年8月に実施した「CAMP NIGHT18」。複数の著名人と佐藤によるディスカッションにより、学生たちは働くことについて考える機会となる

ほどなくして役員との食事の機会がありました。今後取り組んでいきたいことを問われた際に、真っ先に答えたことは「CSR(企業の社会的責任。企業が倫理的観点から事業活動を通じて、自主的に社会に貢献する責任のこと)としてCAMPをやりたい」ということでした。事業として利益を生み出すのではなく、社会貢献としての活動を訴えたのです。

佐藤はこれまで学生と対話していく中で、この活動の意義を確信していたのです。

こうして「CAMP」は2017年4月、パーソルキャリアのCSR活動として本格始動することになりました。

佐藤 「公式な活動になったことで、できることが圧倒的に増えました。まずは、仲間が増えたこと。そして使えるお金が増えたこと。それだけではなく、つながりも今までよりも加速度的に増えていきました。
イベントや講演などで企業の人事や役員に登壇をお願いすることもあるんですが、CSR活動として取り組んでいることに賛同いただいて『そういう主旨であれば出ますよ!』と無償で参加いただける機会が増えたことは、本当にありがたいです」

サイトを開設したり、SNSで発信をしたり、イベントに著名人をお招きして対談したりすることで、より多くの学生にこの「CAMP」を広めることができている実感を持てるようになりました。そのため、当初感じていたジレンマも解消されていったのです。

これまでは「CAMP」=就活、という概念での活動がメインでしたが、今はもっと広い意味での働くことや学ぶことについての発信が増えてきたことも、佐藤が目指す違和感の解消につながっています。

CAMPクルーとして新しくこの活動に加わった上田 綾菜は、「CAMP」の可能性をこう語ります。

上田「今は学生の半数が働くことに対してネガティブなイメージを持っているんです。でもそれは思い込みを持っているだけ。仕事を楽しんでいる人がいるとCAMPを通して知ることで、あっという間にポジティブな想いを持ってくれるんです。
それだけ意義があることだから、CAMPを応援してくれる人もものすごくたくさんいます。他社の人事部長クラスの人でも、裕さん(佐藤)がCAMPの意義を直接伝えると、全員共感してくれるんです!」

佐藤が当初感じた学生への違和感、これらをしっかり声にして伝えていくことが、社会課題の解決になると上田は肌で感じています。

さらに、2018年8月に参画した清水 香奈子も「CAMP」に大きなやりがいを感じています。

清水「直接学生とふれる中で、あらためて迷っている人たちが多いんだと驚きました。彼らに対して『こういう考え方があるよ』と伝え続けることの意味や重要性を感じていますし、これを継続して広めていくことで、本当に世の中変えていけるのではないか、という期待感を持っています」

これからの世の中を変えていくのは若者。「就活だから」ではなく、もっと純粋に働くことを学び、自分に合った就活ができれば、ミスマッチやドロップアウトを減らしていけると佐藤をはじめとしたCAMPクルーは信じています。

「CAMP」をすべての若者に!誰もが働くことに前向きな世界へ

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▲CAMPクルーの上田 綾菜(中央)、清水 香奈子(左)らと、パーソルキャリアにて

拡大中の「CAMP」は、まだまだ新しいことにチャレンジしていきたいと構想をふくらませています。

ひとつは2018年8月に実施した「CAMP SCHOOL 2018~はたらくを楽しむための夏の自由研究~」にヒントがありました。このイベントは、なんと小学生を対象にしており「はたらくを楽しむ」未来について考えることを軸にした体感型ワークショップ。ここで大きな手ごたえを感じたのです。

佐藤「親御さんの反響がすごかったんです。『こんなにしゃべる子じゃないのに!』と言われるくらい、夢中になってくれる子どもたちもすごく多くて。
働くことを考えるのに早すぎることはまったくないと確信しました。今後も小学生や子ども向けの発信を続けて、文化や教養の観点で働くことを伝えられるように仕掛けていきたいです」

そしてもうひとつは行政との連携です。これまではパーソルキャリアとしてこの活動を推進していますが、より多くの学生とつながっていくには教育機関との協業が不可欠です。

佐藤「これまでの個人的な活動で、内閣府の地方創生インターンシップ事業で登壇したことはあるのですが、CAMPとしてそういった取り組みをしていきたいですね。行政という枠組みの中で正しいことを言っていきたいと思っています」

こういった取り組みを積み重ねていくことで最終的に実現したいのは、社会で働くことに対してわくわくしてもらうこと。

佐藤「大学生に戻りたいと言っている社会人はダサいと思え!といつも言っています」

これらは佐藤自身にとっても、重要なキーワードです。自らが働くことに対してわくわくし続け、この領域でエバンジェリストという立場を築き、圧倒的な市場価値をつくるという目標にもつながっていくのです。

佐藤は学生たちと共に、世界を変えていきます。

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