「出産後、ここで働くのは無理」これが私の起業理由ーーベビーカー社長が誕生するまで

プラスカラーは2013年3月、「子育て×やりがいのある仕事」を両立させたいという現代女性の欲求を満たすため、当時OLだった佐久間映里が創業した会社です。自身の妊娠をきっかけに当時在籍していた社員が全員退職するなど、女性が働き続けることの大変さを身を以て経験した佐久間が”女性にとっての働く”を語ります。
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特にやりたいことはない。でも会社員でいることには不安しかなかった

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私が起業を決断したのは2012年の11月。特に何があったわけでもない。事業構想があってその事業プランを遂行したかったからでもない。

20代最後の誕生日を迎えた私は、ふと「仮に今後子どもができたとして、出産後もこのままこの会社で働き続けるのか?」という現代の働く女性であれば一度は自問自答するであろう、自分自身からの問いかけに向き合ったことがきっかけだった。

しかし、出た答えは「NO」ーー。子どもを育てながら働きつづけるという未来は、当時の会社では想像がつかなかった。やりがいのある仕事は続けたい。でも女性として”出産・育児”というキーワードは切り離せない……。

当時勤めていた会社では”広報”というポジションで働いていたが、仮に私が産休・育休を取得したら、社内に数名しかいないこのポジションではひとりの業務量に負担がかかるため後任担当を採用するだろう。

ともすれば育休復帰後の私のポジションがあるかの保証はなく、やりがいのある仕事に戻れるかどうかもわからない……。そんな未来不安定な場所で、先々の不安なく120%の力を出し続けるのは難しい。だからこそできた決断だった。

有言することがまずはじめの第一歩

私の性格上、自分の中での答えを出してしまっているのに双方にとって何のプラスも生まない現状維持が違和感に思えたため、即日上司に3月末で退職をさせてほしいと伝えた。

上司からは「5ヶ月先のことそんなに前に言わなくてもいいよ(笑)で、何やんの?」と聞かれたが、「何をやるかはまだわかりません!でも、たぶん独立します」と言ったら「頑張れよ!」と快く背中を押してくれた。

今思えば、あの時直ぐのタイミングで上司と話ができたことも現在の私に至る重要な要素だったと思う。周りに自分は独立するんだ!と有言することで、後戻りはできない状況に自分で追い込む。

実際、起業というのは勢いだと思う。もちろん入念な事業計画を練り起業に向けて準備する人もいるとは思うが、大した頭脳も、手に余る資金も、特に何を持っているわけでもない会社員の起業は考えれば考えるほどリスクの方が大きい。

だからこそ、メリット・デメリットを考え出す前にやってみたいと素直に行動することの方が大切だと思った。

まずはやりたいことより、できること

起業をすると公言してからはあっという間に月日が経過。

社名決め、会社登記、クライアント探し……。相談をする同僚も、決裁を仰ぐ上司もいない。全て自己判断で決められる自由さと引き換えに責任も全て自分。何をやるのも、すべて最高に楽しかった。

「起業=楽しい」はじめはきっとみんなそうなのだと思う。でも起業はゴールではなくスタートラインであって、ここからずっと続く企業であり続けられるかどうかは自分次第。

長年に渡りリクルーターをやっていたこともあり、女性社員の退職理由には「ロールモデルがいないという声が多い印象があった。

そこで何人かの友人女性にヒアリングしたところたしかにこの領域の問題解決はサービスになる!と思ったので、仕組みを考え知り合いの社長人脈を辿り、「ロールモデル女性を育成します!」みたいなアプローチで営業。

しかし、結果は惨敗。全然契約に至らなかった(苦笑)。

私のように「出産育児も経験したい!でもやりがいある仕事も続けたい!」という、女性のための会社でありたいというビジョンは掲げていても、やりたいことに拘りすぎて息切れしても本末転倒だ。

そう自分に言い聞かせ、まずはニーズのあることからスタートと思い、現在のプラスカラーの柱にもなっている、広報人材育成事業を立ち上げた。

思いがけないタイミングの妊娠……そして社員全員退職

やっと会社としてサービス・人・お金が循環するようになってきた3期目。

プライベートではずっと望んでいた妊娠が発覚。学生時代からスポーツ特待生だったこともあり、体力だけには自信があったのだが、予想もせね酷い悪阻(つわり)は事態を一変させた。

妊娠7週目あたりからどんどん体調は悪化。何も食べていないのに1日50回以上吐いてしまう日々が続き、体中の全水分が無くなり、体重も1ヶ月でマイナス10kgになるほどの嘔吐三昧。

会社に行くどころか日々の生活も危ぶまれるレベルで2ヶ月の強制入院。当然仕事どころではない。そんな中、突然社員全員からの退職メール。

もうあの数ヶ月は地獄絵図としか表現のしようがない。男性だったら結婚や、出産などのライフイベントがあっても仕事に支障が出ることは女性ほどにはないと思うが、その点、女性はこういったライフイベントがダイレクトに今後のキャリアを揺るがす選択に迫られる。

私も例外ではなく、出産という大きなライフイベントによって心身ともに大きな傷を負った。

もう二度とあのような思いをしたくないし、幾度も起こるはずもない壮絶な経験だったが現在は無事に息子も産まれ、私の掲げるビジョンに心から賛同してくれる強い仲間も増え、とても充実した毎日を送っている。

ただ、現代の女性はとにかく大変だ。労働力が足りないから働け。でも少子化だから子どもは産め。産んだ後も職場復帰はしてほしいと言われるのに第一線からは外され、時短勤務となり今までの半分くらいの給与でやりがいの感じられない仕事……。

私は自分の会社やサービスを通して、社会的弱者となりつつあるワーママの地位を上げたい。そして次世代の女性たちが、出産育児をしながらもやりがいのある仕事でキラキラと働き続けることができているーーそんな”現代のロールモデル女性”をひとりでも多く増やしたい。

まずは私がそのひとりとなれるよう“ベビーカー社長”として新しい時代のハイブリッドママを目指して邁進中。

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